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おざけんです。
2018年11月18日 東京都 紀尾井町にあるYahoo!のコワーキングスペース「LODGE」にて、ウェアラブル脳波センサーを利用した世界初のアイデアソン「Brainwave Idea Challenge」が開催されました。
主催しているのは、PGV株式会社です。日本橋にある脳波のデータの活用を進める同社は、低価格ながらも高性能なデバイスを使って、脳波を気軽に計測することを可能にし、そのデータを活用して病気の予測や感情分析に活かそうと取り組んでいます。
▼参考記事
今回の脳波アイデアソンは「Brainwave Idea Challenge」と名付けられ、脳波を活用するアイデアを議論し合います。
脳波は指紋のように個体差により大きく異なります。今後は機械学習の技術などを活用することで、さまざまな産業において脳波の活用が進むでしょう。
「Brainwave Idea Challenge」では多くの参加者がそれぞれ脳波の活用のアイデアを出し合います。connpassで公開されたイベントページでは、参加者数よりも応募者が多くなっていて、会場も人でいっぱいでした。
参加者は学生が多いと思いきや、社会人を含めてさまざまな属性の人が参加。それぞれバックグラウンドも異なっていて、幅の広い議論が展開されていました。ややエンジニアが多いようです。
脳波の活用の方向性
脳波の活用というと従来のような医療での活用に重きが置かれがちです。たしかに脳波の活用ではアルツハイマー病の予測など医療における活用の可能性も大きいでしょう。
実際、アルツハイマー病は、一度罹患してしまうと治すことがとても困難です。脳波に現れる兆候から事前にアルツハイマー病になる確率を予測することができれば、薬の投与によって、精神疾患や神経変性疾患のリスクを大幅に減らすことができます。
しかし、脳波の活用では、脳の情報をダイレクトに活用できるという点で、以下のような活用も期待されています。
- モニタリング(睡眠など)
- ニューロマーケティング(脳波の計測データを活用した商品開発)
特にニューロマーケティングでは、例えば映画を見ている観客に脳波デバイスを装着して脳波の動きを観測することで、その映画がどれくらい感動できるものなのかを数値化するなど、ビジネスでの幅広い活用が見込めます。
PGVの水谷さんによるとこのニューロマーケティングの分野が、一番実現が早いといいます。医療ほどハードルが高くなく、小さく始められる部分なので、これからさまざまな企業と脳波データの活用の連携が進んでいくでしょう。
幅広いアイデアが生まれたそれぞれのアイデアを発表!
出てきたアイデアを紹介!
- 「BrainWaveDJ」
音楽を聴いているときの感情を測定して、曲を変調するサービス。 - 「ドライバーズ」
ドライブマッピングサービス。脳波データを活用して運転時の心理的負荷が重い場所をマッピングする。GPSのデータと組み合わせることでカーナビへの組み込みなどが可能。 - 「PITA」
ひとめぼれを検知することで草食系男子を助けるサービス。脳波を使うことで、草食系男子にひとめぼれしたことを通知する。ひとめぼれした瞬間にPITAが震えるといアイデア。 - 「脳more baby」
夜泣きに注目したサービス。赤ちゃんの眠気レベルを把握して夜泣きを予測するサービス。 - 「ブレインシアター」
映画を見る人が脳波計をつけることで、作品の改善、マーケティングに活用することができるサービス。シナリオやキャスティングの改善にも活用可能。ユーザにはポイント改善をしたりポップコーンの提供をするなど、相応の報酬を用意する。 - 「think コネクト」
運転手の高齢化に着目。交通事故の大部分の理由をしめる不注意を課題視。脳波で運転中の脳波を計測。運転中に眠くなるアラートを出すなどをする。 - 「Brain Chain」
社会の大きな課題に対する意思決定の非効率性に注目。思考資源を脳波デバイスで可視化、それぞれの人がどれくらい思考資源があるのかを管理する。より多くの思考資源を使った人には多くの報酬が与えられるブロックチェーンベースのサービス。
結果発表
審査員
- 関谷 毅さん(大阪大学教授 産業科学研究所 PGV脳波デバイス発明者)
- 馬田 隆明さん(東京大学 産学協創推進本部 「逆説のスタートアップ思考」著者)
- 長谷川 愛さん(アーティスト / デザイナー)
- 梅澤 慶介さん(AlpacaJapan株式会社 Chainerエバンジェリスト)
- 山脇 拓さん(ヤフー株式会社 スマートデバイス本部 1部2部 部長)
栄えある最優秀賞は!?
オーディエンス賞
脳・ブロックチェーン(榎本さん)
審査員特別賞
ドライバーズ
ブレインシアター
Brain Challenge賞
think コネクト
最優秀賞
脳 MORE BABY
おわりに
幅広いテーマのアイデアが生まれたアイデアソンでした。人間の脳の中のデータを活用するということは、人間が関わる全ての産業で活用の可能性があるということでしょうか。
脳波の活用では、波形に現れる機微を的確に捉えて目的となる変数を予測する必要があります。その点で、今後は機械学習の活用の可能性がより大きくなってくるでしょう。
水谷さんは来年はハッカソンも開催して、実装もしていきたいとおっしゃっていました。
PGVが活用するデバイスは、従来の脳波計よりも格段に低コストで、ほぼ同じ精度のセンシングが可能です。これにより簡単に膨大な脳波データを蓄積できるようになるでしょう。
脳波が私たちの生活を変える日が、だんだんと近づいてきている。そんなことを感じさせられた1日でした。
時間があれば、PGVを取材した記事もぜひご覧ください。
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