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2021.11.08

≪業界別≫DX最新ニュースΙ成功させるポイントや戦略の立て方も紹介

最終更新日:

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「DXの最新ニュース・動向を知りたい」と思っている方は多いのではないでしょうか?

DXの最新ニュースを知ることで、

  • 自社の業界内におけるDXの進捗状況を把握できる
  • ステークホルダー(顧客や社員、株主など)と対等に会話できるようになり、顧客からの信頼獲得につながる
  • 社内のDX人材育成の際に最新の情報を提供できる

といったメリットがあります。

そこで今回は、業界別にDXの最新ニュースを紹介します。

また、DXの最新ニュースだけでなく、DXを成功させる3つのポイントや戦略の立て方など、より実務に役立つ情報も解説します。

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

 【業界別】DXの最新ニュース

ここからは業界別にDXの最新ニュースを紹介していきます。今回紹介する業界は以下の3つです。

  1. DXの最新ニュース1.製造業
  2. DXの最新ニュース2.建設業
  3. DXの最新ニュース3.不動産業
  4. DXの最新ニュース4.小売業

それぞれ解説していきます。

DXの最新ニュース1.製造業

製造業におけるDXの最新ニュースは以下の3つです。

  1. CASEやMaaSの加速
  2. 工場のスマート化
  3. 製造業×DXセミナーの増加

それぞれ紹介していきます。

①CASEやMaaSの加速

製造業の中の1つである自動車産業では、CASEとMaaSが注目されています。

まず、CASEとはConnected(ネットに繋がる車)・Autonomous(自動運転)・Shared&Service(カーシェアと新サービス)・Electric(電動車への転換)の4つを指します。この4つの英単語はいずれも、自動車の次世代のあるべき姿を表しています。

CASEにより、自動車産業は100年に一度の変革期を迎えるといわれています。
例えばハンドルの無い自動運転車が当たり前となる世界の実現や、ガソリンスタンドが街から消える可能性もあります。

次に、CASEと一緒に語られることの多いMaaSとは何かを解説します。

MaaSとは、交通問題の解消を目的にフィンランドで生まれた概念です。具体的には、さまざまな種類の交通サービスを、需要に応じて1つのサービス上での利用を可能にするものです。

代表的なサービスに、フィンランド発祥の「Whim」というアプリがあります。「Whim」で目的地と経路を選ぶだけで、該当する交通手段の予約から決済まで一括で完了できます。

まとめると、CASEは自動車業界における変革を表す言葉で、MaaSとは自動車を含めた交通全体の形を大きく変えることです。

②工場のスマート化

新型コロナウイルスをきっかけに、「工場のスマート化」に取り組む企業が増えています。

「工場のスマート化」とは、AIやIoTなどのデジタル技術を活用して外部から工場の設備にアクセス・管理できる環境を構築することです。これにより、現場に足を運ぶ手間の削減や、製造ラインの効率化を実現できます。

例えば、総合空調メーカーであるダイキン工業では、後進が熟練技術者の技術を学べる体制構築においてデジタル技術を活用しています。

ダイキン工業は、グローバル化を進める際の海外工場での熟練技術者不足に苦労していました。そこで、日立製作所と協力し、作業工程のデジタル化と作業評価システムの開発を実行。

ちなみにこのシステムは、熟練技術者の動きを計測・解析し、技能とノウハウをデータ化できるものです。それを8つの評価項目として数値化することで、後進が熟練技術者の技術を学ぶ体制構築に成功しています。

引用:MONOist IoT Forum 大阪(前編)

③製造業×DXセミナーの増加

現在、多くの会社や団体が製造業のDX実現をサポートするセミナーを開催しています。

例えば、YouTubeチャンネルの「AMANO SCOPE 天野眞也」では、工場のあるべき姿をテーマにDXやスマートファクトリーに知見を持つ専門家同士がディスカッションしながら、具体的に解説しています。

