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海外のAI系コンテンツに触れたい方におすすめ。
AINOWは翻訳記事だけではなく、海外記事の要約をまとめたコンテンツも配信していきます。
目次
海外記事要約まとめ
AutoKeras:このGoogle AutoMLキラー
著者 George Seif
著者のGeorge Seif氏は「nerd(オタク)」を自称するAIを専門とするブロガー。同氏がMediumに投稿した記事では、AutoMLの代替としてAutoKerasを推奨する理由を解説している。
Googleが提供する機械学習APIライブラリーであるAutoMLとは、機械学習の内部アルゴリズムに精通していなくても、学習データを用意すれば学習されたAIを活用できるものである。同ライブラリーを活用すれば、企業はAIに詳しい人材を雇用せずに画像認識等のAI機能を利用できる、というわけなのである。もっとも、同ライブラリーを1時間利用するためには20ドル(約2,300円)の費用をGoogleに支払う必要がある。対して、AutoKerasはオープンソースのAIのAPIライブラリーであり、AutoMLで可能なことを無料で実行できる。オープンソースであるがゆえに、AutoKerasのAPIを目的に合わせてカスタマイズすることも可能である。こうした理由や特徴から、同氏はAutoKerasをAutoMLより優れたものとして推奨している。また同氏によると、近年AIが急激に発達した背景として、研究者が研究成果を無料で公開したことやGitHubでソースコードを共有できたことがある。そのうえで、有料のAutoMLを批判している。
もしAIがあなたの仕事を代替しないとしても、AIはあなたをもっと楽しくさせる
著者 Jon Martindale
著者のJon Martindale氏は、イギリスで活動しているテクノロジー系の記事を執筆するジャーナリストであり、長編小説「The Medicine」も発表している。同氏が海外テック系メディアDigital Trendsに投稿した記事では、AIはヒトの仕事を奪うよりもむしろ助けることを説いている。
近未来の労働におけるヒトとAIの関係は、現在の航空機パイロットの仕事ぶりから類推することができる。現在のパイロットは、操縦のほとんどを機械に任せて、ほとんどの時間はその操縦を監督している。こうしたパイロットと操縦機械の関係が、すべての仕事で実現するようになる。つまり、ヒトはAIの仕事を監督し、AIの対処が難しい変則的な業務にだけ専念するようになるのだ。さらには、確かに既存のほとんどの仕事がAIに代替される可能性が大いにあるのだが、そうした仕事のAIによる代替は費用対効果の関係からゆっくり進行すると考えられる。AIによる代替が可能であっても、ヒトを雇うほうが安価に遂行できる仕事は、すぐにはAIに代替されないのだ。いずれにしても現在進行しているAIによる新たな産業革命では、AIによってヒトの仕事が奪われるというよりは、AIがヒトをサポートする範囲が拡大することが起こりそうなのだ。
いかにして素晴らしいチャットボット体験に釘付けにできるか
著者 Owen Williams
著者のOwen Williams氏は、フリーランスのライターでアプリ開発に関わった経験もある。同氏がMediumに投稿した記事では、チャットボットのシナリオ設計に関する教訓をまとめている。
チャットボットにおけるシナリオとは、ユーザとAIの会話の流れや台詞を決める脚本のようなものである。現在のチャットボットはヒトのように言葉を理解できないため、シナリオの品質がチャットボットの性能に大きく影響する。同氏は、KLMオランダ空港のチケット予約用チャットボットのシナリオを設計したことにより、3つの教訓を得た。第1の教訓は、チャットボットができないことをメッセージで表示するべき、ということである。第2が、ユーザの入力内容をチャットボットが確認のため繰り返すことで、ユーザに意識されることなくスペルチェックをしてもらうことである。そして、第3が希望予約日を入力しておらうときに、チャットボットが処理しやすい日付表示形式を伝えることである。同氏が設計したチャットボットの場合は、1月はJanuaryと入力するようにユーザに伝えていた。
FacebookがFacebook Messengerを活用したチャットボット・プラットフォームを発表して以来、多くのブランドがチャットボットを導入したが、その多くはユーザをイラつかせるようなお粗末なものだった、と同氏は指摘している。そして、よいチャットボットを開発するためにはフレーズの細部に至るまで入念に設計することが鍵である、と同氏は説いている。
朝から晩までAIが求人活動をサポートする方法
著者 Scott Martin
著者のScott Martin氏はUS版NVIDIA公式ブログのシニア・ライターであり、過去にはWall Street Journalの編集次長を務めていたこともある。同氏がUS版NVIDIAブログに投稿した記事では、AIが求人活動をサポートするサービスを提供する企業Eightfoldの事例が紹介されている。
求人サービスを手がける企業Paysaによれば、AppleやAmazonといった大手ハイテク企業の従業員の平均在職期間は2年を下回っており、アメリカのテック系企業は頻繁に求人活動を行わなければならないという問題に直面している。こうしたなかEightfoldは、AIを活用した求人マッチングサービスを提供している。同サービスを活用すると企業は雇用条件を入力すれば、同サービスに登録された求職者のなかから最適な候補を検索することができるのだが、検索処理にはAIが活用されている。このAIは、大量の求職者の経歴を機械学習することによって、求職者が次にどのようなキャリアを望んでいるかを予測しているのだ。このように求職者のキャリアパスを予測することによって、企業と人材のマッチングを実現している。また、同サービスは、在職者にいくつかの質問をすることによって、離職する兆候を検知する機能も実装されている。この機能によって人材の流出を予防し、求人活動に使ったコストを無駄にしないようにしているのだ。
表現の公平性に関する問題。あるいはAIによって誇りと尊敬をうながすということ。
著者 Ben Hutchinson
著者のBen Hutchinson氏は、GoogleのAI部門に所属するシニア・ソフトウェア・エンジニア。同氏がUS版Google公式ブログに投稿した記事では、差別的な表現を検出する機械学習APIとそのAPIの欠点を補う試みについて解説している。
Googleは、オンライン上にある人種差別的または性差別的な表現を検出する機械学習API「Perspective」を開発・リリースしている。このAPIは、LGBTIQ+ に関する肯定的な表現を誤って否定的に捉え、差別的表現として検出する欠点があった。この欠点を克服するために、LGBTIQ+ コミュニティから表現を集め正しく表現を評価できるようにする「Project Respect(尊敬プロジェクト)」を立ち上げた。このプロジェクトではLGBTIQ+ コミュニティから「わたしはゲイであり、そうであることに誇りを持っています」のようなLGBTIQ+ に関する肯定的な表現を集め、そうして集めたデータをAIに学習させることでLGBTIQ+ に関する表現を適切に認識させることを目標としている。学習データとなるLGBTIQ+ に関する表現は、世界各国のプライドパレードを巡ることで集めれた。以上のプロジェクトは、世界規模で推進することを予定している。
Special Thanks (翻訳協力):吉本幸記