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2022.02.14

大手企業との資本提携によりALBERTが目指すAIの社会実装|データサイエンティスト育成事業も展開

株式会社ALBERT(以下、ALBERT)が、2021年6月にSBIホールディングス株式会社(以下、SBIグループ)と資本業務提携し、産業間におけるAI・データの利活用を促進する「CATALYST戦略」にさらに注力すると発表しました。

具体的な提携内容として、次の7つの項目が発表されました。

  1. SBI グループの先進技術領域における、ビッグデータおよびAI を活⽤した既存事業の⾼度化、新規サービスの企画検討および開発
  2. SBI グループの先進技術領域における、AI プロダクト、AI システムの共同企画の検討および開発
  3. SBI グループとALBERT の連携による、横断的な業種を対象とするビッグデータを活⽤した新たなビジネスソリューションの企画検討および開発
  4. SBI グループの幅広い事業領域における実績とノウハウの活⽤による、ALBERT が展開する「CATALYST 戦略」の更なる推進
  5. SBI グループの出資先企業に係る事業展開の⽀援業務
  6. SBI グループの従業員を対象とするデータサイエンティスト及び市⺠データサイエンティスト教育のサポート
  7. AI 関連領域における産学連携等による共同研究 等

ALBERTは2018年から、トヨタ自動車株式会社やKDDI株式会社、東京海上日動火災保険株式会社など8社の大手企業と資本業務提携を結び、データサイエンティストの育成やDX支援に取り組んでいます。

今回は、ALBERTの経営戦略を担当する大江氏にALBERTが複数の大手企業との資本業務提携に成功しているポイント「CATALYST戦略」で注力する自社独自の提供価値データサイエンティストの育成方針についてインタビューしました。

大手企業8社との資本提携の背景

「CATALYST戦略」とは

ーー「CATALYST戦略」の概要について教えてください。

大江氏:「CATALYST戦略」とは、製造、自動車、通信、流通・インフラ、金融※1の5つの重点産業のデータを起点にお客様の課題やニーズを見つけ、そのデータを産業横断的にシェアすることで、新しい価値を生み出す戦略のことです。

ALBERTがCatalyst(触媒)となり、産業と産業をつなぐという意味が込められています。各産業の企業様のデータを横断的に活用することで、お客様に対してより価値のあるサービスを生み出していけると思っています。

データ分析でサービスの価値を最大化する

ーーSBIグループとの業務提携も「CATALYST戦略」の一環として実施されたそうですが、どのような背景で締結されることになったのですか。

大江氏:SBIグループであるSBI証券はネット証券の口座開設数で国内トップクラスの実績をお持ちで、非常に大量のデータを所有しています。また、グループには他にも保険事業やベンチャー投資事業などもあり、最近では地方創生等の社会テーマにも積極的に取り組んでいらっしゃいます。そのような金融グループにおけるデータ利活用の可能性は大きく、全社DX戦略の促進に向けて両社で協議を開始し、今回の提携に至りました。

ALBERTは国内トップクラスのデータサイエンティスト集団であり、AIの社会実装を目指しています。

先ほどお話しした5つの重点産業を中心に、ケイパビリティ(組織的能力)を集中投下することで事業を成長させる方針を立てています。そのため、各重点産業において長い歴史を持つリーディングカンパニーとの資本業務提携を軸に事業成長を進めています。

金融業界には、ビッグデータを所有する企業は他にもいますが、SBIグループは非常に幅広い事業を手掛けており、今後も国内の金融業界をリードしていく企業グループであると考えています。このような企業グループに対してALBERTとして技術支援できるのは、非常に社会的価値があるアクションだと思っています。

AI事業を展開するにあたり、私たちの技術だけではALBERTが目指す社会実装はできません。企業との連携を通じて、ALBERTの技術を組み込みプロダクトやサービスとして提供されることにより、それらを使用する方々のバリューとなります。そのため、ALBERTは企業との信頼関係を築き、価値を最大限に発揮するように尽力しています。

ALBERTが大手企業に評価されるポイント

ーーなぜALBERTは、SBIグループのような大手企業との資本提携ができたのでしょうか。

大江氏:ALBERTはSBIグループをはじめ、他にも複数の大手企業と資本提携を結んでいます。

大手企業との提携は難易度が高いのですが、ALBERTでは250人規模のデータサイエンティストが組織化されており、コンサルからAIシステムの実装まで一気通貫でご支援が可能であり、また幅広い技術領域をカバーしている点などをご評価いただき、提携を実現できているのだと考えています。

ーー資本提携の際に、苦労したことを教えて下さい。

大江氏:提携はゴールではなくスタートに過ぎません。想定通りに進行しないこともたくさんあります。

提携後どのように両者の事業成長を推進していくのかや、クライアントのビジネスをどのように改善していくのかが重要になります。我々も8社のリーディングカンパニーと提携していますが、未だに想定通りに進まないことも少なくありません。

