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2026.09.25

AIエージェントによるプログラミングとは?できること・ツール7選・始め方

AIエージェントによるプログラミングとは、AIが計画から実装、テスト、修正までを自律的に進める開発手法です。本記事では、AIエージェントがプログラミングでできることと、3つの型で整理した主要ツール7選を解説します。

Claude CodeやDevinなど、AIコーディングエージェントが次々と登場しています。違いがわからず、どれを試せばよいか決めきれない方も多いでしょう。

AIエージェントは、コードの補完にとどまらず、ファイルの編集やコマンドの実行まで自分で進めます。Stack Overflowの2025年調査では、開発者の約31%が業務でAIエージェントを使っていると回答しました。
出典:AI|2025 Stack Overflow Developer Survey(Stack Overflow)

仕組みを知らないまま様子見を続けると、同じ人数で開発速度を上げるチームとの差が開きます。反対に任せ方を押さえれば、定型的な実装を任せて設計やレビューに時間を回せるでしょう。

本記事では、AIエージェントがプログラミングでできること8選と、ターミナル型・IDE型・クラウド委任型の3つの型で見る主要ツール7選を中心に解説します。

読み終えるころには、自分のチームに合うツールを選び、小さなタスクから試験導入を始められる状態になります。導入を検討しているツールを思い浮かべながら読み進めてください。

目次

AIエージェントのプログラミングは開発タスクを自律実行する手法

AIエージェントによるプログラミングを理解するためのポイントは以下の3つです。

  • AIエージェントは計画・実装・検証を繰り返す
  • コード補完ツールとAIエージェントの違い
  • バイブコーディングとAI駆動開発の違い

違いを押さえておくと、ツールを比べるときに「何を任せられるか」で判断できるようになります。

AIエージェントは計画・実装・検証を繰り返す

AIエージェントは、指示を受けると作業計画を立て、実装と検証を結果が出るまで繰り返します。人が1行ずつ書く作業を、AIが工程単位で引き受ける仕組みです。

チャット型のAIは回答を返すと処理を終えます。一方でAIエージェントは、ファイルの読み書きやテストの実行といったツールを自分で呼び出し、結果を見て次の行動を決めます。

たとえば「ログイン画面にパスワード再設定機能を追加して」と頼むと、AIエージェントは以下の流れで作業します。

  1. 既存のコードを読み、変更が必要なファイルを特定する
  2. 実装方針を立ててコードを書く
  3. テストを実行し、失敗した箇所を修正する
  4. 変更内容をまとめてプルリクエストを作成する

人は最終的な変更内容を確認するだけでよいため、実装の手を動かす時間を設計やレビューに回せます。

コード補完ツールとAIエージェントの違い

コード補完ツールとAIエージェントの違いは、作業を進める主体が人かAIかという点にあります。

比較項目コード補完ツールAIエージェント
作業の単位1行〜数十行のコード機能追加やバグ修正などのタスク全体
作業を進める主体人が書き進め、AIが候補を出すAIが計画を立てて進め、人が確認する
扱える範囲開いているファイルが中心リポジトリ全体、ターミナル、ブラウザ
人の役割候補を採用するか選ぶ指示を出し、結果をレビューする

GitHub Copilotのコード補完は、入力中のコードの続きを予測して提案します。採用するかどうかを1回ずつ人が判断するため、作業のペースは人に依存します。

AIエージェントは、複数のファイルにまたがる変更やテストの実行まで一度に引き受けます。補完ツールで「書く速さ」を上げてきた方にとっては、「任せる範囲」を広げる手段が加わると考えるとわかりやすいでしょう。

バイブコーディングとAI駆動開発の違い

AIエージェントでプログラミングする手法には、バイブコーディングとAI駆動開発の2つがあります。両者の違いは、生成されたコードを人がどこまで確認するかです。

バイブコーディングは、2025年2月にAI研究者のAndrej Karpathy(アンドレイ カルパシー)氏が広めた言葉です。AIに「こんなアプリを作って」と指示し、コードをほぼ読まずに動作だけ確認して進めます。

