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2020.12.25

業界の著名人13人による2020年のAI業界の動向まとめ – コロナ禍で日本のAIは加速した!?

最終更新日:

2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大だけでなく、デジタル庁の開設に向けた行政改革が進むなど、大きく社会が変化した1年でした。

今回は、昨年に続き、AI業界の第一線で活躍されている方々に、2020年のAI業界の動向や、気になったニュース、2021年のAIのトレンドについてアンケート方式でお伺いしました。

業界で活躍する著名人はは、2020年のAI分野の動向や2021年のトレンドをどのように見ているのでしょうか。

目次

日本ディープラーニング協会 理事 南野充則氏

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

NVIDIAによるArmの買収

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

AI人材を育てるプログラムを無償で提供していく団体が増えたと思います。業界的にDXを含めAI人材を確保する風潮が高まってきたからだと推察します。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

弊社(南野氏が代表取締役を務めるFiNC Technologies)は食事画像解析に力を入れているのですが、ユーザー数増加により食事画像が集まるスピードが飛躍的に向上したのと、精度も学習データが増えて飛躍的に良くなるサイクルを作ることが可能になりました。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

OpenAIが作成した「GPT-3」により自然言語処理、文字生成の領域新しいイノベーションが起こる。

アクセンチュア株式会社 保科学世氏

保科 学世氏
AI・アナリティクス部門の日本統括、およびデジタル変革の知見や技術を結集した拠点「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」の共同統括を務める。AIHUBプラットフォームや、業務領域ごとに体系化したAI サービス群「AI パワード・サービス」、需要予測・在庫補充最適化サービスなどの開発を手掛けると共に、アナリティクスやAI 技術を活用した業務改革を数多く実現。『AI時代の実践データ・アナリティクス』(共著、日本経済新聞出版)、『AI フロンティア』(監修、日本経済新聞出版)、『HUMAN+MACHINE』(監修、東洋経済新報社)、『データサイエンス超入門』(共著、日経BP)、『データ・アナリティクス実践講座』(監修、翔泳社)など著書多数。厚生労働省 保健医療分野AI開発加速コンソーシアム 構成員など歴任。検索結果一般社団法人サーキュラーエコノミー推進機構理事。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

Googleのコロナ感染者予測などCOVID-19関連のニュースも気になりましたが、IBM、 Amazon、マイクロソフトが相次いで顔認識技術の捜査利用を停止した件が最も気になりました。

2021年は、日本でもAIの活用が広がる一方で、責任あるAI(Responsible AI)が問われる1年になると予想しています。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

COVID-19の流行で、世の中のデジタルシフトが急激に進み、あらゆるものがデジタルの上で動き出しました。結果、デジタルデータが大量に蓄積され、膨大なデータを活用するためにAIの活用を検討する企業が飛躍的に増えました。

一方で、過去に例の無い変化が起きたが故に、過去データの学習によりその性能を発揮してきたAIの限界が露呈した1年でもありました。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

AIへのニーズの高まりを受け、AIを活用したサービスの拡充、社会課題の解決につながるAI活用、そして、効果的にAIを取り入れるためのビジネス変革支援体制の3つの観点で取り組みを強化しました。

まず、最適なAIの組み合わせを可能とする「AI Hubプラットフォーム」をベースに、様々な業務の高度化・効率化を図る「AI Poweredサービス」を拡充しました。

これにより、さまざまな業務シーン、更には経営判断の迅速化・高度化が可能になり、企業のあらゆる側面でAIがサポートできるようになりました。また、仕事や生活に大きく影響を及ぼし、また財政負担も大きい医療分野でのAI活用に本格的に着手しました。腎移植治療におけるAI活用について東京女子医大と共同研究を始めたのもその一例です。

さらに、今年10月には「AIセンター」を設立し、AI提案を一層充実させ、またAIサービスの開発を加速した他、人材育成や調査・研究なども手がけるようになりました。

AIグループの組織体制も大幅に拡充しました。これにより、データに基づく戦略策定から、最新のアルゴリズムを活用した新規サービス策定、データサイエンティスト育成支援やアナリティクス・AI組織立ち上げ支援など、ビジネスのあらゆるステージで、様々な形でお客様の変革を支援するパートナーとなることを目指しています。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

アクセンチュアでは2020年を「Digital is Everywhere」と表現し、グローバル規模で体制を強化しました。COVID-19の流行により急速に進んだデジタル化の流れを受け、来年は「AI is Everywhere」が急速に進むと予想しています。

