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2022.01.05

世界初、日本語特化の大規模言語モデル「Hyper CLOVA」を開発|LINE AIカンパニーに迫る

最終更新日:

2010年代後半、AIのブームが再燃し、特に膨大なデータが蓄積され、多くのIT企業が、AIの活用に乗り出しました。

そんなブームの中、AI技術の開発を進め躍進する企業がLINE株式会社(以下LINE社)です。LINEは2011年に生まれ、2021年9月時点で、8900万人のユーザーを抱える日本を代表するコミュニケーションアプリに成長しました。

LINE社は2017年から本格的にAI活用に乗り出し、自社のサービスを展開するだけでなく、現在はZホールディングス株式会社との経営統合なども経て、最先端のAI技術開発に取り組んでいます。

この記事では、LINE社がAI分野でどのように活躍しているのか、研究の内容や強みなどを解説していきます。

カンパニー制を導入しAI事業を強力に推進|LINEの企業概要

LINE社のAIについて解説する前に、まずはLINE社自体の概要をおさらいしておきましょう。

2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災によって、電話やメールなどインフラが利用できなくなりました。この東日本大震災をきっかけにNHN(現LINE株式会社)はコミュニケーションツールの大切さ、重要さを感じ、震災からわずか3ヶ月後の2011年6月23日に「人と人を結ぶ線」という想いを込めて、コミュニケーションアプリ「LINE」を生み出します。

Zホールディングス株式会社との経営統合によりグループ社数 175、国内サービス数 200超、グループ従業員数:約23000人(うちエンジニア数:6500人)という、世界でも類を見ないオリジナリティを持つインターネット企業グループの一員となりました。

カンパニー制を導入しAI事業を強力に推進|LINEの企業概要

社名 LINE株式会社
所在地 四谷オフィス/〒160-0004 東京都新宿区四谷一丁目6番1号 四谷タワー23階
代表 代表取締役社長 CEO 出澤 剛
代表取締役 CWO 慎 ジュンホ
社員数 2,800名(LINE株式会社単体、2021年10月末時点)
8,700名 (LINEグループ全体、2021年10月末時点)
資本金 101,641百万円(2020年9月末時点)

LINE社は2019年2月からカンパニー制を導入し、事業領域ごとにカンパニーを設立して事業成長を目指している会社です。カンパニー制とは複数の事業を持つ企業が事業ごとに独立採算の形式を取り入れ、それぞれの事業を会社のように位置づけて展開を行っていく形式です。

LINE社におけるAIに特化した事業はAIカンパニーが担い、特徴は、自然言語処理だけでなくテキスト認識などの画像認識、音声認識、音声合成まで幅広い技術を保有している点で、LINE社のファミリーサービスとの連携だけでなく、BtoBへの展開も行っています。

AIテクノロジーを通して新しいインフラ体験を|LINEのビジョン

LINE社はビジョン「Life on LINE」を掲げ、24時間365日、生活のすべてを支えるライフプラットフォームを目指して、さまざまなサービスを成長させています。

LINE社の公式サイトには、「Life on LINE」を達成するために必要な技術としてAIが挙げられています。ユーザの生活を支えていくには、個人ごとに最適化されたサービスをつくることが重要です。 

そこで、LINE社はAI技術を活用することで、オンラインとオフラインが融合した新しい体験を創出し、単なるメッセージアプリとしてだけではなく、ユーザの毎日に寄り添うプラットフォームになることを目指しています。

LINE社の強み|幅広いAI事業の展開

LINE社はAI事業においてどのような強みがあるのでしょう?

幅広いサービスで膨大なユーザ数を抱えている

コミュニケーションアプリ「LINE」は、幅広い派生サービスを抱え、膨大なユーザー数を抱えていることが強みになっています。

LINE社はコミュニケーションだけでなく、「LINE MUSIC」や「LINEバイト」「LINE LIVE」「LINE Pay」「LINE証券」など、幅広い分野でBtoCでサービスを展開しています。それぞれのサービスがLINEとシームレスに連携することで、ユーザ体験を向上させ、多くのユーザーに利用されています。

ヤフーと経営統合し、国内最大級のインターネット企業に

LINE社は2021年3月1日、Zホールディングス(ヤフーの親会社)と経営統合し、「新生・Zホールディングス」が誕生しました。統合後のサービス利用者数は3億人にのぼり、日本を代表するインターネット企業が誕生しました。

この経営統合により、従来までの「検索・ポータル」や、「広告」、「メッセンジャー」の根幹領域だけではなく、社会課題が大きい「コマース」「ローカル・バーティカル」「フィンテック」「社会」の4つの領域を集中領域とし、データやAI技術を掛け合わせることで、ユーザーの日常生活や企業活動、社会のアップデートに取り組んでいく予定です。

