
AIエージェントという言葉を耳にする機会が増え、実際にどう作るのか、自分にも作れるのか知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
作り方の選択を誤ると、必要以上の学習コストがかかったり、途中で挫折したりします。
本記事では、ノーコード・ローコード・フルコードという3つの作り方の選び方診断から、Difyを使った実践ステップ、費用相場までを解説しています。
読み終える頃には、自分に合った作り方を判断でき、実際に動くAIエージェントを完成させる準備が整うでしょう。まずは自分に合う作り方から確認していきましょう。
目次
【選び方診断】AIエージェントの作り方は3パターン
AIエージェントの作り方には、開発の自由度に応じて3つのパターンがあります。
- ノーコード:プログラミング知識なしで作る方法
- ローコード:一部の設定や簡易な実装を組み合わせる方法
- フルコード:Pythonなどのプログラミング言語で自由に開発する方法
自分の目的とスキルレベルに合わない方法を選ぶと、開発が思うように進まず挫折の原因になります。
【ノーコード】プログラミング知識なしで作る
ノーコードは、プログラミング知識がなくてもGUI操作でAIエージェントを作れる方法です。
画面上でLLM(大規模言語モデル)やツールをフォーム入力や設定だけで組み合わせるため、コードを書く必要がありません。
代表的なツールにDify(ディファイ)やMicrosoft Copilot Studioがあります。Difyは無料プランから試せ、チャット形式のAIエージェントを短時間で作成できます。
プログラミング未経験の業務担当者でも、自分の手で最初の1つを完成させられます。
【ローコード】一部の設定・簡易な実装で作る
ローコードは、一部のロジックを設定やシンプルなコードで組み込みながら作る方法です。
ノーコードツールでは対応しきれない条件分岐や外部システム連携を、簡易な設定やスクリプトで補えます。
n8n(エヌエイトエヌ)やAutomation Anywhereのようなツールが代表的です。GUIでワークフローを組みつつ、必要な箇所だけコードを追加できます。
ノーコードの手軽さを保ちながら、業務システムとの連携など一歩進んだ自動化に対応できます。
【フルコード】Pythonなどで自由に開発する
フルコードは、Pythonなどのプログラミング言語を使い、AIエージェントの動作を自由に設計する方法です。
LangChainやCrewAIといったフレームワークを使えば、複数のAIエージェントを連携させる複雑な処理も実装できます。
社内システムと深く連携させたい場合や、独自の判断ロジックを組み込みたい場合に選ばれる方法です。
開発に時間はかかりますが、業務要件に合わせた柔軟なAIエージェントを構築できます。
AIエージェントを作る前に準備する3つのこと
AIエージェントを作り始める前に、準備しておくべきことが3つあります。
- 自動化したい業務を洗い出す
- 開発の目的とゴールを明確にする
- 開発方式(ツール・言語)を選ぶ
準備を怠ると、完成したAIエージェントが業務に合わず、作り直しになる場合があります。
自動化したい業務を洗い出す
まず、日常業務の中でAIエージェントに任せたい作業を具体的に洗い出します。
対象業務が曖昧なまま開発を始めると、機能が定まらず完成までに時間がかかります。
議事録の要約、メールの一次対応、請求書データの入力といった、手順が決まっている繰り返し業務が適しています。
業務を具体的に洗い出しておくことで、次のステップで必要な機能やツールを迷わず選べます。
開発の目的とゴールを明確にする
次に、AIエージェントを何のために作るのか、目的とゴールを明確にします。
目的が定まっていないと、開発中に機能を追加し続けてしまい、完成が遠のきます。
「毎日30分かかっている議事録作成を5分に短縮する」のように、具体的な時間や数値で目標を設定します。
ゴールを明確にしておくと、完成後に効果を検証しやすくなり、社内への説明もしやすくなります。
開発方式(ツール・言語)を選ぶ
洗い出した業務と目的に合わせて、開発方式を選びます。
業務が単純な繰り返し作業であればノーコード、外部システムとの連携が必要であればローコードかフルコードが適しています。
前述の3パターンの選び方診断を参考に、自分の業務内容とスキルレベルに合う方式を決めます。
この段階で方式を決めておくことで、次の実践ステップに迷わず進めます。
【ノーコード】DifyでのAIエージェントの作り方5ステップ
Difyを使ったAIエージェントの作り方は、次の5ステップです。
- アカウントを作成する
- 知識ベース(RAG)を設定する
- LLMとプロンプトを設定する
- 外部ツールと連携する
- 動作確認して公開する
5ステップを順番に進めれば、プログラミング未経験でも最初のAIエージェントを完成させられます。
ステップ1:アカウントを作成する
Difyの公式サイトからアカウントを作成し、無料プランでプロジェクトを開始します。無料プランはメッセージクレジットを消費するまで利用できます。