AIがカバーする領域は一層広がり、特定のタスクを効率化するといった限定的な活用に留まらず、業務そのもののやり方を変える存在に、更には経営を支えるパートナーとしての活用が進むでしょう。

一方で、AI化に対応できる企業と、対応できない企業の明暗を分ける年にもなると予想しています。AIが重要な役割を担うようになるからこそ、日本でもAIの持つリスクが顕在化し、責任のあるAIが求められるようになります。

AIをいかに全社規模で取り入れて経営に役立てるか、AIを倫理的に使うためにはどのような基準を設けるべきかなど、私たちの知恵が問われる1年となるでしょう。

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株式会社ZOZO テクノロジーズ 野口竜司氏

のぐりゅー氏(野口竜司氏):(株)ZOZOテクノロジーズ VP of AI driven business 「文系AI人材」として様々なAIプロジェクトを推進。AIビジネス推進や企業のAIネイティブ化に力を入れる。大学在学中に京都発ITベンチャーに参画し子会社社長や取締役として、レコメンドビッグデータ・AI・海外コマースなどの分野で新規事業を立ち上げる。その後、ZOZOグループにジョイン。大手企業やスタートアップ向けのAI研修やAI顧問も提供。著書に「文系AI人材になる」など。
アドテック東京2015/2016/2017/2018/2019に登壇、2018年からアドバイザリーボードに就任。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

「デジタル庁」の発足です。民間人材の起用も積極化しており、行政のデータ×AIの活用が加速していくのが今後楽しみです。行政が変われば自ずと民間企業におけるデータ×AIの活用を後押しされると思います。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

「ノーコード」のAIプラットフォームが一気に普及した年だったと思います。

各企業において、よりAIが身近なものとして活用できる基盤は整いました。あとはAI人材が育っていくと、AIの社会実装が加速度的に進んでいくのだと思います。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

「大量の予測モデルを量産」できる体制になりました。データサイエンティストさんやデータエンジニアさんのバックアップがあってこそではありますが、「文系AI人材」にあたるPMやアシスタントが自立して予測モデルを自ら作ることができるようになっています。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

「AI単体」ではなく「ソフトウェア×AI」の掛け合わせでAIの価値が測られるようになると思います。AIはソフトウェアとしてアウトプットを出せるとこまで来て、初めて価値になります。AIに対する価値評価もソフトウェア化されてからはじめてなされるようになるのではないでしょうか。

このトレンドの変化に合わせて、AIが当たり前のようにソフトに組み込まれる「ソフトウェア2.0」の概念が当たり前になり、従来システム開発におけるアプリケーションエンジニアさんやインフラエンジニアさんにとって、AIがより身近な存在にグッとなってくる年になるのではないかと思います。

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株式会社シナモン CEO 平野未来氏

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

技術オープンAIが開発した言語モデル「GPT-3」を用いて作成したブログ記事が高評価の記事になったというニュースです。多くの人がAIが書いたとは見破れないような自然な文章を生成できるところまで技術が進んでいるため、自然言語系のソリューションが今後はますます伸びるのではないでしょうか。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

デジタル化が一気に進んだ一年間でした。

これまでは企業が保有しているデータの多くはアナログな状態のまま保有されていましたが、デジタル化がすすむことで企業内データがデジタルデータとして溜まる仕組みが構築され始めているので、AI活用が進む土壌ができ始めていると感じています。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

既存モデルの重みを初期値として追加学習することで、より効率的に高精度なモデル構築が行う仕組みであるFine-tuningのレベルが飛躍的に向上しました。

低コストでFine-tuningが出来るようになったので、限られたドメインで少ないデータでも高い精度を出すことができ、同時に多くの案件を高いレベルで遂行できるようになりました。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

まず一つは、GTP-3の技術が発達することによってcustomer success領域でのソリューションがかなり伸びると予測しています。たとえば、チャットボットを使用した問い合わせ対応などでも、より自然で人のような応答が出来るようになります。

二つ目はAIのバーティカル化は以前より進んでいましたが、更に進む背景と重なり、Expert-in-the-loop型のソリューションであるXaaS(Expert-as-a-Service)が増えると予測しています。

いままでAI部分でのみ提供をしていたサービスから、人が確認・修正する工程も含めることによってAIエンジンの性能に依存しないソリューションへ移行するのではないでしょうか。