AI駆動開発は、要件定義から設計、実装、テスト、運用までの各工程にAIを組み込む考え方です。AIが書いたコードも人がレビューし、テストで品質を担保します。

  • バイブコーディング:試作品、個人開発、社内向けの小さなツールに向く
  • AI駆動開発:本番環境で運用するシステム、チームでの開発に向く

試作はバイブコーディングで速く作り、本番に載せる段階でAI駆動開発に切り替えると、スピードと品質を両立できます。

AIエージェントがプログラミングでできること8選

AIエージェントがプログラミングで担える作業は以下の8つです。

  • 新機能を実装する
  • バグを特定して修正する
  • テストコードを作成する
  • リファクタリングを進める
  • コードレビューを自動化する
  • 既存コードベースを調査する
  • ライブラリ更新や移行作業を代行する
  • ドキュメントを作成する

自分のチームで時間を取られている作業と照らし合わせると、最初に任せる作業が見えてきます。

新機能を実装する

AIエージェントは、要件を伝えるだけで、複数ファイルにまたがる機能を実装できます。画面、API、データベースの変更をまとめて進められる点が強みです。

既存のコードの書き方や命名のルールを読み取ってから実装するため、プロジェクトの流儀に沿ったコードが出力されやすくなります。

たとえば「商品一覧にカテゴリで絞り込む機能を追加して」と頼むと、画面側の選択欄、API側の検索条件、テストまでを一続きで作成します。

小規模な機能追加を任せられれば、エンジニアは仕様の詰めや難しい設計判断に集中できます。

バグを特定して修正する

AIエージェントは、エラーメッセージや再現手順から原因を探し、修正まで進められます。

ログの確認、関連コードの読み込み、修正、テストの再実行という一連の調査を自分で回せるためです。人が原因を探して何時間も費やす作業を、並行して進めさせることもできます。

たとえばエラーログを貼り付けて「原因を調べて修正して」と頼むと、スタックトレースから該当箇所を特定し、修正後に同じ操作を再現して解消を確かめます。

原因の当たりをつける作業を任せられるため、障害対応の初動を早められます。

テストコードを作成する

テストコードの作成は、AIエージェントに最初に任せやすい作業の1つです。

テストは入力と期待する結果が明確なため、AIの出力が正しいかを実行結果で判定できます。書くのに手間がかかる一方、後回しにされやすい作業でもあります。

たとえば「この決済処理のユニットテストを書いて。境界値と異常系も含めて」と頼むと、テストケースを洗い出してコードを作成し、実行して通るところまで確認します。

テストが増えるほどAIが後で書くコードの誤りも検出しやすくなり、AIに任せられる範囲が広がる土台になります。

リファクタリングを進める

AIエージェントは、動作を変えずにコードの構造を整える作業を得意とします。

リファクタリングは変更箇所が多く、人がやると単調で見落としも起きやすい作業です。AIエージェントは変更のたびにテストを実行して、動作が変わっていないかを確かめながら進めます。

たとえば「1,000行を超えるこのファイルを責務ごとに分割して」「重複している処理を共通関数にまとめて」といった依頼が向いています。

技術的負債の返済を後回しにしてきたチームでも、通常の開発と並行して負債を減らせます。

コードレビューを自動化する

AIエージェントは、プルリクエストの変更内容を読み、問題点をコメントとして指摘できます。

レビュー待ちの時間は開発のボトルネックになりやすい工程です。AIが一次レビューで明らかな誤りや規約違反を拾えば、人のレビュアーは設計の妥当性など重要な論点に集中できます。

たとえばGitHub上で、プルリクエストが作成されるたびにAIが自動でレビューコメントを付ける運用が可能です。例外処理の漏れ、命名規則の違反、セキュリティ上の懸念などを指摘させます。

一次レビューをAIに任せれば、レビュー待ちで作業が止まる時間を減らせます。

既存コードベースを調査する

AIエージェントは、大規模なコードベースを読み込み、構造や処理の流れを説明できます。

新しくプロジェクトに参加したメンバーは、コードを理解するまでに時間がかかります。AIエージェントはファイルを横断的に検索し、関連箇所をたどって答えを組み立てます。

