「画像認識」が注目される理由と事例7選

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AIの典型的な活用分野の一つに画像認識があります。画像認識ではその名の通り、画像からパターンを認識して「何が映っているか」を特定することができます。ディープラーニングと呼ばれる手法により飛躍的な精度の向上に成功しました。

それでは具体的に、画像認識でできることはなんでしょうか。

この記事では実際の活用事例を交えながら、画像認識の現在と可能性、その導入におけるポイントまで解説していきます。

画像認識の機能

画像認識とは、画像から「何が映っているのか」の認識ができる技術です。

ディープラーニングと呼ばれる手法によって精度が格段に向上しました。現在の画像認識は、場合によって人間を超える能力を発揮します。

画像認識の実態

画像認識について理解するのにもってこいの画像があります。こちらをご覧ください。

株式会社AIUEOが2018年10月から2019年3月にわたって、新潟件長岡市と共同で、ディープラーニングを用いた歩行者通行量調査の実証実験を行った時の画像です。このように対象物を検出してそれが何かを特定しています。(事例1)

この事例では、画像から人間を特定してカウントしていています。従来の歩行者通行量調査をAIが行っているのです。

画像認識の技術は多くの応用が可能です。例えば、人間の書いた文字をコンピュター上で編集可能な形で出力したり、通常時の画像と違うものを検出して異常とみなしたりできます。

画像認識が注目される理由

ディープラーニングによって画像認識の精度が大幅に向上

ディープラーニングの躍進のきっかけは、2012年ILSVRCという大規模な画像認識コンテストにてトロント大学のチームが圧勝したことにあります。

このコンテストは2012年以前、毎年1%~2%単位でエラー率を減少させていました。しかしこの2012年のトロント大学は、10%程度もエラー率を改善したのです。

衝撃の結果がディープラーニングへの注目を集め人工知能ブームを引き起こすきっかけになりました。画像認識は今でもディープラーニングのメジャーな活用方法です。

現在の画像認識コンテストでは上位のほとんどのモデルがディープラーニングを利用しています。

ディープラーニングは“眼”である

東京大学 大学院 工学系研究科 教授の松尾豊氏は、ディープラーニングを“眼”の技術と表現しています

これはまさにディープラーニングが登場することによって、画像認識の精度が上がったことを表現しています。

この“眼”の誕生はカンブリア爆発を想起させます。

カンブリア爆発とは
ーー古生代カンブリア紀の初頭、約5億4千万年前から5億年前頃に、今日見られる動物の門の多くが一気に出現した現象

出典:小学館

多様な動物が出現するカンブリア爆発は、眼の登場が契機になったという光スイッチ説があります。同様に“眼”を手に入れたAIは爆発的に普及が進むのではないかと言われています。

実際に画像認識を含めてAIの活用は急ピッチで増加しています。その活用方法を事例を元に解説していきます。

非構造化データの活用が可能に

ディープラーニングの普及は「非構造化データ」の処理が可能になったとも捉えることができます。

非構造化データとは、構造が定義されていない、文章や写真、動画などの定型的に扱うことができないデータのことを指します。

例えば、猫の画像を従来のシステムが猫と判断するには、耳の形や髭の本数、顔の形や色など、細かい部分までエンジニアが定義しなくてはいけませんでした。

しかし、ディープラーニングでは、大量の画像を学習することで特徴を自動的に取得し、それが猫なのか、犬なのかを判断することができています。

「非構造化データ」を扱うことができるようになったことで、従来は人の眼でしか判断が下せなかったタスクを自動化できる可能性が広がり、製造業や医療など幅広い分野で、イノベーションが起き始めています、

画像認識の活用事例

画像認識を導入するためには、その可能性を把握するのが欠かせません。そこで、3つの業界における画像認識の活用事例を紹介します。

製造業における画像認識

経済産業省がコネクテッドインダストリーズと題して、IoTとAIの活用に力を入れているように、製造業にもAI導入が進んでいます。

世耕経済産業大臣は日経新聞社が主催したAI/SUMの講演で、AI活用のチャンスの一つにものづくり産業に眠るデータを挙げ以下のように述べました。

先端素材で有名な昭和電光には過去数十年間に渡る膨大な、しかし手書きの技術文章が蓄積されてきました。これは企業の競争力の源泉そのものであります。この手書きのデータをAIベンチャーのシナモンが開発をしたAI文字認識技術で手書きの資料を電子テキストデータベース化しました。