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LINE株式会社 AIカンパニー 栄藤稔氏

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

OPEN AIによるGPGenerative Pre-trained Transformer 3 (GPT-3)の公開 2020年6月11日です。 巨大言語モデルの時代の幕開けを象徴するイベントでした。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

デジタル変革(DX)の観点では、AIがモジュールやプラットフォームとしてBPOに統合される傾向が顕著になった年であった。

言語処理が向上し、多くのブレークスルーが生まれた。その一つとして、機械翻訳が商用として使えるレベルになった。個人データに関するレギュレーションが大きな意味を持つようになった。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

自社開発の音声認識の性能が向上し、コールセンターに利用される事例が増えた。さらには音声認識、画像認識、言語処理が統合されeKYC(電子顧客認証)が事業として認識されるようになった。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

ダークデータの利活用が顕著になる。背景にあるのは教師なし学習の進化。特にトランスフォーマー技術の適用領域拡大と規模拡大が今後とも伸長する。それにより言語処理では, 新たなQ&Aサービスや文書校正サービスが生まれる。

さらに 教師なし学習は、画像を含む信号処理に利用されるようになり、”グランディング”と呼ぶ異なるメディア間での関連付けが可能になってくる。具体的には、新たな動画像生成サービスが出てくる。

ギリア株式会社 清水亮氏

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

AI EXPO2020春の中止

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

コロナ禍で多くの企業が研究開発やPoC予算を抑制する中でAIベンチャーの淘汰が始まった。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

コロナ禍で逆に需要の高まった企業のAI化に関わることが増え、修正予算よりも上振れで今期を終えることが出来ました。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

“役立つブラックボックス”としてのディープラーニングを飼いならし、ルールベースとのより強固な融合が進むと考えています。

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デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 森正弥氏

森正弥氏 デロイトトーマツコンサルティング合同会社 / デロイトデジタル 執行役員、東北大学特任教授。日本ディープラーニング協会 顧問。
1998年よりアクセンチュア株式会社にて先端技術リードを務め、USの研究所展開プロジェクトに従事。 2006年より楽天株式会社にて執行役員 兼 楽天技術研究所代表として世界5ヵ国7拠点での研究開発を統括。2020年より現職。 データ・AI活用全般を得意とし、DX組織構築・推進を指揮した経験も活かした企業・産業支援を行う。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

GPT-3 の様々なユースケースのポテンシャルに衝撃を覚えたというのはあるのですが、個人的には、NLPの世界で驚異的なブレークスルーを見せてきたTransformer が、画像認識の世界に適用され始めたこと(Vision Transformer) が気になっています。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

COVID-19 で様々な活動がその転換を迫られた年だったわけですが、不安定・不確実な社会環境の中、AI ソリューションも単にビジネスパフォーマンスを高めるだけではなく、多くのステークホルダーに貢献する、社会課題を解決することに活用されるべきだろうという認識が広まったような気がします。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

COVID-19 で消費者の行動もマーケットの状況も激変し続けた中、需要予測やソーシャルセンシングをコアとしたマーケットのデマンドをセンシングしていく技術・ソリューションの需要は非常に高まり、業界をこえて導入されていきました。今後は、さらに広範囲の適用へと拡大していきたいと思います。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

COVID-19 のアウトブレイクがあった今年は急激な変化にどう対応するかという年でしたが、2021年は、この新しい様式も踏まえたサービスやビジネスを生み出していくという事になっていくと思います。

その中で、オンラインの活動もオフラインの活動も、それが「人間としての体験」を第一にしたものなのかどうかという観点が大事だという認識が広がっていく年になるのではないかと。そこで、AI のソリューションも UX、CXを向上させていくというテーマにフォーカスするものが多く現れてくるのではないかなと考えています。

ヤマトホールディングス株式会社 中林 紀彦氏

ヤマトホールディングス株式会社 執行役員 中林 紀彦氏:日本アイ・ビー・エム株式会社においてデータサイエンティストとして顧客のデータ分析を多方面からサポート、企業の抱えるさまざまな課題をデータやデータ分析の観点から解決する。株式会社オプトホールディング データサイエンスラボ副所長、SOMPOホールディングス株式会社チーフ・データサイエンティストを経て、ヤマトホールディングス株式会社の執行役員に就任。重要な経営資源となった”データ”をグループ横断で最大限に活用するためのデータ戦略を構築し実行する役割を担う。また筑波大学大学院の客員准教授、データサイエンティスト協会の理事としてデータサイエンスに関して企業の即戦力となる人材育成にも従事する。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

