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2017.12.12 取材・編集:おざけん@ozaken_AI
取材・インタビュー:らんらん@pascarrr
おざけんです。2017年12月10日。東京・千駄ヶ谷にあるGOOD MORNING CAFEにらんらんと共に落合陽一さんのイベント取材に訪れました。
メディアアーティストで筑波大学准教授の落合陽一さんはTDK株式会社が始動した“TDK Attracting Tomorrow Project”に参加しています。
その中で落合さんが取り組むのがさまざまなものが浮かんでいる“浮揚空間”の制作に挑む「Silver Floats」プロジェクト。その一環として未来を担う学生と落合さんのワークショップイベント「Project Meeting Tokyo」が開催されることになりました。
あらゆるものが浮揚する不思議な体験を生み出す「Silver Float」について知りたい方は、↓の動画をぜひ見てみてください。
このイベントを通して落合さんが学生に伝えたことはなんだったのか。
イベントの様子と独占インタビューをお伝えします。
AIが発展していくイマだからからこそ、人間らしい発想力を得る鍵を少しでも見つけてくださると嬉しいです。
目次
~3Dプリンターで“人類が見たことのないカタチ”をつくり出す~ Project Meeting Tokyo 」
会場には多くの学生が集まりました。イベントは午前10時に開始です。
この日のワークショップは未来における「日常」と「非日常」を学生が考え、それを3Dプリンターで出力するという内容。「人類が見たことのないカタチをつくり出す」が大きなテーマとして設定されました。
そのためには「未来臭」が必要だと落合さんは学生に話します。未来臭とは未来の日常の生活臭のこと。未来臭がするようなアイディアは学生から出てくるのでしょうか。
落合さんによるプロジェクトの説明に学生たちは耳を傾けています。
まずは学生たちが自分にまつわる単語を書き出します。落合さんはひとり30個と目標を設定し、頭を悩ませている学生もいますが、それぞれ考え抜いて単語を書き込んでいます。
しかし、落合さんは会場を見回りながらそれぞれの学生の答えが似通っていることを指摘。もっと個性を出すようにと学生たちにアドバイスします。
落合さんのアドバイスのあとは、それぞれ個性的な単語が出てきました。
それぞれの学生が自分に関する単語を導き出したあとは、その中から2〜3個の単語を選んで、それに関する未来の「日常」と「非日常」を連想します。
中にはあっと驚くようなアイディアが。
学生の戸田さんは技術の進歩によって臭くなくなったラーメンをあえて「ブタ臭くする」アイディアを発表していました。戸田さんの地元は家系ラーメンが多く、また豚ホルモンが有名なため、ラーメンがブタ臭いらしいです。
しかし、技術の発展によって未来には「ブタ臭くないラーメン」が日常になってしまうと危惧し、ブタ臭いラーメンが好きな人が「ブタ臭いラーメン」を食べられる豚をいい感じに血抜きしてくれる包丁を発表していました。
そしてそのあとは、1人1台ずつ配布されたパソコンを使って学生が自分たちの発想を3Dで出力していきます。
会場には3Dプリンターが数台設置され、その場でグラフィックソフトから出力します。
3Dグラフィックソフトで作られたラーメンを豚をいい感じに血抜きしてくれる包丁。
落合陽一に聞く「アイディア発想」の秘訣
ーー学生たちの発想はいかがでしたか?
最初は学生さんたちは頭が硬かったけど、だんだんと柔らかくなってきました。
ーー新しいアイディアの発想の工夫は!?
1番はどれだけ今を知ってるかだと思います。あとは過去にやったことを知っているかとか。
その知識との距離かもしれないです。そしてそれに対してどんだけ考えた時間があるか。
しかし、ひとりひとりの人生の時間は限られているので、すりあわせると普通なものができます。そこでこれはやっちゃダメっていうのを決めるといいアイディアは出てきます。
ーーいいアイディアの発想のために落合さんが普段していることはなんですか?
