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2021.11.23

DX投資促進財政優遇措置をうけるには?|認定要件やその他2つの税制についても解説!

最終更新日:

DX投資促進税制のアイキャッチ

労働力不足が懸念される日本では、あらゆる産業分野でデジタルによる変革が重要視されています。そこで注目を集めているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。変化する社会での競争を生き抜くため、多くの企業がDXの推進に取り組んでいます。

しかし、DXの実現にはコストがかかるため、推進への取り組みが滞っている企業も多くあります。そこで今回は、DX投資促進財政優遇措置について解説します!

▼DXの概要について詳しくはこちら

DX推進が求められる理由とは?

2025年の壁

2018年9月7日に経済産業省が発表した「DXレポート」で、「2025年の崖」という言葉を用いて、日本企業のITシステム基盤に対する警鐘が鳴らされたことをきっかけに、DXは注目を集めるようになりました。

「2025年の崖」とは、日本のDXが進まないことが原因で、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じることを表した言葉です。

会社の基盤となっていた、既存システムの中身が複雑化・老朽化・ブラックボックス化していくことで、国際競争への遅れや日本経済の停滞などが起きてしまいます。一方、DXが実現すれば、2025~2030年に実質GDP130兆円超の押し上げが可能と言われています。

▶︎2025年の壁について詳しくはこちらの記事で解説しています>>

DX投資促進税制(DX税制)とは?

経済産業省が税制改正を行い、令和3年度よりDX投資促進税制が創設されました。法人税・法人住民税・事業税・所得税を対象に、DXに必要なデジタル技術の投資の税額控除や特別償却の措置を受けられます。

DXを推進する企業は、DX投資促進税制優遇措置の活用によって、投資の負担軽減が図れるでしょう。

DX税制の認定要件

DX投資促進税制優遇措置を受けるには、認定要件を満たす必要があります。認定要件には「デジタル要件」「企業変革要件」の2つがあり、これらを満たす事業計画の作成が求められます。

デジタル要件

データの連携共有
(他の法人等が有するデータ又は事業者がセンサー等を利用して新たに取得するデータと内部データとを合わせて連携)
クラウド技術を活用する
情報処理推進機構が審査する「DX認定」の取得(レガシー回避・サイバーセキュリティ等の確保)

*レガシー:複雑化した旧式の基幹業務システム

企業変革要件

全社の意思決定に基づくものであること(取締役会等の決議文書添付等)
一定以上の生産性向上などが見込まれること

参照:令和3年度(2021年度)経済産業関係税制改正について(経済産業省)

優遇が認められた場合、DXに必要なデジタル技術の投資の税額控除または特別償却の措置を受けられます。

対象設備 税額控除 特別償却
  • ソフトウェア
  • 繰延資産
  • 器具備品
  • 機械装置
3%または5% 30%

*繰延資産:クラウドシステムへの移行に係る初期費用
*器具備品、機械装置:ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するもの限定

<税額控除率について>
グループ外の法人ともデータの連携・共有する場合に税額控除率が5%になります。

  • グループ会社間の連携:税額控除3%または特別償却30%
  • 外部のデータを活用した企業内のデータ連携:税額控除3%または特別償却30%
  • グループ外他法人とのデータ連携:税額控除5%または特別償却30%

参照:令和3年度(2021年度)経済産業関係税制改正について(経済産業省)

DX税制優遇措置の利用方法

事業計画の作成
初めに、DXに向けた事業計画を作成します。分野・部門ごとではなく、部門間の連携が取れた全社レベルのDX計画が求められています。

認定要件をチェック
事業計画が作成できたら、認定要件に当てはまっているかチェックしましょう。これが、DX投資促進税制優遇措置を受けるための最低条件です。

主務大臣の認定
作成した事業計画書を主務大臣に提出し、認定を受けると、DX投資促進税制優遇措置が適用されます。原則1ヶ月以内に、認定書または不認定通知書が交付されます。

DX税制が創設された背景

DX税制の目的

新型コロナウイルス流行に伴う社会の変化によって、デジタル化の遅れが危惧されるようになりました。ウィズコロナ・ポストコロナに向け、デジタル技術による企業の変革であるDXが必要とされています。

DXの実現には、全社での取り組みが必要です。そこで経済産業省は、産業競争力強化法に新たな計画認定制度としてDX投資促進財政優遇措置を創設しました。

DXに関するその他の税制

繰越欠損金の控除上限の特例

新型コロナウイルスの流行により、企業の経営は厳しい状況にあります。しかし、ポストコロナ・ウィズコロナの時代に向けた企業変革や事業再構築に取り組まなくてはなりません。そこで、企業変革に取り組む企業に対し、法人税・法人住民税・事業税を対象に、繰越欠損金の控除上限の引き上げを行いました。

産業競争力強化法に新たな計画認定制度が創設され、企業変革や事業再構築に向けた投資内容を含む事業計画が事業所管大臣による認定を受けると、特例措置の対象になります。今後を見据えた取り組みやそれに伴う投資を落とし込んだ事業計画を作りましょう。

認定されれば、コロナ禍に生じた欠損金を対象に、最長5事業年度の間、控除上限が50%から最大100%に引き上げられます。

研究開発税制の拡充

研究開発税制とは、研究開発を行っている企業に対し、一定の割合を乗じた金額を控除する制度です。民間企業の研究開発への投資促進が目的です。

従来の制度は、工学的・科学的な研究開発のみが対象でしたが、改正に伴いソフトウェアに関する研究開発が対象に追加され、注目を集めています。加えて、控除上限の引き上げ・税額控除率の見直しが行われました。

まとめ

今回は、DX投資促進財政優遇措置について紹介しました。新型コロナウイルスの流行など社会の激しい変化に対応するため、企業は再編・変革を求められています。

しかし、DX等の変革には多くの費用がかかるでしょう。DX投資促進財政優遇措置などを利用して、DXを進めてみてはいかがでしょうか。その他にも、補助金制度などを利用している企業が多くあります。上手に活用して、変化する社会に対応しましょう。

▶︎DXの補助金制度について詳しくはこちらの記事で解説しています>>

▶︎DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントについてこちらで紹介しています>>

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