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おざけんです。4月3日から5日にかけて開催された「第3回AI・人工知能EXPO(以下AI EXPO)」が終了しました。
この記事では3日間にかけて多くの人で賑わったAI EXPOの様子をお届けします。
やたらスーツが多いAI EXPO | 商談の場として発展
AI EXPOに参加した率直な感想、それは「スーツが多い!」ということです。
250社が出展し、過去最大の規模のAI EXPOはどこを見渡してもスーツだらけ。「商談の場」としての面がさらに強くなっていることが感じられました。
まずは来場者の様子を以下の画像でご覧ください。
幻滅期に入ったとも言われるAI関連技術ですが、一方で多くのビジネスサイドの方がAIに注目していることがわかります。
実際にブースの担当者からは「商談の予約が事前に埋まっている」という嬉しい声もあり、まさに過去最大の展示会と言えるでしょう。
事例が強みのブースには人だかり
AI EXPOでは、多くの事例を展示している企業に人だかりができていました。商談の場となる展示会というだけあり、他社でどのようにAIが活用されているのかに関して興味のある来場者が多かったと推測できます。
ディープラーニングだけでなく強化学習にも取り組む | ギリア
会場の最奥部に大きくブースを構えていたのはギリア株式会社です。ソニーグループのAIカンパニーとして、みずほ銀行やNTT東日本など大手のクライアントを抱え、事例・ノウハウを積み重ねてきた会社で、白を基調としたブースが特徴です。
ギリアは研究開発にも積極的に取り組んでおり、例えば強化学習の研究では米コジタイ社とパートナーシップを締結し、最先端の研究を行っています。
また、マウス操作だけでディープラーニングの開発ができるソフトウェア「Deep Analyzer Lite」の販売を開始し、今後もさらにAI領域で活動の幅を広げていきそうです。
高火力が売り | さくらインターネット
さくらインターネットのブースでは、ブース前に設置したカメラでリアルタイムの人物認識のデモを行っており、注目を集めていました。また、ブース内では持ち前の計算能力を活かした事例が多く掲載されており、多くの人の目に留まっていました。
さくらインターネットは、高火力を売りにしたGPUサーバーの提供を従来より強化しており、4つのGPUサーバーモデルを機械学習用に提供しています。そのうち2つのモデルは時間課金が可能で、必要なときに必要な分だけの計算リソースを確保することができます。
チャットボット・コールセンター向けソリューションの多さ
第1回AI・人工知能EXPOから、継続して出展数が多い領域がチャットボットやコールセンター向けのソリューションです。
しかし、前回・前々回に比べて数は減少している印象があります。これは受託開発を行っていた会社がチャットボット分野以外の訴求を強めており、従来からチャットボットのみに注力してきた企業は継続して出展していることが考えられます。
人間とスムーズに電話できるAI | commubo
チャットボットややコールセンターソリューションの中でAINOWが注目したサービスは、SOFTFRONTが提供する「commubo」です。
会話の目的に沿って継続的に会話ができる自然会話機能を提供するAIで、企業の電話受付やカスタマーサポート、テレマーケティングなど幅広い用途で活用できます。
実際にAINOW編集部で試してみると、スムーズに会話を続けることができ、このまま企業の代表電話を代替できそうでした。
実際に以下の動画で「commubo」の対話の様子を見ることができます。ぜひご覧ください。
最先端のモデルも取り入れるチャットボット | サイシード
最先端の技術も用いて研究開発を行い、チャットボットサービスを提供している株式会社サイシード。
- FAQに特化した検索エンジン「sAI Search」
- チャットボット「sAI Chat」
- FAQの作成サービス「sAI Builder」
を提供しています。
2月には、汎用性に優れた自然言語処理の最新モデル「BERT」を国内で初めて製品に取り入れると発表し、「sAI Builder」におけるキーワード抽出で活用されています。
相変わらず強いデータ分析ソリューション
AI・人工知能EXPOで根強い人気を持っているのがデータ分析ソリューションです。データ分析は、多くの企業に適用できる比較的汎用的な技術のため、それぞれのブースには大きな人だかりができていました。
独自のノウハウをサービスに | キーエンス
入口の近くに位置し、多くの人を集めていたのはキーエンスのブースです。キーエンスは、「データから施策が見つかるソフトウェア」としてデータ・アナリティクスプラットフォーム「KIシリーズ」の展示を行いました。
表計算ソフトやBIツール(分析ツール)では有効なアクションに繋がりにくいことを課題と捉え、具体的な施策の切り口と改善効果がわかることをアピール。ビジネスマンの共感を呼びやすいテーマで人だかりができていました。
データ分析が強みのデータサイエンティスト集団 | ALBERT
高度なデータ分析力を持つALBERTは、過去最大規模のブースを出展。独自開発のサービスのラインナップが増え、講演にも多くの人が耳を傾けていました。
ALBERTは受託で分析を行うだけでなく、分野別にチャットボット「スグレス」や、異常検知や画像認識技術に特化した「タクミノメ」などを提供しています。
その他
漫才師が商品紹介 | シナモン
音声認識エンジン「Rossa Voice」やOCRツール「Flax Scanner」を提供する株式会社シナモンは、漫才師を活用した商品紹介を実施。独自の視点でシナモンのツールを紹介する独特なブースを展開していました。
来年は倍以上の出展!? | ファーウェイ・ジャパン
第3回AI・人工知能EXPOで初の出展となるファーウェイ・ジャパン。日本ではtoBの戦略を強め、GPUなどの計算リソースを展開していく予定で、来年にはさらに大規模なブースを構えるとしています。
顔認証をあらゆる場面で活用| SenseTime
顔認証技術で名高いSenseTimeも出展。SenseTimeはDeNAとの連携を1月に発表しており、国内での展開を進めている企業。
ブース内では、顔認識を活用したゲートやロッカーが展示されていました。
10万円で法務業務の効率化 | LegalForce
4月1日に正式版としてリリースした「LegalForce」。自然言語処理技術を活用して契約書に潜むリスクを洗い出し、修正条文例のリサーチまでサポートするサービスです。価格は10万/月からの提供で、法務業務の効率化につながるのか注目のサービスです。
さいごに
AI EXPOは商談の場として盛り上がり、さらに多くの企業がAIの導入を検討されたことでしょう。
しかし、一方でAINOWでは、人手不足が顕著な中小企業において、AIの導入率は5%程度にしかならないというアンケート結果を発表しました。
商談の場として、発展し続けるAI EXPO。しかし、社会全体に目を向けてみるとAIの導入率は高くありません。AI EXPOを通して、AIがただの興味の対象ではなく、活用できるものでなければならないと実感しました。
来場者はより深いAIの理解を、出展者はより活用に近いサービス提供を。今後もAI EXPOのような展示会を通して、AIの利活用がさらに進むことを期待し、AINOWとしても発信をさらに続けて行きたいと思います。
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