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アメリカの首都ワシントンで2023年9月13日、米議会はテスラのイーロン・マスクCEO、メタのマーク・ザッカーバーグCEO、アルファベットのスンダー・ピチャイCEOら、米国を代表するIT企業の代表らを招き、AIに関するフォーラムを非公開で開催した。
ロイター通信、BBCなど複数のメディアが報道した。
今回のフォーラムの呼びかけ人は民主党のチャック・シューマー上院院内総務。
60人を超える上院議員のほか、多数のIT企業の幹部、市民権の活動家なども出席した。
同氏はフォーラムの冒頭で「超党派のAI政策の基盤を整備するという巨大で複雑、かつ重要な取り組みをきょうから開始する」と新たな取り組みの開始を表明した。
「議会が役割を果たさなければ、AIの恩恵を最大化することも、AIのリスクを最小化することもできない。ディープフェイクについては優先的に対応し、2024年の選挙前に規制する必要性がある。」とAIの悪用に対する危機感と早急な対応の必要性を強調。政治がAIに対して果たすべき責任についても見解を述べた。
アメリカ議会ではOpenAIのサービスである対話型AI「ChatGPT」の公開後、情報の正確性をいかに保証するかをめぐって議論が行われている。
参加者からのコメント
今回のフォーラムでは、多くの参加者からAIに対する適切な規制を求める声が挙がった。
テスラCEOのイーロン・マスク氏は記者団に、一般人の安全と利益を保護するためには、適切な規制が必要になるとの見解を示し、「審判を置くことは重要だ」と語った。
マスク氏は以前、今年4月にBBCの取材に応じた際に、「AIが一般大衆に危険を及ぼすことがないよう、AIを監督する規制機関を設けるべきだと思う」とコメントしていた。
メタCEOのマーク・ザッカーバーグ氏は「革新と安全策を支援するために議会がAIに関与する必要がある」とし、AIが適切な活用をされるように取り組む責任が政府にあるとコメントした。
また同氏は「重要な問題を巡るモデルを形成するために、政府と共に取り組むことができる米企業によって基準が設定されることが望ましい」と語った。
一方で、政治家からは早急に規制をすることは難しいとの意見も出ている。
野党・共和党のマイク・ラウンズ上院議員は、議会が規制に動くにはまだ時間がかかるとの見解を表明した。
「我々は法案を作成する準備ができているのか? とんでもない。まだその段階ではない」と、ラウンズ議員はコメントしている。
与党・民主党のコーリー・ブッカー上院議員は、会議では多くの参加者が「政府に規制上の役割がある」ことでは一致していたが、実際に具体的な方策や法律を近日中に打ち出すのは困難だろうと述べた。
AIの懸念されている問題点
拡大するAIの影響力は人々に利益をもたらす一方で新たなリスクを生み出しているとされている。
例としてChatGPTや類似するサービスは、質問に対して対話形式で答えを出すことができるため、利用者にとってわかりやすく解説できるという強みがある。
一方で内容が甚だしく不正確なこともあり、このためAI技術は、不正行為を加速させ、誤った情報をより説得力のあるものにする恐れがあるとされている。
また、AI企業は、クリエイターへの許可や支払いなしにインターネットからかき集めたデータでAIモデルに学習させているとの指摘があり、クリエイターの仕事を奪っていることが大きく批判されている。
この問題について、チャットGPTを開発した「OpenAI」のサム・アルトマンCEOは5月、米連邦議会で行われた公聴会の際に、AI技術の落とし穴について言及し、規制が必要だと私見を述べた。
同氏はこの公聴会で、「この技術が間違った方向に向かった場合(中略)かなり良くない状況になる可能性がある。それについては声を大にして言いたい。懸念されていることが起こらないよう、政府と協力していきたい。」とコメントしている。