たとえば「注文データがどこで作られてどこで更新されるか説明して」「この設定値を変えると影響するのはどこか」と質問すると、該当ファイルと処理の流れを示します。

仕様書が古くなっている既存システムでも、新しいメンバーの立ち上がりを早められます。

ライブラリ更新や移行作業を代行する

AIエージェントは、ライブラリのバージョンアップや別の仕組みへの移行といった、量の多い定型作業に向いています。

移行作業は変更パターンが決まっている一方、対象ファイルが数百から数千に及ぶことがあります。人がやると数か月かかる作業も、AIに同じ手順を繰り返させれば短期間で進められます。

たとえばJavaやPythonのバージョンアップに合わせたコードの書き換え、古いフレームワークから新しいフレームワークへの置き換えなどです。後述するNubankやULSグループの事例も、移行作業にAIエージェントを使っています。

後回しになりがちな移行を進められれば、サポート切れによるセキュリティリスクを避けられます。

ドキュメントを作成する

AIエージェントは、コードを読んでドキュメントを作成し、変更に合わせて更新できます。

ドキュメントはコードの変更に追いつかず、古いまま放置されがちです。AIエージェントはコードそのものを根拠に書くため、実装と食い違いにくい内容になります。

たとえばREADMEやAPI仕様書の作成、関数ごとのコメントの追加、プルリクエストの説明文の作成などを任せられます。

ドキュメントが最新の状態に保たれれば、チーム内の問い合わせや引き継ぎの手間を減らせます。

プログラミング用AIエージェントは3つの型で選ぶ

プログラミング用のAIエージェントは、作業する場所によって以下の3つの型に分けられます。

  • ターミナル型
  • IDE型
  • クラウド委任型

型を決めてからツールを比べると、候補を短時間で絞り込めます。

【ターミナル型】リポジトリ全体を横断して作業する

ターミナル型は、コマンドラインからAIエージェントを起動し、リポジトリ全体を対象に作業させる型です。Claude CodeやCodexのCLI版が該当します。

エディタに縛られないため、複数ファイルにまたがる変更、コマンドの実行、Gitの操作までまとめて任せられます。スクリプトやCIに組み込み、定型作業を自動化する使い方にも向いています。

たとえば「このリポジトリ全体でログ出力の書き方を統一して」「テストを実行して失敗したものを直して」といった横断的な作業が得意です。

ターミナル操作に慣れたエンジニアであれば、普段の開発フローを変えずに導入できます。

【IDE型】エディタ上で対話しながら実装する

IDE型は、コードエディタに組み込まれたAIエージェントと対話しながら実装を進める型です。Cursor、Google Antigravity、Kiroが代表的です。

変更内容がエディタ上に差分として表示されるため、AIの提案を目で確かめながら採用できます。コード補完からエージェントへの移行がもっとも自然な型です。

たとえば、画面を見ながら「このコンポーネントにローディング表示を追加して」と頼み、差分を確認して取り込む使い方です。

AIの動きを細かく確認したい方や、チームに初めて導入する場合は、IDE型から始めると抵抗感が小さくなります。

【クラウド委任型】タスクを丸ごと任せてPRを受け取る

クラウド委任型は、クラウド上の実行環境でAIエージェントが作業し、完成したプルリクエストを受け取る型です。Devin、GitHub Copilotのコーディングエージェント、Codexのクラウド版が該当します。

作業は手元のパソコンではなくクラウドで進むため、複数のタスクを並行して任せられます。人は依頼して待ち、結果をレビューするだけで済みます。

たとえば、朝にIssueを3件割り当てておき、昼にそれぞれのプルリクエストを確認して取り込むといった進め方ができます。

小さな改修タスクが大量にあるチームでは、人を増やさずに処理できるタスクの数を増やせます。

プログラミングに使えるAIエージェント7選

プログラミングに使える主要なAIエージェントは以下の7つです。

  • Claude Code
  • Codex
  • GitHub Copilot コーディングエージェント
  • Cursor
  • Devin
  • Google Antigravity
  • Kiro
ツール名提供元型向いている作業
Claude CodeAnthropicターミナル型リポジトリ横断の実装、リファクタリング
CodexOpenAIターミナル型、クラウド委任型並行タスクの実行、ChatGPTと連携した作業
GitHub Copilot コーディングエージェントGitHubクラウド委任型Issue単位の小規模な改修
CursorAnysphereIDE型エディタ上での日常的な実装
DevinCognitionクラウド委任型大規模な移行、定型タスクの委任
Google AntigravityGoogleIDE型複数エージェントの並行作業
KiroAWSIDE型仕様を固めてから進める開発

