
AIエージェントの導入課題は、導入前は「目的・データ・人材」、導入後は「連携・精度・定着」と、段階によって中身が変わります。
経営層から検討を任されたものの、どこでつまずくのかが見えず計画を立てられない担当者は少なくありません。PoCを始めてから、データの不備や現場の協力不足に気づくケースも多くあります。
Gartnerは、2027年末までにAIエージェント関連プロジェクトの40%超が中止されると予測しています。課題を知らないまま走り出せば、自社もその側に入るでしょう。
本記事では、国内外の調査データで見た導入前後の課題10個と、課題ごとの解決策を中心に解説します。課題を乗り越えた企業の取り組みもあわせて紹介します。
読み終えるころには、つまずく前に対策を導入計画へ組み込み、経営層やベンダーに根拠を持って説明できるようになります。
目次
調査データで見るAIエージェントの導入課題の全体像
調査データを見ると、AIエージェントの導入課題には以下の2つの特徴があります。
- AIエージェントは検討段階の企業が大半を占める
- 導入課題は導入前と導入後で中身が変わる
自社がどの段階にいるかを把握すると、優先して手を打つべき課題が見えてきます。
AIエージェントは検討段階の企業が大半を占める
国内では、AIエージェントを実際に利用している企業はまだ少数です。
矢野経済研究所が2025年に実施した法人アンケートでは、生成AIを活用している企業のうち、AIエージェントを「利用中」と答えた企業は3.3%でした。「導入検討中」は13.5%、「関心あり(情報収集中)」は49.3%です。
出典:国内生成AI/AIエージェントの利用実態に関する法人アンケート調査を実施(矢野経済研究所)
関心を持つ企業は6割を超える一方、多くは情報収集や検討の段階にとどまっています。導入を阻む課題が、それだけ多いということです。
先行事例がまだ少ない今の段階で課題を押さえておけば、他社より早く本番運用へ進めます。
導入課題は導入前と導入後で中身が変わる
AIエージェントの導入課題は、導入前と導入後で大きく入れ替わります。
grasysは、Google Cloud Next Tokyo ’26でアンケートを実施しました(回答580名)。その結果、未導入企業と導入済み企業では、上位に挙がる課題が異なりました。
| 未導入企業の主な課題 | 導入済み企業の主な課題 |
|---|---|
| ・活用イメージが言語化できていない:34.5% ・社内データの未整備:33.3% ・セキュアな環境構築人材の不足:17.5% | ・既存ツールとの連携不足:33.0% ・活用の属人化:28.5% ・エージェントの精度不足:24.8% ・プロンプト・システム運用の泥沼化:13.6% |
出典:AIエージェント導入の「壁」を乗り越える(grasys)
導入前は「何に使うか」「何を準備するか」が壁になり、導入後は「どう業務に組み込み、使い続けるか」が壁になります。JIPDECの「企業IT利活用動向調査2026」でも、AI全般について導入前と導入後で異なる課題が挙がっています。
出典:企業IT利活用動向調査2026(JIPDEC)
以降では、この区分に沿って導入前の課題5つと導入後の課題5つを解説します。
導入前に直面するAIエージェントの導入課題5つ
検討からPoCまでの段階で直面する導入課題は、以下の5つです。
- 活用目的と効果指標が定まらない
- 社内データが整備されていない
- AIを設計・運用できる人材が足りない
- 社員のAIリテラシーが追いつかない
- 費用対効果を経営層に説明できない
どれか1つでも残ったまま進めると、PoCから本番へ移る段階で止まりやすくなります。
活用目的と効果指標が定まらない
導入前の段階でもっとも多い課題は、AIエージェントに何を任せるのかが決まらないことです。
grasysの調査では、未導入企業の34.5%が「活用イメージが言語化できていない」と回答し、未導入企業の課題で最多でした。JIPDECの調査でも、導入前の課題として「活用目的や効果指標の不明確さ」が挙がっています。
目的が曖昧なまま進めると、PoCで何を検証すればよいかが決まりません。結果として「便利そうだが成果は判断できない」という結論に終わり、本番導入の承認が下りなくなります。
「AIエージェントを入れること」自体を目的にせず、どの業務のどの数値を改善したいのかを先に決める必要があります。
社内データが整備されていない
AIエージェントが参照する社内データが整っていないことも、導入前の大きな課題です。
grasysの調査では、未導入企業の33.3%が「社内データの未整備」を課題に挙げました。JIPDECの調査でも、導入後まで残る課題として「データ化されていない情報が多い」が挙がっています。