▶製造業におけるDXのトレンドや成功事例についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

DXの最新ニュース2.建設業

建設業におけるDXの最新ニュースは以下の2つです。

  1. 業務プロセスによるDX推進率の差異
  2. BIM・CIMの導入による業務効率化とノウハウ継承

それぞれ紹介していきます。

①業務プロセスによるDX推進率の差異

建設業界では、DXの推進率が業務プロセスによって差がある状況です。

建設業界のデジタル化に関する調査によると、建設関連事業者・建設系自営業者1,013名に「建設業界のDXについてどのように思いますか?」と質問したところ、建設業界全体では36.9%がデジタル化は進んでいると回答しました。

しかし、業務プロセス別では「設計」が48.4%と全体よりも+11.5%DXが進んでいると感じている一方、図面から材料の数量を把握する「拾い業務」では25.2%と全体よりも11.7%低く、業務プロセスによりDXの推進率に差があることがわかります。

そして、拾い業務のDX化が進んでいない原因は、「デジタル化できない業務が多い」50%、「現場での変更が多く、データを更新できない」が約30%となっています。

そこで、上記の課題を解決するサービスが出てきています。例えば、野原グループはAI図面積算WEBサービス「TEMOTO」を提供し、拾い業務のDX化推進をサポートしています。

まとめると、建設業界はDXが進んでいるとはまだ言えない状況ですが、建設業界のDX推進をサポートするサービスは出てきているため、悲観しすぎることもないでしょう。

②BIM・CIMの導入による業務効率化とノウハウ継承

建設業のDX化に不可欠なのがBIM・CIMです。BIMはBuilding Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称です。

具体的には、従来は2次元の図面だったものをコンピューター上に3次元のモデルとして作成し、建築の計画・調査・設計・施工・維持管理までのすべての工程のデータを追加できる新しい業務の流れのことです。

CIMは、Construction Information Modeling(コンストラクション インフォメーション モデリング)のことで、日本では土木版のBIMを指します。

BIM・CIMのメリットは、業務効率化により、人材不足の解消やノウハウ継承の効率化を実現できる点にあります。

具体的には、BIMは建築の計画・調査・設計・施工・維持管理までのすべての工程のデータを追加できるため、熟練技術者がどのタイミングでどの情報をどう判断したのかをデータで確認でき、結果的にノウハウ継承の効率化につながります。

DXの最新ニュース3.不動産業

不動産業におけるDXの最新ニュースは以下の3つです。

  1. 賃貸の不動産契約のオンライン化
  2. 3Dモデリング技術
  3. オンライン内見・VR内見の人気アップ

それぞれ紹介していきます。

①賃貸の不動産契約のオンライン化

長年DXが進んでいなかった不動産業界でも少しずつ電子化が進んできているため、スマートフォン1つで物件を契約できるところも出てきています。

従来、物件を借りたい人は不動産会社に行き、多くの紙の契約書を交わす必要がありました。しかし、現在は電子化が進んでいるため、ビデオ通話で説明を受けながら印鑑も電子契約でできるようになっています。

その理由は、コロナ禍ということもあり、接触を避けるために来店せずに取引が完了する電子契約が普及したことにあります。

②3Dモデリング技術

「3Dモデリング」とは、3D技術を使った部屋の紹介方法のことで、物件の空間データを収集し3D化することにより、家の状況を詳細に見ることが可能になる画期的な技術です。

今まではいくらHPで物件の写真を見ていたとしても、現地に行かないとわからないことが多いのが実情でした。しかし、3Dモデリングの活用により、かなり高い精度で物件の状況がわかるようになり、スマートフォンがあればどこでも内見できます

つまり、現地に行く前に物件の情報がかなりわかるため無駄な内見がなくなるため、3Dモデリングの普及が進んでいます。

③オンライン内見・VR内見の人気アップ

不動産業界では、新型コロナウイルスの影響もありオンライン内見・VR内見が人気です。

転勤・転居に関する意識調査によると(セルフ内見型賃貸サイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」のTwitterアカウントのフォロワー1,322人に対し実施)、遠方への転勤で転居する際、「現地に行かない部屋探しを希望する人」は約43%「現地に行かない部屋探し」では、「オンライン内見」「VR内見」が人気という結果となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大から約1年半が経過した現在でも終息まで数年かかるとも言われているため、オンライン内見・VR内見は引き続き需要があるといえます。