※料金プランは改定が多いため、各ツールの公式サイトで最新情報を確認してください

各ツールの特徴を知れば、自分のチームの開発スタイルに合う1〜2個を選べます。

Claude Code

Claude Codeは、Anthropicが提供するターミナルで動くAIコーディングエージェントです。VS CodeやJetBrains製IDEの拡張機能、デスクトップアプリ、Web版からも利用できます。

リポジトリ全体を読み込んで作業するため、複数ファイルにまたがる実装やリファクタリングを得意とします。プロジェクトのルールを書いたCLAUDE.mdを置くと、毎回の指示に同じ説明を書かずに済みます。

ファイル編集やコマンド実行の前に確認を求めるかどうかを、権限の設定で細かく決められます。外部ツールとつなぐMCPや、処理の前後に独自のコマンドを実行するフックにも対応しています。

大規模なコードベースを扱うチームにとって、最初に試す候補になるツールです。
>Claude Codeの公式サイトはこちらから

Codex

Codexは、OpenAIが提供する手元とクラウドの両方で動くAIコーディングエージェントです。ターミナルで使うCLI版、IDEの拡張機能、ChatGPTから依頼するクラウド版があります。

クラウド版では、複数のタスクをそれぞれ独立した環境で並行して進められます。CLI版はオープンソースで公開されており、作業できる範囲をサンドボックスで制限する仕組みを備えています。

プロジェクトのルールはAGENTS.mdに書いて渡します。AGENTS.mdは複数のAIエージェントで共通して使えるルールファイルの形式です。

ChatGPTの有料プランを契約している組織であれば、追加の契約なしで試しやすいツールです。
>Codexの公式サイトはこちらから

GitHub Copilot コーディングエージェント

GitHub Copilotのコーディングエージェントは、IssueをCopilotに割り当てるだけで、プルリクエストを作成する機能です。

GitHub Actionsの実行環境で作業が進むため、手元のパソコンでの操作は要りません。完成したプルリクエストにコメントを書くと、指摘を踏まえて修正を続けます。

普段からGitHubでIssueとプルリクエストを管理しているチームは、今の運用を変えずに導入できます。バグ修正や小さな機能追加など、範囲がはっきりしたIssueと相性がよい機能です。

すでにGitHub Copilotを導入している組織では、補完からエージェントへ移る最初の一歩として使えます。
>GitHub Copilot コーディングエージェントの公式ドキュメントはこちらから

Cursor

Cursorは、AIエージェントを中心に据えたコードエディタです。VS Codeをもとに作られており、拡張機能や操作感をそのまま引き継げます。

エディタ上でエージェントに指示すると、複数ファイルの変更を差分で提示します。プロジェクトのルールは.cursor/rulesに書いて渡せます。

手元での対話的な作業に加え、クラウドでエージェントを動かして作業を任せる機能も備えています。補完から対話、委任までを1つのエディタで使い分けられる点が特徴です。

VS Codeを使い慣れたエンジニアであれば、移行の手間をほとんどかけずに乗り換えられます。
>Cursorの公式サイトはこちらから

Devin

Devinは、Cognitionが提供するクラウド上で自律的に開発を進めるAIエージェントです。独自の実行環境の中で、エディタ、ターミナル、ブラウザを使い分けながら作業します。

SlackやJiraなどから依頼を受け付け、完成したプルリクエストで結果を返します。人は依頼と確認に徹し、作業の途中経過はWeb画面から確認できます。

決まった手順を大量に繰り返す作業に強く、大規模なコード移行での活用例が公開されています。後述するNubankやULSグループの事例がその代表です。

エンジニアの人手が足りない移行案件を抱える企業にとって、作業量を大きく減らせる選択肢です。
>Devinの公式サイトはこちらから

Google Antigravity

Google Antigravityは、Googleが2025年11月に発表したエージェントを中心に設計された開発環境です。

エディタに加えて、複数のエージェントを管理する画面を備えています。エージェントはエディタ、ターミナル、ブラウザをまたいで作業し、ブラウザで動作を確認するところまで進めます。

