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2026.07.12

AIエージェントの活用事例12選!業務別・業界別に導入企業の取り組みを解説

AIエージェントの導入を検討しているものの、自社の業務にどう当てはまるのか具体的なイメージを描けずにいる担当者は少なくありません。

AIエージェントとは、生成AIと連携しながら目標達成に向けたタスクを自律的に実行するAIです。活用イメージが曖昧なまま検討を先送りにすれば、他社との業務効率の差は開く一方でしょう。

本記事では、実在企業の取り組みをもとに、業務別・業界別のAIエージェント活用事例12選と、導入時の失敗パターン・成功のポイントを解説しています。読み終える頃には、自社のどの業務にAIエージェントを応用できるか、具体的なイメージを持てるようになります。

自社の業務に置き換えながら、ぜひ最後までご覧ください。

目次

AIエージェントとは?生成AIとの違いをわかりやすく解説

活用事例を理解する前提として、以下2つの視点でAIエージェントの基本を確認します。

  • AIエージェントの定義
  • 生成AIとの違い

この2点を押さえておくと、後述する事例の理解が深まります。

AIエージェントの定義

AIエージェントとは、生成AIを組み込みながら目標達成に向けて自律的にタスクを実行するAIです。従来のツールが指示ごとに単発で応答するのに対し、AIエージェントは状況を認識し次の行動を自ら判断します。

例えば市場調査を指示すると、情報収集から資料の下書き作成までを一連の流れとして自動で進めます。

単発の作業から一連の業務プロセスまで任せられる点を理解しておくと、後述する活用事例のイメージが具体的になります。

生成AIとの違い

AIエージェントと生成AIの違いは、複数のタスクを連続して自律的に処理できるかどうかにあります。生成AIは指示に対して一度の応答で完結する応答型のAIである一方、AIエージェントは状況判断と実行を繰り返す行動型のAIです。

ChatGPTに質問すれば回答は得られますが、そこから先の業務を続けて進めることはできません。AIエージェントであれば、回答をもとにした資料作成や次の連絡まで自動で継続できます。

この違いを押さえておくと、次章で紹介する事例が生成AIの延長ではなく業務の代行である点を理解しやすくなります。

【業務別】AIエージェントの活用事例7選

AIエージェントを実際に導入している企業の取り組みを、業務別に7つ紹介します。

  • メルカリ(カスタマーサポート)
  • 東京ガス(マーケティング)
  • グリーホールディングス(複数エージェント連携)
  • 野村不動産ソリューションズ(反響対応)
  • 東京電力エナジーパートナー(データ分析)
  • 伊藤忠商事(貿易実務)
  • エイチ・アイ・エス(成約率向上)

自社と近い業務がないか確認しながら読み進めてください。

メルカリ:AIチャットボットで問い合わせ対応を自動化

メルカリは、AIチャットボット「Karakuri」を導入し、フリマアプリの問い合わせ対応を自動化しています。出品や配送に関する定型的な質問が集中する環境では、有人対応だけで応答スピードと品質を両立するのが難しいためです。

同社の公式発表によると、月間利用者数1,000万人を超える規模でチャットボットが稼働しており、蓄積したログをもとに回答精度を継続的に高めています。
出典:メルカリがAIチャットボット「Karakuri」を導入(メルカリ公式)

定型的な問い合わせを自動化できれば、有人対応が必要な複雑な相談に人的リソースを集中させられます。

東京ガス:AIエージェントでマーケティング施策の立案を支援

東京ガスは、AIエージェント機能を含む社内アプリ「AIGNIS」を導入し、マーケティング施策の立案を支援しています。ターゲット選定やカスタマージャーニーの設計は経験や勘に頼る部分が大きく、担当者ごとに検討の質にばらつきが出やすい業務だからです。

「AIGNIS-marketing」という機能では、対話形式でターゲット選定からカスタマージャーニー、施策案の作成までを一括して支援します。
出典:生成AI搭載アプリ「AIGNIS」の提供開始について(東京ガス公式)

