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データサイエンティスト検定を受けてみたい、そう考えている人も多いでしょう。
しかし、合格率はどれくらいなのか?受けるメリットはあるのか?そういったことを気にしている人もいるのではないでしょうか?
今回はそんな人へ向けて、データサイエンティスト検定の合格率、そして受けるメリットや受験することで身につく知識について詳しく紹介します。
目次
データサイエンティスト検定(DS検定)の概要
運営団体 | 一般社団法人データサイエンティスト協会 |
受験資格 | なし |
出題形式 | 選択問題、CBT |
問題数 | 90問 |
試験時間 | 90分 |
受験費用 | 一般:10,000円 学生:5000円(税抜) |
DS検定は、「データサイエンティスト検定リテラシーレベル」の略称で、一般社団法人データサイエンティスト協会によって実施されている民間の検定試験です。
このDS検定を取得すると、データサイエンティストに必要なデータサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力についての実務能力や知識の証明に加え、数理・データサイエンス・AI教育のリテラシーレベルの実力を有していることを証明することが可能です。
2021年9月から始まった比較的新しい検定であり、AIやビッグデータなど新たなIT技術の発展によって、データ活用人材の需要が高まっていることから近年、注目を浴びています。
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データサイエンティスト検定の合格率は?
合格率 2021年11月 |
受験者数:約1400名 合格者数:927名 合格率:約66% |
合格率 2022年6月 |
受験者数:約2900名 合格者数:1453名 合格率:約50% |
合格率 2022年11月 |
受験者数:約2600名 合格者数:1088名 合格率:約42% |
合格率は42%、50%、66%と比較的高めの印象ですが、データサイエンティスト検定の合格ラインは78%、80%が目安と高めなので、合格するためにはしっかりと準備期間を取って対策する必要があるでしょう。
難易度
データサイエンティストの検定は、比較的難易度は高いと考えられます。
しかし、初心者向けの検定として作られているので十分な学習時間を確保して準備しておけば合格は十分に可能です。
ですが、2021年度から実施されている検定のため、まだ実施回数が非常に少なく、そのため参考書や過去問が不足していて試験対策がしにくいという難点があります。
また出題範囲が広いことも難易度が高い理由です。出題範囲は以下の通りです。
- データサイエンス(data science)力
・統計数理や線形代数、微分積分、集合理論の基礎知識を有している
(代表値、分散、標準偏差、正規分布、条件付き確率、母集団、相関、
ベイズの定理、対数関数・指数関数、ベクトルや行列の計算方法、
関数の傾きと微分の関係、論理演算と集合演算の関係など)・データ分析の基礎知識を有している-分析用データの整備-予測、グルーピングなどのモデリング-標本抽出、点推定と区間推定
-モデルの評価・機械学習の基本的な概念を理解している
-教師あり学習と教師なし学習の違い
-機械学習における過学習の理解
-深層学習のメリットに関する理解など・適切な指示のもとに、データ加工と基礎的な分析を実施できる-基本統計量や分布の確認、および前処理(外れ値・異常値・欠損値の除去・変換や標準化など)
-クロス集計による偏りの把握や、単回帰分析の実行 など・データ可視化の基礎知識を有している-軸だし
-不適切な表現の理解
-意味合いの導出 - データエンジニアリング(data engineering)力
・データやデータベースに関する基礎知識を有している -構造化/非構造化データの判別、論理モデル作成
-ER図やテーブル定義書の理解
-SDKやAPIの概要理解
-クラウドストレージにファイルを格納できる など・数十万件程度のデータ加工技術を有している
-ソート、結合、集計、フィルタリングができる
-設計書に基づき、プログラム実装できる・適切な指示のもとに、以下を実施できる
-データベースから条件を満たすデータを抽出できる
-インポート、レコード挿入、エクスポート
- システムや予測モデルのテスト実施・セキュリティの基礎知識を有している
- 機密性、可用性、完全性の3要素
- 暗号化、認証、認可の理解