また、新型コロナウイルスが終息したあとも、遠方の物件を交通費ゼロで自宅から内見できるのは大きなメリットであるため、一定の需要は残ると予想されます。

DXの最新ニュース4.小売業

小売業におけるDXの最新ニュースとして、RaaSの注目度について解説します。

RaaSの注目度アップ

RaaSとは、Retail as a Serviceの略で「小売のサービス化」と訳されます。

革新的な仕組みを持つ小売事業者が、IT事業者と協業して、他の小売事業者へのサービスを提供する小売向けの新たなサービス提供方法のことです。

RaaSのメリットは主に2つあります。

1つ目は投資リスクを最小化できることが挙げられます。

RaaSは、既に先進的な小売企業が長期間開発・テストを繰り返し、効果を実証済みのソリューションを提供する方法です。そのため、AIや非接触決済などのデジタル技術に投資する予算がない中小の小売企業でも、導入するリスクを最小化できます。

2つ目は、必要な時に始めて不要な時にやめられることです。

RaaSは、既に成功を実証済みのサービスに対して利用料をもらうビジネスモデルのため、新しくサービスを設計する際にかかるコスト・時間・工数が必要ないだけではなく、導入・解約のタイミングを自社都合で決められます。

つまり、消費者の購買行動の多様化に迅速に対応するためには、既に他社での成功が立証されたRaaSという仕組みを活用することで、競争力を優位に保てるでしょう。

【業界別】DXの最新事例

DXの最新事例を業界別に4つ紹介します。

  1. 製造業
  2. 建設業
  3. 不動産業
  4. 小売業

製造業

工場IoTプラットフォームで生産ロスを削減|ダイキン工業株式会社

【会社概要】

ダイキン工業株式会社は1924年に創業し、現在は約150か国に事業展開し、世界五大陸38か国に拠点を持つ空調機・化学製品の世界的メーカーです。

【背景・課題】

従来より生産ラインの工夫などを実施してきましたが、市場環境の変化のスピードが上がってきたことに危機感を抱き、製造コストの低価格化・製品差別化により競争力を強化する方針を立てました。

【取り組み】

大阪・堺に新工場(デジタル・ファクトリー)を設立。工場内のIoT活用として、①製造現場データの発掘 ②データの収集と統合③データの見える化と分析④顧客への価値提供(工場運営の高度化と効率化の実現)のサイクルを回しました。

【成果】

生産状態の見える化により、生産計画をその時の状況によって調整することでロスを低減させました。

引用:経済産業省 製造業DX取組事例集

建設業

「スマートコンストラクション」の推進|コマツ

【会社概要】

コマツは、日本の建設機械・鉱山機械の大手メーカーです。そして、コマツが推進している「スマートコンストラクション」とは、顧客が建設プロセス全体のあらゆる「モノ」データをICTで有機的につなぐことで、現場のデータすべてを見える化し、安全で生産性の高い未来の現場を創造していくソリューションのことです。

【背景・課題】

ドローンを飛ばして現場を3Dデータ化することは実現したものの、単にデジタル化しただけでDXとはいえないと気付いたそうです。そこで、ゴール設定を業務のデジタル化から、建設工事のプロセス全体の変革へと見直しました。

【取り組み】

コマツが担当しているプロジェクトの顧客データやモノのデータを最新のICT技術によりネットワーク下で共有し、業務の効率化・自動化を推進する「スマートコンストラクション」を推進しました。

【成果】

現場のデータをすべて見える化し、コンピューターが正確に認識できるようになったため、建機の遠隔操作や自動制御・図面の確認作業の効率化が実現しました。

引用:ロボスタHP

Wi-Fi環境の迅速な普及体制を構築|大成建設

【会社概要】

大成建設は、日本の大手総合建設会社で、建設現場の作業員に向けたDX推進を実践しています。

【背景・課題】

建設現場におけるデータ活用の重要性は高まっていますが、都市部から離れた遠隔地でのネットワーク環境の確保が課題でした

【取り組み】

都市部から離れた遠隔地でもネットワークを利用できるよう、通信機能に優れたメッシュWi-Fiアクセスポイントと、測位用受信機器を一体化させた活用方法を採用しました。