>参考:プランと料金(Dify公式)
まずは無料プランで操作に慣れ、必要に応じて有料プランへ切り替える進め方がおすすめです。
ステップ2:知識ベース(RAG)を設定する
社内マニュアルやFAQなど、AIエージェントに参照させたい資料をアップロードし、知識ベースを設定します。
この設定により、AIエージェントは自社の情報に基づいた回答ができるようになります。資料がない場合は、このステップを省略してもかまいません。
ステップ3:LLMとプロンプトを設定する
使用するLLM(ChatGPTやClaudeなど)を選び、AIエージェントの役割や回答のルールをプロンプトで指示します。
プロンプトが曖昧だと、意図しない回答をする原因になります。役割・制約・出力形式を具体的に書くことが重要です。
ステップ4:外部ツールと連携する
メール送信やスプレッドシート更新など、AIエージェントに実行させたい操作を外部ツールとして連携します。
連携するツールが増えるほど、AIエージェントが対応できる業務範囲が広がります。
ステップ5:動作確認して公開する
実際の業務データに近い入力でテストし、意図した通りに動くか確認します。
問題がなければ公開し、社内での利用を開始します。公開後も回答内容を確認し、必要に応じてプロンプトを調整します。
【フルコード】PythonでのAIエージェントの作り方4ステップ
Pythonを使ったAIエージェントの作り方は、次の4ステップです。
- 開発環境を構築する
- LLM APIと連携する
- 外部ツールを実装する
- 動作確認して改善する
ノーコードでは対応できない要件がある場合、この4ステップでより柔軟なAIエージェントを開発できます。
ステップ1:開発環境を構築する
Pythonの実行環境を用意し、LangChainやCrewAIといったAIエージェント構築用のライブラリをインストールします。
これらのライブラリを使うと、LLMとツールを連携させる処理を少ないコードで実装できます。
ステップ2:LLM APIと連携する
OpenAIやAnthropicなどが提供するLLMのAPIキーを取得し、プログラムから呼び出せるように設定します。
APIキーは第三者に漏れないよう、環境変数などで管理します。
ステップ3:外部ツールを実装する
Web検索やデータベース参照など、AIエージェントに実行させたい機能をツールとして実装し、LLMから呼び出せるようにします。
ツールの入出力を明確に定義しておくと、意図しない挙動を防げます。
ステップ4:動作確認して改善する
想定される業務パターンでテストを繰り返し、意図した通りに動作するか確認します。
うまく動かない場合はプロンプトやツールの定義を見直し、改善を重ねます。
AIエージェント開発の費用相場は3パターン
AIエージェント開発の費用相場は、作り方によって3パターンに分けられます。
- 自作・ノーコードで作る場合の費用
- 外注する場合の費用
- SaaS型AIエージェントを利用する場合の費用
費用感を把握しておくことで、社内での予算確保や導入方式の意思決定がしやすくなります。
自作・ノーコードで作る場合の費用
自作・ノーコードで作る場合、費用はツールの利用料が中心です。
Difyのようなノーコードツールは無料プランから試せ、機能を増やす場合のみ有料プランに切り替える料金体系のためです。
Difyは無料プランに加え、Professionalプランが年払いで590米ドル(ワークスペースごと)、Teamプランが年払いで1,590米ドルです。
>出典:プランと料金(Dify公式)
小規模な業務自動化であれば、初期費用をほとんどかけずに開発を始められます。
外注する場合の費用
開発を外注する場合、要件の複雑さに応じて費用が大きく変わります。
外部ツールとの連携数や、独自の判断ロジックの量に応じて開発工数が増えるためです。
シンプルな業務向けAIエージェントであれば数十万円程度、複数システムと連携する複雑な要件では数百万円規模が目安です。
自社で開発するリソースがない場合でも、要件を明確にしておけば適正な見積もりを得やすくなります。
SaaS型AIエージェントを利用する場合の費用
開発せずにSaaS型のAIエージェントサービスを利用する方法もあります。
あらかじめ用意された機能を月額課金で利用するため、開発工数をかけずに導入できます。
月額数万円から利用できるサービスが多く、対応業務や利用人数に応じて料金プランが分かれています。
開発リソースを確保できない企業でも、短期間でAIエージェントの活用を始められます。
AIエージェント作成で失敗しないための注意点
AIエージェントの作成では、事前に知っておくべき注意点が3つあります。
- プロンプト設計が曖昧だと精度が落ちる
- セキュリティ・権限設計を怠ると情報漏洩リスクがある
- ノーコードの限界を超えたらフルコードへ移行する
これらを知らずに開発を進めると、精度の低いAIエージェントができたり、想定外のトラブルにつながったりします。
プロンプト設計が曖昧だと精度が落ちる
プロンプトの指示が曖昧だと、AIエージェントの回答精度が下がります。