昨年も悩んだのですが、至る所で”AI”が実装され当たり前のように使われているので1つを挙げるのは難しいですが、トレンドとして着目しているのはスマートフォンやRaspberry Pi的なシングルボードPCのようなデバイス、更にクラウドとデバイスの中間層にあたるエッジ側でAI処理を行うようなニュースには着目しています。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

全体としてはコロナ禍の中でも着実に前進してると思いますが、リアルなコミュニケーションが激減したので、イノベーティブな発想が少なくなったと思います。これが来年以降に効いてきそうなので、もっともっとイノベーティブな事を起こしていきたいと思います。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

クラウドファーストでML Opsなどのプラットフォーム整備やデータマネジメントに注力していたので、表面上のサービスで見える部分は少なかったと思います。来年はこのプラットフォームをフル活用して様々なAI−Readyなサービスを展開します!

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

最初の質問でも書きましたが、スマートフォンやRaspberry Pi的なシングルボードPCのようなデバイス、更にクラウドとデバイスの中間層にあたるエッジサーバー、そしてクラウドと分散した環境でAIが実行されるようになると思います。そしてAIが様々なサービスに組み込まれて利用されることも更に加速すると思います。

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株式会社MatrixFlow 田本芳文氏

大学・大学院で理論物理学を研究。
新卒でWebエンジニアとしてベンチャー企業に入社。その後独学でデータサイエンスと機械学習を学び、AI系ベンチャーに転職。機械学習エンジニア/データサイエンティストとしてR&Dと機械学習アルゴリズムの開発に従事。2018年10月に株式会社MatrixFlowを創業、2019年4月にプログラミング不要のAI構築プラットフォーム「MatrixFlow」ベータ版をリリース。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

GPT-3には驚きました。APIが一般に公開されていたので世界中の人が小説、詩、歌詞、SNSの投稿など様々な文章を生成して盛り上がりましたね。

GPT-3が生成した文章は人間が書いたようにか見えませんでした。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

新型コロナウイルス感染症の流行によってAIどころじゃない企業が増え、投資色の強い(夢みがちな)プロジェクトは減り、堅実なプロジェクトが増えた印象でした。需要予測、物体検出や回帰、分類などの比較的確立された手法を使ったプロジェクトが多かったです。

また、在宅時間が増えたとこによりe-learningなどでAIの基礎を学んだ人も多かったのではないでしょうか?企業や大学などがAIを学ぶためのオンラインプログラムを次々と出していたことは記憶に新しいですね。人類全体のAIリテラシーは上がったと思います。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

今年大きかったのは、データを入れるだけで時系列解析ができる機能「TrendFlow」のリリースや、無料でPoCをできるプロジェクト「AI Next Stage」などをリリースです。二つとも着実に業績を上げています。

また、10月末に1億円を初調達したということもあり人員を大幅に増やしています。来年はもっとたくさんの機能をリリースします!

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

来年は自然言語処理の年になるのではないでしょうか?自宅勤務になりチャットなどの文字ベースのコミュニケーションが増え、今まで紙で扱っていた書類をデータとして扱うようになりました。

チャットボットによる社員の健康管理や、書類の整理・検索のためのAI活用などの事例が増えてくると思います。

データサイエンティスト マスク・ド・アナライズ氏

空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独自の地位を確立する。
ネットとリアルにおいてAIに関する啓蒙活動を行なっており、いらすとやを使った煽り画像には定評がある。
“自称”AIベンチャーに勤務していたが、クビをきっかけに現在は独立。
将来の目標は「データサイエンス界の東京スポーツ」。
東京都メキシコ区在住。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

不祥事やゴシップや黒い噂が気になりましたが、どれもココに書けないのが残念です。

真面目な話をすると、新型コロナウイルス対策におけるAI技術の活用です。アジア・アメリカ・ヨーロッパによって、顕著な違いが浮かび上がったことが印象的でした。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

「言葉の意味は分からんが、とにかくすごい技術だ!」の地位が、ブロックチェーンと量子コンピュータに奪われたこと。

真面目な話をすると、AIを社会へ実装して活用するフェーズに移ったことです。今後は明確に成果が出した事例が増えて、ノウハウを蓄積する段階に進むことを期待しています。
その中でAIは、様々な課題や問題に対する一つの解決手段として、適材適所に使われていると思います。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