マーケティング施策の立案そのものをAIエージェントに支援させれば、担当者の経験年数に関わらず一定水準の企画を検討しやすくなります。

グリーホールディングス:複数AIエージェント連携で窓口業務を効率化

グリーホールディングスは、複数のAIエージェントが連携するバーチャルサービスデスク「イルカちゃん」を運用し、社内の問い合わせ窓口業務を効率化しています。情報システム部門への問い合わせは内容が多岐にわたり、担当者を横断した連携がなければ迅速な一次対応が難しいためです。

同社は2025年10月、Google Cloudの生成AI Innovation Awardsで優秀賞を受賞し、審査員からは「窓口業務を17%削減した」という評価コメントが寄せられています。
出典:生成AI Innovation Awards受賞に関する報告(グリーホールディングス公式note)

複数のAIエージェントに窓口対応を分担させれば、単一のAIに任せるよりも幅広い問い合わせ内容をカバーしやすくなります。

野村不動産ソリューションズ:対話型AIでノムコムの反響対応を高度化

野村不動産ソリューションズは、対話型の生成AIサービス「ノムコムAIアドバイザー」を、不動産情報サイト「ノムコム」に導入しています。従来の一問一答形式のチャットボットでは、複雑な住み替え相談や条件整理といったニーズに応えきれなかったためです。

同社の公式発表によると、前身の「AI ANSWER Plus」からの刷新によって一問一答形式から脱却し、会話がスムーズになったとしています。
出典:「ノムコムAIアドバイザー」正式リリースについて(野村不動産ソリューションズ公式)

対話の自然さが増せば、Webサイト上だけで相談の初期段階を完結させやすくなります。

東京電力エナジーパートナー:マルチAIエージェントでデータ分析を迅速化

東京電力エナジーパートナーは、複数のAIエージェントが役割分担するシステム「V-DAG」を活用し、データ分析業務を迅速化しています。エネルギー事業のデータ分析は、企画立案から分析実行、レポート作成まで複数の専門工程にまたがり、時間を要する業務だからです。

V-DAGはオーケストレーター・コンサルタント・分析担当・編集者という4つの役割を持つAIエージェントで構成されており、開発パートナーであるブレインパッドの紹介記事では、分析案件のリードタイムを約6割削減したと報告されています。
出典:東京電力エナジーパートナーのAIエージェント活用事例(ブレインパッド運営メディア「DOORS DX」)

役割ごとにAIエージェントを分担させる設計にすれば、専門工程が多い業務でも一気通貫の自動化を目指しやすくなります。

伊藤忠商事:AIエージェントで貿易実務のHSコード判定を効率化

伊藤忠商事は、貿易実務で必須となるHSコード(関税分類コード)を判定するAIエージェントを開発しています。HSコードの特定には商品知識と関税分類の専門知識の両方が必要で、担当者の経験によって作業スピードが左右されやすい業務です。

Google Cloudの公式ブログでは、商品画像や仕様書からHSコードを特定するAIエージェントとして紹介されており、関税業務の効率化とコスト削減に貢献しているとされています。
出典:生成AI活用事例120社(Google Cloud公式ブログ)

専門知識が求められる判定業務をAIエージェントに任せられれば、担当者の経験差による処理スピードのばらつきを抑えやすくなります。

エイチ・アイ・エス:AIで相談予約ダッシュボードの成約率を向上

株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S.)は、AIを活用した「相談予約ダッシュボード」を旅行相談の営業支援に導入しています。経験の浅いコンサルタントほど、顧客の相談内容から次の提案につなげる勘所をつかみにくいという課題があったためです。

同社の担当者インタビューによると、相談予約を利用した顧客の成約率が導入前と比べて約5ポイント上昇したとしています。
出典:H.I.S.のAI活用事例インタビュー(KARTE公式事例サイト)

顧客の状況を踏まえた提案の勘所をAIが示せれば、経験年数に関わらず成約につながる提案をしやすくなります。

【業界別】AIエージェントの活用事例5選

業種によってAIエージェントの使われ方は異なります。ここでは5つの業界の取り組みを紹介します。

  • 【IT業界】野村総合研究所
  • 【製造業】ライオン
  • 【不動産業界】三菱地所
  • 【消費財業界】アサヒグループホールディングス
  • 【金融業界】MILIZE