その結果、今まで30分かかっていた技術文章の探索時間を10秒に短縮することができ、生産性を飛躍的に高めることに成功いたしました。各国が国を挙げて戦略的な取り組みを行う中、私は日本が持っている豊富なリアルデータをさまざまなものにつなぐことで新たな価値を生み出すコネクテッド・インダストリーズに日本のグローバルな勝ち筋を見出しているところであります。

引用:https://ainow.ai/2019/04/22/168289/

画像認識も例外なく製造業のさまざまな目的に応じて応用され、活用が進んでいます。

例えば富士通は画像認識AIを自動外観検査機を製造ラインに導入することで、不良品検出の精度や人手不足の解消を解決しようと試みています。(事例2)

このような外観検査や不良品検品は、画像認識の製造業における活用の典型です。

またスペインのSadako Technologysは、産業廃棄物を画像で判断して分別するモデルを開発しました。ベルトコンベアから流れている廃棄物からペットボトルだけを判別することができます。(事例3)

これからはIoTデータと組み合わせた発展も期待でき、日本の経済成長を支えてきたものづくりにも、活用のチャンスがたくさん秘められています。

医療における画像認識

医療も画像認識技術の活用が進んでいる分野の一つです。

実際に人間の目では、確認できなかった病気の発見にも成功しています。

例えば理化学研究所(理研)光量子工学研究センター画像情報処理研究チームは、AIによって早期胃がん領域の高精度検出に成功しました。(事例4)

機械の“眼”によって、時に人間も気づかない胃の異常な部分を検出するのです。

他にも「EndoBRAIN」は超拡大内視鏡で腫瘍を判定して診断するシステムを開発しています。また「富士フィルム」は細かな血管を強調する機能や細かな色を強調する機能を含めた、画高度な画像認識機能活かした診断支援技術を開発しています。(事例5)

このように画像認識だけでもAIが使われていますが、それに留まらず医療は活用が進んでいる分野です。AINOWでもまとめています。

なぜAIは医療を変えるかー企業の事例から読み取る医療AIの可能性

防犯における画像認識

防犯でも画像認識が活用されています。

従来は警備員が肉眼によって異常物や不審者はいないか巡回していました。確かに監視カメラはこれまでも配置されていました。しかし、それは後から人間が確認するために過ぎません。

AIを搭載した監視カメラは“目”を手に入れて、異常をリアルタイムで通知できる可能性があります。

例えば、セキュリティの会社として有名なALSOKもNTTドコモと提携しています。監視カメラが映像から異常を感知すると、警備員を呼び出すような仕組みを目指して開発を進めています。(事例6)

AI・4K・5Gで進化するALSOKの警備サービスとAI導入成功の勘所【THE AI 3rd講演レポート】

また富士通はAI技術「Zinrai」を活用して、監視カメラから都市全体の車や人の動きも把握するシステムを提供しています。事前に登録された人物との照会も可能になるとしています。(事例7)

画像認識AI導入のプロセス

それでは実際に画像認識を導入するにはどうすれば良いのでしょうか。

画像認識モデルの作成には大きく3つのプロセスがあります。まず、目的とそれに応じた認識モデルの精度を決定。続いて、それを基にデータを収集してモデルを作成。最後に、開発したモデルの評価を繰り返して精度を向上させます。

このようなプロセスを経るAI導入では以下の躓くポイントが想定されます。

  • 開発技術が自社にない
  • 既存の業務,事業の定義が不足している
  • データの量の不足や整理の不足

特に開発技術が自社にない場合の多くは、導入受注企業などと相談しながら解決してくことになります。そこで、もっとも大事なことはプロセスの1つ目である目的の設定です。

人の命が関わる産業なのか、費用が削減できれば良いのか、どのくらいの予算規模で開発するのかなど、既存の事業の在り方によって画像認識を含めたAIに求められる役割も変わります。目的の部分を開発サイドに丸投げせずに、考えることが重要です。

おわりに

人間の目によって行われている仕事は膨大にあり、“眼”を手に入れたAIは技術の進歩と発想次第でさまざまな活用の可能性を秘めています。また、認識だけにとどまらず画像生成などの技術も活用が進んでいます。

画像認識に限らず人工知能は活用を進めて行くことで、データを収集しモデルを強化することもできます。一方でとりあえずAIに取り組めば生産性が上がるかのような議論をせずに、具体的な目的と効果を定めるのも肝心です。地に足の付いた議論を進めていくことに注意しながら導入を進めていきましょう。

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