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株式会社サイバーエージェントのAI Labは、日本大学文理学部に2020年12月1日に設立された次世代社会研究センター(RINGS:Research Institute for Next Generation Society)とパートナーシップを締結したと発表しました。
RINGSは「名目だけの産官学連携・異分野融合」から脱却し、コミュニティーベースの新しい大学のあり方を目指すために日本大学文理学部に設置された組織です。
センター長には、日本大学文理学部情報科学科助教の大澤正彦氏(27)が就任しています。
現代社会では多くの課題が山積し、産官学の各セクターが一体となってその課題を解決する重要性が増しています。国連の持続可能な開発のための国際目標「SDGs」にも注目が集まり、社会が一体となった課題解決が求められています。
同センターでは、從來の産官学連携の課題を以下のように定義し、その上でコミュニティベースの研究センターを構築し、産官学の壁を取り払っていくとしています。
【産官学連携の課題】
企業「社会実装と研究の3つのジレンマ」
- 研究と社会実装は取組の重点や時間スケールが異なるため、限られた人的リソー スで両立することが難し
- 共同研究は参画する学生のモチベーションや能力によって成果が変わるため、企業から見て共同研究のリスクが高い
- 企業が目的とする収益化に対し,大学教員の多くが無頓着で、双方にとって理想的なアプローチをとることが難しい
官庁「現場の温度感を探りにくい」
産官学の連携は行政においても推進されてきた。しかし、大学や企業の各々が見据える目的のすり合わせがうまくいかず、最善のアプローチが発見できない可能性がある。また、企業によるロビー活動の重要度が高く、ロビー 活動が上手な組織ばかりが官庁との連携を行えるという状態にも陥っている。
大学「教員の人的リソース不足の解消・学生教育の多彩化・キャリアの分断の解消」
多くの大学教員が教育と研究を両立させるために、時間配分に苦労している。大学での教育が就職後に有用か否か不明確な場合も多く、高校、大学、就職のぞれぞれのライフステージが完全に分離している場合も多い。
RINGSは以上の課題を背景に、課題を持っている現場と解決策を持っている技術者・研究者を1つのコミュニティとして組織化することで、協力するインセンティブをつくっていきたいとしています。
また、RINGSはサイバーエージェント以外にも以下の企業とパートナーシップを締結しており、今後もさらにコミュニティ形成に力を入れていくとしています。
- 株式会社サイバーエージェント
- ソフトバンク株式会社
- TIS株式会社
- 電気事業連合会
- 株式会社ベネッセコーポレーション
- ロート製薬株式会社
- 一般社団法人ELPIS NEXT
- 愛知県 豊田市
サイバーエージェントは、從來から大澤正彦氏とともに共同研究を行い、人の行動を促すインタラクションモデルの研究にあたっています。サイバーエージェントのAI Labは今後も、RINGSと連携し、産官学連携を通して、より円滑に現代社会のあらゆる課題の解決を目指していくとしています。
▼サイバーエージェント 常務執行役員 内藤 貴仁氏によるコメント
RINGSが取組むコミュニティベースの産官学連携の重要性と、その挑戦に賛同いたします。 サイバーエージェントはテック企業として、大学とのAI研究をスピード感をもってビジネス実装 し、社会へ技術還元する体制を目指しこれまで実践してきました。産官学を跨いで互いの知見を活 かし、技術を社会還元することの重要さをさらに実感しています。コロナ禍においてはGovTechの さらなる発展も急務です。RINGSによって互いの距離をさらに縮め、より円滑に現代社会のあらゆ る課題解決ができる連携を、みなさんと一緒に築いていきたいと思います。
▼参考記事
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