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キカガクはAI・機械学習スクールとして、今まで6000人の人材を育成し、国内におけるAI人材不足解消に大きく貢献してきました。
そんなキカガクが6000人を育成することで感じた課題。それは
「スクールで学んでもビジネスで応用できず転職につながらない」
ということです。
キカガクが先日発表した新たな取り組み「teach4me」はそんな課題を正面から見つめた奥深い取り組みでした。
その特長はプログラミングを組めることをゴールにしていないということです。
インタビューしたのは吉崎さんと多森さんです。
目次
学び合いプラットフォーム「teach4me」とは
キカガクの新たな取り組み「teach4me」は教え合いによるオンラインのAI人材教育プラットフォーム。
従来の一般的な教科書を学ぶスタイルを脱却し、学んだことを人に教えることで、ビジネス課題解決のプロセスを身につけられるようにするプログラムです。
teach4meのプロジェクトマネージャー多森さんにお話を伺ってみました。
多森さん
おざけん
吉崎さん
最初は10人くらいをマックスで募集しようとしていたのですが、2日で30人以上の応募が来てしまって…
具体的なカリキュラムは!?
多森さんに具体的なカリキュラムを伺いました。
多森さん
模擬プロジェクトの前に基礎的な部分はテキストや動画の教材を用意しています。教え合いは模擬プロジェクト内でカリキュラムに組み込んでいます。
ステップ1では、まずAzure Machine Learningを触って、難しいプログラミングなしで、精度がどれぐらい出るかが大まかにわかるようなイメージです。
ステップ2、3、4と進むにつれてビジネスの実務運用できる(ユースケースを考える)ところまで持っていきたいと思っています。
転職まで考えているのでステップ3、4辺りで、見える成果物を残せるようにしたいと考えています。
teach4meはエンジニアリングはある程度GUIを駆使することで、簡単なプロトタイプを残せる人材を発掘しようとしていることが特長です。
吉崎さん
結局ポートフォリオで見るのって、成果物ですから細かい工程はGUIで一貫して取り組み、アウトプットをとにかく出すというところを重視しています。
AIのプログラミングスクールを卒業してもAIを仕事にする人が少ない
おざけん
吉崎さん
キカガクの卒業生に「AI使えていますか?」と聞くと「いや結局できていないんですよ!」という声が多かったんです。
まずそれを解決したいというのが、teach4meを始めた最初のモチベーションなんですよね。
結局、この問題を分解してみると理由は「会社に仕事がないから」「AIの案件がないから」という、外的な要因なんです。仕事がもし降ってくれば、そのために「勉強をしなきゃ」とモチベーションが上がりますよね。まずは仕事がある環境を作ることが大事なんです。
吉崎さん
「カリキュラムが実ビジネスと乖離していて、学び続けるモチベーションが維持できない。」
これが専門家が少ないAI業界で起きている問題なので、その解決のために考えた答えが「teach4me」なんですよね。
おざけん
AIを教えるスクールはとても増えてきていますよね。やはり他社を含めた全体の課題として転職する人は少ないのでしょうか?
吉崎さん
自己研鑽で終わってしまう人がとても多いんです。今まで見ていて99%はそうじゃないかと思います。もしかしたらこれから転職するかもしれませんが笑
おざけん
吉崎さん
だからこそ、エンジニアサイドの前にビジネスサイドを育てないといけません。企画をして予算を取ってくる。そのためにしっかりとしたプロトタイプを作る。実はteach4meのターゲットはこの部分なんです。
teach4meのターゲットは企画。そのためにプロトタイプを重視
吉崎さん
エンジニアの人をアサインするためには、まず予算を採らないといけないので、企画の人がまずプロトタイプを作って、どんなデータを揃えておけばいいかを考えられる必要があります。
プロトタイプをパパッと作れることが、エンジニアを養成するための1番大事な所なんです。
私たちのようにAIの教育系の人は、ほとんどエンジニア育成をしているんですね。
これって矛盾だなって思って…
なぜ、この問題が起きるかというとAIって、テクノロジーから来るところが多いので、技術者の人がAIスキルを教えるときに目の前の自分の技術を教えちゃうんですよ。
振り返ってみて「結果出せるところが1番大事だな」と思いました。
エンジニアリングより、問題設定とか、ビジネス側で解決できることに注力するように工夫しました。
今、Azure Machine Learningなどのフレームワークに手元のデータをあげてみたら、どれぐらいの成果がでるのかがわかるんですよね。
それをプロトタイプと呼んでいて、プロトタイプさえ作れれば、あとはエンジニアを養成していけばいいわけなんですよね。だからこそ「teach4me」のゴールとしていることは、プログラミングを組めることではありません。まず、上司から予算を取って、AIのプロダクトをブーストするためのファーストプロジェクトを作るためのカリキュラムになっています。
転職にもつながる「teach4me」なぜ受講生同士が教え合うのか
吉崎さん
シリコンバレーで働いている人って、ほとんど中国人とかインド人の優秀な人が流入していますよね。それなら「日本も教育よりも外国人を入れていけばいいじゃん」と言われたことがあります。