▼LINE社とZホールディングスの経営統合について詳しくはこちら

AIテクノロジーブランド「LINE CLOVA」

「LINE CLOVA」は社会に技術とサービスを提供するLINEのAIテクノロジーブランドです。

LINE社が提供する、文字認識、画像認識、動画解析、音声合成、音声認識などのAI技術やサービスを通して、生活やビジネスに潜む煩わしさを解消し、社会機能や生活の質を向上させることで、より便利で豊かな世界をもたらすことを目指しています。

「LINE CLOVA」は大きく以下の3つに分類されます。

Products Chatbot、OCR、音声認識、音声合成、画像認識(顔認識含む)等、要素技術そのものを提供するサービス。 
Solutions AI要素技術を組み合わせ、各ビジネスの問題/課題にを解決するためのソリューションとして提供するものです。 例えば、電話応対AIサービス「LINE AiCall」は、企業だけでなく公的機関にも採用されているサービスです。 
Devices LINE CLOVAのAIアシスタント「CLOVA Assistant」が搭載されているスマートスピーカーをはじめとする機器。 「CLOVA Assistant」はLINEが開発したAIアシスタントです。音声認識や音声合成の技術により、適切なスキル (天気、占い、音楽再生、検索など)で回答するなど、ユーザーの様々なリクエストに応えます。 

Products

CLOVA Chatbot

CLOVA Chatbotは自然言語処理、機械学習、テキストマイニングなどの技術を利用したチャットボットです。

LINEサービス以外にもFacebook、自社Webサイトなどさまざまなコミュニケーションツールと連携することが可能で、汎用性が優れています。

LINE Chatbotのメッセージタイプ。選択式の回答機能から簡単に返答できる機能など、さまざまなタイプが実装されている。【引用】LINE CLOVA公式サイト

また、最新の機械学習モデルを導入しており、高い正答率を実現しています。さらに、英語、中国語、韓国語などの他言語にも対応しており、広い用途で利用されています。

CLOVA OCR

CLOVA OCRとは、請求書や身分証明書など、あらゆる書類や画像に含まれるテキスト素早くデジタル化する文字認識サービスです。

CLOVA OCRの認識制度はICDAR(文章解析と認識に関する会議)にて4分野で世界No.1を獲得しています。 (2019/3/29時点)

縦書き横書きだけではなく、丸く湾曲して書かれた文字や手書き、シワの寄った紙など悪条件下でも正確に文字を読み取れます。

窓口対応の効率化など、テキストのデジタル化は業務効率化に大きく寄与する他、デジタルデータが増えることにより、自然言語処理技術の発展にも繋がります。

CLOVA OCRは、APIを通してさまざまなサービスと連携可能で、柔軟に導入できることが強みになっています。

CLOVA Speech

CLOVA Speechはノイズなど悪条件下でも正確に音声認識する事ができるサービスです。日本語のみならず、韓国語などの外国語にも対応しており、その精度は世界最高水準を誇ります。

事前に字幕を用意する事ができないテレビ番組のリアルタイム文字起こしや運転中両手が塞がっている状態でも目的地を変更することなどが可能になります。

その他のProducts

今後は以下のようなプロダクトが提供されていく予定です。

  • CLOVA Voice(音声合成)
  • CLOVA Face(顔認証)
  • CLOVA Vision(画像認識
  • CLOVA Text Analytics(テキスト解析)

Solutions

LINE AiCall

LINE AiCallはLINE CLOVAにおけるAI技術「CLOVA Speech」(音声認識)と「CLOVA Voice」(音声合成技術)を組み合わせて生まれたサービスです。AIによる自然な対話応答を実現します。

例えば、LINE AiCallによってAIと人が業務を分担し、24時間365日受電が可能ないつでもつながるコールセンターが実現されたり、飲食店での予約受付や、荷物の集荷など、さまざまな場面で活躍しています。

LINE eKYC

LINE eKYCはオンライン上で本人確認を高精度、高セキュリティ、スムーズ完結させるソリューションです。

本人確認の業務を減らすためにはAI技術の精度が重要になってきます。同サービスでは本人情報を正しく読み取り、審査基準に適した身分証の情報を取得するために「CLOVA OCR」 写真と本人の同一人物判定、なりすましや不正防止のために「CLOVA Face」の技術が導入されています。