作業計画やスクリーンショットなどの成果物を残しながら進むため、エージェントが何をしたかを後から確かめやすい設計です。

複数のタスクを同時に進めたい方にとって、エージェントの管理をしやすい環境です。
>Google Antigravityの公式サイトはこちらから

Kiro

Kiroは、AWSが提供する仕様駆動開発を特徴とするIDE型のAIエージェントです。

いきなりコードを書かせるのではなく、要件、設計、タスクの3つの文書をAIと作ってから実装に進みます。文書が残るため、AIが何を根拠にコードを書いたかをチームで共有できます。

プロジェクトの前提はステアリングファイルで渡します。ファイルの保存などをきっかけに、テストの作成などを自動で実行させる仕組みも用意されています。

バイブコーディングの品質に不安がある方にとって、設計を固めてから任せたい場合の有力な候補です。
>Kiroの公式サイトはこちらから

AIエージェントでプログラミングを始める5ステップ

AIエージェントをプログラミングに導入する手順は以下の5ステップです。

  • ステップ1:任せるタスクを決める
  • ステップ2:ツールと実行権限を設定する
  • ステップ3:ルールファイルでプロジェクト情報を渡す
  • ステップ4:小さなタスクで指示とレビューを回す
  • ステップ5:テストとCIで検証を自動化する

順番どおりに進めれば、事故を防ぎながら任せる範囲を広げられます。

ステップ1:任せるタスクを決める

最初に、正解がはっきりしていて、失敗しても影響が小さいタスクを選びます。

いきなり重要な機能を任せると、AIの誤りを見抜けずに本番環境へ持ち込むおそれがあります。成功と失敗を判定しやすいタスクから始めれば、AIの得意と不得意を把握できます。

最初に任せやすいタスクは以下のとおりです。

  • 既存コードへのテストの追加
  • 軽微なバグ修正
  • ドキュメントやコメントの整備
  • 社内向けの小さなツールの作成

チームで2〜3件の候補を決めておくと、試験導入の成果を比べやすくなります。

ステップ2:ツールと実行権限を設定する

ツールを選んだら、AIエージェントに許可する操作の範囲を最初に決めます。

AIエージェントはファイルの削除やコマンドの実行まで自分で行えます。権限を広く渡したままにすると、意図しない変更を止められません。

Claude Codeでは、ファイル編集やコマンド実行の前に確認を求めるかどうかを権限の設定で決められます。Codexは、作業できるフォルダやネットワーク接続をサンドボックスで制限できます。

最初は操作のたびに承認する設定にしておき、挙動を把握できたところで少しずつ権限を広げると安全です。

ステップ3:ルールファイルでプロジェクト情報を渡す

次に、プロジェクトの前提をまとめたルールファイルを作成します。Claude CodeならCLAUDE.md、CodexならAGENTS.mdが該当します。

AIエージェントは会話が変わると前提を忘れます。ルールファイルに書いた内容は毎回読み込まれるため、同じ説明を繰り返さずに済みます。

ルールファイルには、たとえば以下のような内容を書きます。

# プロジェクトのルール
- 言語はTypeScript、テストはVitestを使う
- テストは npm test で実行する
- APIの変更時は docs/api.md も更新する
- mainブランチへ直接コミットしない

ルールファイルを育てるほど、AIの出力がチームの流儀に近づきます。

ステップ4:小さなタスクで指示とレビューを回す

準備ができたら、小さなタスクで「指示してレビューする」流れを繰り返します。

AIエージェントへの指示は、目的、完了の条件、触ってよい範囲を具体的に書くほど精度が上がります。結果をレビューし、うまくいかなかった点をルールファイルに反映していきます。

指示の例は以下のとおりです。

ユーザー一覧APIにページング機能を追加してください。
・1ページ20件、pageパラメータで指定する
・既存のテストがすべて通ること
・新しいテストを追加すること
・src/api/users 以外のファイルは変更しないこと

指示とレビューを数回繰り返すと、AIに任せてよい作業の見極めがチーム内で揃います。

ステップ5:テストとCIで検証を自動化する

最後に、AIが書いたコードをテストとCIで自動的に検証する仕組みを整えます。

AIの出力量が増えるほど、人の目だけで確認するのは難しくなります。テスト、静的解析、セキュリティチェックをCIで自動実行すれば、明らかな誤りはレビュー前に見つかります。

