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2019.12.27

業界人は2019年のAIをどう見たのか!? ーみんなで振り返る2019年のAI

最終更新日:

2019年も多くのメディアを騒がせた「AI・人工知能」。特に注目を集めるディープラーニングの技術は、ついには画像生成の取り組みも話題になり、技術発展は今もなお続いています。

この記事では、2019年に活躍したAIに関わる有識者のみなさんから、

  • 2019年に1番気になったAI関連のニュース
  • 2019年はAI業界でどんな変化があったのか
  • 2019年のAIトレンド
  • 2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想するか
  • 2020年の抱負

をアンケート方式で伺い、記事でまとめました。

ぜひ、みなさんも、この機会に2019年にはどんなAI関連のニュースがあったのか、振り返ってみてください。

▼筆者の2019年の振り返り記事はこちら

目次

2019年はエッジAIの事例が増えた ー南野充則氏

日本ディープラーニング協会 理事

東京大学工学部卒。大学在学中にヘルスケアスタートアップ、株式会社MEDICA及びCDSystem株式会社を創業。東京大学在籍中に北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い「BESTSTUDENT AWARD」を受賞する。2016年8月に、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立。2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。2018年9月にFiNC Technologies 代表取締役 CTOに就任し、現在に至る。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

Preferred Networks(PFN)が深層学習フレームワークを自社開発のChainerからPyTorchへ移行、Chainerはメンテナンスフェーズへ。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

GAFAがAIの汎用化に力を入れだして、非技術系のビジネスパーソンもAIを使う環境が整ってきた。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

  • ハードウェアの性能向上とあいまってエッジAIの事例が増え、製造業をはじめリアルな世界で実装が進んだ。
  • 大企業がベンチャー企業のテクノロジーを買収する動きが表面化してきた。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

「AI」「ディープラーニング」といった技術への価値評価が進むことにより、AI/DL開発会社のM&A、大企業との協業が加速。また、次々と生まれる新技術への対応、情報アップデートがビジネスパーソンにとって重要スキルとなり、AI理解の必要性が増してくる。

2020年の抱負を教えてください

日本ディープラーニング協会(JDLA)としては、設立当初(2017年6月)に掲げた目標である、ディープラーニング活用人材育成、G(ジェネラリスト)人材 10万人、E(エンジニア)人材 3万人の輩出に向けて産学連携の取り組みを加速していきます。

また、産業活用においては、技術とビジネスモデルが紐づいて新たな事業創出、既存事業の拡張が実現する社会実装に向けて経営層への啓もう活動やJDLA会員、G/E人材コミュニティとの連携によるイベント開催も積極的に実施していきます。

JDLA関連記事

2020年は「AI」と銘打たなくても良い時代に ー清水亮氏

ギリア株式会社代表取締役社長兼CEO

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

RISC-VベースのAIチップK210発売

RISC-V:誰でも無料で使用できるオープンソースのISA(コンピュータのプロセッサの命令セットアーキテクチャ)

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

ディープラーニングがガートナーのハイプ・サイクルの「過度な期待」を乗り越え、幻滅期に入ろうとしている。また、一方で自然言語処理など、昔ながらのAI技術とディープラーニングの融合については堅調な進捗が見られる。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

RISC-V、GPT-2、ドンキーカー

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

AR/VR技術などへのディープラーニングの応用が進み、特に「AI」と銘打たなくても隅々まで浸透していく。一方で、人間だけが解決してきた問題領域にAIが切り込んでいくと予想する。

2020年の抱負を教えてください

当社としては「みんなのAI」すなわち、特別な訓練や教育を受けなくても自分の目的のために誰もが自分のAIを作り、活用できる世界の実現を目指す。2020年はその社会実装を本格化させたい。

3D モデルのディープラーニングがトレンド ー三宅 陽一郎氏

ゲームAI研究の先駆者

京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程(単位取得満期退学)。2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。理化学研究所客員研究員、東京大学客員研究員、九州大学客員教授、IGDA日本ゲームAI専門部会設立(チェア)DiGRA JAPAN 理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