AIエージェントは、マニュアルやFAQ、過去の対応履歴をもとに判断します。情報が紙のまま残っていたり、部署ごとにファイルが散らばっていたりすると、AIエージェントは古い情報や誤った情報で回答します。
データの整備には時間がかかるため、ツール選定と並行して早めに着手しておくことが重要です。
AIを設計・運用できる人材が足りない
AIエージェントを設計し、業務に合わせて運用できる人材の不足も深刻な課題です。
JIPDECの調査では、AI導入前の課題として「AIの開発や運用ができる人材やスキルの不足」が最多でした。grasysの調査でも、未導入企業の17.5%が「セキュアな環境構築人材の不足」を挙げています。
AIエージェントの導入には、業務を理解したうえでAIに任せる範囲を決め、社内システムと安全につなぐ力が必要です。エンジニアだけでも、業務担当者だけでも足りません。
採用だけで人材をそろえるのは難しいため、社内の育成と外部パートナーの活用を組み合わせて体制を考えましょう。
社員のAIリテラシーが追いつかない
AIエージェントを使う側の社員の理解が追いつかないことも、導入前に見落とされがちな課題です。
JIPDECの調査では、導入前の課題として「従業員のAIに関する教育やリテラシーの不足」が挙がっています。AIエージェントに何を任せてよく、どこを人が確認すべきかを理解していないと、現場は不安から使わないか、確認せずに任せきるかのどちらかに偏ります。
とくにAIエージェントは、生成AIと違って業務を実行するところまで進みます。誤った処理を見逃したときの影響が大きいため、使う側の判断力がより重要になります。
ツールの配布前に、任せる範囲と確認のポイントを社員に伝える場を設けておくと、導入後の定着がスムーズになります。
費用対効果を経営層に説明できない
AIエージェントにかかる費用と得られる効果を、経営層に説明できないことも導入を止める要因です。
Gartnerは、AIエージェント関連プロジェクトが中止される理由として、コストの増大、ビジネス価値の不明確さ、リスク管理の不備を挙げています。
出典:Gartner Predicts Over 40% of Agentic AI Projects Will Be Canceled by End of 2027(Gartner)
AIエージェントは、ライセンス費用に加えて利用量に応じた従量課金がかかるため、事前に費用を見積もりにくい特徴があります。効果を測る指標がないまま費用だけが積み上がると、経営層の支持を失います。
小さな範囲で効果を測り、その実績をもとに投資額を段階的に広げる計画にすると、経営層の承認を得やすくなります。
導入後に直面するAIエージェントの導入課題5つ
本番運用から全社展開の段階で直面する導入課題は、以下の5つです。
- 既存システムとの連携が複雑になる
- 精度と判断根拠への不安が残る
- 活用が一部の社員に偏る
- シャドーAIとセキュリティを統制しきれない
- 運用と改善の負荷が膨らみ続ける
導入後の課題は、導入前の計画段階で想定しておかないと、対応が後手に回ります。
既存システムとの連携が複雑になる
導入後にもっとも多く挙がる課題は、既存の業務システムとの連携です。
クラウドエースが2025年10月に公表した調査では、回答者の51.4%が「既存システムとの統合・連携」を課題に挙げ、最多となりました。grasysの調査でも、導入済み企業の33.0%が「既存ツールとの連携不足」を挙げています。
出典:AIエージェントは「活用、導入」から「最適化」のフェーズへ 課題は“統合の複雑さ”(@IT)
AIエージェントは、CRMや会計システム、チャットツールなどを操作して初めて業務を完結させられます。古い基幹システムがAPIに対応していない場合や、システムごとに権限の設定が異なる場合は、連携の設計に想定以上の工数がかかります。
PoCの段階から本番と同じシステムにつなぐ前提で検証しておくと、本番移行時の手戻りを防げます。
精度と判断根拠への不安が残る
本番で使い始めても、AIエージェントの精度や判断の根拠に対する不安が残ることがあります。
grasysの調査では、導入済み企業の24.8%が「エージェントの精度不足」を課題に挙げました。JIPDECの調査でも、導入後の課題として「出力結果に対する信頼性や精度への不安」が挙がっています。
AIエージェントがなぜその判断をしたのかがわからないと、現場は結果をすべて人が確認し直すことになります。これでは削減できるはずの時間が戻ってしまいます。
判断の過程をログで追える仕組みと、人が確認すべき処理の基準を決めておくと、不安を抑えながら任せる範囲を広げられます。
活用が一部の社員に偏る