たとえばプルリクエストのたびにテストとリンターを実行し、失敗したらAIエージェント自身に修正させる流れを組めます。

検証が自動化されると、人のレビューを設計や仕様の確認に絞り込めます。

AIエージェントにプログラミングを任せるときの注意点5つ

AIエージェントにプログラミングを任せる際に注意すべき点は以下の5つです。

  • 生成コードに誤りが含まれる
  • 機密情報が外部に渡るおそれがある
  • 意図しないコマンドが実行される
  • ライセンス違反のコードが混ざる
  • 従量課金でコストが膨らむ

どれも事前に対策できるため、導入前にチームで確認しておきましょう。

生成コードに誤りが含まれる

AIエージェントが書いたコードは、一見正しく動いても誤りや脆弱性を含むことがあります。

Veracodeの2025年の調査では、100以上のAIモデルが生成したコードサンプルの45%がセキュリティテストに不合格でした。
出典:We Asked 100+ AI Models to Write Code. Here’s How Many Failed Security Tests.(Veracode)

開発者の側も慎重です。Stack Overflowの2025年調査では、AIツールの出力の正確さを信頼しないと答えた開発者が46%にのぼりました。
出典:AI|2025 Stack Overflow Developer Survey(Stack Overflow)

AIが書いたコードも人が書いたコードと同じ基準でレビューとテストを通せば、本番環境での事故を防げます。

機密情報が外部に渡るおそれがある

AIエージェントは、読み込んだコードや設定ファイルの内容をAIモデルに送信します。

APIキーやパスワードを書いたファイルを読ませると、機密情報が外部のサーバーに渡ります。利用するプランによっては、入力内容がAIの学習に使われる場合もあります。

対策として、以下の3点を確認しましょう。

  • 認証情報を含むファイルをAIに読ませない設定にする
  • 入力データを学習に使わない法人向けプランを選ぶ
  • 社内のセキュリティ部門と利用ルールを決めておく

事前にルールを決めておけば、情報漏えいの責任を問われる事態を避けられます。

意図しないコマンドが実行される

AIエージェントは、ファイルの削除やデータベースの操作など、取り消せないコマンドを実行する可能性があります。

AIは指示を誤解したり、エラーを解消しようとして想定外の手段を選んだりします。本番環境につながる端末で権限を広く渡していると、被害が大きくなります。

たとえば、テストデータを消すつもりが本番データベースに接続していた、という事故が考えられます。

作業用の環境を本番から切り離し、危険な操作には人の承認を挟めば、万一の誤操作でも被害を限定できます。

ライセンス違反のコードが混ざる

AIエージェントが出力したコードには、既存のオープンソースのコードと似た内容が含まれる可能性があります。

オープンソースのライセンスには、利用時に著作権表示やソースコードの公開を求めるものがあります。気づかずに製品へ組み込むと、ライセンス違反を問われるおそれがあります。

ツールによっては、公開コードと一致する出力を検出したり、候補から外したりする設定が用意されています。社内の法務部門とも、AI生成コードの扱いを確認しておきましょう。

ライセンス確認の手順を決めておけば、製品リリース後に指摘を受けるリスクを減らせます。

従量課金でコストが膨らむ

AIエージェントの利用料は、使った量に応じて課金される仕組みが多く、想定以上にコストが膨らむことがあります。

AIエージェントは1つのタスクで何度もAIモデルを呼び出します。大規模なリポジトリで長時間作業させると、消費量も大きくなります。

対策としては、チームごとの利用上限の設定や、利用状況の定期的な確認が有効です。月額定額のプランと従量課金を比べ、利用量に合う契約を選びましょう。

コストを見える化しておけば、投資対効果を社内に説明しやすくなります。

AIエージェントを活用したプログラミングの企業事例

AIエージェントをプログラミングに活用している企業の事例は以下の4つです。

  • 楽天:Claude Codeで長時間の自律コーディングを実現
  • Nubank:Devinで大規模なコード移行を効率化
  • クラスメソッド:Claude CodeでAI駆動開発を推進
  • ULSグループ:Devinでテストコードの書き換え工数を削減