3DGAN などを含む Nvidia Kaolin

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

それなりの実際の成果が出始めた年

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

Nvidia Kaolin

Nvidia Kaolin:3D モデルをニューラルネットワークの世界で数ステップで処理する PyTorchのライブラリ。3Dモデルをディープラーニング用に準備する処理を、300行のコードから5行に削減できる。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

「Alpha Star」淘汰の年。成果を出すものと、そうでないものがはっきりする。

Alpha Star:DeepMindが開発する、リアルタイムストラテジー「スタークラフト2」の対戦AI

2020年の抱負を教えてください

とにかく勉強。

三宅氏関連の記事

日常生活の中で”AI”というキーワードが使われなくなった ー中林 紀彦氏

ヤマトホールディングス株式会社 Data Strategy Executive

日本アイ・ビー・エム株式会社においてデータサイエンティストとして顧客のデータ分析を多方面からサポート、企業の抱えるさまざまな課題をデータやデータ分析の観点から解決する。株式会社オプトホールディング データサイエンスラボ副所長、SOMPOホールディングス株式会社チーフ・データサイエンティストを経て、ヤマトホールディングス株式会社のData Strategy Executiveに就任。重要な経営資源となった”データ”をグループ横断で最大限に活用するためのデータ戦略を構築し実行する役割を担う。

また筑波大学大学院の客員准教授、データサイエンティスト協会の理事としてデータサイエンスに関して企業の即戦力となる人材育成にも従事する。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

AI関連のニュースが多過ぎて”1番”が浮かんでこないのですが、それだけ”AI”が浸透して広まってきたのだと思います。但しAIという便利なキーワードで包んだ平凡なサービスも多産されているので、ニュースを精査する目利き力も重要になった2019年です。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

2点あると思います。

1点目はAI(モデルやアルゴリズム)が普通にサービスやプロダクトに組み込まれるようになってきた事。画像認識の分野はかなり枯れてきているので、顔認証サービスなどをはじめ至る所に実装されましたね。

2点目はデータの問題。データを継続的に入手できないプレーヤーはとても苦戦していますね。逆にデータを持つ人たちはどんどん先に行くので差が開きますね。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

日常生活の中で”AI”というキーワードを使わなくなりました。ビジネスに実装出来るモノは、AIという抽象的なコトバではなく具体的に表現できるモノなので仕事の中でAIは死語になりつつあります。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

”データ”ですね。必要なデータを継続的に収集する仕組みを用意して学習し続けることが出来るか。構築フェーズだけではなく運用フェーズでも、新たなデータを加えながらモデルをアップデートし続けられるかが勝負の分かれ目だと思います。後は少ないデータでいかに精度の高いモデルを作れるかという課題に対して様々なアプローチが登場すると思います。

2020年の抱負を教えてください

「コロンブスの卵を割続けて塔を築く!」ビジネスに実装出来るモノに関しては技術的な課題はあまりないと思っていますのでやれば結果が出ます。2020年はコロンブスの卵を割続けて、高い塔を築いていきたいと思います。

技術以外の話題が増えた ーマスク・ド・アナライズ氏

イキリデータサイエンティスト

空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独自の地位を確立する。

ネットとリアルにおいてAIに関する啓蒙活動を行なっており、いらすとやを使った煽り画像には定評がある。

“自称”AIベンチャーに勤務していたが、クビをきっかけに現在は独立。

将来の目標は「データサイエンス界の東京スポーツ」。

東京都メキシコ区在住。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

業界全体のニュースとしては、大手電機メーカーなどから出資を受けて衣類の自動折り畳みロボを開発していたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの倒産です。

個人的には、働いていた”自称”AIベンチャーをクビになり、その後も現在進行形で迷走していることです。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

業界全体で見ると組織論、キャリアや採用、ビジネス活用といった技術以外の話題が増えたことが変化だと感じます。
個人的には怪しいAIスタートアップによる胡散臭さ全開のセミナーや、明らかに実現不可能なクラウドファンディングが目に見えて減ったのが寂しいです。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

業界全体のトレンドとしては、AutoMLやBERTなど今後の節目となる(ような気がする)ものが登場した点です。

個人的には出版界で相変わらずAIと関係なさそうな人のAI本が多数出版され続けている点です。

2019年のAI本は「これからのデータサイエンスビジネス」一択なので、ぜひ購入してください(宣伝)。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