LINE eKYCによって今までの企業や自治体のサービスを効率化し、より快適なサービスをユーザーに届けることを実現しています。

世界初の日本語に特化した大規模汎用言語モデル「HyperCLOVA」の開発

2020年11月25日LINE社はNAVER社と共同で世界初の日本語に特化した大規模汎用言語モデル開発とその処理に必要なインフラ構築についての取り組みを発表しました。

大規模汎用言語モデルとは、AIにより自然な言語処理、言語表現を可能にするもので、日本語に特化した超巨大言語モデルの開発は世界初の試みになります。

そして2021年7月、前途の言語分野に限らない大規模汎用言語モデルの開発に取り組むプロジェクト「HyperCLOVA」を発表しました。

従来のAIでは、各ユースケースやタスク(Q&A、対話など)ごとにエンジニアが用途別にモデルを作成する必要がありました。

しかし、「HyperCLOVA」は汎用的な知識を持つ一つひとつのモデル(=大規模汎用言語モデル)開発を進めており、これにより個別モデル生成が不要になることが期待されます。

現在開発に取り組んでいる言語分野のモデルは1750億パラメーター超、100億ページ以上もの膨大なデータを学習させる計画で、ブログの書き出し数行等、少量の言語データを与えることで、その後に続く自然なアウトプットを可能にします。
言語をはじめ、画像など複数分野での汎用モデル生成を進める予定です。

大規模汎用言語モデルが与えるインパクトについて詳しく知りたい方はこちら。

▼大規模汎用言語モデルが与えるインパクトについて詳しく知りたい方はこちら。

LINEで活躍できるスキルセット

急速にAIの研究開発やサービスへの実装を進めているLINE AIカンパニーに関するさまざまなポジションで人材を募集しています。自然言語処理や画像認識など、特化した領域の経験が生かせる職種や、AIの開発をビジネス活用の橋渡しをする職種など、幅広い職種が募集されています。

コンピュータビジョン エンジニア・リサーチャー(画像認識領域)

業務内容

エンジニア・リサーチャーとして、コンピュータビジョン(CV)技術の研究/開発をご担当いただきます。

どのような経験/スキルが求められるか

  • CV分野(画像認識やOCR、3D/点群処理など)の専門知識
  • 機械学習(深層学習必須)に関する研究開発経験
  • 機械学習フレームワーク(PyTorch, Tensorflowなど)を用いた開発実務経験
  • 最新の専門的な論文を読解し、素早く正確に実装する能力

どのような経験ができるか

  • 最先端の研究成果を応用し、身近な生活を良くするサービスの開発に携わることができます
  • チーム立ち上げ期のため、チーム体制や仕組みづくりを含めて裁量を持って参画いただくことが可能です
  • インターナショナルなチームで構成され、突き抜ける感覚と一体感を体験できます
  • トップカンファレンスなどで多数採択実績を出している専門性の高いメンバー(NAVER含む)と共同で研究開発ができる環境です

AIエンジニア・リサーチャー (AI Ethics)

業務内容

AIエンジニア/リサーチャー (AI Ethics) として、信頼できるAI・機械学習に関する技術の研究/開発をご担当いただきます。

どのような経験/スキルが求められるか

  • データサイエンス・機械学習分野の専門知識
  • データの解析や可視化、モデルの導出、システムの実装、パフォーマンス評価といったプロセスを実施できること
  • 最新の専門的な論文を読解し、素早く正確に実装する能力
  • 事業/ビジネスを理解した上で、モデルやシステムを分析・提案できること

どのような経験ができるか

  • LINEのAI事業を通してユーザの生活に影響を与えられると同時に、「ひとにやさしいAI」が備えるべき信頼性の在り方を探究していくことができます
  • LINEが開発している自然言語処理、画像処理、音声認識などのAI技術、それらを応用したリアルなプロダクトやサービスを題材として、AIの信頼性を担保するための最先端の技術開発に携わることができます
  • トップカンファレンスに論文採択を目指すリサーチャーと、先端技術の実用化を狙うエンジニアが一つのチームで連携している中で働くことができる刺激的な環境です

フロントエンドエンジニア

業務内容

LINE CLOVAとして提供する各種AIサービスのフロントエンド開発を担当いただきます。

企画、デザイナー、サーバーサイドエンジニアと協業しつつ、より良いユーザー体験を提供できるようにWeb開発の専門家として様々な意見や提案を出しながらサービスの開発をしていきます。

どのような経験/スキルが求められるか

  • フロントエンドエンジニアとしての開発経験 3年以上
  • HTML/CSS/JavaScriptに関する専門的な深い知識
  • ReactやVueなどのフレームワークを利用したSPAの開発経験