【成果】

  • 現場のWi-Fi環境を省エネルギーで効率よく整備することに成功。
  • 位置データが必要なロボット活用の促進につながり、ハイテク技術の積極導入の促進を実現

不動産業

決済・会計システムの刷新|三井不動産

【会社概要】

三井不動産は、戦後から一貫して不動産業界の売上1位に君臨している、総合不動産会社です。

【背景・課題】

受発注・会計業務に膨大な時間を要していたため、本来注力すべき業務に時間を使えないと
いう課題がありました。

【取り組み】

今まで独立していた決済システムと会計システムを統合しました。

【成果】

受発注・会計業務の大幅な削減(35%、約58,000時間)だけでなく、ペーパーレス化・モバイル化・印鑑レス化も達成しました。

引用:三井不動産 2020DX白書

小売業

リモートショッピングアプリで顧客の感想をリアルタイムでゲット|三越伊勢丹

【会社概要】

三越伊勢丹は日本の有名百貨店で、日本国内にある政令指定都市のほぼすべてに出店しています。

【背景・課題】

オンライン上での販売だと、実店舗で接客する場合に比べて顧客の生の感想が手に入れづらい状況でした。

【取り組み】

「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を開発しました。具体的には、アプリ上でチャットやビデオ通話によるオンライン接客サービスを利用できるようにしたものです。

【成果】

  • 今までオンラインショッピングに抵抗があった客層を獲得できました。
  • オンライン上での販売に欠けていた「顧客の生の声」、つまり購買に対するリアルタイムでの感想をデータとして取得できるようになったため、商品の改善に役立てられました。

「待ち時間0・非接触」のテイクアウトを実現|ケンタッキー・フライド・チキン

【会社概要】

ケンタッキー・フライド・チキンは、フライドチキンが主力商品ファストフードチェーン店「KFC」を運営するアメリカ合衆国の企業です。

【背景・課題】

テイクアウトの比率が売上の約70%を占めるケンタッキーでは、コロナウイルス感染拡大による業績ダウンを防ぐために、顧客の買いやすさの追求とモバイルオーダー増加に対応する必要がありました。

【取り組み】

2020年10月より、BOPISを活用した「ピックアップドア」の試験導入が実施されています(終了時期未定)。これは、来店時間を決めて商品をオンラインで注文すると、店内に設置したピックアップロッカーに保管されるシステムです。

【成果】

待ち時間0・非接触を実現し、コロナ禍においても安定した売り上げを維持しています。

従来、KFCネットオーダーや配達代行への店舗スタッフの対応は「受注⇒調理⇒商品の保管⇒受け取りに来た方との注文番号確認⇒商品引渡し完了」の5ステップ必要でした。

しかし、このロッカーの導入により、「受注⇒調理⇒ピックアップドアへの収納」の3ステップで商品引渡し業務が完結するため、店舗スタッフの手間が削減されました。

▶DXの成功事例はこちらの記事で30個まとめて詳しく解説しています>>

DX専門のニュースサイト2選

DX専門のニュースサイトとして、DX Magazineデジタルトランスフォーメーションチャンネルの2つを紹介します。

DX専門のニュースサイト①DX Magazine

「DX Magazine」は、最新のDXに関するニュースのキュレーション記事、DXに実際に取り組む実践者への取材記事、対談記事を毎日配信しているサイトです。

DXの用語集もあるため、DX初心者の方でも安心して利用できます。

DX専門のニュースサイト②デジタルトランスフォーメーションチャンネル

「デジタルトランスフォーメーションチャンネル」は、製造業から医療業・行政機関まであらゆる産業のDXに関する情報をまとめているサイトです。

複数業界のDXの取り組みやトレンドについて知りたい方におすすめです。

DXを成功させる3つのポイント

DXを進めるうえで重要なポイントは以下の3つです。

  1. 戦略的な目的策定
  2. 現状のレガシーシステムを分析・評価し全体像を把握
  3. コストやリスクを抑制しつつ、システムの刷新を実現

それぞれ解説します。

①戦略的な目的策定

DX推進には戦略的な目的策定が必要不可欠です。「どういった不便さがあり、どのように改善・効果が見込めるか」というように、現状の問題をどうデジタル技術によって解決・人々のニーズを満たしていくかを逆算的に考えなければいけません。

▶DX戦略|ビジネスを成功に導くDX推進法・ロードマップについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>>>

