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こんにちは!AINOWの橋本です。
最近、AIが仕事を奪っていくというネガティブな意見をよく聞きます。みなさんもAIに仕事を奪われると不安になっているのではありませんか?AIに仕事を奪われないためには、しっかりとAIについて理解しておくことが大切です。
そこで、今回は
- AIがなぜ仕事を奪われると言われているのか
- AIに仕事が奪われないという事実
- AIが生み出す職業
- AIについての基本的な機能
について詳しく解説していきます。
AIについて深く理解し、仕事を奪われないための戦略を立てていきましょう!
目次
そもそもなぜAI・人工知能が仕事を奪うと言われているのか?
大手の銀行がAIによる業務効率化を前提とした人員削減の計画を発表するなど、AIが仕事を奪うと言われることが多くなりました。
そもそも、なぜAIを敵視する「AIに仕事が奪われる論」が説かれているのでしょうか。
理由は3つ考えられます。
- オックスフォード大学などの研究結果
- インフルエンサーの発信
- 映画などのメディアの影響
それぞれ詳しく紹介します。
オックスフォード大学などの研究結果
2014年、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授がある論文を発表しました。その名も、THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)。
この論文は世界に衝撃を与えました。AIが発達することで、自動化が進み、人間の仕事がなくなってしまうと予測したのです。
調査では、
- テレマーケター(電話を使った販売活動)
- 不動産の権原検査員
- 手縫いの裁縫師
- 数理技術者
- 保険事務員
などの職業は、高い可能性でなくなると予測されました。
このオックスフォード大学が発表した論文がAIは仕事を奪うという意見の大きな原因となっています。
インフルエンサーなどの発信
堀江貴文氏・落合陽一氏などのインフルエンサーの発信により、「AIによって仕事が奪われる」という一面的な考えが広まったという見方もできます。
落合陽一氏は自身の著書で、
「人が努力したり、いやいやながらにやったりするような単純で辛い作業や誰がやっても同じ作業はコンピュータにどんどんとって代わられていく」
引用:落合陽一(2016)『これからの世界をつくる仲間たちへ』小学館
「機械を使う側になるか、機械に組み込まれる側になるかの問題」
引用:落合陽一(2017)『超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティに備える34のリスト』大和書房
と述べています。
堀江貴文氏は自身が運営するYouTubeチャンネル「HORIEMON CHANNEL」にて、「経理の仕事はすべてAIで自動化され、他の仕事も人間の部分は少し残してほぼ自動化されるだろう」「AIを使う側に回ることも重要だ」と語っています。
参考:「ホリエモンが教えるAIに仕事が奪われる職業とは!?」
落合氏や堀江氏はただ単に仕事が奪われると述べているのではありません。AIに仕事を奪われる可能性があるのだから、AIを使う側に回った方が良いというメッセージもあります。
にも関わらず、「AIが仕事を奪う」という部分だけを一面的にとらえてしまったことで、誤解を招きかねないものになってしまっているのかもしれません。
映画などのメディアの影響
人工知能のイメージを決めているものを考える中で、あの名作映画を外すことはできません。「ターミネーター」です。
ターミネーターは、近未来における人類と人工知能の戦いを描いたSF映画。人工知能と聞くとどうしても、この映画が頭をよぎる人も多いのではないでしょうか。
AINOWが実施した街頭インタビューにおいてもAIとターミネーターを連想する人がいました。

建設業 施工管理
参考:「予想以上にテレビの影響が大きかった!」 道ゆく人はAIをどう思っているのか 新橋駅前で調査!
また、2020年には「AI崩壊」という映画が公開されます。

