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2018.07.06

【要約つき】AINOWがおすすめの海外記事を紹介!(2018年7月)

最終更新日:


海外のAI系コンテンツに触れたい方におすすめ。

AINOWは翻訳記事だけではなく、海外記事の要約をまとめたコンテンツも配信していきます。

海外記事要約まとめ

Alphabet顧問のエリック・シュミット氏が発言「アメリカ軍と働く前にシリコンバーにはAI原則が必要だ」

著者 The Verge:James Vincent

テック系ニュースメディア『The Verge』に掲載された記事。同記事は、2018年4月17日、Googleの元CEOで現在は同社の親会社Alphabetの顧問であるエリック・シュミット氏が、アメリカ下院軍事委員会でAI企業の軍事協力について証言したことを伝えている。

アメリカ国防総省は、Project Mavenと呼ばれる戦闘地域に画像認識をはじめとしたAI技術を導入するプロジェクトを推進している。このプロジェクトを実行するために、GoogleをはじめとしたAI企業に協力を呼びかけている。こうした動きに対して、Googleの社員3,000人が軍事協力に反対する書簡に署名するという運動があった。シュミット氏もAI企業の軍事協力には慎重で、民間AI企業が国防総省に協力するためには何らかの倫理的ガイドラインが必要だと証言した。

Project Mavenでは、ドローンが撮影した画像を解析する目的でAIの導入が検討されている。具体的には、攻撃目標ではないヒトを認識するという「非攻撃的な用途」にAIを活用する、とのこと。しかし、「非攻撃的」と「攻撃的」の境界があいまいなのも事実である。

あなたのデータは操作されている

著者 danah boyd

著者のdanah boyd氏はMicrosoft Researchの研究員。同氏がMediumに投稿した記事は、AIの学習データがハッキングされることによって、AIの動作が悪意のあるものに改変されてしまう危険性について警鐘を鳴らしている。

大量の学習データを必要とするAIが普及すると、この学習データを攻撃することによって歪んだ情報を流布させるハッキング行為が出現することが予想される。例えば、画像認識に活用する学習用画像データを攻撃対象として、ヒトにはその変化は認識できないがAIにはその変化が分かるようにハッキングすることができる。

このハッキングでは、ヒトの眼では攻撃されたことが認識できないにもかかららず、AIは誤った学習を積むことになる。こうした学習データへのハッキングが成功すると、誤った判断を下す自律自動車AIのような社会的に危険な存在が誕生することが考えられる。

こうした学習データへのハッキング対策として提案されているのが、ハッキングに耐えられるような学習データを作ることを目的として、あえて学習データに攻撃を加える技術的抗体の構築だ。つまり、あえて攻撃を加えることによって、攻撃に対する抵抗力のある学習データを作るのだ。この方法は、敵対的生成ネットワークから着想されている。

以上のような議論を展開したうえで、近未来ではAIとその学習データは社会的・政治的基盤となっていくので、そのセキュリティ体制の構築が重要だと説かれる。

人工知能、機械学習、そしてディープラーニングの違いについて

著者 Calum McClelland

著者のCalum McClelland氏は、IoTプラットフォーム・サービスを開発・提供するLeveregeのプロジェクト・ディレクター。同氏がMediumに投稿した記事では、AI、機械学習、そしてディープランニングの違いについて平易に解説したうえで、AIとIoTの関係を考察している。

AIとは、ヒトの知的な活動を実行する機械の総称であるが、ヒトのすべての知的活動が可能な一般的な(general)AIとヒトの特定の知的活動が可能な狭い(narrrow)AIに分類できる。現在実現しているのは、狭いAIである。AIの機能の遂行方法には、コーディングによる方法と機械学習によるそれがある。機械学習とは、AIの働きを実現するひとつの方法として理解すべきなのだ。そして、ディープランニングとは機械学習のひとつの手法である。その他の手法としては。意思決定ツリー学習、強化学習等がある。

AIとIoTは、ヒトにおけるこころとカラダと類比的にとらえることができる。ヒトはカラダから得た知覚をもとにして何らかの判断をくだして行動するように、AIもまたIoTに実装されたセンサーから世界に関する情報を取得して何らかの判断をくだして特定のアクションを実行する。

以上のようにAIとIoTの関係を捉えた場合、このふたつのテクノロジーはどちらか一方の進化が他方の進化を促す正のフィードバックの関係にあると言えるのだ。

AVA:Netflixにおける画像発見の技術と科学について

定額動画ストリーミングサービス大手Netflixが活用しているテクノロジーに関するブログ記事では、同社が提供する大量の動画に関するアートワークをAIを活用して自動的に生成する方法について解説している。

同社が提供する動画のアートワークは、動画を構成する大量の静止画から抽出して生成する。抽出される静止画は、動画の内容を反映していると同時にユーザの眼に止まりやすいものが望ましい。こうしたアートワークに相応しい静止画を抽出するために、同社はAVAと名づけたAIを活用したアルゴリズムを開発した。

同アルゴリズムでは、まず動画を構成するすべての静止画について、アートワークに抽出する際の判断材料となるタグを自動的に付与していく。そのタグは、以下のような観点から付与されていく。

• ビジュアルメタデータ:静止画の明るさや色等
• コンテクストメタデータ:静止画に含まれる顔(顔はAIによって抽出される)、被写体の動き等
• コンポジションメタデータ:三分割法や対称性等にもとづいた静止画の構図

以上のようなタグを付与したうえで、以下のような観点にもとづいて静止画をランキングする。

• 俳優:主人公を含む静止画は上位にランキング
• フレームダイバーシティ:カメラショット、明るさ、色にもとづいてランキング
• 成熟に関するフィルター:不適切な性的表現といった有害な要素が含まれる静止画は、ランキングを下げる

以上のようなタグ付けとランキングを自動的に実行したうえで、アートワークの候補となる静止画を抽出しているのだ。

航空画像から自動的に道路地図を作成する新しい方法

著者 MIT News:Adam Conner-Simons

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:略してMIT)の研究成果を発表するメディアMIT NewsのAIに関する記事では、人工衛星や飛行機から撮影した地上の画像から自動的に道路地図を作成する方法を紹介している。

航空画像をもとにして地図を作成する既存の方法では、航空画像を構成する画素をもとにして「その画素は道路であるか否か」をAIが学習したうえで判断する「セグメンテーション」アプローチを採用している。この方法では、画素が不明瞭な箇所では判断の誤りが生じてしまうという課題があった。

今回MIT研究チームが発表した「RoadTracer」と名づけられた方法では、まず信頼できる既知の地図をもとにして道がつながる可能性の高い箇所を検出する。その道が続く可能性の高い箇所と未知の土地に関する航空画像をつなぎ合わせて、未知の土地にある道を特定する。そして、特定された道をもとづいて、さらに未知の道を特定するというように段階的に地図を作成していく。

同方法は、従来の方法に比べてエラー率を45%減らすことができた。しかし、正確な地図を作成するためにはヒトによる確認作業も不可欠であり、同方法はヒトの手間を今までより減らすことに意義があるのだ。

Special Thanks (翻訳協力):吉本幸記


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