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2021.12.13

DXのためのデータ活用法-活用までの5ステップや活用事例を徹底解説

最終更新日:

DX データ活用のアイキャッチ画像

「DX」、「データ活用」といった言葉を聞いても、具体的にどのようなことを指しているのかイメージしづらいのではないでしょうか。

そもそも、「データ」を収集した後何を行えばよいのかわからない方もいらっしゃると思います。データの蓄積方法・具体的な活用方法を1から考えるのは非常に難しいでしょう。

本記事では、データの活用方法や、データを取り扱う際の注意点、積極的にデータを活用している企業の事例を紹介します。

DXとは

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略です。具体的には、データやデジタル技術を用いて人びとの生活や企業の取り組みをより良くすることを指します。

DXに取り組むことで、業務の効率化や人件費の削減が狙えます。適切な取り組みによって、働きやすさや利益率の向上も図れるでしょう。

▼DXについてはこちらの記事で解説しています

DXとデータ活用の違い

それでは、「DX」と「データ活用」ではどのような違いがあるのでしょうか。

一般的に、「データ活用」は「DX」の基盤とされています。そもそもDXとは、データやテクノロジーを活用して業務の効率化などを図ることを指します。

そのため、DXにおいて正確なデータを収集し、事業に生かすことは不可欠なのです。DXの取り組みを成功させるためには、収集したデータをしっかりと分析し、その分析結果をもとに意思決定を行う必要があります。

▶︎《初心者必読》DXの目的についてこちらの記事で詳しく解説しています>>

データ活用の3つのメリット

それでは、データを活用すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、以下の3つのメリットをご紹介します。

  1. 顧客のニーズを深堀りできる
  2. 生産性向上が狙える
  3. 意思決定時の判断材料になる

それぞれ解説します。

①顧客のニーズを深堀りできる

最初に挙げられるのは、顧客ニーズを深堀できる点です。例えば、ECサイトにおいてよく検索されるキーワードを把握すれば、顧客が欲しがっている商品が分かります。このようなデータは、新製品や新サービスの構築に役立つでしょう。

また、商品の売れ筋や顧客の口コミ等も非常に役立つデータです。具体的には、売れ筋の良い商品を前面に出すことで売上向上を図ったり、顧客の意見を基に製品をより良く改善したりできます。

顧客の行動や生の意見は、マーケティング戦略の策定の際に使えます。うまくデータを活用することで、より顧客に求められる商品やサービスを打ち出せるでしょう。

②生産性向上が狙える

次に挙げられるのは、生産性が向上できる点です。上記の通り、データの活用によって顧客のニーズを深堀りできるため、売り上げが見込める製品がどのようなものか分かります。これにより、利益率の高い製品に注力できるためコストが抑えられ、生産性が向上します。

また、データをオンラインで扱うことでテレワークを推進できます。通勤時間や交通費の削減もでき、働きやすさも向上するでしょう。

③意思決定時の判断材料になる

最後に挙げるのは、意思決定時の判断材料になる点です。例えば新事業に取り組む際に、市場に関する適切なデータがあればどのような分野に進出すべきか判断しやすくなります。正確な市場分析をもとに、他社が取り組んでいない分野や、顧客に求められている分野に進出できるのです。

企業経営において意思決定の場面は非常に多いです。しかし、データや分析がなければ、企業にとって最適な意思決定はできません。データを活用し、企業の現状と目標に合わせた意思決定をしましょう。

▶︎DX推進の3つのメリットについてこちらの記事で解説しています>>

データ活用における取り組み5ステップ

データ活用はどのように取り組むべきか、5つのステップに分けてご紹介します。

  1. 現状把握と目標の設定
  2. データの蓄積とデータ基盤の活用
  3. データの可視化・分析
  4. データの共有
  5. データを用いた意思決定

①現状把握と目標の設定

初めに必ず行うべきことは、現状把握目標設定です。企業が抱えている問題は何か、どのような課題を解決すべきか把握しましょう。目的に応じて分析すべきデータが変わってくるため、明確な目標把握は不可欠です。

②データの蓄積とデータ基盤の活用

膨大なデータを収集し、利用するには体制を整える必要があります。特に必要なのが、データを使用目的別に区別することです。ここでは、データを目的別で蓄積する際に利用できるデータ基盤を3つご紹介します。

1.データレイク

データを収集したら、まずはデータレイクに格納します。データレイクには、データの形式を問わずすべてのデータを格納します。とにかく大量のデータを格納することになるため、定期的に不要なデータを取り除く必要があります。また、個人情報や機密情報の扱いにも注意しなければなりません。

2.データウェアハウス

データウェアハウスには、データレイクにあるデータを目的ごとに分けて格納します。目的ごとにデータが区別されているため、データレイクと比較して必要なデータを抽出しやすいというメリットがあります。また、目的によってデータの形式も統合されています。

3.データマート

データマートには、データウェアハウスのデータをさらに細かく分けたものを格納します。社内の部門や用途ごとでかなり細かく分けられるため、社内に多数の部門が存在する場合は非常に便利です。必要なデータのみ格納するため、データウェアハウスよりもさらに、素早く簡単に必要なデータを抽出できます。