役割や制約が明確でないと、LLMが意図しない範囲まで回答を広げてしまうためです。
「質問に答えてください」だけでなく、「社内マニュアルの範囲内で、わからない場合は不明と答えてください」のように制約まで指示します。
プロンプトを具体的に設計しておくことで、業務で実際に使える精度を保てます。
セキュリティ・権限設計を怠ると情報漏洩リスクがある
AIエージェントに与える権限やアクセスできる情報の範囲を設計しないと、情報漏洩のリスクがあります。
AIエージェントは連携したツールやデータに自律的にアクセスするため、権限が広すぎると意図しない情報まで扱ってしまう場合があるためです。
顧客情報を扱う業務では、AIエージェントがアクセスできるデータベースの範囲を必要最小限に絞り、操作ログを記録します。
権限設計を事前に行っておくことで、業務範囲を広げても情報管理の安全性を保てます。
ノーコードの限界を超えたらフルコードへ移行する
ノーコードツールで対応できない要件が出てきた場合は、フルコードへの移行を検討します。
ノーコードツールは手軽さを優先した設計のため、複雑な条件分岐や独自システムとの深い連携には限界があるためです。
複数のAIエージェントを連携させたい場合や、独自の判断ロジックを組み込みたい場合は、LangChainなどのフレームワークを使ったフルコード開発に切り替えます。
限界を早めに見極めることで、無理にノーコードで作り込んで開発が停滞する事態を避けられます。
AIエージェントの活用事例
AIエージェントは、手順が決まっている繰り返し業務を中心に活用されています。
判断基準が明確な業務ほど、AIエージェントに任せる範囲を設計しやすいためです。
議事録を要約して関係者に共有する業務、問い合わせメールの一次回答を作成する業務、請求書のデータを読み取って会計システムに入力する業務などが代表的です。いずれも判断基準が明確で、AIエージェントに任せやすい業務といえます。
こうした業務例を参考にすれば、自社のどの業務から着手すべきかを判断しやすくなります。
AIエージェントの作り方に関するよくある質問
AIエージェントの作り方に関する質問は以下の4つです。
- プログラミング知識がなくても作れますか
- 作成にはどのくらいの期間がかかりますか
- 個人でも作れますか
- どのツールを選べばいいですか
質問に対する回答を確認して、AIエージェント開発の参考にしてみてください。
プログラミング知識がなくても作れますか
プログラミング知識がなくても、ノーコードツールでAIエージェントを作れます。
DifyやCopilot Studioのようなツールは、画面上の操作でLLMやツールを組み合わせる設計になっているためです。
実際に、業務担当者がDifyの無料プランを使って、社内FAQに回答するAIエージェントを自作するケースが増えています。
まずはノーコードで1つ完成させてから、必要に応じてローコード・フルコードへ進む進め方がおすすめです。
作成にはどのくらいの期間がかかりますか
作成にかかる期間は、開発方式と業務の複雑さによって異なります。
ノーコードでシンプルな業務を対象にする場合と、フルコードで複数システムと連携する場合とでは、必要な工数が大きく変わるためです。
ノーコードであれば準備を含めて数日から1週間程度、フルコードで複雑な要件に対応する場合は数週間から数か月かかることもあります。
まず小さな業務から着手すれば、短期間で最初の成果を得られます。
個人でも作れますか
個人でもAIエージェントを作れます。
ノーコードツールの多くは個人向けの無料プランを用意しており、契約や環境構築のハードルが低いためです。
個人のタスク管理やSNS運用の下書き作成など、自分の作業を自動化する目的でDifyやChatGPTのGPTsを使う例があります。
個人で試しておくと、業務での導入を検討する際にも判断基準を持って進められます。
どのツールを選べばいいですか
ツールの選び方は、対象業務とスキルレベルによって変わります。
ツールごとに得意な範囲が異なり、合わないツールを選ぶと機能不足や過剰投資につながるためです。
生成AIチャット寄りの用途ならDify、業務システム間の連携が中心ならn8n、独自の要件が多い場合はPythonでのフルコード開発が向いています。
本記事の選び方診断(3パターン)を参考にすれば、自分に合うツールを判断しやすくなります。
目的とスキルレベルに合った作り方から着手しよう
AIエージェントの作り方は、ノーコード・ローコード・フルコードの3パターンから、目的とスキルレベルに合わせて選ぶことが重要です。それぞれの実践ステップと費用相場を押さえておけば、遠回りせずに開発を進められます。
まずは自動化したい業務を洗い出し、Difyのようなノーコードツールで最初の1つを完成させてみましょう。小さく試して効果を確認しながら進めれば、途中で挫折するリスクを抑えられます。
AIエージェントが完成した後は、社内での運用ルールの整備や、複数の業務を連携させるより高度な自動化への発展が新たな課題になります。



















