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これまでに約1万人以上の人が回答した人事アセスメントツール「mitsucari(ミツカリ)」。社会心理学と組織文化論に基づいた適性検査でキャリア志向・価値観・パーソナリティなどを総合的に分析し、適材採用・配置に役立てます。リリース時は求人のレコメンドがメインでしたが、実は数か月でビジネスモデルを転換されたとか。AINOW編集部のかめきちが、株式会社ミライセルフの表孝憲さんに伺いました。
人間の直観に頼らない人事判断
かめきち
ミツカリは、いわゆる「適性検査」とはどう違うのですか。
表さん
多くの有名な適性検査は精度が高い素晴らしい検査です。しかし、その結果を企業人事側が活用するのは難しいのではないでしょうか。
表さん
ミツカリは、検査結果をクラウド上で解釈しやすいかたちで確認できるようにしています。チーム・部署・職種など、さまざまな括りで診断結果を簡単に比較して、個人と組織の特徴を意思決定に役立てやすいように作っています。また、回答のし易さもウリで、15~20分程度でスマートフォンでも回答ができます。
かめきち
具体的にどのように活用できるのですか。
表さん
会社・部署・社員の特性や志向性を数値化することができるので、採用や部署配置にご活用いただいています。人事的なテーマは、ついつい人の直観に頼ってしまいがちです。例えば、面接の研究では、多くの面接はあまり精度が高くないことがわかっています。ミツカリのバリューは、応募者のどの価値観や人柄を確認すべきかがわかるので、面接がちゃんとできることですね。
サービスの方向転換
かめきち
2015年7月のリリース時点では、ユーザーが志向性クイズに回答すると、そのユーザーに合った求人とマッチングしてくれる、というサービスでしたよね。私、リリースされてすぐに、面白いなーと思ってクイズに回答したのですが、ひとつも求人がレコメンドされずに落ち込みました…
表さん
申し訳ありませんでした。じつは、とても話題になり、多くの方にご回答いただけたのですが、求人サイドができておりませんでした。β版とは言っていたのですが。
かめきち
いえいえ(笑)実際に求人のレコメンドはされたのでしょうか。
表さん
求人に対して、上位20~30名程度の本当にマッチされた方にだけ求人をお送りしました。企業側からは、志向性の合う人から応募があったと反響が大きかったです。
かめきち
好評だったのに、求人レコメンドから方向性を変えられた理由は?
表さん
企業側の数が足りていなかったので営業に回っていたのですが、実際にお話を伺う中で社内の組織分析として使いたい、という期待が大きいことに気がつき2016年2月には完全に方向転換をしました。
かめきち
ユーザーと求人のマッチングというモデルより、企業側の採用支援・社内課題解決の方が儲かりそうですね。
表さん
はい。それに、私たちが危機感を感じている「直感」の採用・配置という課題に対して、影響を大きく与えられると思っています。
かめきち
どうしても最初の構想にこだわりがちになりますが、その柔軟な判断、すごいです。
表さん
今後は採用の入口や組織分析だけでなく、個別のマネジメント場面でも活用できるツールにしていこうと考えています。
AIとして成立するのは、もっと先
かめきち
AI的な要素はどのあたりにあるのでしょうか
表さん
機械学習によって、企業・業界ごとのアルゴリズムを最適化しています。会社によって重視する指標も異なりますから。
表さん
もちろん、AIとして大きく売りだせるようになるのはもう少し先だと認識しています。現在、実際にミツカリの結果に基づいた採用・配置の結果が、どの程度フィットしていたかの評価を測定しています。また、クイズ結果以外の様々なデータもアルゴリズムに加えているところです。
かめきち
御社のAIを育てていく上で、どのような人材が欲しいとお考えですか。
表さん
統計学をガリガリとやっていた方に来ていただきたいです。プログラマももちろんうれしいのですが、研究者寄りのロジックを作れる人、ですかね。
編集後記
アセスメントツールって、理論が先行してしまい活用が難しいですよね。その中で、学術的な根拠を担保しつつ、活用のしやすさに注力しているミツカリさんは素晴らしいです。これから配置結果・採用結果のデータを集めた結果、人事界により大きなインパクトを与えられるサービスになりそうですね。