自社の業界に近い事例から、活用のヒントを探してみてください。

【IT業界】野村総合研究所:AIでシステム開発の効率化を推進

野村総合研究所(NRI)は、システム開発の上流工程にAIを活用し、開発効率の向上に取り組んでいます。既存システムの構造把握や変更影響の分析は属人化しやすく、担当者の引き継ぎに時間がかかる業務だからです。

同社は2025年3月、AIを活用してレガシーシステムの構造把握や変更影響分析を行う「現行可視化・影響分析サービス」の提供を開始したと公式に発表しています。
出典:現行可視化・影響分析サービスの提供開始について(野村総合研究所公式)

上流工程の分析にAIを活用できれば、システム開発全体のリードタイム短縮につながりやすくなります。

【製造業】ライオン:AIで熟練技術者の暗黙知を継承

ライオンは、生産技術領域における熟練技術者の暗黙知を、生成AIを使って伝承する取り組みを進めています。熟練者が持つ勘所やノウハウは言語化されにくく、退職や異動によって失われるリスクがあるためです。

NTTデータと共同で、熟練技術者へのインタビューから抽出したノウハウを「勘所集」として文書化し、生成AI検索サービスに取り込む仕組みを構築すると公式に発表しています。
出典:生成AIを活用した暗黙知伝承の取り組み開始について(NTTデータ公式)

暗黙知を検索可能な形で残せれば、新規参画者への指導負荷を軽減できます。

【不動産業界】三菱地所:AIコンシェルジュで丸の内エリアの回遊性を向上

三菱地所は、生成AIを活用した「次世代型AIコンシェルジュ」を導入し、丸の内エリアの回遊性向上を図っています。大手町・丸の内・有楽町エリアには多数の店舗やイベント情報が存在し、来街者が目的に合った情報を探しにくいという課題があったためです。

NTTデータと共同開発したこのサービスはマップアプリ「Oh MY Map!」に搭載され、Claude 3.5 Sonnetを活用した対話形式でイベントや飲食店の案内を行うと公式に発表されています。
出典:次世代型AIコンシェルジュの提供開始について(三菱地所公式)

エリア単位で情報案内をAIエージェントに任せられれば、来街者一人ひとりに合った提案をしやすくなります。

【消費財業界】アサヒグループホールディングス:生成AIチャットで社内問い合わせを効率化

アサヒグループホールディングスは、生成AIチャット「Asahi Chat」を試験導入し、社内問い合わせ対応の効率化を検証しています。幅広い部署からの問い合わせに対応する社内ヘルプデスク業務は、担当者の負荷が大きくなりやすい業務だからです。

同社は2023年9月、Azure OpenAI Serviceを活用した「Asahi Chat」を約300名を対象に試験導入したと公式に発表しています。
出典:生成AIチャット「Asahi Chat」試験導入について(アサヒグループホールディングス公式)

社内問い合わせの一次対応をAIに任せられれば、専門部署は判断が必要な相談に集中できます。

【金融業界】MILIZE:AIエージェントでリテール分野の資産形成提案を支援

株式会社MILIZEは、金融機関向けAIエージェントフレームワーク「MILIZE Financial AGENT」を開発しています。資産形成の提案は顧客ごとのライフプランやリスク許容度を踏まえる必要があり、担当者の経験によって提案の質にばらつきが出やすいためです。

同社は2024年5月、顧客データの分析をもとに人生設計やリスク管理、投資戦略の提案を支援するマルチLLM対応のエージェントフレームワークとして公式に発表しています。
出典:「MILIZE Financial AGENT」に関する発表(MILIZE公式)

顧客データに基づく資産形成提案をAIエージェントが支援できれば、担当者の経験に左右されない提案品質を目指せます。

AIエージェント導入でよくある失敗と注意点

AIエージェントの導入では、以下3つの失敗パターンがよく見られます。

  • 目的やKPIを決めずに導入してしまう
  • 運用体制を整えないまま現場任せにしてしまう
  • セキュリティ対策を後回しにしてしまう

自社が同じ失敗に陥っていないか、確認しながら読み進めてください。

目的やKPIを決めずに導入してしまう

AIエージェントの導入でもっとも多い失敗は、目的やKPIを決めないまま導入を進めてしまうことです。「導入すれば何とかなるはず」という期待だけで進めると、何を改善できたのかを後から検証できません。

