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ディープラーニングを活用して将棋のソフトが開発されており、気になっている人も多いのではないでしょうか?AIが対戦でプロ棋士に勝ったこともあるので、将棋のソフトにはとても興味がありますよね。
従来のソフトとは何が違うのか?無料でも使えるソフトはあるのか?本記事を通して、知ってもらえたらと思います。
目次
ディープラーニングを使った将棋ソフトとは?
種類としては、主に2つあります。
- 対局するためのソフト
- 記録をするソフト
対局するソフトでは、レベルを設定して対戦が可能になっていたり、分析機能が備わっているため、アドバイスを貰えます。
記録をするソフトは、年間で3,000局以上の対局を記録するために用いられています。記録係を担う人材を補う形で導入されました。天井にカメラを設置し、ディープラーニングを活用した画像認識の技術により、全ての駒を認識して記録しています。
以下の記事では、将棋で使われているAIについて解説しています。気になる方は、参考にしてください。
▶AIが棋力向上をサポート?将棋の世界で活躍するAIとは>>
▼ディープラーニングについて詳しくはこちら
ディープラーニング系将棋ソフトと従来の将棋ソフトとの違いは?
将棋ソフトは今までにも多く存在していました。が、従来の将棋ソフトとディープラーニング系将棋ソフトはどこが違うのでしょうか。
それぞれの特徴に注目して、解説していきます。
従来の将棋ソフトの特徴
AIの特徴として、人間の感情に左右されることはありません。人間は先行きが予想できなかったり、リスクが大きい手の場合は心理状態に大きく左右されます。
AIであれば、心理状態に左右されることなくデータに基づいた統計的な一手で、戦況が有利に展開されるように指すことができるのが特徴です。
従来の将棋ソフトは、できるだけ多くの局面を先読みして探索します。人間が理解できる特徴量を使用し、機械学習で点数をつける仕組みになっています。
ディープラーニング系将棋ソフトの特徴
これまでの将棋ソフトとは違い、あまり局面を調べることができません。1秒間で読める対局面の数が少ないのです。
しかし、ディープラーニング系将棋ソフトは、局面の評価の精度が非常に高いので、あまり局面数を読まなくても強いという特徴があります。
▶ディープラーニングができること・できないことを紹介!苦手分野は例外処理!>>
プロの棋士がディープラーニング系将棋ソフトで研究
渡辺明名人、ディープラーニング系将棋ソフトを導入
将棋の渡辺明名人は、一秒間に8000万手読むコンピュータを購入し、ディープラーニング系のソフトを導入し、研究を重ねています。
2007年にはコンピュータ将棋Bonanzaと戦った渡辺明名人は、より強い将棋AIを作る最善の研究手法を見つけるため、ディープラーニングを用いたソフトの購入を決意しました。
藤井聡太四冠、dlshogiと水匠を活用
藤井聡太四冠は、将棋の練習の際に水匠を使っていることを公言しました。
ただ、電竜戦(コンピュータ将棋の大会)でdishogiが優勝した後すぐに藤井聡太四冠がdlshogiも使い始めたようです。
どちらのアプリもかなり強いソフトになっているため、両方を使う選択は正しい考えだと言えます。
無料版はある?現在利用できる主なディープラーニング系将棋ソフト2つ
パソコン用の将棋用ソフトは多く存在しています。
その中でも一般的に「水匠」と「dlshogi」の二つがトップ2と言えるでしょう。以下でそれぞれ解説していきます。
dlshogi-ディープラーニング系ソフト
dlshogiは、山岡忠夫さんが開発したディープラーニングベースの将棋AIです。ファイルの設定が多いため、導入の難易度は高いとされています。パソコンに慣れていない人には難しいかもしれません。
dlshogi(第2回世界将棋AI電竜戦エキシビジョンバージョン)のWindows版のファイルは公開されており、以下のリンクからダウンロード可能になります。
▶dlshogi(第2回世界将棋AI電竜戦エキシビジョンバージョン)のWindows版>>
モデルファイルのライセンスはしっかりと確認した上で、ダウンロードするようにしましょう。
水匠-2021年最強将棋ソフト
水匠は、やねうら王が元になっているソフトです。
これはいわゆる『NNUE系』と呼ばれる、CPUで動く従来型のソフトであり、一般のパソコンでも高いパフォーマンスを発揮できます。水匠も同様に無料でダウンロードが可能ですが、将棋所と言うGUIツールの利用が必須になります。
水匠のファイルはやねうら王のファイルに同梱されていますので、下記リンクからダウンロードしてください。
pythonで将棋ソフトを自作するために必要なもの
開発するにあたって主に2つ紹介します。
- 将スタ -将棋ソフトスタジオ
- 書籍『強い将棋ソフトの創り方』
それぞれついて、解説していきます。
「将スタ -将棋ソフトスタジオ-」
「将スタ-将棋ソフトスタジオ」は将棋AI用の学習データや将棋ソフトを作成できるツールです。すえよし。氏が公開したもので、無償でダウンロードできます。
学習データは、将棋プログラム同士が連続対局を行う「floodgate」の将譜やレーティングをベースに生成が可能です。また、ソフト名や作者名、学習モデルの指定などを行うだけで将棋ソフトの作成もできます。
どちらもプログラミングの知識がなくても、簡単な操作で行えるのが特徴です。下のリンクからダウンロードが可能です。使い方の動画も載っているので参考にしてください。
書籍『強い将棋ソフトの創り方』がおすすめ
「強い将棋ソフトの創り方」ではディープラーニングを実装した将棋アプリを作成することに長けており、網羅的に解説されています。
4つのパートで構成されており、わかりやすく解説されています。
1章、2章では、コンピューター将棋で使われいているアルゴリズムについて解説されています。ディープラーニングを使用することによって、従来のソフトよりも優れているところについて解説しています。
3章、4章では、Pythonを使って実装していきます。開発環境では、無料で使えるGoogle Colabノートブックを利用しており、スムーズに作れるようになっています。また、より強いソフトを作るための方法も解説されています。
おわりに
ディープラーニングを実装している将棋ソフトについて解説してきました。プロの棋士でも、こうしたソフトを使って将棋を研究していることは、とても驚きですよね。
今後もディープラーニングが活用されていく中で、すごいソフトが開発されていくかも知れません。自分で将棋ソフトを作りたいと思った人は、実際にソフトを作っていく書籍が販売されているので、参考にしてはどうでしょうか?
ディープラーニングについて詳しく知りたいという人は下のリンクから、図解を使ってわかりやすく解説してあります。