③データの可視化・分析

データを蓄積し、目的や部門別に分けた後にやるべきことはデータの可視化です。蓄積したデータをグラフなどにすることで、データが示す事実をいち早くくみ取れます。ただ数字を見ているだけでは、データの分析は難しいのです。

たとえば、売上の推移を示すデータであれば折れ線グラフにしてみましょう。一度可視化したデータはプレゼンテーション等でも使用できます。

データを可視化する際には、統計ツールやBI(Business Intelligence)ツールを使用すると効率的です。これらのツールを使用すれば、データを素早くグラフなどに変換できます。

参考:BIツールって何?できること~活用例まで

④データの共有

収集・蓄積・可視化したデータは、企業全体で共有しましょう。それぞれの部署で連携を取ることで、より効率的なデータ活用ができます。データは事業における様々な分野で生かせるので、データ共有のための体制を整えておく必要があります。

⑤データを用いた意思決定

データは意思決定において大きな判断材料となります。データをしっかりと分析しておけば、明確な根拠をもとに判断できるのです。

<マーケティング戦略の策定>

ここでは、マーケティング戦略策定時の例をご紹介します。例えば、顧客の年齢層や居住地域からターゲットを絞れます。さらに、購入履歴や顧客によるフィードバックから、顧客のニーズを正確に把握できます。

ターゲットとニーズを把握できれば、より良いマーケティング戦略を打ち出せるのではないでしょうか。

▶︎DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントについてこちらで紹介しています>>

データ活用における注意点

データを扱う上で注意すべきポイントを2つ紹介します。今回紹介するポイントは「データの信憑性」と「データの保護」です。

①データの信憑性

信憑性に欠けるデータを使用してしまうと、誤った分析結果が出てしまいます。顧客データにしても、売上など製品に関するデータにしても、ある程度母数の大きいデータを使用しましょう。

より正確なデータを使用するためには、とにかく沢山のデータを収集する必要があります。そのためには、特典の用意も有効的です。例えば、ECサイトにおいて製品に関するフィードバックを収集する場合には、次回以降利用できるポイントやクーポンをつけることが多いです。

②データの保護

顧客に関するデータには、高確率で個人情報が含まれています。顧客の名前、住所、生年月日等を誤って流出させないよう、データは慎重に扱いましょう。個人情報の流出は大きなトラブルにつながるため、信用できるデータ基盤を使用することも重要です。

また、貴重なデータの誤削除も防がなければなりません。会社全体でデータの取り扱いに対する意識を高め、1人ひとりが注意する必要があります。

▶︎DXにおけるセキュリティ対策と2つの重要ポイントについてこちらの記事で解説しています>>

データ活用事例3選

データを活用し、事業に取り入れている企業の事例を3つ紹介します。

  1. Amazon
  2. NEC(RICOH)
  3. アスクル株式会社

①Amazon

Amazonは、顧客に関する膨大なデータを所有しています。顧客の個人情報や購入履歴のみならず、顧客の購買傾向や好みについても把握しています。

Amazonを使用たことがある人なら一度は目にしたことがあるであろう、「おすすめの商品」のラインナップは膨大なデータを基に成り立っています。購入履歴を基に、顧客が気に入りそうな別の商品を表示することで、顧客の購買意欲が向上するのです。

②NEC(RICOH)

NECは都市と共同でデータ活用に取り組んでおり、六本木ヒルズをはじめとする、様々な街に関するデータや街の施設で得られるデータを集積しています。このプラットフォームは「ヒルズネットワーク」と呼ばれ、街の運営や発展に活用されています。

また、森ビルの「ヒルズID」と連携させることで、人びとはより良いサービスを体験できます。

③アスクル株式会社

アスクル株式会社は、日用品や消耗品を取り扱う「LOHACO」というサイトを運営しています。アスクル株式会社では様々なデータを収集しており、あらゆるスタッフがデータを活用しています。

例えば、商品ページに掲載した写真の中で拡大表示されたものはどれか、どの経路で買い物かごに入れたのかなど、細かいデータを収集しています。このようにかなり詳細なデータを集めることで、商品ページにはどのような写真を何枚掲載すべきか、などといった部分まで分析できるのです。

参考:日用品ECサイト「LOHACO」の購買データがメーカーのマーケティングに与える価値とは?|アスクル株式会社

▶︎DXの成功事例はこちらの記事で30個まとめて詳しく解説しています>>

まとめ

今回は、データ活用のメリットや取り組み方法、企業の事例をご紹介しました。データを活用するうえで特に必要なことは、目的別でのデータ分類とデータの可視化です。

データを収集するだけでなく、適切に蓄積・分析しましょう。データをうまく活用すれば、生産性や売上の向上が見込めます。

今回紹介した取り組みステップや注意点を参考に、ぜひデータ活用に取り組んでください。

▶︎DX戦略のキホン|戦略成功に導く推進法からロードマップについてこちらの記事で解説しています>>

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