自社と近い規模や作業内容の事例から、導入効果の目安をつかんでください。

楽天:Claude Codeで長時間の自律コーディングを実現

楽天は、Claude Codeに7時間にわたって自律的にコーディングさせることに成功しました。

同社の機械学習エンジニアは、約1,250万行あるオープンソースのライブラリ「vLLM」への機能実装をClaude Codeに任せました。Claude Codeは1回の実行で7時間作業を続け、実装を完了しています。

同社は、新機能を市場に出すまでの期間が24営業日から5日に短縮され、79%の短縮になったと公表しています。
出典:Rakuten accelerates development with Claude Code(Anthropic)

大規模なコードベースでも長時間の作業を任せられる事例として、任せるタスクの大きさを考える参考になります。

Nubank:Devinで大規模なコード移行を効率化

ブラジルのデジタル銀行Nubankは、600万行を超えるシステムの移行作業にDevinを活用しました。

8年間使ってきた中核システムを分割する案件で、当初は1,000人超のエンジニアが関わり、18か月かかる見込みでした。

Devinに移行作業を任せた結果、一部の事業部では数か月から数年かかる移行を数週間で完了しました。Devinの利用料とエンジニアの人件費を比べると、20倍以上のコスト削減になったと公表されています。
出典:How Nubank refactors millions of lines of code to improve engineering efficiency with Devin(Cognition)

同じ手順を大量に繰り返す移行作業は、AIエージェントの効果が出やすい領域といえます。

クラスメソッド:Claude CodeでAI駆動開発を推進

国内のクラスメソッドは、Claude Codeを使ったAI駆動開発で最大10倍の生産性向上を実現しています。

Anthropicの公式事例によると、同社はコードレビューにかかる時間を最大80%削減しました。Google Apps Scriptの処理時間を24時間から1時間に短縮した例も紹介されています。

同社が公開したオープンソースのツールでは、コードの99%をClaude Codeで実装しました。
出典:Classmethod(Anthropic)

開発からレビューまで幅広くAIを組み込んだ国内事例として、社内展開の進め方を考える材料になります。

ULSグループ:Devinでテストコードの書き換え工数を削減

ULSグループは、札幌市の基幹システム標準化の案件でDevinを活用し、テストコードの書き換え工数を約4分の1に削減しました。

Javaのバージョンアップに伴い、約150万ステップのテストコードを書き換える必要がありました。従来の見込みでは200人月かかる作業です。

Devinに書き換えを任せた結果、工数を50人月に短縮しています。
出典:ULSグループ株式会社のプレスリリース(PR TIMES)

自治体システムのような品質要求の高い案件でも、定型的な書き換えはAIエージェントに任せられることを示す事例です。

AIエージェント時代のプログラマーに求められるスキル

AIエージェントを使いこなすプログラマーに求められるスキルは以下の4つです。

  • 要件を言語化する力
  • 設計とアーキテクチャの判断力
  • 生成コードをレビューする力
  • AIに渡すコンテキストを設計する力

コードを書く作業がAIに移るほど、4つのスキルの差がエンジニアの評価を分けます。

要件を言語化する力

AIエージェントの出力の質は、人が渡す要件の明確さで決まります。

あいまいな指示を受けたAIは、推測で補って実装を進めます。推測が外れると、作り直しの手間が増えます。

たとえば「使いやすくして」ではなく、「入力エラー時は該当の欄の下に赤字でメッセージを出す」と書けば、AIは迷わず実装できます。

要件を言葉にする力は、AIへの指示だけでなく企画担当者との調整にも活きるため、職種を問わず価値が落ちにくいスキルです。

設計とアーキテクチャの判断力

AIエージェントに任せる範囲が広がるほど、全体の構造を決める設計の判断が人の重要な役割になります。

AIは指示された範囲の実装は得意です。一方で、システム全体の将来の拡張性や、事業の要件に照らしてどの技術を選ぶべきかといった判断は、人が責任を持つ必要があります。