- マルウェア、コンピュータウィルス、改ざんの脅威を理解 など - ビジネス(business problem solving)力
・ビジネスにおける論理とデータの重要性を理解したデータプロフェッショナルとして行動規範と判断が身についている -データやAIを取り扱う倫理と法令の理解
-引き受けたことは逃げずにやり切るコミットメント
-迅速な報告や、報告に対する指摘のすみやかな理解 など・データドリブンな分析的アプローチの基本が身についており、仮説や既知の問題が与えられた中で、必要なデータを入手し、分析、取りまとめることができる
-データや事象のダブリとモレの判断力
-分析前の目的、ゴール設定
-データの出自や情報引用元の信頼性の判断
-目的に即したデータ入手
-分析結果の意味合いの正しい言語化
-モニタリングの重要性理解 など
・担当する検討領域についての基本的な課題の枠組みを理解できる-担当する業界の主要な変数(KPI)
-基本的なビジネスフレームワーク などご覧の通り非常に広範囲な試験範囲となっています。しっかりと時間をかけて学習することが合格には必要不可欠です。
検定を受ける目的
現在、政府によってIT人材育成の指針が示されており、デジタル時代の人材育成が課題となっています。
DS検定を受けて資格を取得することにより、データサイエンティストに必要なデータサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力など複数のスキルを、実務レベルで発揮できるということが世間で証明できます。そのため、DS検定を取得することが、この仕事を目指す人たちにとっての目標の一つとなっています。
データサイエンティスト検定のメリット
ここでは、データサイエンティスト検定を受けるメリットを解説していきます。
それぞれ解説していきます
スキルや知識が身につく
データサイエンティスト検定は、統計学・データ分析・マネジメントなど幅広い分野から出題されます。
そのため、受験した場合は基礎知識が磨かれて技術やスキルの証明に繋がるでしょう。
また、統計数理基礎・データ構造の基礎知識・ITセキュリティの基礎知識・ITセキュリティの基礎知識などデータサイエンティストに必要な知識を網羅できます。
比較的、初心者向け・IT未経験者を対象とした検定なので「これからデータサイエンティストを目指してみたい」人の入門編として取り組めるおすすめの検定です。
実務に活かせる
実務スキルを問う問題が出題される資格試験のため、合格者は即戦力となれるスキルが備わっていることになり、今後の活躍が見込まれます。
また、実際に仕事をする前の模擬練習として試験が活用できるため、仕事についた際に慣れた状態で取り組むことが可能となります。
転職や就職に活用できる
DS検定を持つことで、データサイエンスの知識とスキルを持っていることをはっきりと証明できます。
これは転職市場で大きなアドバンテージとなり得ます。
また取得することで、自分の能力に対して自信がつき、更なる挑戦をするための後押しとなります。
検定合格に必要な知識とスキル
こちらで紹介するのは以下の6つです。
順番に解説していきます。
データの活用事例
データサイエンスが実際に活用されている事例は以下の通りです。
- ゲームのテストプレイ
- 製造の異常検知
- 医療のレントゲン・MRI.
- 物流サービスの業務効率化
- 新型コロナウイルスの調査
データサイエンスはこのようにして新たな価値を創出し、ビジネスに限らず生活に至るまで幅広く活用されています。
データリテラシー
データサイエンティストに必要なデータサイエンス力やデータエンジニアリング力、ビジネス力の見習いレベルの実務スキルや知識、また数理やデータサイエンス、AI教育のリテラシーレベルのスキル・知識を保有していることが合格に必要とされます。
データサイエンス
「データサイエンスのスキル」とは、データを活用して有益な情報を引き出すために必要な知識や技術のことです。
データサイエンティスト検定では以下のように複数の分野を総合的に活用するスキルが求められます。
- 機械学習の基本概念の理解:人工知能や機械学習、ディープラーニングの関係
- データ前処理:データを解析に適した形に整形するスキル
- 深層学習:ニューラルネットワークや畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)などの深層学習手法を理解し活用するスキル
- データの形式・処理と解析:2つ以上の変数間の関係をモデル化し、予測や因果関係の解析を行う方法
データエンジニアリング
