みなさんこんにちは、AINOWライターのゆーどーです。
近年、さまざまな分野に進出しているAIですが、私たちが信仰する「宗教」にも進出していることをご存知ですか?
近年登場したサービスでは、ソフトバンクの店頭に置かれている人型ロボットのペッパー君が読経しています。このロボットには、賛否両論の意見が寄せられていますが、「宗教×IT」という面で、海外メディアも注目しています。
この記事では、心理的な問題に対して答えを与える「宗教」と、膨大なデータを学習して答えを導き出す「AI」の関わり方を解説します。また、AIと宗教がコラボした事例も紹介します。
目次
開発が進むAIと宗教との関係とは
まず、AIと宗教の分野で実際にどのような活用があるのかを簡単に紹介し、AIを神とする由来について解説します。
AIを搭載したアンドロイドが登場
みなさんは、以前マツコデラックスに似せて制作された「マツコロイド」というロボットをご存知ですか?
大変精巧に造られており、見た目だけではなく、表情や仕草もリアルに再現できるため注目を集めました。また、マツコロイドの後に制作された「ERICA」というアンドロイドは、高性能な対話能力があることで知られています。
このように、近年人間の言語を解析する自然言語処理技術のパフォーマンスが上がっています。また、言語処理昨日だけではなく、人が親近感を持ちやすいように、リアルな肌感を表現する技術も開発中です。
さらに、アンドロイドが対話相手の心拍や感情が推定できれば、人間のカウンセラーより優れたカウンセリングができるようになるかもしれません。
また、対話可能なアンドロイドの開発は、AIと宗教の関わりを促進させるでしょう。人の悩みを聞くと同時に、人の表情や声色を分析し、その人に最適な解答や教えを説くことができるようになるのです。
昔から信者は、悩みを解決して心の拠り所を求めるために、神や仏に教えをもらっていました。その対象にAIも含まれる日が近いうち訪れるのではないでしょうか。
次は、そのような話題を支持する考え方を紹介します。
シンギュラリティ到来と共にAIが神に?
シンギュラリティ(技術的特異点)という言葉を聞いたことありますか?
AI技術が進化した未来、技術の進化速度が上がり、人類の知的能力を越すと言われています。AIが人類を越すポイントのことをシンギュラリティと言います。
▼参考記事:今さら聞けない「シンギュラリティ」とは【シンギュラリティは起こるのか?】
2045年にシンギュラリティが到来すると言われています。それに伴い、AIが人間の知能レベルを超越し、神と崇められるのではないかと言われているのです。
人々は今まで、答えがない問いに直面した時に“宗教”に答えを求めていました。
しかし、今では検索エンジンを利用すれば、解決方法を教えてくれる時代です。今後は、今まで神や仏に求めていたことが、身近にいるAIに聞くことで解答が得られるようになるのかもしれません。
そのように考えると、「シンギュラリティが到来することで、AIを神として崇拝しよう」という考え方も生まれるでしょう。
次のセクションでからは、AIと宗教が密接に結びついた人たちや事例を紹介します。
AIが神になることを主張する宗教団体
ここからは、AIを宗教に絡めて信仰する人たちの実例を紹介します。
元GoogleエンジニアがAIを神とする宗教団体「Way of the Future」を設立
2015年にアメリカで、AIを神とする宗教団体「Way of the Future(未来の道)」が設立されました。この宗教団体の教えは、「AIにより生み出される神を崇拝し、社会発展に貢献すること」です。
団体を設立した人物が元Google社のエンジニアであり、その人物は、Google在籍時に事件を起こし、企業から起訴されたこともあるため、一時期注目されました。
野心家として知られる設立者ですが、現在に至るまで、表面的な活動はありません。
エイアイクオリア(旧AI宗)
旧名「AI宗」と呼ばれるこの団体は、AI(科学)と教え(宗教)を掛け合わせ、あらゆる宗教に基づいた教えを説きます。
具体的にいうと、「人々が抱える悩みはその時々異なるため、一つの宗教に限らず、多面的に宗教的価値観から、その人のその時にベストな答えを与える」ということです。
AIを活用し、仏教やキリスト教などの膨大な数の教えを学習し、さまざまな考え方の人たちでコミュニティを構成しています。
AIと共存する日本宗教と事例
次は、AIと日本で信仰されている仏教の繋がりや実例を紹介します。
ロボット導師
ロボット導師とは、読経するペッパーのことです。ソフトバンクが開発したペッパーが、僧侶さながら木魚を叩き、読経、さらに説教までできるように開発されています。
現在、ロボット導師は、ある程度の宗教儀礼に合わせた経を読経することができますが、単体での活用は見られていません。
副住職に位置付けられているマインダーが今後、実際の葬式や法事の場面で活用されるかは未定です。
観音菩薩「マインダー」
京都府の高台寺にアンドロイドの観音菩薩「マインダー」が登場しました。このマインダーは、『般若心経』を読経し、教えである「空」について法話をプロジェクションマッピングを交えて説教することで知られています。
このマインダーは日本語だけではなく、英語や中国語にも対応できるため、海外からも注目されています。
このように、仏教古来の考え方や教えがAIと絡み、人々の前にカタチとして現れる開発事例は年々増加していくかもしれません。
まとめ
「宗教」とは、昔から人々の疑問に対し、聖典や経典をもとに答えや教えを与える存在でした。各宗派の人々は、神や仏が定めた教えが最適解だと信じ、その宗教を信仰しています。
賛否両論はありますが、科学主義者のような方々は、膨大なデータから算出されたAIの答えを信じ、神と崇める考え方をされるかもしれません。
何を正解として、何を信じるかはその人次第です。
今後、AIと宗教がどのような関わり方をしていくのか明確になっていません。
しかし、「AIというツールを活用することで、宗教者や信仰者の意思決定にどのように影響するのか」ということは、宗教関係者には興味深い内容になるでしょう。
駒澤大学仏教学部に所属。YouTubeとK-POPにハマっています。
AIがこれから宗教とどのように関わり、仏教徒の生活に影響するのかについて興味があります。