でもアメリカのほうが給料が高いし、わざわざ日本語を勉強してから、日本に来ないといけないからなかなか実現しづらいと思います。
だからこそ、もし日本を盛り上げるというミッションを、もし掲げるとすれば日本人を育てる以外に選択肢がなかなかないわけなんですよね。それか日本人の公用語をすべて英語にするか笑
やっぱり、日本人を育てないといけない。そのためには講師が不足している。講師が不足しているという問題を解決するには、講師を増やすしかないわけなんですよね。
じゃあ専門家を増やせるかというと、国の予算も当然ついてないから、増やせない。
教育って、それこそ専門家に教えてもらわなければ知識がつかないのかというとそうではありません。
バトンを渡し合うような教え合いこそが、講師不足が解決できると思っています。これがteach4meの醍醐味ですね。
おざけん
吉崎さん
となると講師の数を担保するのはとても難しいです。
教えるのが好きじゃない人もいますし、AIを教える事で極められてしまったら、今度は転職してしまいます。
だからこそ、我々で優秀な講師を保持するのは、なかなか無理だよねと感じています。
では、転職してビジネスにAIを適用していきたいのであれば、そのプロセスを「teach4me」に入れてしまおうと考えました。カリキュラムに教える過程も入れながら、転職にもつながるような工夫をしているんです。
おざけん
吉崎さん
プロフェッショナルが教えるよりもわからない人の気持ちがわかる人が教えるべきなんですよね。教える直前まで、まだ素人だった人たちですから。
しかし、ちゃんと教える側のサポートもします。教える側がどうしてもわからないところなどは私たちが入っていって、それからまたカリキュラムをブラッシュアップしていくことも考えています。
多森さん
その中で、教えてもらう側の人から質問した際に、教える側の人が、答えられないポイントを目の前で見ていく過程で、どんなガイドラインが必要だろうと考えていこうと思っています。
おざけん
今後の展望
吉崎さん
どんどんteach4meの学びの輪を広げていきたいと考えています。だからこそ、かなりの低価格でご提供できるようにしました。
今までうまく教育プラットフォームに馴染めず、なかなか転職するチャンスがなかった人も、teach4meでは学べる機会を提供できるようにしていきたいです。
またカリキュラムをどんどん増やしていきたいと考えています。教え合いの中で、さまざまな課題が今後見つかると思います。そこから改善を加えてカリキュラムをブラッシュアップするだけでなく、卒業生が新しいカリキュラムを作れるようにするなど柔軟にネットワークを構築していきたいと考えています。なにせ今AIの教育業界にはカリキュラムが足りていませんからね笑
おざけん
吉崎さん
またデータの提供や転職先などでさまざまな会社とも協力していきたいです。
最後に
AIの教育というと、どうしてもエンジニアリングに寄ってしまいます。数多くの機械学習教育プラットフォームが出てきています。出版される本もエンジニアリングの入門編が数多くあります。
AI業界内で顕在化して来たニーズは、会社の中でいかにして予算を取るか。そこからすべてのAIプロジェクトが始まります。
予算を取るためには、機械学習独自のプロジェクトの特長を掴んだ上で、期待値の調整をしなければなりません。そのスキルを学ぶサービスがなかったんですよね。
橋渡し人材といってエンジニアリングはできなくても、ディープラーニングのことを理解してビジネスへの応用が進められる人が求められています。
日本ディープラーニング業界理事の佐藤さんも同じようなことをおっしゃっていました。
今回取材したteach4meも全く同じように、それぞれの業界にAIをしっかりと実装できる人を養成するんだという意気込みが感じられました。
確かに機械学習エンジニアは必要ですが、まずは現場の人がある程度機械学習のことを理解して、最初は外注でもいいのでとりあえずプロジェクトをスモールスタートで始める。そしてそれがスケールするにあたって、社内で機械学習エンジニアを採用していく。
こんな柔軟なプロセスが求められていると思います。
本当にAIを社会に実装できる人、エンジニアリングだけじゃなくビジネス課題を見据えた人材。
その育成ができるのがteach4me独自の強みだと感じました。
■AI専門メディア AINOW編集長 ■カメラマン ■Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ■AINOWのTwitterもぜひ! @ainow_AI ┃
AIが人間と共存していく社会を作りたい。活用の視点でAIの情報を発信します。
人と人が教え合う場所という意味も込めてプラットフォームという言葉を使っています。
機械学習系のプログラミングスクールは増えてきましたが、一方的に教えるだけだと、教科書を追いかけるだけのスキルしか身に付かないんです。
ビジネスの現場で「このデータがあるから、ちょっと分析しといて」というときに、結局、前工程と後工程をやらずに、学習用の綺麗なデータセットでしか分析をしていないとうまく対応できないことがあります。
お行儀の良いデータだけを勉強するのではなく、人に説明することで、「あれ何でこんな分析しているんだっけ」と、背景や課題解決のプロセスを理解する人を育てたいという思いで、「教える、教わる」プラットフォームを作りました。