企業もメディアも「DX」や「量子コンピュータ」にトレンドが移っているので、どこからともなく「マスク・ド・DX」や「マスク・ド・クォンタム」が誕生するでしょう。

2020年の抱負を教えてください

お仕事のご依頼・お問い合わせは info@maskedanl.com までどうぞ。

Twitterのダイレクメッセージでも受け付けております。

マスクド・アナライズ氏関連の記事

機械学習の活用領域が大幅に広がった1年 ー田本芳文(@tdual)氏

株式会社MatrixFlow CEO

大学・大学院で理論物理学を研究。

新卒でWebエンジニアとしてベンチャー企業に入社。その後独学でデータサイエンスと機械学習を学び、AI系ベンチャーに転職。機械学習エンジニア/データサイエンティストとしてR&Dと機械学習アルゴリズムの開発に従事。2018年10月に株式会社MatrixFlowを創業、2019年4月にプログラミング不要のAI構築プラットフォーム「MatrixFlow」ベータ版をリリース。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

GoogleがAutoML Tablesのベータ版を出したニュースです。このサービスによって機械学習モデルを作る敷居は非常に低くなりました。画面もシンプルで初心者にもわかりやすい作りになっています。またBigQueryからデータを持ってくることができるので使い勝手も非常に良いです。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

AutoML Tablesのベータ版リリースや、dotData社の資金調達など、AutoMLが実用レベルにまで発展し盛り上がって来た印象です。それに伴って機械学習を用いる案件に携わる人の役割も変化して来たように思えます。プログラミング言語でアルゴリズムが書けるデータサイエンティストや機械学習エンジニアも重要ですが、定性的であってもデータの扱い方、機械学習の扱い方を理解している人材の需要が伸びています。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

機械学習の活用領域が大幅に広がったことです。今年に入って医療のみならず材料工学や理論物理の機械学習の活用事例がいくつも出てきました。機械学習がコンピュータサイエンスの中の一分野ではなく、様々な分野で活用出来る新しい”言語”になってきたと感じました。これからも思いもしなかった分野で活用される事例がたくさん出てくると思いますので楽しみです。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

2020年あたりからPoCを終え本格的に機械学習を使ったサービスが多く出てくる頃です。その後に問題になるのが、機械学習モデルの更新問題です。機械学習モデルはデータに依存しているので、データの傾向が変わると上手く推論できないという結果になります。機械学習モデルの「鮮度」が落ちてくるので、最新のデータを使ってモデルを更新する必要が出てきます。しかし、これは今までのif文ベースのアルゴリズムでは起きなかったことなので、それに対する運用ノウハウが不足してる場合がほとんどでしょう。そこで機械学習モデルメンテナンスを業務化する方法論が重要な役割を果たしてくるでしょう。一例はML Opsになると思いますが、小規模向けのシンプルな方法論なども必要とされてくるでしょう。

2020年の抱負を教えてください

プログラミング不要のAI構築プラットフォーム「MatrixFlow」を少しでも使いやすくして、多くの人に使ってもらえるようにしたいです!!

中国では「顔認証元年」チェルシー|AI姉さん

グローバルAIマーケター

グローバルAIビジネストレンドマーケター。大手外資IT企業を経て、普段は急成長AIスタートアップで事業開発マネージャー。SNSで中国AIをはじめとした、世界のAIビジネス活用事例を発信。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

AI活用の視点で、中国では「顔認証元年」と言われるほど顔認証技術を活用したサービスが急拡大しました。日本でもキャッシュレスサービスが大きく展開されましたが、QRコード決済が90%以上である中国では、Alipayをはじめとする顔認証支払が一般的に普及しました。

一方、SenseTime・Megviiといった顔認証スタートアップが米国ブラックリストに掲載される等、いわゆる「米中AI戦争」の加速にも注目が集まりました。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

中国による自律AIの社会実装です。Baiduが主導する自動運転プラットフォーム「アポロ計画」のもとで、レベル4の自動運転Apollo Robotaxiも公道で試験運転が9月に始まる等、自動運転において実用化も進んできています。