②現状のレガシーシステムを分析・評価し全体像を把握

システム刷新を含めた環境整備には、情報資産の「見える化」・評価指標の明確化が大切です。

既存システムの把握・経営者が経営課題として問題を認識できれば現状改革の重要性に気付けると同時に、次のアクションを起こすきっかけになります。

③コストやリスクを抑制しつつ、システムの刷新を実現

DX推進には、中長期的な期間・システムによっては数百億円単位の莫大なコストがかかります。このため、あらかじめ不要な機能を切り捨て、規模・複雑度の軽減を図る必要があります。

失敗しないためのDX推進3ステップ

DX戦略を実行する上で重要なことは、現状の姿(As-Is)と目指す姿(To-Be)を明らかにし、そのギャップを戦略で埋めることです。

そして、Ai-IsとTo-Beを明らかにする上で重要なことは、製品やサービス・ビジネスモデル・業務・組織など、自社内の状況を多角的な視点で分析することです。

ステップ1:目指す姿を明確にする

ステップ1では、理想の自社の姿を明らかにしましょう。

なぜなら、自社の目指すべき方向を明確にし、社内で共有することで、DXに向けて従業員が同じ方向を目指せるためです。

その結果、DXが途中で頓挫してしまった…というよくある失敗を未然に防げます。

ステップ2:現状を分析し、自社の強みを探す

ステップ2で重要なのは、自社の現状を分析し、強みを探すことです。

なぜなら、DXとはデジタル技術とデータを活用した競争優位性の確立を指しますが、言い換えると、デジタル技術とデータによる自社の強みの拡大が重要であるためです。

具体的には、ビジネスモデル、製品やサービス、業務、組織、プロセス、企業風土などの項目で自社の現状を分析しましょう。

ステップ3:目指す姿と現状のギャップを埋める戦略を立てる

ステップ3で重要なのは、DXをデジタイゼーション・デジタライゼーションに分類して考えることです。

  • デジタイゼーション:アナログなデータをデジタル化すること
  • デジタライゼーション:デジタル技術を活用して変革を起こすこと

目指す姿と現状を明確にした上で、どのような流れでアナログなデータをデジタル化し、そこにどのような技術をかけ合わせていくのか検討することが、DX戦略の軸です。

▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら>>

DX人材の採用における4つのポイント

DX人材の採用における重要なポイントは以下の4つです。

  1. DX推進の専任人材を確保
  2. 失敗を許容する体制の構築
  3. 小規模からスタート
  4. アジャイル開発

それぞれ解説します。

1.DX推進の専任人材を確保

DX人材を任命するときは、通常業務との兼任ではなく、DX専任とするのがベストです。

なぜなら、専任で登用することにより、企業が重要な経営課題として認識していることを従業員に意識づけられるためです。

2. 失敗を許容する体制の構築

DX人材を任命する際は、失敗を許容する体制の構築も必須です。

なぜなら、失敗を許さない風潮が組織に浸透していると、担当者は萎縮してしまい、思い切ったアイデアや施策が打ち出せなくなるためです。

  • DXを実現するためには、型にはまったアイデアではなく、既存の知識や経験にとらわれないアイデアが不可欠

そのため、失敗した人を責めるのではなく、「失敗を受け入れ、次のアクションにどう生かすか」という考えが浸透する体制の構築が重要になります。

3. 小規模からスタート

DXは、はじめから大きな成果を出そうとせずに、まずは小さな問題や課題の解決からスタートすることが重要です。

なぜなら、小さな成功体験を積み重ねることで、DX人材(担当者)の自信につながり、優秀なDX人材の社内育成にもつながるためです。

4. アジャイル開発

失敗を恐れず小規模から開発に取り組むためには、現在主流のシステム開発手法のひとつであるアジャイル開発がベストです。

  • 「アジャイル」:日本語で「素早い」という意味
  • 「アジャイル開発」:最初に決めた計画通りに工程を進めるのではなく、細かな単位で実装とテストを繰り返す開発手法のこと。従来の開発手法よりも開発期間が短いため、アジャイル(素早い)と呼ばれる。