引用:「AI崩壊オフィシャルサイト」
『AI崩壊』では、AIが「生きる価値がある人間」と「生きる価値がない人間」を選別するようになり、殺戮(さつりく)を始める2030年の世界が描かれています。
研究結果だけでなく、人間とAIの敵対関係を強調して不安を煽るメディアの風潮や、インフルエンサーの意見を一面的に捉える人が増え、「AIに仕事が奪われる」という世論が強まっていることも考えられます。
「AIに仕事が奪われる」に関する重要な3つの事実
AIが仕事を奪うと言われる原因を見てみました。しかし、歴史をひも解いて考えてみると、AIの登場による破壊的イノベーションは仕事を奪うとも言い切れないかもしれません。
- ラッダイト運動
- T型フォードの登場
- AIは新しい仕事も生み出す
の3つにわけて考えてみましょう。
労働者の失業への不安が生み出したラッダイト運動
ラッダイト運動とは、産業革命時に、機械の登場により失業する恐れを感じた労働者たちが、機械を破壊した運動のこと。当時は大きな社会問題になりました。

ここで注目したいのが、ラッダイト運動の「あと」です。ラッダイト運動の後は、町中に失業者があふれたという事態にはなりませんでした。むしろ技術がの進化したことで、労働者の作業効率が上がり、企業の生産力が向上したのです。
結果として、増えた利益は資本家から労働者に給料として配分され、所得が増え、中産階級が生まれました。革新的技術の登場は生産性・賃金アップの可能性があるともいえるでしょう。
T型フォードの登場で乗馬スキルが運転スキルに
T型フォードは、アメリカ合衆国のフォード・モーターが1908年~27年に生産した自動車です。ヘンリー・フォードが、実用的で手軽な価格の大衆車として開発。大量生産大量消費社会の象徴とも言えるまでにになりました。

T型フォードが登場する前までの風景 出典:“Fifth Avenue in New York City on Easter Sunday in 1900”, National Archives and Records Administration, Records of the Bureau of Public Roads (30-N-18827) [VENDOR # 11], https://www.archives.gov/exhibits/picturing_the_century/newcent/newcent_img1.html

T型フォードが現れた後の風景 出典:File:Ave 5 NY 2 fl.bus.jpg From Wikimedia Commons, the free media repository https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg
これらの画像のように、T型フォードの登場で馬車の数は激減。たった10年ほどで街の風景は一変しました。
変わったのは風景だけではありません。求められる力も馬車を操る力から、自動車を運転する力に移行したのです。
このような激しい時代変化が、機械学習などの技術が一気に浸透していくこれからの時代にも起こりえます。
新しい時代の中で適応していくには、必要になるスキルの変動を予測し、それに対応していくことが必要です。
AIは仕事を生み出す
AIは仕事を奪うという予測を出したのはオックスフォード大学でしたが、正反対の予測を出している調査もあります。
大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、AI・人工知能は人間から仕事を奪うよりも、多くの仕事を新たに生み出すだろうと予測しました。
PwCの予測によれば、輸送業や製造業などの分野の一部は確かにAIが仕事を奪うと述べられていますが、他の分野ではAIのおかげで新たな雇用が生まれ、結果的に仕事が増えると予測されています。
AIは仕事を奪う可能性はもちろんありますが、新しい仕事を創出するという考えを忘れてはいけません。
AIを活用する仕事4選
AIが仕事を奪うという恐怖もありますが、生産性の向上をもたらしてくれるという良い面もあります。この良い面に目を向けてAIを活用していくことが大切ではないでしょうか。
現在、日本の人口は減少傾向。にもかかわらず、生産性は上がっていないためGDPは下がってきている現状にあります。外国人労働者を受け入れる対策も取っていますが、場しのぎ的な対応では少なからず弊害が生じるでしょう。
現に、技能実習生が大量に失踪するという事件も起こっています。日本の現状を解決するためには、AI・人工知能などの最新技術を活用していくことが不可欠です。
AIを活用していく職業は今後も需要は上がっていくことが予想されます。この章では、そんなAIを活用する職業の一例を紹介します。(参考:立教大学 大学院 人工知能科学研究科 ホームページ)
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、膨大なデータを整理したり分析したりすることで、ビジネスの意思決定をサポートし、価値を生み出す役職のことです。
一般社団法人データサイエンティスト協会によれば、データサイエンティストとは「データサイエンス力、データエンジニアリング力をベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」と定義されています。