どのような経験ができるか

  • LINEではAI事業を「戦略事業」として位置づけており、アジアNo.1のAIテックリードカンパニーを目指し、積極的に事業展開しています。
  • 自然言語処理、文字、画像(顔認識含む)、音声の認識や音声合成などのLINEの保有するAI技術を活用し、企業や自治体に向けてChatbotやOCR、LINE AiCall、LINE eKYCなどの様々なAIプロダクト開発に関わることができます。

MLOpsエンジニア

業務内容

MLOpsエンジニアとして、機械学習モデルの迅速な開発及び実サービスへの適用を可能とするための機械学習基盤の構築、整備を担当して頂きます。

・機械学習ワークフローの設計/開発/運用

・CI/CDパイプラインの構築/運用

・サービス監視環境の構築/運用

どのような経験/スキルが求められるか

  • サーバーサイド開発経験 3年以上 (言語:Java/Scala/Python/Go/C/C++等)
  • 機械学習を用いた実サービスの開発・運用経験

どのような経験ができるか

LINEではAI事業を「戦略事業」として位置づけており、アジアNo.1のAIテックリードカンパニーを目指し、積極的に事業展開しています。

自然言語処理、文字、画像(顔認識含む)、音声の認識や音声合成などのLINEの保有するAI技術を活用し、企業や自治体に向けてChatbotやOCR、LINE AiCall、LINE eKYCなどの様々なAIプロダクト開発に関わることができます。

Site Reliability Engineer(SRE)

業務内容

システムの安定稼働をリードし、LINE CLOVAとして提供するAIサービスの成長を支えるSREを募集します。アプリケーション実行基盤の整備や障害対応などの業務に加え、 運用自動化や開発効率改善のためのソフトウェアの開発、運用を担当して頂きます。

どのような経験/スキルが求められるか

  • Azure/AWS/GCP等のクラウドを利用したインフラ/サービス運用経験
  • Java/Go/Pythonのいずれかでの開発経験
  • ビジネスレベルの日本語力

どのような経験ができるか

LINEではAI事業を「戦略事業」として位置づけており、アジアNo.1のAIテックリードカンパニーを目指し、積極的に事業展開しています。

自然言語処理、文字、画像(顔認識含む)、音声の認識や音声合成などのLINEの保有するAI技術を活用し、企業や自治体に向けてChatbotやOCR、LINE AiCall、LINE eKYCなどの様々なAIプロダクト開発に関わることができます。

プロトタイプエンジニア

業務内容

LINEの保有する様々なAI要素技術(画像認識/音声処理/自然言語処理など)を用いて、次世代のプロダクトを新たに創出するための、プロトタイプの設計および開発、プロダクト化まで携わっていただける方を募集しています。

どのような経験/スキルが求められるか

  • 以下のいずれかの経験をお持ちの方
    • Webアプリケーションもしくはサーバー開発経験 2年以上 (言語:Java/Ruby/Python/Go等)
    • フロントエンドエンジニアとしての開発経験 2年以上
  • コンピュータサイエンスの基礎知識(アルゴリズム、データ構造、データベース、ネットワーク等)
  • HTML/CSS/JavaScriptに関する基本的な知識
  • AI技術を用いたサービスのプロトタイプ開発に興味がある方

どのような経験ができるか

LINEではAI事業を「戦略事業」として位置づけており、アジアNo.1のAIテックリードカンパニーを目指し、積極的に事業展開しています。

自然言語処理、文字、画像(顔認識含む)、音声の認識や音声合成などのLINEの保有するAI技術を活用し、企業や自治体に向けてChatbotやOCR、LINE AiCall、LINE eKYCなどのささまざまなAIプロダクト開発に関わることができます。

どのようなマインドが求められるか

LINE AIカンパニーで働くにあたって、求められるマインドセットは次のようになっています。

  • 新しいもの・未知のものに対する高い興味関心
  • 多様性を味方にする力
  • アウトリーチする力
  • 変化適応力。計画変更に対するフレキシビリティ
  • 新たなことの学習能力、順能スピード

既成概念にとらわれず、常に新しいことへの挑戦する心構えが求められます。

さいごに

今回は、LINE株式会社 AIカンパニーについて紹介しました。

LINE株式会社は日常生活はじめ、企業や自治体などでも活躍するさまざまなサービスを提供している企業です。「HyperCLOVA」の完成によるさらなるサービスの進化で社会がどうアップデートされるか気になるところです。

The Playersシリーズでは、AI関連の企業にフォーカスした記事を書いています。さまざまなAI企業を比較することで、成功するAI関連企業の法則が見えてくるかもしれません。

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