導入後に、AIエージェントを使いこなす社員と使わない社員の差が広がることも課題です。
grasysの調査では、導入済み企業の28.5%が「活用の属人化」を課題に挙げ、連携不足に次ぐ2番目の多さでした。
一部の社員だけが自作のAIエージェントやプロンプトを使っていると、その社員が異動や退職をした時点で仕組みが止まります。部署ごとに似たAIエージェントが乱立し、全社で品質がそろわない状態にもなりがちです。
現場で生まれた良い使い方を標準化し、全社で共有する仕組みを用意しておくと、活用が個人の工夫で終わらず組織の力になります。
シャドーAIとセキュリティを統制しきれない
会社が認めていないAIツールの利用、いわゆるシャドーAIの統制も、導入後に表面化する課題です。
Oktaが2026年3月に実施した7か国の調査では、経営幹部の58%が過去12か月にAI関連のセキュリティ問題やヒヤリハットを経験していました。日本の従業員の48%が、会社が承認していないAIツールを使っていると回答しています。
出典:AI Agents at Work 2026:エージェント型企業に関するグローバル調査(Okta)
同調査では、人と同等のセキュリティ管理をAIに適用している組織は34%にとどまりました。AIエージェントは社内システムへのアクセス権を持つため、管理が甘いと情報漏洩や誤操作の影響が広がります。
公式のAIエージェントを使いやすく整備し、利用状況と権限を管理部門が把握できる状態にしておくことが、シャドーAIを減らす近道です。
運用と改善の負荷が膨らみ続ける
AIエージェントは作って終わりではなく、運用しながら改善し続ける必要があります。
grasysの調査では、導入済み企業の13.6%が「プロンプト・システム運用の泥沼化」を課題に挙げました。社内のマニュアルが更新されたり、AIのモデルが新しくなったりすると、AIエージェントの回答や動作が変わるためです。
AIエージェントの数が増えるほど、どれがいつ、なぜ動作を変えたのかを追うのは難しくなります。担当者が個別に修正を重ねると、誰も全体を把握できない状態に陥ります。
定期的に精度を測る仕組みと、修正の担当者を決めておくと、運用の負荷を一定に保てます。
AIエージェントの導入課題を解決する5つの方法
10個の導入課題は、以下の5つの方法で解決できます。
- 対象業務を1つに絞り目的と指標を決める
- 参照するデータを先に整備する
- 推進体制をつくり人材を育てる
- 利用ルールとガバナンスを先に決める
- 評価と改善の仕組みを運用に組み込む
1つの方法で複数の課題を解消できるため、下の対応表で自社の課題に効く方法から着手しましょう。
| 解決方法 | 解消できる導入課題 |
|---|---|
| 対象業務を1つに絞り目的と指標を決める | ・活用目的と効果指標が定まらない ・費用対効果を経営層に説明できない |
| 参照するデータを先に整備する | ・社内データが整備されていない ・精度と判断根拠への不安が残る |
| 推進体制をつくり人材を育てる | ・AIを設計・運用できる人材が足りない ・社員のAIリテラシーが追いつかない ・活用が一部の社員に偏る |
| 利用ルールとガバナンスを先に決める | ・シャドーAIとセキュリティを統制しきれない ・既存システムとの連携が複雑になる |
| 評価と改善の仕組みを運用に組み込む | ・運用と改善の負荷が膨らみ続ける ・精度と判断根拠への不安が残る |
対象業務を1つに絞り目的と指標を決める
最初に取り組むべきは、AIエージェントに任せる業務を1つに絞り、目的と効果指標を決めることです。
対象業務を絞ると、検証すべきことと必要なデータが明確になります。選ぶ業務は、件数が多く、手順が決まっていて、成果を数値で測れるものが向いています。
目的と指標は、以下のように業務・指標・目標値をセットで決めます。
対象業務:社内からのIT問い合わせの一次対応 効果指標:AIだけで解決した割合(自己解決率)、1件あたりの対応時間 目標値 :導入3か月で自己解決率◯%、対応時間◯分短縮 撤退基準:3か月時点で目標の半分に届かなければ対象業務を見直す
撤退基準まで先に決めておくと、PoCがだらだらと続く事態を防げ、経営層にも投資の判断材料を示せます。
参照するデータを先に整備する
AIエージェントの精度を上げるには、参照させるデータの整備を導入より先に進めることが欠かせません。
すべての社内データを整える必要はありません。対象業務で参照するマニュアルやFAQ、過去の対応履歴に絞って、以下の3点を確認します。
- 情報が最新の状態に更新されているか
- 同じ内容の資料が複数の場所に散らばっていないか
- 担当者の頭の中にしかない手順が残っていないか
