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アナウンサーの荒木ゆいが、高知テレビに入社して話題になりました。なぜなら、彼女がAIであるからです。
今のAIアナウンサーは、従来のように文章を読み上げてくれるだけではありません。。今回は、AIアナウンサーとはなにかやメリット、事例などを紹介していきます。
あなたの家にもAIアナウンサーがくる日が近いかも!?
目次
AIを活用したアナウンサーって?
文章を音声にする機械はすでに存在している
AIアナウンサーが登場するよりもずっと前から、決められた文章を音声にする機能は存在しています。
Google音声読み上げ機能はその代表的な例です。2008年11月に発表され、現在まで2021年現在までさまざまな場面で活用されています。
AIアナウンサーの独自性
もちろん、AIアナウンサーも「与えられた文章を音声にする」という機能の面ではボーカロイドと共通しているといえます。
AIアナウンサーが持つ独自性は、そこからさらに先にあります。
膨大なデータから人間の喋り方を学習し、文章を与えるだけで自然な話し方を自動で完成させられるのです。
AIアナウンサーの事例
いくつかの会社がAIアナウンサーとして実際に展開しています。一緒に見ていきましょう。
荒木ゆい
荒木ゆいは株式会社 Specteeが運営するAIアナウンサーです。文章があれば、自動で音声をファイルを生成して読み上げてくれます。
各テレビ局や、YouTubeのホリエモンチャンネルなど活躍の幅を広げていて、私たちの身近なところで活用が進んでいます。
こちら記事では、SpecteeのPR担当マネージャーの方がAIアナウンサーの荒木ゆいの“どこが”AIなのかを分かりやすく解説しています。
ヨミ子
ヨミ子は、NHKが開発しているAIアナウンサーです。
実際のNHKの番組「ニュース シブ5時」のコーナー「気になるニュースランキング」にt出演しています。
Google アシスタントやAmazonのEcho端末に呼びかけるとヨミ子に繋げることができ、聞きたいジャンルを選んでヨミ子さんにニュースを選んで貰えます。
アオイエリカ
アオイエリカは日本テレビが研究・開発しているアンドロイドです。2018年の日テレの合同入社式に出席したことでも話題になりました。
アオイエリカは音声を読み上げるだけでなくて、アンドロイドとしての実物が存在します。その表情まで人間にそっくりです。
エリカチャンネルのYoutuberとしても活躍しています。
今後もグループ会社のメディア等でも活用していくとのこと。
中国のAI アナウンサー
中国でもAIアナウンサーが開発されています。
動画のアナウンサーは、中国の国営通信社「新華社」などが開発したものです。本物のキャスターをモデルにしています。
滑らかに中国語を読み上げる姿が、全国人民代表大会という中国最高の立法機関の開幕式に先だって発表され話題になりました。
どのような場面で活用されている?
メディアでのニュース読み上げ
毎日全国に向けてニュースを発信する人間のアナウンサーの代わりに、AIアナウンサーがニュースを読み上げる事例は増加しています。
多忙な人間のアナウンサーの出勤の機会を減らすことで、仕事の負担軽減、コロナ禍での感染対策にも繋がるなど、メリットの多い活用の仕方といえます。
▼実際にAIアナウンサーがニュースを読み上げている動画はこちら
施設での案内
2019年には、玉川高島屋がアナウンスにAIアナウンサーの荒木ゆいを活用開始しました。
人間の係が行うショッピングセンターのアナウンスでは、人材の確保やそのトレーニングが必要なうえ、アナウンスミスも起こりえます。
しかし、AIアナウンサーを活用したことで、これらの問題を大きく軽減できました。
医療関連
新型コロナウイルスの影響で重労働を強いられている医療関係ですが、AIアナウンサーの導入は、その負担軽減につながっています。
株式会社SpecteeとTOA株式会社は、共同でAIアナウンサーの荒木ゆいを活用した検温・問診システムを提供しました。
神戸市立医療センター中央市民病院では感染対策のため案内を行っていましたが、人間のスタッフが来院者全員にこれを行う負担は小さくありませんでした。
AIアナウンサーを活用することで医療従事者の負担を軽減している代表的な例と言えます。
防災関連
災害時の情報発信には問題点が多くあります。特にスタッフなどの人的な資源が不足する際など、情報発信が不十分になってしまうケースがあります。
このような問題点を改善するために、NPO法人和歌山エフエムはAIアナウンサーを活用しました。人員を減らすことで絶え間のない情報発信を可能にしており、平成29年の台風18号、翌年の台風30号の際などに実際に活躍を残しています。
AIアナウンサーのメリット
AI アナウンサーには、人間にアナウンサーに比べてさまざまなメリットがあります。
例えば、実際に人間を拘束する必要がなくなるため、緊急時の放送や店舗・イベントの繰り返す場内アナウンスなどでも活躍できます。
また、人間にはありがちな言い間違えがないこともメリットの一つです。
更には好きな声優の声や、自分でカスタマイズした声で、聞けるようなサービスも出てくるかも知れません。
音声合成分野のデメリット
AIアナウンサーだけでなく、音声合成分野全体で指摘できるデメリットが2つあります。
1つ目は、同じ言葉でも文章の繋がりによって違う読み方をする言葉についてです。
例えば、「人気」という漢字は、「にんき」と「ひとけ」の2つの読み方ができるうえ、意味も違います。そのため、文脈に応じて判断をする必要しなければなりません。
2つ目は、イントネーションの問題です。
私たちは自然に言葉を滑らかに発音していますが、機械に文章を読ませると、どうしても一辺倒な発音になってしまい、聞きづらくなります。そのため、人間の強弱や間の取り方を学習させることが必要です。
大量の音声や文章を学習させることで、上記の課題が解消され、AIアナウンサーが実際に活用されてきています。
AIアナウンサーのこれから
AIアナウンサーの読み上げの精度は、かなり実用に耐えうる精度になりました。
また、画像生成によってアナウンサーのデザイン自体から作りだしたり、自然言語処理と組み合わせたリアルタイムでのコミュニケ―ションを可能にしたりなど、他のAI技術と組み合わせた進化にも期待です。
私たち一人ひとりが、デザイン・音声をカスタマイズしたマイアナウンサーからニュースを聞く日も、そう遠くないかも知れません。

『空はまっさお、男は正生』
学習院大学で政治学を専攻中です。
AIなどのテクノロジーで変わる社会・人間・生き方に注目しています。