中国政府が2017年に次世代AI発展計画を公布しましたが、最初のマイルストンである「2020年に技術水準を世界レベルにする」という目標に対しても文句なしの結果を出し、AI応用先進国としての知名度を急激に上げました。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

最も注目されるのは5Gの商用化です。2020年は5G元年と呼ばれていますが、中国ではすでに11月より商用化され、約8万6,000基の5G基地局が建設されており、年末までに50都市・13万基建設される見通しと言われています。

中国AIを代表する元Google China代表のKai Fu Lee氏も「AIの4つの波」を提唱しています。特に5Gにより、4つ目の波と言われる「自律AI」の社会実装が展開すると予測できます。

2020年の抱負を教えてください

ソフトバンクの孫氏が日本はAI後進国であると喝を入れた2019年ですが、米・中が2020年にはAI先進国として非常に注目を浴びました。

日本はまだどのように活用・応用できるのか実証実験段階で多くが止まっています。グローバル企業では、どのようにAI実装を進めていったのか、皆様に役立つヒントをビジネス視点で今後も発信していきたいと思います。

チェルシー|AI姉さん関連記事

未来ではなく今のテーマとして扱われるようになったAI ー門前一馬氏

株式会社FRONTEO クリエイティブディレクター

AI関連情報のリサーチを行いつつ、自社のクリエイティブディレクション、映像制作、デザインなどを行ったり、イベント運用、AI人材のリクルーティングなども行っています。

プライベートでは AIコミュニティ、Machine Learning 15minutes! を主催しています。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

大澤 昇平さんのtwitter炎上案件、AIの倫理感が大きく問われる事件だったと思います。

2020年は映画『AI崩壊』が公開されるなど、AIに関する関心が一層高まっていくと思いますので、人工知能学会 倫理委員会の武田先生にリードしていただき、AIの社会実装における倫理的な議論も活発になると良いと思います。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

「ディープラーニングで何かできませんか?」というような時代が終わりつつあり、実証実験、概念検証のフェーズから、AIの本格的な社会実装を前提としたプロジェクトに移行しつつあると思います。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

AIプラットフォームではAWSの影響力が強まり、Azure、Google Cloud AIが猛追するものの及ばずといった感じで、機械学習ライブラリではtensorflow、PyTorchが抜きんでた存在になったと思います。

結局、AIではホスティングを握っているGAFAMが儲かり、日本のAIベンダーはあまり儲からない仕組みが出来てしまいつつあるとも感じます。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

世界的に見れば、NeurIPSに昨年の倍の1万3000人が集まったり、上海AI大会が異常な盛り上がりをみせたりと、まだまだAIバブルは続くと思います。

日本ではオリンピックの盛り上がりと同時に、AIの社会実装バブルがおきると思います。ありとあらゆる分野で機械学習の実装が検討され、GAFAMのAIプラットフォームを活用した小さいスタートアップや受託制作会社が乱立し、AI企業の淘汰が始まる年だとも思います。

2020年の抱負を教えてください

Machine Learning 15minutes!を盛り上げていきながら、FRONTEOのAIをきちんと売っていく活動に従事したい。

それが、日本のAI業界に貢献できる事だと思いますので。。。

2019年は「解決策としてのAI」と方向が変わってきた ー進藤 圭氏

ディップ株式会社 執行役員 次世代事業統括部 / dip AI.Lab室長

早稲田大学を7年かけ卒業後、ディップに新卒入社。営業職、ディレクター職を経て、開始後3年で15億円の売上に成長した看護師人材紹介「ナースではたらこ」事業化をはじめとし、40件以上のサービス企画に参加。直近では「FAST RPA コボット」を提供するAI/RPA事業がある。

現在は新規事業責任者、メディアではアニメの舞台めぐり「聖地巡礼マップ」、人工知能ニュース「AINOW」、スタートアップニュース「StartupTimes」チームを担当。

アクセラレーターでは「AI.Accelarator」「HR-HackFund」「Gakucelerator」を運営、「ASAC」青山スタートアップアクセラメンター、「OIH」大阪イノベーションハブメンター、「kansAI0.6」関西AIアクセラレーターメンター。

また投資担当として年間15社程度の投資を担当。投資先はhachidori、GAUSS、JOLLYGOOD、Marketing-Robotics、Apparray、Amplified.ai、Tsunagu.ai、Foxsy、Oceans、Tutorial、Lightblue Technology、ウリドキネット、Trunkなど。文科系な活動ではTBSラジオ「好奇心家族」ニュース解説者、「いちばんやさしいRPAの教本」を出版。

2019年に1番気になったAI関連のニュースはなんですか?

