[サッカー✕AI]美しく勝利するサッカーAIは生まれるのか

無題

囲碁ができるならサッカーも!?

「美しく勝利せよ!」とはかのフライング・ダッチマン=ヨハン・クライフの名言。彼は「昔の私はこの場所で神のような存在だった」「サッカーは頭でするスポーツだ」とも言いました。では、監督としても名を馳せたクライフをAIで再現することはできるのか。囲碁なら名人を再現出来たようだけどどうなのよ。EURO2016も終わっちゃったけどさ…

サッカー大好きエディターおしんが、サッカー✕AIの取り組みについて調べてみました!

Kickoff.ai:ベイズ定理と個人パフォーマンスモデルでEURO2016を予測

キックオフAI

昨日閉幕した「UEFA欧州選手権2016」を人工知能(AI)で予想してきたのが「Kickoff.ai」。

昔からビッグデータや集合知を使った勝敗予想はありましたが、Kickoff.aiは個人パフォーマンスモデルとベイズ定理の組み合わせがAIライクなWebサイトです。特徴は2つ。

1、「選手個々のパフォーマンスモデル」=Kickoff.aiは選手個々の能力や、所属クラブチームでの過去の試合スタッツを使い選手個人のパフォーマンスを予測。11名のスタメンに応じて勝敗結果を変化させていくのが1つめ。

2、「ベイズ統計による勝敗確率の予測」=どうやら開発したのはスイスローザンヌ大?の学生さんらしくベイズ推定を用い、勝敗確率の予測を行っているそうです。どちらが◯%というレベルまで予測できるのが2つめ。

過去の予測モデルはチーム全体のパフォーマンスをベースに予測を行っていくものがほとんどでしたが、選手個々の過去のパフォーマンスまでを範囲に入れ、選手の組み合わせによるチーム戦力の予測を可能にしています。たしかにクリロナとかの怪物変数を踏まえてスタメンをどう見るかは結果予想に大きな影響を与えそうですよね。

また、迷惑メールフィルタによく使われるベイズ推定を用いることで心理変数を含めて予測。サイトでは例としてアイスランドの例が上げられています。「アイスランドはEURO初だけど、アーロン・グンナルソンなんか見てると鬼みたいだよね!いつも以上にモチベーション高くて火事場のクソ力でるかもしれないですよね!間違いないね!」という松木さん的推定も含めて予測をするそうです。

スポーツの勝敗予測はサッカーくじのマーケットが大きな国では、それなりのビジネスとして育っていきそうです。

サイトはこちらから(英語版)

DQN:人工知能がバーチャルなアリのキャラを操りサッカーゲーム

無題

お次はDQN。みなさん大好きな地方駅前に生息するDQNではなくて、Google DeepMindの人工知能Deep Q-Network(DQN)です。DeepMindの人工知能AlphaGoが囲碁で勝利を収めたことは記憶に新しいですが、今度はサッカーゲームに進出です。

今まで囲碁や将棋、チェスといった、ルートが限られたゲームを「打ち手をとにかく覚える、確率の高い手を指す」機械学習アプローチで結果を出してきたDeepMindちゃんですがアプローチを加え、「試してみる、よさ気な手を残す」強化学習アプローチを追加でとっているのがこのAI。特徴は2つ。

1、「調教不要の自立型AI」=なんと人間がルールを教えることなしに試行錯誤しながら、ゲームの特徴を覚えていき勝利するパスを目指していくということ。これが1つめ。

2、「ロボットへの応用」=AIと言うとソフトウェアの実験というイメージが強いですが、ロボット実装を見据えたハードウェアのPOC側面も持っています。これが2つめ。

従来、機械学習といえば先にルール教えて、辞書作って…調教という言葉がAI界隈ではお好きな人が多いようなのですがそんなステップを踏むものがほとんどでした。そこにDQNちゃんは強化学習を搭載。人間が教えること無しに成長していくらしいです。「オラオラ俺が試した方法でいくぜオラァ!カーチャンの言うことなんか聞くかよ!」ということでしょうか。

そしてこの試行のゴールはどうやらハードウェア。googleは先んじて自律型ロボットへの投資を行っていますが、出口はそこを見据えているようです。なにやらDARPAロボティクスチャレンジというアメリカ国防高等研究計画局が主催する災害救助用のロボ競技大会で上位の企業には軒並み声がかかるという話題も。ちなみにDARPAは「ダーパ」と読むそうです。仏教用語っぽいですね。

どうやら、災害医療軍事というパスが見えそうなDQN。暴力的な軍事ロボにはなってほしくないですね。DQNだけに。

サイトはこちらから(英語)

リストバンド型デバイス:サッカー選手の育成にもデータ活用 柏レイソルが実証実験

1fbcf31db9a244990fe89f0d1ce52e832cc4ac23_xlarge

そして柏レイソル。サッカー✕人工知能って言ってるけどどうやってデータ取るんだろう…監督がデータメモしてるのかしら…そんなことを考えてる時に見つけたのがこれ。レイソルといえばカレカ、ストイチコフなどの強面FW…なつかしい…日立グループ。日立のIOTデバイスで若手サッカー選手のセンサーデータ取得を進めているそうです。

これは「ライフ顕微鏡」というリストバンド型デバイスを使った取り組み。特徴は2つ。

1、「加速度計でXYZを取る」=3軸の加速度データを取得、つけている選手がどういう姿勢でどんな移動をしてるかとかがわかる。

2、「データを集めてパターン分析」=良い選手が練習前に必ず寄る場所とか、トレーニング中の姿勢とか、走行記録を取って良い選手の行動を割り出す。

よく考えれば最近、レスター岡崎とかのイングランド勢が胸のあたりに気球みたいなセンサー付けて走ってるの見るよな…多分アレ。恐らく練習後マッサージしてる選手はパフォーマンスいいとか、試合中風呂にはいる選手はクレバータイプとかそういうの分かるはず。ガンバの遠藤選手はハーフタイムにお風呂に入るらしいですし。おすし。

「Kickoff.ai」と組み合わせるとよい分析になりそう。AI以前に有益なデータ取得しないと始まらなかったりしますよな。インスパイアザネクスト!

