株式会社モルフォは、2004年に設立された画像処理およびAI(人工知能)技術の研究・製品開発を手掛ける企業で、主にスマートフォン・半導体・車載・IoT向けソフトウェア事業をグローバルに展開しています。
特にスマートフォン業界では、現在世界シェアトップ10のメーカーの中で7社にカメラ画質向上技術を提供するなどスマートデバイスに強く、近年はスマートシティの実現に向けた技術にも取り組んでいます。
今回は株式会社モルフォの概要や事業内容を紹介しつつ、同社の強みや動向について解説していきます。
株式会社モルフォとは
企業概要
社名 | 株式会社モルフォ |
設立 | 2004年5月26日 |
所在地 | 東京都千代田区神田錦町 2-2-1 KANDA SQUARE 10階 |
代表 | 代表取締役社長 平賀 督基 |
社員数 | 95名 |
資本金 | 1,783,958千円 |
ビジョン
”イメージングAIで、世界をもっと豊かに”
モルフォは、イメージング・テクノロジーの研究開発型企業として、2004年にスタートしました。コンピューターサイエンスは実学であるという信念に基づき、最先端の研究を理論で終わらせるのではなく、それを社会のニーズに適応させ、世の中に生かしていくことが使命であるとしています。
モルフォは、これまでに高度な画像処理と最先端のAI・ディープラーニング技術を融合させた「イメージングAI」により、新たな可能性を生み出し、社会のさまざまな分野に貢献しています。
沿革
2004月5月 | 東京都港区南青山に株式会社モルフォを設立 |
2004年10月 | 「PhotoSolid®」(画像処理による静止画6軸手ブレ補正技術)
「MovieSolid®」(動画4軸手ブレ補正技術)を発表 |
2006年6月 | NTTドコモ端末へ「PhotoSolid®」の搭載開始 |
2006年11月 | NTTドコモ端末へ「MovieSolid®」の搭載開始 |
2007年10月 | 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモと業務資本提携 |
2011年7月 | 東京証券取引所マザーズ市場に株式上場 |
2012年2月 | Morpho US, Inc. 設立 |
2013年10月 | Morpho Korea,Inc.設立 |
2014年12月 | ディープラーニングによる画像認識技術の開発に成功
「Morpho Scene Classifier™」等の提供開始 |
2015年12月 | 株式会社デンソーと資本業務提携 |
2016年4月 | 画像認識に特化したディープラーニング製品「Morpho Deep Learning System™」を発表 |
2017年4月 | 株式会社エスアールエルと業務提携 |
2017年11月 | 株式会社みらかホールディングス(現 H.U.グループホールディングス)と資本提携 |
2017年12月 | 世界最速級のディープラーニング推論エンジン「SoftNeuro®」を発表 |
2018年8月 | Morpho China, Inc.設立 |
2018年10月 | フィンランドのAI開発企業Top Data Scienceを子会社化 |
2018年11月 | フラッシュ低減技術「Morpho Deflash™」をNHKが採用 |
2019年5月 | 「Morpho Video Processing Solutions™」がEVAのVision Product of the Year Awardで
「ベストソフトウェア/アルゴリズム賞」を受賞 |
2019年6月 | クアルコムとモバイルカメラ機能強化で提携 |
2019年11月 | PUX株式会社を持分法適用関連会社化 |
2019年12月 | 株式会社モルフォAIソリューションズ設立 |
2020年6月 | Morpho Taiwan, Inc.設立 |
2021年9月 | 株式会社ミックウェアと資本業務提携 |
株式会社モルフォの事業内容
ディープラーニング推進エンジン「SoftNeuro」
「SoftNeuro®(ソフトニューロ)」は世界最速級のディープラーニング推進エンジンです。主要なディープラーニング・フレームワークを用いて行われた学習結果を活用して、エッジデバイスなどの様々な環境上で高速な処理を実現します。また、マルチプラットフォーム対応により、学習結果を広範な動作プラットフォームへ展開できることや、学習済みのネットワークを暗号化するため結果の漏洩リスクを軽減していることも特徴です。
映像処理ソリューションパッケージ 「Morpho Video Processing Solutions」
「Morpho Video Processing Solutions(モルフォビデオプロセシングソリューションズ)」は映像制作向けに開発したアプリケーションソフトウェアです。モルフォ独自のアルゴリズムや技術によって高精度で実現させた、超解像を用いたファインアップスケーリングやフレーム補間技術を用いたフレームレート変換など、映像制作で必要な機能を複数搭載したソリューションパッケージとなっています。またこちらはEVAのVision Product of the Year Award2019で「ベストソフトウェア/アルゴリズム賞」を受賞しています。
出典:https://www.morphoinc.com/technology/isp
静止画向け電子式手振れ補正・ノイズ除去技術 「PhotoSolid®」
「PhotoSolid(フォトソリッド)」は、動き検出技術「SOFTGYRO®(ソフトジャイロ)」をコアとした、モルフォ独自の合成技術による静止画向けの電子式手ブレ補正および複数枚画像合成によるノイズ除去技術です。
