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株式会社ABEJAは、2012年に設立されたIoT、ビッグデータ、人工知能技術を用いたソリューションを多くの企業に提供している、今注目のAIスタートアップ企業です。
ABEJAは、AIプラットフォームの「ABEJA Platform」を中心に、小売・卸売AI、マーケティングAI市場では導入社数150社、1000店舗以上の実績を誇り、3年連続業界シェアNo.1となっている「ABEJA Insight」などのサービスを展開しています。
今回はABEJAの概要や事業内容を紹介しつつ、同社の強みや動向について解説していきます。
目次
株式会社ABEJAとは
企業概要
社名 | 株式会社ABEJA |
設立 | 2012年9月10日 |
所在地 | 東京都港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番2階 |
代表 | 代表取締役CEO 岡田 陽介 |
社員数 | 66名 |
資本金 | 5,399,974,043円(資本準備金含む) |
ビジョン
“イノベーションで世界を変える”
AIをはじめとした新たな革新的技術により、第4次産業革命が起きつつあります。ABEJAはこれまでの社会の仕組みを大きく変革するようなイノベーションを先導し、グローバルな視野のもと、日本にとどまらず世界の在り方を変革していきます。
沿革
2012年9月 | 株式会社ABEJAを設立 |
2014年7月 | 第三者割当増資による資金調達完了 |
2014年12月 | セールスフォースと資本業務提携で合意 |
2015年1月 | プラネックスコミュニケーションズ株式会社と
戦略的業務提携で合意 |
2015年5月 | 三越伊勢丹ホールディングスが
ABEJAのデータ解析テクノロジーを導入 |
2015年10月 | ディープラーニングを活用した店舗解析プラットフォーム
「ABEJA Dashboard」を正式リリース |
2016年6月 | ダイキンと協業を開始し製造業界へ初進出 |
2016年7月 | ウフルとIoT×AI領域で業務提携 |
2017年3月 | シンガポールに「ABEJA SINGAPORE PTE. LTD.」を設立 |
2017年10月 | 日経リサーチとの業務提携を開始 |
2018年2月 | シンガポール国立大学とのMOU締結
「ABEJA Platform」正式版の提供を開始 |
2018年4月 | サイバーエージェントと共同出資で
株式会社CA ABEJAを設立 |
2018年6月 | 武蔵精密工業、トプコン、ダイキンとの資本・業務提携を開始
SBIグループとの金融分野における協業を開始 |
2018年9月 | 領域抽出・動画・テキストのアノテーション機能を提供開始
NTTぷららと業務提携を開始 |
2018年10月 | 日本腸内検査株式会社、三陽商会との業務提携を開始 |
2018年12月 | 「ABEJA Platform」が国内で初となる
「AWS Machine Learning コンピテンシー」パートナーに認定 Googleより資金調達 |
2019年2月 | RPAテクノロジーズとの業務提携を開始 |
2019年3月 | ダイワロジックおよび大和リビングマネジメントと
業務提携を開始 |
2019年5月 | 新サービス「ABEJA Insight for Contact Center」をリリース |
2019年6月 | CAMPFIREと業務提携を開始
AIのビジネス実装を支援する「DX Workshop」を開始 |
2019年8月 | ALBERTと業務提携を開始 |
2019年10月 | 米シリコンバレーに「ABEJA Technologies, Inc.」を設立 |
2021年4月 | SOMPOホールディングスと資本業務提携契約を締結 |
2021年11月 | ヒューリック株式会社と資本業務提携契約を締結 |
2022年7月 | 三菱商事株式会社と株式会社インダストリー・ワンと
業務提携契約を締結 |
株式会社ABEJAの事業内容
商品分け、メンテナンスサポートの効率化、熟練工の行動分析といった、製造業、インフラ業、物流業や小売業まで200社以上のAI導入実績で得た知見・ノウハウをもとに多様なソリューションを展開しています。
ABEJA Platform
「ABEJA Platform」はAI、特にディープラーニングを活用したクラウドサービスで、AIの継続的インテグレーションに必要な10の工程を、オープンな環境下で包括的に利用することが可能なAIプラットフォームです。通常、企業がビジネスのソリューションとしてAIを活用するための環境を開発する場合、データの取得、蓄積、学習、デプロイ、推論・再学習のサイクルを中心とした各工程におけるインフラや周辺システム等を独自に整備する必要があります。しかし、ABEJA PlatformはAIをビジネスに適応するために必要な
- IoTデバイスや既存システムからの大量データの取得(コレクション)
- 取得したデータの蓄積
- 蓄積データの確認(バリデーション)
- 教師データの作成(アノテーション)
- モデルの構築
- 学習(トレーニング)
- モデルの評価
- デプロイ
- 推論
- 運用
の10工程を備えているほか、各工程に付随する環境の整備もされており、AIの実装および運用において大幅な省力化・自動化を可能としています。
ABEJA Insight
「ABEJA Insight」はABEJA Platformを利用したソリューションブランドで、購入までの行動をデータから分析するDXツールです。来客属性、動線分析、リピート推定などの顧客行動データの取得・分析を基軸とする店舗解析サービスとして、小売・卸売AI、マーケティングAI市場では導入社数150社、1000店舗以上の実績を誇り、3年連続業界シェアNo.1となっています。
ABEJA Insightの特徴は3つあります。1つ目は「入店から購買までのお客様の行動を可視化」できるということです。ディープラーニングを活用し、店舗に設置したカメラやセンサーのデータをもとに、来店者数や年齢・性別、通行量などの消費者行動を可視化することができます。
2つ目は「改善施策の実施や効果検証をサポート」してくれることです。施設登録機能で店舗施策のデータベースを構築し、構築した店舗施策の効果の検証までを簡単に行うことができます。
3つ目は「カスタマーサクセスによるデータ活用の支援」です。カメラやセンサーからデータを取得するだけでなく、お客様ごとの固有データについての活用まで支援してくれます。