ーーSBIグループとの資本提携により、ALBERTはどのようなビジョンを実現していきたいのでしょうか。

大江氏:ABERTはSBIグループ全体のデータ活用を支援していくので、社会に対して非常に大きな波及効果があるのではないかと思っています。

SBIグループは「地方創生」や「ネオバンク」など、社会的なテーマに積極的に取り組んでいらっしゃいますので、AIやデータ活用の社会実装を実現できる機会が多くあると考えています。本提携を通じてALBERTが目指す「AIの社会実装」をより加速していきたいです。

DX支援|SBIグループのデータ基盤の統一

ーー具体的な7つの提携内容には、どのような優先順位があるのでしょうか。

大江氏:グループ内の全社的なDX戦略の促進を目指し、既存事業の高度化や新規サービスの企画などに向けて協業を開始します。一方、グループ各社にもご支援いただきALBERTの「CATALYST戦略」の更なる推進にも取り組んでいきます。

同時に、SBIグループはさまざまな企業に投資や事業支援をしていますので、そちらの支援業務も重要度が高くなっています。そこからCatalyst(触媒)が波及していくこともあると思いますので、非常に楽しみですね。

オリジナリティ溢れるデータサイエンス講座

座学講座だけではない?

ーーグループ企業におけるデータサイエンティスト人材の育成支援もALBERTが提供されるそうですが、データサイエンティストの育成支援事業はどのような経緯で始められたんでしょうか。

大江氏:2019年まで、提携先および分析案件等で取引のある企業様のみのクローズドな環境でサービスを提供していましたが、日々多くの企業様からご連絡をいただくようになってきたので、2020年より、外部へのサービス提供を始めました。実際のプロジェクトで活躍しているデータサイエンティストが講師となり、指導しています。

データサイエンス人材の社会的な不足もあり、企業内の人材育成ニーズが高く、ALBERTの育成支援事業は急成長しています。

ALBERTのデータサイエンティストの育成支援事業は、単純な座学だけではなく受講者自身もデータを用いた演習を行ったり講師からフィードバックをされる機会等があります。

ーー受講者の方々は、修了時にどれくらいのスキルが求められるのでしょうか。

大江氏:カリキュラムは初級者から上級者向けまで幅広く展開していますが、より実践的なカリキュラムとなっており、各レベルにおいて実際のビジネスの現場で活用できるようなスキルレベルに到達することを目指しています。

コンサルティングスキルも持ち合わせたデータサイエンティストへ

ーーこれからの社会で、データサイエンティストはどのような役割を担うべきなのでしょうか。

大江氏:ALBERTは、コンサルからAIシステムの実装まで一気通貫で支援していることから、クライアントが気づいていない課題を掘り出すコンサルティングスキルやAIシステムの実装スキルを有するメンバーの育成や採用に注力しています。

一言にデータサイエンティストといってもAI実装に向けた各プロセスによって求められるスキルや役割も異なるため、得意領域をもつデータサイエンティストがチームを組成し、顧客の課題解決に貢献することが重要だと思います。

ーーコンサルティングスキルを身につけるために、どのような方針で育成していくのですか。

大江氏:ビジネスのポイントを見極める視点や、プロジェクトマネジメントのスキルが重要になると思います。ALBERTでは、数十名のPMが複数の案件を担当しており、顧客との関係構築から提案内容の企画や納品物の確認に加え、人材管理もしています。

そのような役割を担う人材は非常に貴重であり、これからはそのような人材をどのように増やしていくかが重要になると思います。既に人材の獲得競争が加熱しており、外部からの採用のみならず、自社内でも育成していく必要があります。

今後の展望

ーーALBERTの今後の展望を教えてください。

大江氏:まさに今、産業を問わずAIやビッグデータの活用が求められている中、ALBERTのような250名規模のデータサイエンティストを組織化し、大企業のニーズにもお応えできるプレイヤーが社会に貢献できる可能性が非常に高まっています。

ALBERTとしては、国内No.1のデータサイエンティスト集団を目指し、「AIの社会実装」を推進していきたいと考えています。

さいごに

ALBERTは、約250名ものデータサイエンティストを組織化するなど戦略的に活動しており、また8社の大手企業との業務提携を実現しています。さらに、独自のCATALYST戦略を促進することで、企業のDX推進が進み生産性向上にも寄与していくことが期待されています。

また、ALBERTは、社内で活躍するデータサイエンティストが講師となり、大手グループ企業の人材育成にも携わっています。データを活用した課題解決のプロフェッショナルであるALBERTのノウハウやスキルが凝縮されたプログラム提供により、より実践的に活躍できる人材が企業内に拡大し、ビジネスのさらなるAI活用やデータシェアリング等のDXが加速していくことでしょう。

これからもALBERTのCATALYST戦略の動向に注目が集まります。

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