サイトはこちらから(日本語)

試合動画分析:SAPマッチインサイト

キャプチャ

2014年ブラジルワールドカップ。優勝したのはドイツ代表。軍曹顔ミュラー!香川の友達ノイアー!が活躍したワールドカップですね。

その時の優勝要員のひとつとされているのが、世界のベンダーSAP様が提供した「SAPマッチインサイト」だそうです。スカウト時のデータから競技場で録画された動画まですべての記録を同期化、個人のパフォーマンスを試合のクリティカルなシーンまで遡って分析できるとのこと。特徴は3つ。

1、「スポーツ統計分析」=試合のデータを分析し、次の対戦に向けて戦略を改善することができます。なんと「What If=もし・・・」をアドホックに分析できる。

2、「サッカークラブ向けマッチインサイト」=サードパーティーのビデオ/センサー/テキストデータをインポートして表示、チームや選手の具体的な戦術を作成できる。

3、「選手のトレーニングや負傷に関するデータを有意義なコーチング資産に転換」=データビジュアル化機能を使用して、大量のデータの意味を解釈し問題を予測し、選手の起用や回復状況に関する判断を支援できる。

WOW…選手の体にセンサーを付け、選手の運動量や瞬間速度、心拍数、シュート動作、ボールの方向など、数多くのデータをリアルタイム分析しながら、AIが分析した結果はタブレットを通じて監督と選手団に転送されるという夢の様なイメージが浮かんできます。わくわく。

ヨギー(ヨアヒム・レーヴ)の紳士然としたスタイルの裏付けはこんなところにあったのですね。システム界のボブSAP。つおい。

サイトはこちら(日本語)

試合分析データ提供:StatsStadium

キャプチャ

うわーい。自分でも作ってみたい!と思ってきたところでデータ・ソースといえばこれ。パス成功率とか、ラン距離とかどうやって出してるのと思ってた方には朗報。(サカ厨のみなさまにはおなじみか)

Jリーグ1試合あたり約2000回ある全てのプレーを、約300項目に分けて詳細に分析しているそうです。あのゴラッソとかの分析で出てくるデータ・ソースはここ。特徴は2つ。

1、「Net Striker」=各Jリーグの試合について、約2000プレーに及ぶボールタッチを詳細に記録。2008年から運営されている信頼のサービス。

2、「Team Management System」=「メディカル・フィジカル情報」の他、「選手プロフィール」「スカウティングデータ」などチーム内にあふれる必要情報を効率良く管理できる。

どちらもプロユース向けのサービスではありお問い合わせ商品となっておりますが、このデータを活用したサイトもあります。メジャーなところではFootBallLabさん。CBP(チャンスビルディングポイント)なる独自指標を用いてプレーのゴール貢献度を明らかにしていきます。おそらく数百万あるプレーの中からゴールに貢献するプレーのパターンを導き出す野心的試みです。

国産データ系サービス、やりますね。運営会社Jリーグプロモーションはキャプテン(川淵のほう)の肝いりだったそうで、さすがキャプテン(川淵のほう)。

サイトはこちら(日本語)

まとめ

いかがだったでしょうか。

まだAIで「美しく勝利せよ」というのは無理な話…のように見えました。ただ、サッカーだけでなくMLBでもAIを使って選手の負傷管理をしている、アメフトのスカウティングもそうだ、とか聞こえてきます。スポーツの世界でもデータを取得してAIに無数にある可能性を検証させ、それを人間が活用するという構図は揺るがないようで、AIアシスタントコーチはもう現実の世界の話。

今までアシスタント業はビデオを繰り返し見る、スカウティングに行くの繰り返しだったそうですが「ボールを動かせ、ボールは疲れない」のクライフの名言を借りると「AIを動かせ、AIは疲れない」といったところまで来ているようです。

 

会社のサービスが本田さんのSVホルンのスポンサードを始め、興奮さめやらぬエディターおしんがお送りしました。
バイトル、オーストリアサッカー2部昇格のSVホルンにプラチナスポンサーとして協賛

※ 取り上げて欲しいテーマがありましたら、シェアコメントで教えてくださいね!

おざけん

人工知能・AI専門メディア AINOWデスク ┃ カメラマン
┃ Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ┃ AINOWのTwitterもぜひ@Ainow_ai┃
出演: 日経CNBC「日経カレッジ・ラボ」日本テレビ 「ZIP!」など┃

AIが人間と共存していく未来を作りたい。そのために発信していきます!

無料メールマガジン登録

週1回、注目のAIニュースやイベント情報を
編集部がピックアップしてお届けしています。

こちらの規約にご同意のうえチェックしてください。

規約に同意する