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労働力不足が懸念される日本では、あらゆる産業分野でデジタルによる変革が重要視されています。
そこで注目を集めているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
変化する社会での競争を生き抜くため、多くの企業がDXの推進に取り組んでいます。
しかし、DXへの理解不足などの課題があることも事実です。
今回は、DXとは何かを定義し、導入ステップ・導入メリットから具体的な事例まで紹介していきます。
目次
DXとは?
DXの定義
日本経済産業省は2018年に、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発行し、ビジネスシーンにおけるDXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
引用︰デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン
企業が競争社会で生き抜くためには、社会の変化に対応して、デジタルの力を使い、新たな価値を創造する必要があります。
なぜDXが注目されるのか
2018年9月7日に経済産業省が発表した「DXレポート」で、「2025年の崖」という言葉を用いて、日本企業のITシステム基盤に対する警鐘が鳴らされたことをきっかけに、DXは注目を集めるようになりました。
「2025年の崖」とは、日本はDXが進まないことが原因で、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じるとことを表した言葉です。
会社の基盤となっていた、既存システムの中身が複雑化・老朽化・ブラックボックス化していくことで、国際競争への遅れや日本経済の停滞などが起きてしまいます。
一方、DXが実現すれば、2025~2030年に実質GDP130兆円超の押し上げが可能と言われています。
DXを導入するメリット
DXの導入は、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
1.業務の効率化/生産性の向上
DXの導入により、システム維持費用や労力の無駄を省くことで、コスト削減・効率化が図れます。また、業務の効率化・自動化による企業の生産性向上が期待できます。
2.新たな価値創出による収益の増加
DXの過程による組織変革を行うことで、新たなビジネス・サービスが創出されれば、企業は新たな収益基盤を構築できるかもしれません。
また、データを活用した精度の高い分析は顧客のニーズや利便性を拡充し、サービスの「使いやすさ」を追求することで、事業やサービスが本来の姿と異なる特性を持ち合わせ、新しい価値創出に繋がります。
3.BCP対策
BCP(Business Continuity Plan)とは、事業継続計画の意味で、災害などの緊急事態に事業を継続するための計画です。DXの導入にあたり、デジタル化を進めることは、BCP対策に繋がります。
新型コロナウイルスの流行により、多くの企業が業務変革を必要とされるなか、デジタル化が進んでいた企業では、スムーズなリモートワークへの移行など、柔軟な対応が行われました。
このように、DXを導入することで、緊急時に迅速で柔軟な対応が可能となります。
企業別DXの導入事例
トヨタ自動車〜営業システムのデジタル化〜
トヨタ自動車は、オンプレ基幹システムとクラウド型CRM(顧客管理システム)を「Salesforce」を連携させ、顧客情報を横断的に活用できるようにしました。
これにより、販売会社の営業活動効率化が期待できます。
参照:ZDNetJapan:https://japan.zdnet.com/extra/terrasky_toyota_201906/35139036/
富士通〜郵便コストの削減〜
富士通はA*Quantum社と共同で、日本郵便様の埼玉県新岩槻郵便局における運送便の最適化に取り組みました。
量子コンピューティングに着想を得た組合せ最適化問題を高速に解く新技術を使い、輸送コストを最小化するルートをデータを用いて算出したそうです。
これにより、従来の手法と比べて便数を52から48に削減することが可能となりました。
参照:FUJITSUJOURNAL:https://blog.global.fujitsu.com/jp/2019-09-10/02/
スターバックス〜モバイルアプリの導入〜
スターバックスは、強化学習の技術を使ったモバイルアプリを導入しています。最寄りの店舗の在庫、任期商品、ユーザーの注文履歴などを反して、オススメの商品を推奨します。
これにより、ユーザーに最適化された商品の提供が実現します。
DXの導入ステップ
DXの導入は、5つのステップに分けられます。各ステップを検証し、DXを実現しましょう。
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1.デジタル化
デジタル化は、Web上のアプリ・クラウドサービスを積極的に導入する段階です。
アナログで実施していた業務から、デジタルツールを利用することで、データが蓄積されます。
代表的なものに、勤怠管理ツール・経費管理ツールなどがあります。
2.効率化
効率化は、デジタル化により蓄積したデータを各部門で活用する段階です。
現在、日本企業の多くがこの段階にあると言われています。
データの活用による業務の効率化で、コスト削減・生産性の向上が期待できます。
3.共通化
共通化では、各部門で蓄積・活用していたデータを全社に活用するための基盤を構築します。
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このサイクルにより、部門間でデータが有効活用されるようになります。
4.組織化
共通化によって構築された基盤をもとに、効率的なデータ運用を行う組織づくりの段階です。
組織の運用体制の確立・業務フロー(業務のプロセスを分かりやすく示した流れ)の明確化を目的とします。
5.最適化
最終段階の最適化では、事業活動にイノベーション(技術革新)を起こします。
これまでの段階で蓄積されたデータから、事業の未来予測・精度の高い事業計画の立案も可能です。
データをはじめとするデジタル資産は事業運営の基盤となり、データの活用が企業の利益や競争力の向上に繋がります。
DX導入の課題
1.複雑化したレガシーシステム
レガシーシステムは、日本企業の多くが利用している旧式の基幹業務システムを指します。
旧式システムは誇大化・複雑化により、ブラックボックス化(内部構造が理解できない状態になること)しています。
そのため、柔軟性や機動性が欠けており、最新技術を運用しにくいという課題があります。
また、既存システムとの連携が上手くいかず、DXの導入が進まない・さらに複雑化してしまうといったケースも見られます。
2.全社への拡大
DXの導入が一部の部門だけに止まってしまい、会社全体としてDXが実現できていないケースが散見されます。横断的な体制を構築し、全社でDXの実現を目指しましょう。
課題の解決に向けて
DXの導入による企業の変革には、多くの時間と労力がかかります。
自社の状況を把握し、小規模な施策から取り組むことから始めましょう。徐々に対象範囲を広げていくことが確実な進め方です。
▼DXのビジネスモデルについて詳しくはこちら
▼DXの戦略について詳しくはこちら
まとめ
DXの導入は、業務の効率化による生産性の向上・新たな価値の創出など、企業に利益をもたらします。
しかし、DXが注目を集めている一方、DXで成功を収めている企業は少ないという現状があります。企業はDXの導入を、適切な手順に沿って着実に進める必要があります。
既存のシステムや課題を理解し、今回紹介した5つのステップを参考に、DXの実現を目指しましょう。
◇AINOWインターン生
◇Twitterでも発信しています。
◇AINOWでインターンをしながら、自分のブログも書いてライティングの勉強をしています。