クビになった前職(”自称”AIベンチャー)が社運を賭けて展開するAIサービスが飛躍する気配はなく、経営状態が心配です。

真面目な話をすると、弊社(個人事業主)が業務を遂行する上で様々なサービスにAI技術が実装されており、新たな製品や使い勝手の向上で個人で働くデメリットが解消された点に飛躍を感じます。

同様に様々な業界や業務向けに最適化されたAIによって、飛躍とまではいかずとも少しずつAIが解決策として役立ち始めた証左と認識しています。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

「AI」が「DX」に置換されただけで、同じことの繰り返し……にならないよう、利用する側のリテラシー向上が求められる変化を望みます。

真面目な話をすると、12月21日発売の書籍「AI・データ分析プロジェクトのすべて」には、第三次ならぬ大惨事AIブームを生き延びた猛者により過去の失敗と反省を繰り返さないノウハウが詰まっております。

年内に購入すれば来年の開運と昇進と異性との出会いは間違いなし(※弊社調べ)なので、コロナで仕事が激減して食生活が貧相になった誰かを救うべく、1人10冊買って下さい。

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合同会社DMM.com松本勇気氏

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

GPT-3の登場

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

特にコロナ環境下でのデジタル化の進展が著しく、その過程で自然と活用される事が増えてきたように感じます。例えば紙をデジタルに持ち込むためにAI-OCRの活用が増えていることはその一例ではないでしょうか。

もはやAIを打ち出すと言うよりもサービスのパーツの一つに過ぎないという溶け込み方をしているのではと感じています。

また、合わせてこれまでデジタル化の進みが遅かった産業でも急速に導入が進み出し、そのきっかけの一つとしてAIが存在しているのではないかと思います。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

Algoage社の買収から始まった2020年ですが、様々な事業のデータ活用に加え、社外のパートナーに対するソリューション提供が始まり、また社内外で様々な成果が出た一年でした。売上、コストなどそれぞれに貢献があり、この流れを来年度以降も強化していきたい次第です。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

データガバナンスの強化は様々な面で進む・求められてくるのではないでしょうか。その延長として、クラウド側ではなくエッジ側などユーザーに近い部分での処理によってデータを可能な限り持ち出さないなどの取り組みも必要となるのではないでしょうか。

国内に関して言えば、引き続きDXやAIとったキーワードのもとで実活用も増えていくでしょう。菅政権が推進する税制やデジタル庁創設等のデジタル化促進施策はその利用事例をさらに強化する起爆剤となると思います。

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株式会社Recursive, Tiago Ramalho氏

ティアゴ・ラマル:株式会社Recursive 共同創業者 兼 代表取締役CEO。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンにて、理論/数理物理学 修士号、生物物理学 博士号を取得。卒業後、Google DeepMindに入社。シニアリサーチエンジニアとして、強化学習、予測モデル、自己管理型学習など、最先端プロジェクトに従事しNatureなどの国際雑誌に多数の論文を発表。その後、日本のAIスタートアップを経て、2020年8月、株式会社Recursiveを共同創業し代表取締役に就任。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

AI技術における教師なし学習の進歩にはワクワクしました。2020年の研究の進展により、ラベル付けされたデータが多くない状況でもAIをデプロイできるようになります。大規模なデータ収集のためのリソースを持っていない小規模な企業や個人にとっても、より有用なものになるでしょう。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

AIが社会に与える影響をより重視するようになってきたと見ています。2020年には、AIが差別的または不公平な方法で利用されている例を多く見てきました。経営者からエンジニアまで、AIの開発に関わるすべての人がこの問題を認識し、AIをより多様で公正でアクセスしやすいものにするための解決策を見つける必要があるという意識が高まってきています。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

2021年には、AIが平等な社会にどう貢献できるかを本気で考える視点にシフトしてきた成果が見えてくると思います。つまり、より多様なアプリケーションでAIを試す人が出てくるようになると思います。
ここ数年は、業務プロセスの自動化などに使われることが多かったAIですが、2021年には、気候変動や土地や海の保全など、世界の大きな問題に取り組むことや、誰もが快適な生活を送れるようになり、地球への負荷を軽減することができる平等な社会の実現に向けて、AIが活用されるようになるのではないかと思います。

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AI.Accelerator 進藤圭氏

早稲田大学を7年かけ卒業後、ディップに新卒入社。営業職、ディレクター職を経て、開始後3年で15億円の売上に成長した看護師人材紹介「ナースではたらこ」事業化をはじめとし、40件以上のサービス企画に参加。直近では「FAST RPA コボット」を提供するAI/RPA事業がある。