「データエンジニアリングのスキル」とは、データの収集、整理、保存、アクセス、および処理を効率的に行うために必要な技術と知識です。
データエンジニアリングは、データを扱う際に基盤となる役割を果たし、円滑にデータ分析を行えるようになります。
データサイエンティスト検定では以下のスキル・知識が求められます。
- データ収集:ウェブローリングやウェブスクレイピングなどのデータ取得やデータベースからのデータ抽出など、さまざまなソースからデータを収集するスキル
- データベース管理:データベース(SQL、noSQL)やデータウェアハウスの設計、構築、運用、管理に関する知識とスキル
- データパイプライン構築:データの自動収集、変換、ロードを行うスキル
- データのセキュリティとプライバシー:データの機密性、完全性、可用性を保つためのセキュリティ対策や、プライバシーに関する法規制を遵守するスキル
ビジネス力
データサイエンティストがビジネス上の課題解決に貢献するためには、専門的なデータサイエンススキルだけでなく、ビジネスに関連するスキルも必要となります。
データサイエンティスト検定では、問題定義やデータドリブンな意思決定、ビジネスの理解、プロジェクト管理といったビジネススキルを問われます。
統計学・数学
データサイエンティストに必要不可欠となるスキルが、「統計学」と「数学」です。
統計学では、高校卒業程度の数学を身に付けている必要があり、確率・統計・微分積分・行列の知識も必要です。
また、より深く分析する際には、大学の領域である解析学や線形代数学まで覚えていると良いでしょう。
データサイエンティストが取り扱うビッグデータは、全体または一部の性質を適切に見極める必要があるため、統計学は必要不可欠です。
数学では、微分や線形代数の高校レベルの問題が出題されたりします。
データサイエンティスト検定に向けた勉強方法
こちらでは勉強方法について解説していきます。
データサイエンスの実務経験がある人は、公式本を使って勉強するのが王道です。参考書に加えて、公式問題集を解くことで、試験問題を解くための実践的な知識が身につきます。
ただし、予備知識や実務経験がない場合、そもそも書いてあることが理解できない可能性もあります。参考書の内容は完全初心者を想定しておらず、また参考書を読んだだけで問題集を解けるようにはなっていないからです。
データサイエンスの初心者の場合、データサイエンティスト検定の勉強に入る前に、データサイエンスの基礎知識を身に付けておく必要があります。しかし、完全未経験の状態では、そもそもデータサイエンスの基礎を独学で身につけるのは難しいというジレンマがあります。
おすすめは、しっかりと人から教わることのできる講座の受講です。ビジネスの現場で使える生きたデータサイエンスは、専門のビジネススクールで習得するのが近道です。
試験対策テキストで独学
テキストでの独学学習の場合、AI教育の専門スタートアップの「スキルアップAI」から公式対策本が出版されているため、そちらがおすすめです。
試験範囲の「スキルチェックシート」の各単元に対して詳しい解説が書かれており、全体的に満遍なく学習することができます。
模擬試験やサンプル問題なども各章末についており、試験の全体像や出題問題のざっくりとしたイメージをつかむには十分でしょう。
講座を受講
独学での学習では難しいという方には対策講座の受講がおすすめです。
講師の解説を聞きながら勉強するため、独学よりも知識・技術の習得が早いことがメリットとして挙げられます。
特に、文系の方や数学を忘れている方には何らかの講座を利用することをお勧めします。
また時間がなかなか確保できない方でも動画視聴形式で学べる講座なら、隙間時間や移動時間を利用して学習できます。こちらの形式での学習では事前に収録された動画を視聴するため、分かりづらい部分を何回もリピート視聴することも可能でわかるまで学習することが出来ます。
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まとめ
DXが進む現在、データサイエンティスト検定に合格すると非常に可能性と魅力、メリットに溢れた資格を取ることができます。
たしかに出題範囲は広く、非常に多くの専門知識も必要とされるため、簡単に合格できる検定ではありません。
文系の人にはなおさら難易度は高くなるでしょう。
ですが、合格に必要なリテラシーやスキルを学習できる公式テキストも様々なタイプの対策講座もあるため、合格を可能にする環境はしっかりと存在しています。
受験しようか迷っている方も文系だけどデータサイエンティストを目指したい方も
これを期にぜひ挑戦してみるのはいかがでしょうか?