株式会社ABEJAの特徴
より専門的な研究を行う機関「ラボ」
ABEJAには研究シーズ(将来花開き実を結ぶ可能性の高い研究)を事業化するための活動をしている「ラボ」があります。ラボでは、最新の研究論文を日々リサーチしながら、国内外の学会や展示会、研究所などに足を運び、世界の研究者たちと積極的に情報交換を図っています。
また、社内でも世界トップクラスの大学教授陣を顧問に迎えて、研究活動を行っています。まだ論文レベルのものをいち早く発見し、実装して検証を繰り返すなど、未来を見据え研究・事業開発を行えることが、ABEJAの技術の強みになっています。
数千台のIoTデバイスやサーバーを安定稼働させる「オペレーション」
ABEJAでは、AIを含めたソフトウェアやネットワーク、またIoTデバイスのハードウェアなど、多くのIoTデバイスを効率的にコントロールするためのクラウド基盤を自社で開発しています。
また、数千台のIoTカメラやサーバーを少人数で管理できるような運用ツールの開発や集計したデータを分析・解析する高度なシステムの開発を行っており、それらの積極的な改善も行っています。その結果、複数の技術や分野に精通し高い技術を持ったエンジニアが育ち、人材も多く集まってきています。
新しく良いものを柔軟に取り入れる「エンジニア文化」
ABEJAでは、新しいテクノロジーを積極的に試し、運用可能なツールやサービスをすぐにプロダクションでも採用するようにしています。そして事業で必要が生じたツールがまだ存在していないのであれば、すぐに独自で開発して利用するスピード感を持っています。その結果としてエンジニアたちがいくつもの領域を横断しながら協働することができるエンジニア文化ができあがっています。
株式会社ABEJAの最新の動向
AI倫理に関するコンサルテーションサービスの提供を開始
ABEJAは、2022年7月26日よりAI倫理に関するコンサルテーションサービスの提供を開始しました。
ABEJAでは、2019年にAIに関する課題について、外部の有識者(2022年7月時点7名)が倫理、法務的観点から討議する委員会「Ethical Approach to AI」(EAA)を設立しました。また、2022年1月には顧客や取引先とAI倫理に関する意識を一つにし、AI倫理上の課題に対応することを目的としたAIポリシーを自社で策定しており、これらのAI倫理に関する取り組みにより、テクノロジーと倫理・ガバナンス両観点における実践で培ったナレッジが社内に蓄積されています。
そして、この度AI倫理に関するコンサルテーションをサービス化し、公平性・透明性を担保したAIシステムの開発および運用をサポートすべく、提供を開始する運びとなりました。
- コンサルテーションサービスの概要
ABEJAが提供するコンサルテーションサービスは、「AIガバナンス構築支援サービス」および「AIシステム倫理アセスメント支援サービス」の2つです。「AIガバナンス構築支援サービス」は、顧客の事業・将来像に照らしあわせて、あるべきAI倫理のためのガバナンスを支援するサービスです。また「AIシステム倫理アセスメント支援サービス」は、個別のAIシステムの倫理的課題の発見・深堀・対応策の検討を支援するサービスで、具体的には、ステークホルダーの特定、リスクの評価と対応策の策定、当該AIシステムについて開示すべき事項の策定等を想定しています。
ビジネスプロセスのデジタル化およびデータの利活用に課題を抱える企業を対象に「ABEJA Platform」のパッケージを提供開始
ABEJAは、2022年7月26日より中小企業に向けて、Google Workspaceの活用によるアナログ情報のデジタル化と、ABEJA Platform上で提供するAIをノーコードで利用する機能をパッケージとして提供開始いたしました。ABEJAは、創業以来、小売業や製造業を含む様々な産業においてソリューションを提供すべく、AIおよびDXの社会実装の実現を図ってきました。しかし、中小企業のDXを推進する上での第一段階として挙げられる、ドキュメントやプロジェクトの管理ツール、オンライン会議、チャットなどのICTやデジタルツールの導入について、これらのツールや技術について関心があってもリテラシーやノウハウが十分でなく、ソリューション導入・定着に至らないケースが多々あります。その結果、データ管理やビジネスツールがアナログな手法で止まっている、人事や経理といった部署ごとに特化したツールやシステムを導入したものの、各部署間の連携等が考慮されていないといった状況から脱却を図ることが難しくなっています。
このような課題を解決すべく、ABEJAはデータのデジタル化および、利活用に課題を抱える企業にソリューションを提供します。Google Workspaceを導入することでビジネスプロセス上の各種データのデジタル化を推進し、オプトイン(利用者の事前許諾)に基づいてABEJA Platformにデータを取り込み、データをAIが継続的に学習することで、中期的に省力化・自動化に貢献する機能を提供します。
株式会社ABEJAの採用情報
現在株式会社ABEJAでは以下の業種・職種の採用を行っています。
募集ポジション
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応募概要
試用期間
入社後3ヶ月 |
福利厚生
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休暇・休日
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採用フロー
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さいごに
今回は「株式会社ABEJA」について紹介しました。
ABEJAは、AIや特にディープラーニングによって幅広い領域で多様なソリューションを提供しています。その技術力や可能性は、日本のスタートアップ企業ではじめてGoogleから出資されるなど世界からも認められており、今後も目が離せません。
The Playersシリーズでは、AI関連の企業にフォーカスした記事を書いています。さまざまなAI企業を比較することで、成功するAI関連企業の法則が見えてくるかもしれません。
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大学では広告や広報について学んでいます。
サッカーは見るのもやるのも好きです。
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