引用:http://www.datascientist.or.jp/dssjournal/
膨大なデータから知見を得て、ビジネスへ活用して課題を解決する力が必要な職業です。
AIエンジニア
AIエンジニア(MLエンジニア)は、AI(機械学習)の開発を行う職業です。AIに関する専門的な知識を使って、実際にAIを構築します。
AIプランナー
AIプランナーは、AIを使ったプロジェクトの管理・実行をする人材のことです。
AIの知識を使って、業務活用を企画。エンジニアとのコミュニケーションを通して、AIがビジネスの場面で使えるようにマネジメントしていきます。
AIプロデューサー
AIを構築していく上で、さまざまな人の協力が必要になります。AIや機械学習のプロジェクトではデータサイエンティスト・AIエンジニア・AIの導入を考えている企業などさまざまな立場の人が関わります。
これらの人々のマネジメントをし、ビジネスモデルを構築していく役割がAIプロデューサーです。
他にも今後はAIの魅力を知って導入をサポートするコンサルタントやセールス、AIの活用を進めるマーケターなど、あらゆる職業がAIに関わっていくと考えられます。AIのメリット・デメリットを正しく理解し、自分なりのAIとの関わり方を考えていくことも必要でしょう。
人工知能(AI)は「拡張機能」として捉えよう
「AIに仕事を奪われる」という意見も散見される一方、AIの活用を進めなければならないという意見も聞かれることが増えてきました。
というのも、AIは人間の身体能力を増強する側面もあります。人間の知的機能の限界を、AIは拡張できるという見方です。
例えば、翻訳をできるAIの活用が進み、世界中の人とスムーズに会話できるようになれば、それは人間の言語機能が拡張したとも捉えることができます。
このようにAIの活用を進める上では、AIを「人間の拡張機能」として考えてみるといいかもしれません。
人工知能の要素技術である機械学習は人間の拡張機能として、主に3つの役割を果たしていると言えます。
人工知能の働きは主に3種類
現時点でのAIの機械学習による働きは、主に「予測」「分類」「実行」の3つです。
- 予測:企業の売り上げや需要の予測、各個人の興味や関心事の予測などを行います。
- 分類:顔認証や音声認識、迷惑メール判定など、情報やデータを分類します。
- 実行:自動運転や機械翻訳、囲碁や将棋などのゲーム攻略の領域です。作業の自動化や表現の生成、行動の最適化などを行います。
この3つがAIが拡張機能として果たす役割です。
人工知能の活用レベルは4段階
「AI・人工知能」の言葉は、曖昧な定義で使われることが多く、活用がどれほど進んでいるかわかりづらいデメリットがあります。「仕事が奪われる」という危機感を持つよりも、どれくらいのレベルで活用が進んでいるのか、仕事をしながら考えてみることが重要です。
人工知能の活用の4段階は以下のようになっています。
- 第一段階:単純な制御プログラムを「人工知能」と称している場合
- 第二段階:古典的な人工知能
- 第三段階:機械学習を取り入れた人工知能
- 第四段階:ディープラーニングを取り入れた人工知能
AIの働きや活用段階をチェックして、AIの現状を判断できるようになりましょう!
さらに詳しくAIについて知りたい方はコチラをチェックしてみてください。
まとめ
AIは仕事を奪うともてはやされていますが、そうならない可能性があります。むしろ新しい仕事を創出し、新しい雇用の場を作り出すかもしれません。
大切なことはAIをむやみに恐れることではなく、正しい知識を知り、生産性向上のためにうまく利用していくことなんです。

大学では社会福祉学を専攻していたが、「AI時代に、僕たちはどう生きるか」を研究するために休学。
現在はAINOWのほか、スタートアップ企業のためのインタビューメディア「Startup Times」
でも執筆中。