多くの分野で活用されているAIが体温計の分野にも導入されました。
新型コロナが流行し、様々な場面で使用する機会が増えた体温計ですが、どのような機種があるのか、メリットやデメリットはなにか、知らない方が多いのではないでしょうか。
本記事では、AI体温計について徹底解説していきます。
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目次
AI体温計とは
AI体温計は、従来の温度計と比べると、非接触で大勢の体温を測定可能になりました。AIの搭載された体温計は、主に企業で顔認証型や防犯カメラ型で使用されます。
どちらのタイプも映像全体で温度を検知します。この方式のメリットは、カメラ映像に映っていれば、位置合わせの必要がないことです。しかし、それではどの物体の、どの部分の温度を測っているのかが把握できません。
そのため、AI温度計では、AIによる画像認識機能で映像内から人物を割り出します。そして、人物から額の位置を特定し、その額の温度分布を検出します。表面温度と環境温度から深部体温を推論するAIが備わっている機種もあります。
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AI体温計のメリット
AI体温計のメリットは、以下の4点です。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
非接触である
AI体温計は、AIによる画像認識機能で映像内から人物を割り出し、額の特定や温度分布検出が可能です。また、機種によっては、人体表面の赤外線熱放射を検出し、赤外線検出器で「光電変換」を行った後にAIアルゴリズムにより人体の温度を算出可能です。
そのため、AI体温計は、非接触で人間の体温を効率よく測ることができます。
人間に直接接触をしないため、測定器具を通してウイルスが拡散することを防げます。また、使うたびに測定器具を消毒する手間も省けます。
無人化できる
AI体温計は一度設置すれば、映像で体温を測定するため、人手が必要ありません。
そのため、人件費の削減にもつながります。
簡単に設置できる
現在発売されているAI体温計は、購入した後に温度を測定しやすい場所に置き、コードを繋げるだけで設置が完了するものがほとんどです。
初期設定をきちんと実施すれば、日々複雑な操作を行わなくても温度を検知できます。
スピーディーに検温できる
AI体温計は遅くとも1秒程度での温度検知が可能です。
また、同時に複数人の温度検知が可能な商品もあるので、さらにスピーディーに検温することができます。
AI体温計のデメリット
AI体温計のデメリットは、以下の2点です。
それぞれのポイントについて説明します。
▶AIによるメリット・デメリットは?人工知能の問題点と解決策も紹介
全てが正確とは限らない
AI体温計であっても精度が完璧ではないです。
また、設置する場所や何人を同時に検温するか、どの機種なのかによっても正確性は変化します。購入するときは、用途に合わせて選ぶことをおすすめします。
費用がかかる
AI体温計は、導入費用と維持費用がかかります。
商品によっては、導入費用と維持費用のどちらかだけの費用がかかる場合もありますが、導入費用の場合であれば、最低でも1万円、高ければ10万円以上します。
維持費用は月額およそ5000円のものが多いです。費用面については、購入時にしっかりと検討しましょう。
AI体温計の紹介
最近話題となっているAI体温計を3つ紹介します。
ダイワ通信株式会社 AI体表温度検知システム
ダイワ通信株式会社のAI体表温度検知システムは、検温するターゲットの赤外線を受動的に吸収します。そして、人体表面の赤外線熱放射を検出し、赤外線検出器で「光電変換」を行います。それらを踏まえて、AIアルゴリズムにより人体の温度を算出する仕組みです。
本機種の特徴としては、ワクチンパスポート チェック・マスク検知・防犯カメラ機能・出退勤管理機能が挙げられます。
ワクチンパスポート チェックは、『ワクチンパスポート』を端末にかざすことで、ワクチン接種の確認と顔認証による本人確認が可能になります。
マスク検知の機能は、マスク未着用者に音声で警告します。
防犯カメラ機能は、ライブビュー機能を備えているため、レコーダーの接続により、店舗入り口などの防犯カメラとしても活用できます。
出退勤管理機能は、勤怠管理アプリケーションと連携することで使用できます。中小規模のアクセス制御、出退勤管理費の削減に活用しましょう。
アイリスオーヤマ AIサーマルカメラ
アイリスオーヤマのAIサーマルカメラは、人体表面温度測定に特化しており、±0.3度での高精度な検温が可能です。
特徴としては、0.2秒という速さで温度を検知できること、温度測定と個人認証が同時にできることが挙げられます。
個人認証は、顔認証精度が99%以上と高く、優れています。未登録者の温度測定のみも可能ですが、この商品を設置する場合は、ユーザーを登録することをおすすめします。
ソフトバンク AI温度検知ソリューション「SenseThunder」
ソフトバンクのAI温度検知ソリューション「SenseThunder」は、AIを活用した「独自の顔認証デバイス」と「サーモグラフィカメラ」の組み合わせにより、わずか0.5秒で個人認証と温度測定を同時に実施し、発熱の疑いのある人をリアルタイムに見分けます
本機種の特徴としては、顔認証結果を活用した他システムとの連携利用が可能なことが挙げられます。
顔認証をすることにより、検温と同時に勤怠・受付・ゲートの入退・電気鍵の開錠ができます。また、検温したデータを管理することも可能です。
AI体温計の活用事例
東京ドームに納入された「SenseThunder」最上位機種の「SenseThunder-E(センス・サンダー・イー)」を紹介します。
この機種は、最適化されたアルゴリズムにより、マスクや眼鏡を着用したままでもスピーディーな測定が可能です。本機種には、目的に応じて、個人と温度を紐づけて管理する使い方と不特定多数の温度検知だけを実施する方法があります。
東京ドームへの設置は温度検知のみで、来場者の個人情報や画像データの取得は一切ありませんでした。このように、用途によってどのような使い方をするかの選択ができます。しかし、設置場所の環境などによって、理論値通りに計測できない場合もあるため、東京ドームの事例でもどこに設置をするかを詳しく検討したようです。
また、医療品医療機器法の定める体温計ではないため、医療診察では利用できない機種です。
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まとめ
体温計にもAIが導入され、非接触でスピーディーに検温できるようになりました。
特に新型コロナの流行により、企業や飲食店などあらゆる場所で検温されるようになりました。それにともない、様々な機能がついた商品も次々に発売されています。
これからのAI技術の発展により、より正確に検温できる機種が増えていくでしょう。
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