たとえば、データベースの設計、サービスの分け方、外部サービスとの連携方法などの判断です。

設計を担える人材は、AIエージェントを部下のように使って1人で扱える開発の規模を広げられます。

生成コードをレビューする力

AIエージェントの普及で、書く時間よりもレビューする時間の比重が大きくなります。

AIは大量のコードを短時間で出力します。前述のとおり誤りや脆弱性を含む場合もあるため、問題を見抜く目が品質を左右します。

レビューでは、要件を満たしているか、例外処理に漏れがないか、セキュリティ上の問題がないかを確認します。自分でコードを書いた経験が、誤りを見抜く土台になります。

レビューの質を高めれば、AIに任せる量を増やしても品質を保てます。

AIに渡すコンテキストを設計する力

AIエージェントの精度は、どの情報をどの形で渡すかによって大きく変わります。

AIは渡された情報をもとに判断します。プロジェクトのルール、関連する仕様書、過去の判断の経緯などを適切に渡せば、手戻りの少ない出力が得られます。

たとえば、ルールファイルの整備、仕様書の置き場所の統一、外部ツールとの連携設定などが該当します。

チーム全員がAIを使いやすい環境を整えられる人は、組織全体の開発生産性を底上げする役割を担えます。

AIエージェントのプログラミングに関するよくある質問

AIエージェントのプログラミングに関する質問は以下の4つです。

  • プログラミング未経験でもAIエージェントは使える?
  • プログラマーの仕事はAIエージェントでなくなる?
  • 無料で使えるAIエージェントはある?
  • AIエージェント自体をプログラミングで作るには?

質問に対する回答を確認して、AIエージェントの導入判断の参考にしてみてください。

プログラミング未経験でもAIエージェントは使える?

プログラミング未経験でも、簡単なツールや試作品であればAIエージェントで作れます。

日本語で作りたいものを伝えれば、AIがコードを書き、動作を確認するところまで進めます。社内向けの集計ツールや簡単なWebページなどは、未経験者でも形にできます。

ただし、本番環境で運用するシステムや、顧客の個人情報を扱う仕組みは、コードを確認できるエンジニアのレビューを通しましょう。未経験者だけでは、誤りやセキュリティ上の問題に気づけません。

プログラマーの仕事はAIエージェントでなくなる?

プログラマーの仕事はなくなるのではなく、中身が変わります。

単純なコードを書く作業はAIエージェントに移っていきます。一方で、要件を整理する、設計を決める、AIの出力をレビューする、といった仕事の比重は大きくなります。

Stack Overflowの2025年調査でも、AIエージェントの利用者の約69%が生産性の向上を実感したと回答しました。AIを使う側に回れば、1人で扱える仕事の量を増やせます。
出典:AI|2025 Stack Overflow Developer Survey(Stack Overflow)

無料で使えるAIエージェントはある?

無料プランや無料の利用枠を用意しているAIエージェントはあります。

GitHub CopilotやCursorには無料プランがあり、機能や利用量に制限つきで試せます。CodexのCLI版はオープンソースで公開されています。

ただし、無料プランは利用量の上限が小さく、業務で本格的に使うと足りなくなります。無料枠で使い勝手を確かめ、効果が見えた段階で有料プランを検討しましょう。無料プランの有無や内容は変わることがあるため、公式サイトで最新の情報を確認してください。

AIエージェント自体をプログラミングで作るには?

AIエージェント自体を作る場合は、PythonとAIエージェント開発用のフレームワークを使うのが一般的です。

LangChainやLangGraphなどのフレームワークを使うと、AIモデルの呼び出しやツールの連携を少ないコードで実装できます。プログラミングに自信がない場合は、Difyなどのノーコードツールで作る方法もあります。

本記事で紹介したAIコーディングエージェントに、AIエージェントのコードを書かせることも可能です。

AIエージェントは小さな開発タスクから任せると成果が出る

AIエージェントによるプログラミングとは、AIが計画から実装、テスト、修正までを自律的に進める開発手法です。ツールは作業する場所によって、ターミナル型、IDE型、クラウド委任型の3つに分けて選びます。

導入するときは、テストの追加や軽微なバグ修正など、正解がはっきりした小さなタスクから始めましょう。権限の設定とルールファイルの整備、テストとCIによる検証を組み合わせれば、事故を防ぎながら任せる範囲を広げられます。

まずは今週、チームのタスクから1件を選び、紹介したツールのどれかに任せてみてください。

一方で、ツールを入れただけでは、使いこなせるメンバーと使えないメンバーの差が広がります。チーム全体で成果を出すには、指示の出し方やレビューの基準を揃える仕組みづくりが欠かせません。

AIエージェントをチームの開発に定着させるために、社内のルールや育成の進め方もあわせて検討しましょう。

出典・参考リンク

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