最終更新日:
株式会社サイバーエージェントは、企業やブランドごとのターゲティングに適した 人物モデルをAIでオリジナル生成し、さらに「広告効果の出せる人物モデル」へと育成する「極予測AI人間」を11月より提供すると発表しました。
【極予測AI人間の特徴】
|
「極予測AI人間」は、サイバーエージェントが取り組むAIを活用して広告クリエイティブを制作する「極予測AI」の効果予測技術と、株式会社CyberHumanProductionsのデジタルヒューマンCG制作技術をかけ合わせて実現しました。
▼詳しくはこちら
2020年初頭からの国内での新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、広告・プロモーションに必要な素材の撮影や人物モデルを起用した撮影が中止されるなど、撮影の場所や時間の制約が強まっている現状があります。サイバーエージェントによると、特に人物モデルの撮影の難易度が高いといいます。モデルの選定からスケジュール調整、撮影スタジオの環境整備など、多くの課題を抱えています。
また、運用型の広告では、広告効果を維持するために、多種多様で大量の広告クリエイティブ(バナー画像など)を制作しなければならず、撮影自体が制限される昨今の状況下では、さまざまな衣装や髪型、ポージングや背景が異なる人物モデルの追加撮影ができず、人物素材を追加で準備すること自体が困難を極めています。
以上を背景に、サイバーエージェントでは、GAN(敵対的生成ネットワーク)による架空の人物モデルの大量生成と、「極予測AI」の効果予測を何度も繰り返すことで、企業やブランドごとのターゲットに適した「オリジナルの人物モデル」を生成し、さらにAIで広告効果の高い人物モデルへと育成していく「極予測AI人間」を11月から提供します。
近年、GANの技術開発が急激に進み活用も進んでいます。
GAN(敵対的生成ネットワーク)は、偽物を作ろうとするジェネレーターと、偽物かどうかを見抜くディスクリミネーターの2種類のAIで構成されたネットワークです。
はじめのうちは学習量が足りないため、ジェネレーターはクオリティの低いコンテンツを生成し、ディスクリミネーターに、偽物だと見破られてしまいます。しかし、学習を重ねるうちに、ディスクリミネーターが偽物だと見破るのが困難な生成物をアウトプット可能になります。
GANは、主に画像などのコンテンツの生成に使われるAIのアルゴリズムです。内部には生成を担う「ジェネレーター(Generator)」と生成物が本物かどうかを区別する「ディスクリミネーター(discriminator)」の2種類のモデルが敵対的に競うことで、より実物に近い人物画像などを生成できます。
GANのサービス活用は近年、急激に進んでいます。例えば、イメージナビ株式会社は同社が運営する写真・イラスト・動画素材販売サイト「imagenavi」にて、GANで生成した人物画像の販売を2020年7月から開始しています。
また、株式会社データグリッドは、GANを活用して、実在しない人物の全身画像を自動生成するAI「全身モデル自動生成AI」を2019年に発表しました。
GANは、特に広告分野で注目を集めています。ユーザの行動が多様化し、一人ひとりに合ったOne to Oneなマーケティングが求められる今、一人ひとりに合ったバナー画像を生成してパーソナライズを行うことで、さらに高い広告効果が期待できるからです。
今回の「極予測AI人間」では、生成された人物モデルによる広告効果を再学習し、さらに精度の高い広告クリエイティブが生成できるように工夫されており、今後の広告領域におけるAI発展の大きなさきがけとなるでしょう。
■AI専門メディア AINOW編集長 ■カメラマン ■Twitterでも発信しています。@ozaken_AI ■AINOWのTwitterもぜひ! @ainow_AI ┃
AIが人間と共存していく社会を作りたい。活用の視点でAIの情報を発信します。