参照先を1か所にまとめ、更新の担当者を決めておくと、導入後に回答の精度が落ちるのを防げます。データの整備は業務の無駄を見直すきっかけにもなります。
推進体制をつくり人材を育てる
人材不足と活用の偏りは、推進体制を整え、段階的に人材を育てることで解消できます。
体制は、全社の方針とルールを決める推進部門と、各部署で活用を広げる担当者の2層でつくるのが基本です。現場に推進担当を置くと、業務に合った使い方が生まれ、それを全社に共有しやすくなります。
人材の育成では、全社員向けにAIエージェントへ任せる範囲と確認のポイントを教え、推進担当には業務の分解や設計の方法を教えるなど、役割に応じて内容を分けます。
社内で足りない技術領域は、外部パートナーの支援を受けながら、そのノウハウを社内に移していく進め方が現実的です。
利用ルールとガバナンスを先に決める
セキュリティとシャドーAIの課題は、利用ルールとガバナンスを導入前に決めておくことで防げます。
決めておくべき項目は、以下の4つです。
- 利用を認めるAIエージェントとツール
- AIエージェントに与えるアクセス権限の範囲
- 人が承認すべき処理の基準
- 問題が起きたときの停止手順と報告先
アクセス権限は業務に必要な最小限に絞ります。権限の範囲がそのまま事故の被害範囲になるためです。システム連携の設計も、このルールを前提に進めると手戻りが減ります。
評価と改善の仕組みを運用に組み込む
運用負荷と精度への不安は、評価と改善の仕組みを最初から運用に組み込むことで抑えられます。
具体的には、代表的な質問と正しい回答のセットを用意し、マニュアルの更新やモデルの切り替えのたびに精度を測ります。数値で精度の変化を確認できれば、感覚で修正を重ねる泥沼化を防げます。
あわせて、AIエージェントの判断や操作の履歴をログとして残しておきましょう。誤った処理が起きたときに原因を特定でき、現場の不安にも根拠を示して答えられます。
評価の結果を月次で関係者に共有する場を設けると、改善が担当者任せにならず、組織として運用を続けられます。
AIエージェントの導入課題を乗り越えた企業の取り組み
導入課題を乗り越えて全社に広げている企業の取り組みとして、以下の3社を紹介します。
- パナソニック コネクト
- レゾナック・ホールディングス
- GMOインターネットグループ
どの課題をどのように乗り越えたのかに注目すると、自社の計画に取り入れやすくなります。
パナソニック コネクト
パナソニック コネクトは、利用状況を指標として追い続けることで、活用の偏りと定着の課題に向き合っています。
自社AIアシスタント「ConnectAI」の2025年度の実績では、月間ユニークユーザー率が61%に達し、AI活用による削減時間は78.8万時間でした。図面と設計仕様の照合業務では、AIエージェントの利用も始めています。
出典:パナソニック コネクト、AI活用で総労働時間の3.4%削減(パナソニック コネクト)
同社は、利用回数や1回あたりの削減時間、ユーザー率を毎年公表しています。定着の度合いを数値で追い続けている点は、「活用が一部の社員に偏る」課題への対処として参考になります。
2030年には総労働時間の10%をAIで削減する目標を掲げ、AIエージェントの活用を広げていく方針です。
レゾナック・ホールディングス
レゾナック・ホールディングスは、現場で生まれたAIエージェントを本社が標準化して全社に広げる仕組みで、活用の属人化を防いでいます。
同社の仕組みは、本社による生成AIの提供、現場でのAIエージェント創出、本社による標準化と全社展開の3つを回すサイクルです。現場で生まれた有効なAIエージェントを、本社が品質を高めたうえで全社に展開します。
その結果、導入から約半年で活用率は95%に達し、月あたり約9万時間、約4.7億円相当の業務削減につながりました。
出典:現場発のAIエージェントを標準化・全社展開する独自モデルを構築(レゾナック・ホールディングス)
現場の工夫を個人のものにとどめず、本社が品質を担保して共有する進め方は、属人化と品質のばらつきを同時に解消する方法として参考になります。
GMOインターネットグループ
GMOインターネットグループは、ツールの費用支援と人材育成を組み合わせて、AIエージェントの活用を広げています。
2026年4月に公表した調査では、グループのAIエージェントの業務活用率は71.4%に達しました。グループ全体で月間約35.2万時間、従業員1人あたり月間約53.9時間の業務削減を実現しています。
出典:AIエージェント業務活用率が約7割に急伸、月間35.2万時間の業務削減を実現(GMOインターネットグループ)