学生の意見をよく聞くことですね。なんでこいつはこんなことを考えてるのかなとか。今の普通の人はどんなことを考えるのかなとか。
僕のTwitterはエゴサボットが組んであって、「落合陽一」に関するツイートを勝手にリツイートしたりSlackに投げてくれたりするんですよ。「へー俺の発言をこう受け取るんだ面白い!」って思ったりしますね。
自分と全然違う反応をするんですよ!それが面白いなって思って。普段はおじさんの気持ちも若い人の気持ちもわからないから、その距離をいつも探っていますね。
ーーAIが人類の見たことないカタチ(アイディア)を作れるようになると思いますか?
できるようになるでしょうね。ただそれを人間が好きになるのかは全然関係ない話だけど。平均的なものを作ってるように見えて、平均って逆行列がかけられるわけじゃないですか。逆行列と言うか、一番遠いベクトルを作れるから。
ーー人間が新たなものをつくる価値はあるのでしょうか?
価値はあると思いますよ。
外から見た視点とか刺激ってすごく大切で、よく宇宙飛行士は宇宙に出ることが大切だみたいな、地上にいるだけではわからない発見があるかもしれないじゃないですか。
ーー学生が新たなアイディアを出すためにへ落合さんは何を意識して伝えているんですか?
僕は大学で3つの授業「サーベイ(文献を探す)の授業」「アイディアを作る授業」「講演系の外部講師と対談する授業」をやっているんですが、これって三位一体になっています。
サーベイ、文献を調べることってすごく重要なんです。今まで何がやられてきたから調べて、最先端がどこか探るっていうことです。
そしてもうひとつ重要なのが、自分で手を動かしてみるっていうこと、つまり自分で頭の中からアイディアを出してみるってこと。そして世の中的にうまくいっている人がどういう考え方でそれを作っているのかを知るということ。
その3つのプロセスは実は同じことをしていて、時代を切り取る方法を過去から切り取っているのか、今から切り取っているのか、未来から切り取っているのかっていうこの3アプローチをうまく混ぜていくことに気をつけています。
「豚をいい感じに血抜きしてくれる包丁」を考案した学生 その発想はどこから!?
ーー参加してみていかがでしたか?
もとからファンで、落合さんに会えたので幸せです。いろいろな人の意見を聞けたのでよかったです!
形になって印刷できたのも本当にわたしの中では近未来感いっぱいで楽しかったです。
ーーアイディアはどのように思いつきましたか?
30個書くように言われたときに、私は食べることが好きなので、好きな食べ物をバーって書いていきました。
わたしは30個の単語を書ききる!!ということに力を入れてたので、考えるよりも思いついたことだったり日常の事(今日なにしたっけな〜?)みたいなことをなにも考えずに書き進めていって、そこから「こーだったらいいな」とか「こうなってるのかな!?」だったりを付け足していきました!
結構なにも考えずに思いついたことだけ書いてたんですけど、それでもいろいろなアイディアが上がっていったので、人間ってそういう欲望?無い物ねだりなところがあるからこそ、「こういうもの作ってこう」ってなってどんどん未来は進化していくんだろうなって第三者からの視点みたいになっちゃうんですけどやってて思いました!
編集後記
イベントのスタート時は表情もアイディアも硬かった学生たち。終わるころには、未来を想像する希望感に溢れてすごくいい顔をしているように感じました。
落合さんは、自分の知識やクリエイティティをうまくアウトプットして周りの人達を活気づける力があり、その人気の秘密がわかった気がします。
それぞれの学生の意見・アイディアに対して「なんでそうなったの!?」と問いかけ、さらに傾聴する。この謙虚な姿勢が彼が勢いを増している理由なんだと1人で納得してしまいました。
空き時間も学生作品を眺めながら学生たちと会話を弾ませてた落合さん。
誰よりも落合さんが1番このイベントを楽しんでいたのかもしれませんね。
2017.12.12 取材・編集:おざけん@ozaken_AI
取材・インタビュー:らんらん@pascarrr
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