2020年で、一番気になったAIに関連するニュースを教えてください。

就任早々の菅総理が第2回AI/SUMで「デジタル、中でもAIはこのチャレンジを乗り越える大きな鍵である、その重要性は一層深まっています」と発言したこと。

注目しているポイントは3点ある。

ひとつめは、AIのカンファレンスイベントに首相が時間を割くようになったということ。国として優先度が高まった証と言えるだろう。

ふたつめは、特定の技術や団体に対して発言を避ける政治家が、こういった発言をしたということ。明確にメッセージを伝えたい意向といえそうだ。

みっつめは、コロナを乗り切り経済成長回復を遂げるための戦略として明言していることだ。

政府の政策的示唆が産官学に影響を与える日本では、AIの社会影響が大きくなっている感のある出来事だったと思う。

あなたの中で、2020年はAI業界でどのような変化があったと思いますか。

「コロナをきっかけとしたAIを含むデジタルへの大幅転換」が大きな変化であったと思う。

なかなか進んでこなかった日本のデジタル化だが、新型コロナ感染症をきっかけにテレワークとそれを支えるサービスが急速に企業や家庭に浸透した。これによってアナログデータが減少しAIの前に必ず問題となるデジタルデータの収集が飛躍的に楽になった。

この変化によってデジタルに転換したデータは分析しやすくなり、2021年以降はコミュニュケーションや事務業務のAI化、RPA化が急速に進むだろう。

2020年で、御社のAIサービスはどのように飛躍しましたか。

私は人材企業にありながら「AIやRPAは労働力になる、500億円投資する、世界はちょっとかわる」とトチ狂ったこと言いながらディップというバイトルの会社で働いている。

3つの飛躍があった。

ひとつめは、今年は自社のAI・RPAの販売事業で、5000社以上の企業にAI・RPAを導入していただいたこと。当社は飲食、小売、派遣などの中小企業様がメインクライアントで、一般の企業様でも受け入れられる素地ができつつある。

ふたつめは、今年は社内のAI活用、DXも大きく進んだ。当社内で2000人の営業社員が使う機械学習搭載のCRM「レコリン」は利用度の高さからSansan Innovation Award 2020を受賞した。普通の会社でもAIがユーザーに受け入れられ、使われ始めることを体感している。

みっつめは、今年でAIスタートアップの支援数が100社を超え、資金調達率も8割と高いままをキープしている。3年目になるAIアクセラレーターという取り組みだが、AIスタートアップが着実に増え、プロダクトのレベルも上がっている証左と言えるだろう。

2021年は、AIのトレンドはどのように変化すると思いますか。

2021年もさらに「よりバーティカルに」がトレンドになると予想する。2018年では「産業レベル」2019年では「業種レベル」2020年では「業務レベル」のAIが増えていくだろう。

私のかかわるAIアクセラレーターでは年間200社程度のAI企業さんにお会いする。2018年の「産業レベル」では「医療とかでなんか使えるかもしれませんね」2019年の「業種レベル」では「CTの画像解析で使えそうですね」2020年の「業務レベル」では「がんの特定ならこのやりかたですね」というイメージで、アクセラレーションに応募する方の傾向が変わってきている。

いわゆる、コンセプトレイヤーの2018年、POCレイヤーの2019年を乗り越えたチームがようやく実務レイヤーのAIで果実をつかむ年になるのではないか。

要は地味になっているわけだが、本来産業向けIT技術の一つであるわけで正しい方向にむくのではと予測している。

2021年もAINOWで「やさしく、おもしろく、やくだつ」情報を伝え、AIアクセラレーターで「新しくはないが、役に立ち、クレイジー」なスタートアップを育て、自社と仲間の投資家から集めた投資と自社の2000人の営業網で15万以上の顧客にAIやRPAの自動化の恩恵を届けていきたい。

AIやRPA、自動化は必ず、少子化日本が世界に誇れる労働力になる。オリンピックイヤーはそのマイルストーンとして面白い年になるはずだ。

まとめ

2020年もAINOWはたくさんの発信をさせていただきました。いつもご愛読いただきましてありがとうございます。

2021年も、AI分野をさらに盛り上げるべくAINOWは発信を続けてまいります。

どうぞよろしくお願いいたします。

AINOW編集部 一同

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