「FINAL FANTASY XV」の自由に動けるオープンワールドはAIのおかげ ~リアルでのメタAI活用がAI発展の鍵に!?~

こんにちは、AINOWの亀田です。
私は子供の頃からゲーマーで、ドラゴンクエストとファイナルファンタジーはほぼ全作プレイ済みです。現在もMMOのドラゴンクエストXを初め、スクウェア・エニックスのゲームにはいつも楽しませて頂いております。そんなゲーマーのあこがれ、スクウェア・エニックス本社で取材をしてきましたよ。

FINAL FANTASY XV(以下、FF15)では、数多くのAIが活用されているとCEDECにて発表されて話題になっていますね。さらに、プランナーでもコードを書かずにAIが実装できるゲームエンジンも注目を集めているFF15のAIの裏側を、スクウェア・エニックスでFF15リードAIアーキテクトを務めた三宅さんにお伺いしてきました。なお、FF15のような大型のゲームでは個人ではなくチームを組んで取り組むため、三宅さんの単独の仕事ではなく、FF15のAIチームとしてのお仕事ということで三宅さんが説明してくださいました。今回、見せて頂いた資料は以下でもダウンロードできるそうです。

参考資料
「FINAL FANTASY XV -EPISODE DUSCAE- におけるキャラクターAIの意思決定システム」(CEDEC2015)
白神 陽嗣, 三宅 陽一郎, 並木 幸介, 横山貴規
http://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1437

「FINAL FANTASY XV におけるレベルメタAI制御システム」(CEDEC2016)
上段 達弘, 下川 和也, 高橋 光佑, 並木 幸介,Prasertvithyakarn Prasert
http://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/1544

「大規模ゲームにおける人工知能 ─ファイナルファンタジーXV の実例をもとに─」(人工知能学会誌、2017年 3月 Vol.32 No.2)
三宅陽一郎ほか
※PDFをダウンロードできます。
http://id.nii.ac.jp/1004/00008567/

またデジタルゲームのAI全般については、こちらのリンクからたどることができます.

私のブックマーク「ディジタルゲームの人工知能(Artificial Intelligence in Digital Game)」(人工知能学会)
http://www.ai-gakkai.or.jp/my-bookmark_vol32-no4/

三宅陽一郎「ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用の現在」(人工知能学会誌、2015年 1月 Vol.30 No.1)
http://id.nii.ac.jp/1004/00001730/

お話をお伺いした方
三宅 陽一郎 (みやけ よういちろう)
京都大学で数学を専攻、大阪大学大学院物理学修士課程、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て、人工知能研究の道へ。ゲームAI開発者としてデジタルゲームにおける人工知能技術の発展に従事。国際ゲーム開発者協会日本ゲームAI専門部会チェア、日本デジタルゲーム学会理事、芸術科学会理事、人工知能学会編集委員。著書に『人工知能のための哲学塾』(BNN新社)、森川幸人との共著に『絵でわかる人工知能』(SBクリエイティブ)『人工知能の作り方』(技術評論社)がある。

FF15の自由な世界観を作る為に必要だったAI

亀田
ゲームエンジンのおかげでプランナーでもゲームAIを設計できるようになりました。FF15でAIをここまで取り入れた背景を教えてください。
三宅さん
FF15は自由に移動できるオープンワールドが特徴です。
オープンワールドでは、どこで何が起こるかわからなくなったので、キャラクターやモンスターにAIを取り入れる必要がありました。
昔はキャラクターやモンスター(=AI)に対してレベル側(=地形)があわせてくれていましたが、今はキャラクターやモンスターがレベルに合わせて運動してくれます。

今までのゲームではステージに制限を設けていました。モンスターもその中だけで行動すればよかったので、AIも環境認識なしの低レベルで十分でした。しかし、オープンワールドになるとモンスターは自由に行動できます。また、どのような状況でなにが起こるか多様性が高いため、モンスターにも自律した意思決定が求められたとのこと。

ひたすらトレーニングをするベヒーモスが可愛い

亀田
AIを持ったモンスターは、どのような行動をしているのですか?
三宅さん
モンスターはデータとしての点ではなく、身体を持っています。
リアル同様の体を持ったので、障害物と自分の関係性を理解して動く必要があります。たとえば「曲がり角を曲がって歩く」といったような動きでは、自分がどれくらいの曲がり角の進み方を学習するためにトレーニングをしています。
トレーニングを重ねると、だんだんと曲がり角が曲がれるようになります。モンスター自身が自分の身体能力を学ぶことで、その体に応じた動きになっていきます。