理由は2つあります。

1つ目は、DXに効果的なシステムを開発する際、アジャイル開発を採用することで急な仕様変更に対応でき、軌道修正しやすくなるためです。

2つ目は、「DX人材の採用における4つのポイント」の3つ目で紹介したように、小規模スタートで小さな成功体験を積み重ね、DX人材を育成するためにはアジャイル開発が有効なためです。

DX人材に必要な3つのマインドセット

DX人材に求められるマインドセットは以下の3つです。

  1. 挑戦
  2. 課題発見力
  3. 巻き込み力

それぞれ解説します。

1.挑戦

DXを推進する上でもっとも重要なマインドは「挑戦」です。

なぜなら、DXは成功するまでに長い時間(3~5年程度)がかかり、かつ成功するまで数多くの失敗を乗り越える必要があるからです。

そのため、困難な課題に直面しても「現状を変えたい」という強い意志を持ち、挑戦し続けることがDXを推進する人材にもっとも重要なマインドといえます。

2.課題発見力

DXを推進するためには、まず解決すべき課題を洗い出し、仮説を立て、それをデジタル技術で解決することが重要です。

なぜなら、現状の課題を発見できなければ、DXの目的である「製品・サービス・ビジネスモデルの変革」は実現できないどころか、以前と何も変わらない状態に陥るためです。

そのため、DX人材にはこれまでの知識や経験にこだわらず、「何が顧客にとってベストか」を考え抜き、現状の課題を発見していく姿勢が必要だといえます。

3.巻き込み力

DX人材は、相手の意見を聞き、周囲を巻き込む「巻き込み力」が大切です。

なぜなら、DXの目的は「製品・サービス・ビジネスモデルの変革」であり、これは一部署ではなく全社で協力しなければ実現できないためです。

特に新規事業を立ち上げる際は、他部署から新たに人材を集める必要があるため、「巻き込み力」が重要になります。

▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

DXスキルを高める3つの方法

本記事ではDXスキルを高める方法の1つとして書籍を紹介しましたが、他にもDXスキルを高める方法は存在します。

DXについての知識や理解を深めるという点でも、資格の取得は有効です。

DX検定のほかに、DX推進アドバイザー認定試験などがあります。AWS(Amazon Web Services)認定各種やITストラテジスト試験といったDXに必要なITの知識が求められる資格もおすすめです。

また、デジタル技術を使って新たな価値の創造を実現するためには、発想力を磨くことも大切です。転職など実務経験を積むこともDXに必要な能力を高める手段の1つです。

▶DXスキルを高める方法については、こちらの記事で詳しく解説しています≫

【初心者必読】DXおすすめ書籍2つ

ここからは、DX初心者におすすめの書籍として、「いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略」「デジタル技術で、新たな価値を生み出す DX人材の教科書」の2冊を紹介します。

DXおすすめ書籍①いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略

DXに必要な知識と実行ステップについて、現場目線で丁寧に解説されています。

また、DXを小さく推進し、徐々にビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を目指せるように、豊富な図を用いて解説されている点もポイントです。

DXの推進担当者から最先端の技術に興味がある人までを対象としたDX人材の入門書です。

DXおすすめ書籍②デジタル技術で、新たな価値を生み出す DX人材の教科書

日本の大手企業3000社以上にヒアリングを重ね、500社近くにDX人材育成サービスを提供する株式会社Standardの2人が、DX人材をテーマに解説した書籍です。

45個の業界別のDX事例も掲載されており、より具体的にDX人材について学べます。

DXの支援サービス

DXには多くの時間とコストがかかります。「自社でDXに取り組むのは大変」といった悩みを抱えていませんか?

そのような悩みを抱える企業におすすめなのが「DX支援サービス」です。国や自治体による支援から、企業が行う支援サービスまで様々なサービスが充実しています。

▶DX支援企業11社を紹介|選定基準や企業の特徴、依頼する際の3つのポイントなども解説!>>

まとめ

今回は、DXの最新ニュースだけでなく、DXを成功させる3つのポイントや戦略の立て方など、より実務に役立つ情報も解説しました。

DXの最新ニュースをインプットした後は、ぜひ社内で情報を共有し、社内全体のDXに対する意識アップにつなげましょう。

▶DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントはこちらで詳しく解説しています>>

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