特定のニュースではないが「メディアで一般化した年」だった。AIがテーマのテレビ番組や書籍、ラジオ番組などをはじめとして一般社会で未来ではなく今のテーマとして扱われるようになってきたことがポジティブなニュースだと考えている。

2019年はAI業界でどんな変化があったと思いますか?

業界はよくわからない。「AIというテーマに参加する人の広がり」は変化として感じる。

Wantedlyなどを通じ多くの学生と接点を持つが、2018年にはいわゆる「意識の高い」大学生や大学院生が職業としてのAI、社会の中でのAIを捉えてインターンや就職活動をしていた。2019年に入って、大学生では「AIは自己PRにも入れるよね」となり中学生や高校生が職場見学のキーワードとしてAIをあげており、実際に職場見学のアテンドや授業提供をする機会が増えている。

今までは、コミケ草創期のような内輪のテーマだったが、「あいつわかってねぇ」と排除することなく、様々な人が参加しやすい業界に「やさしく、おもしろく、やくだつ」ような変化を支援したい。

あなたの中での2019年のAIトレンドを教えてください

「枯れた技術の水平展開」の1年だった。2018年が「新規性としてのAI」だとすると、2019年は「解決策としてのAI」と方向が変わってきた感がある。

私がかかわるAINOWではAI関連のプレスリリースを年間数千通受け取る。2018年は「AI導入しました!効果わかりませんけど!」トーンが大半を占めていた。2019年に入ると「〇〇をするためにAIを導入しました!ちょっと効果もでてきました!」トーンが増えてきている。

産業分野で投資対効果を出すために、「どや!新しいやろ!」な技術の新規性では苦しくなってきて、各社「AIというほどやないですけど、効果でてます!」にチェンジしているという感じ。

冒頭にあげた「枯れた技術の水平展開」はファミコンを開発した横井軍平さんの名言だが、本来日本の企業が得意な「新しくはないが、役に立ち、クレイジー」の方向に向いてきていて、とても良いトレンドだと思う。

2020年はAIのトレンドはどのように変化していくと予想していますか?

2020年は「よりバーティカルに」がトレンドになると予想する。2018年では「産業レベル」2019年では「業種レベル」2020年では「業務レベル」のAIが増えていくだろう。

私のかかわるAIアクセラレーターでは年間200社程度のAI企業さんにお会いする。2018年の「産業レベル」では「医療とかでなんか使えるかもしれませんね」2019年の「業種レベル」では「CTの画像解析で使えそうですね」2020年の「業務レベル」では「がんの特定ならこのやりかたですね」というイメージで、アクセラレーションに応募する方の傾向が変わってきている。

いわゆる、コンセプトレイヤーの2018年、POCレイヤーの2019年を乗り越えたチームがようやく実務レイヤーのAIで果実をつかむ年になるのではないか。

要は地味になっているわけだが、本来産業向けIT技術の一つであるわけで正しい方向にむくのではと予測している。

2020年の抱負を教えてください

私は人材企業にありながら「AIやRPAは労働力になる、500億円投資する、世界はちょっとかわる」とトチ狂ったこと言っているのだが、これを引き続きすすめたい。

AINOWで「やさしく、おもしろく、やくだつ」情報を伝え、AIアクセラレーターで「新しくはないが、役に立ち、クレイジー」なスタートアップを育て、自社と仲間の投資家から集めた投資と自社の1500人の営業網で15万以上の顧客にAIやRPAの自動化の恩恵を届けていきたい。

AIやRPA、自動化は必ず、少子化日本が世界に誇れる労働力になる。オリンピックイヤーはそのマイルストーンとして面白い年になるはずだ。

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