個性豊かなモンスターが登場するFFシリーズですが、なんと学習はそれぞれのモンスターのサイズや種類毎にやっていくそう。モーション解析を用いて、自分自身の身体の運動範囲を理解しています。モンスターの目は前方視野角と後方視野角を用意しており、後方はなんとなく気配を察知できるようになっているそうです。前方視野角に入った対象はレイ(直線を引く)を飛ばして、もし岩などの障害物があればレイが遮られるので見えていない、遮られなければ見えている、と認識します。その為、プレイヤーが岩陰などに隠れていたら、モンスターに気づかれることがありません。FF15においてはとくに視覚に重点を置き、本来の野生のモンスターらしいAIを設計しているとのこと。

モンスターが自律して移動するために、モンスター自身のまわりの地形にポイントをばらまきます。そのポイントがどういう状況にあるのかを計算して地形や状況を学習・把握することで、モンスターは自分でオープンワールドを移動できるようになります。例えば、ノクト前方のポイントはノクトに発見されやすいので攻撃される危険度が高い、ノクトの後方は気づかれにくいので危険度が低い、という状況をモンスターは認識します。そうすると、モンスター自身が判断して、プレイヤーから離れたところに目的地を設定して行動します。
キャラクター自身が自分で目的地のポイントを割り出すシステムを「Point Query System」(PQS)として実装しました。こういった地形解析・位置解析の技術は最近になってゲーム産業に導入されたそうです。以前は最初から地形にあらかじめポイントが設けられていて、モンスターはそのポイント間を移動するだけでした。しかし、それではオープンワールドに対応できませんので、現在は、自分が一番有利なところを自分で探して、自律的に移動できるようになったそうです。

ゲームの面白さをメタAIが作り上げる

亀田
FF15では特にメタAIがスゴイと聞きますが、どのようなAIなのでしょうか?
三宅さん
今のゲームはオープンワールドを採用する傾向にありますが、マップが大きくなると、ゲーム自体のスキが生まれやすくなります。プレイヤーがヒマにならないように、メタAIはオープンワールドの状況を引き締めないといけません。そのための役者を用意したり、天候を変えたりとゲームに変化をもたらすのがメタAIです。

オープンワールドとメタAIはほぼセットとなっており、オープンワールドの「だるさ」を引き締めるメタAIの強化がゲームの面白さと直結するとのこと。特にRPGにおいてはこの点が重要だそうです。

メタAIのおかげでリアルな表現が可能になった

亀田
メタAIを活用しているシーンを教えてください。
三宅さん
プレイヤーが敵に攻撃を受けて弱っているとします。各AIがそれぞれ自分で判断して動くと、全員がかけつけて回復してあげようとしてしまいます。しかし、これは無駄が多い。そこでメタAIがその中の一人を選んでプレイヤーの回復を促します。またプレイヤーがモンスターに捕まり、身動きが取れなくなってしまったとします。この状態をずっと続けるわけにはいきません。これを仲間が助けることで、ドラマティックになります。こういったバランスを、メタAIが調整しています。
三宅さん
メタAIは、ゲームの流れを作ってプレイヤーの環境をコントロールする役割を担います。プレイヤーが袋叩きにあってボコボコにされたり、弱りきったりして、戦闘が膠着しないように調整するのがメタAIです。

昔のゲームは、ゲーム内のパワーバランスを最初の時点で完璧に作らなければいけなかったそう。いざリリースしたら、ユーザにとっては難しすぎるゲームだった…ということもあったそうです。イージーモード・ハードモードのように難易度を分ける方法もありますが、それでも多くのユーザのレベルにあわせることはむずかしい。これをコントロールできるメタAIの役割が大きくなっているようです。

メタAIとキャラクターAIの密接な関係性

亀田
メタAIはリアルタイムに指示が出せるプランナーの分身みたいなものでしょうか?
三宅さん
そうですね。たとえるなら、メタAIは映画監督のようなものです。監督であるメタAIだけでなく、役者のキャラクターAIも優秀でなければなりません。
昔はキャラクター行動がすべてロジックだったので、メタAIがゲームロジックをすべてまとめて指示しなければなりませんでした。
三宅さん
今はキャラクターが賢くなり、自律して行動できるようになっています。これによりメタAIがキャラクターの行動まで面倒を見る必要がなくなったので、配置・タイミング・キャスティングに集中できるようになり、精度も高まっています。

今のゲーム産業のメタAIの水準では、活躍は調整と補完に留まっているそう。今後は起承転結をつけられるドラマメーカーにならなければいけないという三宅さん。繰り返しのイベントではなく、意外性を生み出すことが理想的なメタAIなのだそうです。

亀田
メタAIの行っている配置やキャスティングの事例を教えてください。
三宅さん
状況に沿った統一的な集団行動の場合、キャラクターの判断ではなくメタAIが指示を出しています。複数キャラクターのダイナミクスを決めるのはメタAIですね。そしてこのような場合、メタAIがコントロールする範囲は仲間だけでなく、プレイヤー側もコントロールしています。
三宅さん
メタAIの役割は、敵味方関係なく「状況を作ること」にあります。仲間のキャラクターAIもコントロールして状況を作ります。例えば、ノクトがピンチのときは近くにいるプロンプトに気付いてほしいですよね。ノクトがピンチのときは、メタAIがプロンプトに対してノクトを助けるように指示します。