電子手ブレ補正は高感度、高速シャッターで撮影された複数の静止画像を、「SOFTGYRO」をコアとしたモルフォ独自の合成技術により、ブレを極限まで抑えた高品質画像が得られる業界トップクラスの静止画手ブレ補正ソフトウェア技術です。夜景撮影や望遠撮影など、手ブレや被写体ブレが発生しやすい条件化で効果を発揮します。
複数枚画像合成によるノイズ除去も同様に、「SOFTGYRO」をコアとしたモルフォ独自の合成技術により、ゴーストやアーティファクトの発生を極限まで抑えたノイズ除去機能です。
この技術は、現在スマートフォン世界シェアトップ10のメーカーの中で7社に提供されています。
出典:https://www.morphoinc.com/technology/pstab
株式会社モルフォの特徴
モルフォはこれまで高度な画像処理技術と最先端のAI・ディープラーニング技術を実用化させてきたとともに、この2つの技術を融合した「イメージングAI」により「スマートデバイス、車載・モビリティ、ファクトリーオートメーション、スマートシティ」の4つの領域で新たな可能性を生み出してきました。
スマートデバイスでの撮影レベルの向上
モルフォの画像処理ソフトウェアは多くのスマートフォンに搭載されており、2021年1月末時点で35億ライセンスを突破しています。このソフトウェアによって、これまではデジカメや一眼レフでしか撮れなかった動きがありブレやすいシーンや夜間での撮影でも、ハイクオリティな写真や動画をスマートフォンで撮れるようになりました。また撮影ボタンをタップするだけで、人物や風景などの被写体を自動的に識別し、画像の最適化ができるようになるなど、画像処理技術とディープラーニングが融合したイメージングAIによりスマートデバイスでの撮影レベルが格段と向上しました。
自動運転技術でのデンソーとの協業
2015年にモルフォは株式会社デンソーとの間で、画像処理技術とディープラーニングを使った画像認識技術に関して協業を開始し、以来画像処理技術においては電子ミラーなどの周辺監視システムをはじめとする先進運転支援に関する技術開発、ディープラーニングにおいては自動運転に関する基礎的研究などを進めてきました。またイメージングAIを車載カメラに搭載することで、自動車にとどまらず建設機械や農業機械などの特殊車両から鉄道、船舶まで自動化と安全機能を行き渡らせたいと考えています。
働く人と顧客の双方にメリットを
ものづくりの現場では、最先端の画像技術を活用した生産ラインの自動化が急速に進んでいます。これまで人によって行われてきた検査作業において、AIを使用して検査画像を自動分類することで、検査プロセスの高速化・高精度化が可能になり、検査数の増加と期間の短縮を同時に実現できます。また、熟練した技術を要する仕事において、AIのサポートにより経験が浅くても業務対応が可能になり、業務の生産性向上や技術の継承者不足の解消につながるなど、負担軽減と作業品質の向上による働く人と顧客の双方にとってメリットを創出することができます。
映像と画像解析AIで安心・安全・快適な社会へ
モルフォでは、先進的な画像解析技術をスマートシティにおける課題解決に応用し、混雑状況をAIで見える化するソリューション、介助が必要な方を発見する見守りAI等の開発に取り組んでいます。また、これまでに培ったAI導入のノウハウや技術力を活かし、AIを活用したDX推進に関して、企画から実装までワンストップで支援しています。
株式会社モルフォの最新の動向
モルフォは、2019年の12月に株式会社モルフォAIソリューションズを設立し、ますますAIに力を入れています。今回はモルフォAIソリューションズの主なプロダクトの3つを紹介します。
スマートシティ向けAIソリューション
スマートシティ領域においては、近年、公共安全への関心の高まりやコロナ渦を契機としたオペレーションの効率化のためにセキュリティカメラシステムを活用したAI活用が浸透してきており、AIカメラソリューションの提供を行っています。
文書向けOCRソリューション
大企業や政府・自治体を中心に、紙文書の検索性向上やデジタル・アーカイブ構築のために、蓄積した文書をテキスト化するニーズがあります。このニーズに対して、最新のディープラーニングを用いたOCRテキスト化が有効です。
社会インフラ向けメンテナンスAIソリューション
国内の各種インフラの多くは、高度経済成長期に開発され老朽化を迎えています。そんな各種インフラは、安全性担保のため保守・点検のニーズが高まる一方で、事業者としてはコスト面での制約があるため、戦略コンサルファームとも連携してメンテナンスAIのソリューションを提供しています。
株式会社モルフォの採用情報
現在株式会社モルフォでは以下の業種・職種の採用を行っています。
募集職種
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応募概要
試用期間
入社後3ヶ月間 |
福利厚生
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休日
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採用フロー
エントリー → プログラミングテスト(詳細はEメールでご案内します) → 1次面接(※) → 適性試験(Web) → 最終面接 → 内定
※1次面接はオンライン面接も可能です |
まとめ
今回は「株式会社モルフォ」について紹介しました。
モルフォは「スマートデバイス、車載・モビリティ、ファクトリーオートメーション、スマートシティ」という幅広い領域でイメージングAIにより、新たな可能性を生み出しており、今後も目が離せません。
The Playersシリーズでは、AI関連の企業にフォーカスした記事を書いています。さまざまなAI企業を比較することで、成功するAI関連企業の法則が見えてくるかもしれません。
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