同社は、複数のAIサービスの有料契約を支援する「GMO AIブースト支援金」を設け、契約率は82.0%に達しています。あわせて、AIと協働できる人材を育てる「一騎当千プロジェクト」で、AIエージェントを実務で試す環境を整えています。
費用の壁と人材の壁を同時に取り除いた点は、導入前の課題が多い企業にとって参考になります。
AIエージェントの導入課題に関するよくある質問
AIエージェントの導入課題に関する質問は以下の4つです。
- 生成AIの導入課題とは何が違いますか
- 中小企業ならではの導入課題はありますか
- 導入課題の解決にはどのくらい時間がかかりますか
- 導入課題は外部ベンダーに任せれば解決しますか
質問に対する回答を確認して、自社の導入計画づくりの参考にしてみてください。
生成AIの導入課題とは何が違いますか
AIエージェントは業務を実行するところまで担うため、生成AIより連携と統制の課題が大きくなります。
生成AIの導入課題は、主に情報漏洩や誤回答、社員の利用率でした。AIエージェントはこれに加えて、社内システムとの連携やアクセス権限の管理が課題になります。
一方で、目的の明確化やデータの整備、人材の育成といった課題は共通しています。生成AIの導入で整えた体制やルールは、AIエージェントの導入にも生かせます。
中小企業ならではの導入課題はありますか
中小企業では、専任の推進担当を置けないことと、初期投資の負担が大きいことが課題になりやすいでしょう。
ただし、社員数が少ない分、対象業務を絞って全社に広げるまでの意思決定は早く進められます。自社で開発せず、使っているSaaSに組み込まれたAIエージェント機能から試すと、人材と費用の負担を抑えて始められます。
導入課題の解決にはどのくらい時間がかかりますか
解決にかかる時間は課題によって異なり、データ整備と人材育成にはとくに時間がかかります。
目的と指標の設定や利用ルールの策定は、数週間で着手できます。一方で、データの整備や人材の育成は数か月から1年単位の取り組みです。
レゾナック・ホールディングスは、導入から約半年で活用率95%に達しています。時間のかかる課題ほど、ツール選定と並行して早めに着手しましょう。
導入課題は外部ベンダーに任せれば解決しますか
技術面の課題は外部ベンダーの力で解決できますが、目的の設定や社内の定着は自社で担う必要があります。
Gartnerは、既存のチャットボットやRPAをAIエージェントと称して売り込む「エージェントウォッシング」が起きていると指摘しています。ベンダーの説明をうのみにせず、自社の目的に合うかを見極めることが大切です。
外部の支援を受ける場合も、ノウハウを社内に移す計画を立てておくと、導入後の運用や改善を自社で回せるようになります。
AIエージェントの導入課題は導入前と導入後に分けて先回りする
AIエージェントの導入課題は、導入前は目的・データ・人材・リテラシー・費用対効果の5つ、導入後は連携・精度・属人化・統制・運用負荷の5つに整理できます。課題は段階によって入れ替わるため、導入前の計画段階で導入後の課題まで想定しておくことが欠かせません。
解決の第一歩は、対象業務を1つに絞り、目的と指標を決めることです。そのうえでデータの整備、推進体制と人材育成、利用ルール、評価と改善の仕組みを順に整えていきましょう。
まずは自社が導入前と導入後のどちらの段階にいるかを確かめ、10個の課題のうち当てはまるものを洗い出すところから始めてみてください。
ただ、課題を洗い出しても、AIエージェントを設計し、現場に定着させられる人材が社内にいなければ解決は進みません。導入課題の多くに共通する人材の壁を越えるには、推進担当者自身がAIエージェントの活用を体系的に学ぶことが近道です。
出典・参考リンク
- 国内生成AI/AIエージェントの利用実態に関する法人アンケート調査を実施(矢野経済研究所)
- AIエージェント導入の「壁」を乗り越える(grasys)
- 企業IT利活用動向調査2026(JIPDEC)
- AIエージェントは「活用、導入」から「最適化」のフェーズへ 課題は“統合の複雑さ”(@IT)
- AI Agents at Work 2026:エージェント型企業に関するグローバル調査(Okta)
- Gartner Predicts Over 40% of Agentic AI Projects Will Be Canceled by End of 2027(Gartner)
- パナソニック コネクト、AI活用で総労働時間の3.4%削減(パナソニック コネクト)
- 現場発のAIエージェントを標準化・全社展開する独自モデルを構築(レゾナック・ホールディングス)
- AIエージェント業務活用率が約7割に急伸、月間35.2万時間の業務削減を実現(GMOインターネットグループ)
