メタAIは軽量なので、リリースした後でもバージョンアップさせていくことができます。メタAIをアップデートして、おなじキャラクターでも違うストーリーを与えて動かすことができるそう。
さらにメタAIがキャラクターAIの配置やキャスティングを指示することにより、キャラクターAIそれぞれの負荷が削減できているとのこと。これによって、スムーズな開発が実現できているのだそうです。
まとめると、以下の通りにになります。

  • キャラクターAIは小さな・短期的な判断をする役割
  • メタAIは長期的・大きな・長時間の判断をする役割

メタAIの進化で実現する次世代のゲーム像

亀田
今後のメタAIの課題・展望を教えてください。
三宅さん
これからの課題はメタAIの強化です。メタAIは大きく分けて「弱いメタAI」と「強いメタAI」の2つがあると考えています。
弱いメタAIは、調整しかできないメタAIです。それに対して強いメタAIはゲームを積極的に作ることができます。
三宅さん
例えば、こんなシーン。
①序盤はプレイヤーをわーっと襲わせる
②断崖絶壁にプレイヤーを追い込む
③プレイヤーが追い詰められたら戦闘を弱める
④再び戦闘を盛り上げる
⑤最後に強いボスがでてくる

このようなゲームのストーリーメイキング能力を、近い将来メタAIに持たせていきたいと思っています。

今は戦闘が起こった現象に対してメタAIが調整をしていますが、今後は映画監督の知能を持ったメタAIが戦闘を作っていくことになるそうです。
これから先は戦闘がもっと面白くなり、戦闘の流れやドラマを作るメタAIが生まれて、ユーザの状況・性質を認識しながら動的にゲームを変化させたいとのこと。そうなると、攻略本は存在しなくなるかもしれないですよ。

メタAIの発想が現実世界のAI進化にも活用できる

亀田
メタAIをリアル世界のAIにも適応したら、イノベーションが起こりそうですね。
三宅さん
メタAIという発想はゲーム業界固有の発想で、他のAIをやっている人はこんなこと考えない。だからこそ、他のAI業界にインパクトがあると思いますね。リアルなAIにおいてもメタAI的な考え方が必要で、メタAIは個々の役割がはっきりしているAIとはまったく違う発想。メタAIは、体こそ現実世界にないけれど、感覚をもっていて、俯瞰的に見ている環境の情報を吸い上げ考えて意思決定を下します。例えば、車中のムードを把握して、メタAIが音楽を流してくれるとか。
まとめ
ゲームは実は心理戦で、ユーザの緊張度の緩急や満足感を把握して、ゲーム体験全体を提供します。だからこそ、情報を取得するメタAIが必要になってきたとのこと。同じように、リアルでも環境情報を取得して様々なAIに指示を出したり、ユーザに何かをさせるのではなく、目に見えないシステムが状況を判断してレコメンドしてくれる仕組みが出てくると、個々のAI精度も向上してより豊かなAI文化が築けるのではと思いました。

追加ダウンロードコンテンツにも注目!

「ファイナルファンタジーXV エピソード プロンプト」

ノクティス達との旅の途中、列車から転落してはぐれてしまったプロンプト。
数日後、雪原をさまようプロンプトは帝国兵によりとある場所へ幽閉される。
そこで明らかになる、プロンプト自身も知らなった彼に関する衝撃の真実。そんな中で偶然アラネアと再会し、ある覚悟を決めたプロンプトは、アラネアと共に戦いに挑む。

■ 多様な武器で展開するシューティングバトル プロンプトがプレイヤーキャラクターとなる本作では、フィールドで手に入る様々な種類の武器を使 いこなすことが戦いの鍵となります。 ハンドガンを始め狙撃銃、閃光弾、さらには短刀による近接攻撃など、バリエーションに富んだ爽 快な戦闘が楽しめます。

■ 疾走感あるスノーモービル 雪原が舞台となる本作では、移動手段としてスノーモービルを使用することができます。走行中に 敵の銃撃を行うこともできれば、ジャンプもできる等、スノーモービルでのアクションは今作ならで はの大きな魅力の 1 つです。また、改造することで機能向上も可能です。

■ 同行キャラクターとして帝国准将アラネアの登場
FFXV 本編でも登場したアラネアがプロンプトの旅に同行します。戦闘時に力を貸してくれるだけ でなく、見逃すことのできないシーンがあります。

6月末に公開された、追加DLCも大人気の模様!
私も未プレイなのですがキャプチャを見る限りとても楽しめそうですし、アラネアと旅をしたい!!

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詳細は公式HPをご覧ください。

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