例えば問い合わせ対応の効率化を目的とする場合、対応件数や一次回答時間といった指標を導入前に定めておく必要があります。目的が曖昧なままでは、追加投資の判断材料も社内での評価も得づらくなります。

「何を、どれだけ改善したいか」を数値で言語化しておくことが、効果検証を意味のあるものにします。

運用体制を整えないまま現場任せにしてしまう

運用体制を整備しないまま現場任せにしてしまうと、AIエージェントの精度は向上しにくくなります。誰がフィードバックを収集し、いつ改善するのかという役割分担がなければ、現場は使い方に迷い利用率が下がるためです。

AIの出力を必ず人が確認するチェック体制と、利用範囲・禁止事項を明文化した運用ルールを、導入段階からあわせて整備する必要があります。

運用ルールを明確にしておけば、現場が安心してAIエージェントを使い続けられます。

セキュリティ対策を後回しにしてしまう

セキュリティ対策を後回しにして導入を進めると、情報漏洩などの重大なリスクにつながりかねません。AIエージェントは業務データや顧客情報にアクセスして動作するため、権限設計が甘いと想定外の範囲まで情報を扱ってしまうおそれがあるためです。

アクセス権限の範囲、データの保管場所、第三者認証の取得状況などは、導入前に情報システム部門と確認しておくべき項目です。

セキュリティ要件を事前に固めておけば、稟議を通す段階での手戻りも防げます。

AIエージェント導入を成功させるポイント

AIエージェントの導入を成功させるには、以下3つのポイントを押さえる必要があります。

  • 対象業務を絞ってスモールスタートする
  • 生成AIとの役割分担を明確にする
  • 効果測定とフィードバックの体制を整える

3つのポイントを実践すれば、導入後に使われない事態を避けやすくなります。

対象業務を絞ってスモールスタートする

AIエージェントは、全社一斉ではなく特定の業務・チームに絞ってスモールスタートすることが成功の近道です。全社展開から始めると、想定外の誤回答や現場の混乱に対応しきれなくなるためです。

まず1つのチームで試験運用し、精度や現場の受け入れ状況を確認したうえで、対象範囲を段階的に広げる進め方が安全です。

段階的な導入は、稟議のハードルを下げるうえでも有効です。

生成AIとの役割分担を明確にする

AIエージェントを導入する際は、既存の生成AI活用との役割分担を明確にする必要があります。役割が重複すると、どちらのツールで何を進めるべきか現場が判断に迷い、定着が進まなくなるためです。

資料の下書きは生成AIチャットに任せ、複数手順にまたがる業務はAIエージェントに任せるといった線引きをあらかじめ決めておきます。

役割分担を明確にしておけば、現場の混乱を防ぎながら両方のツールを使い分けられます。

効果測定とフィードバックの体制を整える

導入後は、効果測定とフィードバックの体制を継続的に整えることが欠かせません。運用開始時点の精度で満足してしまうと、業務内容の変化に追随できず、効果が頭打ちになるためです。

定めたKPIを定期的に確認し、現場からの改善要望を反映するサイクルを、導入後も継続して回す必要があります。

改善サイクルを回し続ければ、AIエージェントの精度を業務の変化に合わせて維持できます。

AIエージェントの活用事例に関するよくある質問

AIエージェントの活用事例に関する質問は以下の3つです。

  • AIエージェントは無料で使えますか
  • AIエージェントを自社開発するにはどうすればいいですか
  • 中小企業でもAIエージェントを導入できますか

質問に対する回答を確認して、自社での導入検討の参考にしてみてください。

出典・参考リンク

本記事で引用した企業事例の一次情報は以下のとおりです。

自社の業務課題から逆算するAIエージェント活用

本記事では、業務別・業界別のAIエージェント活用事例12選と、導入時の失敗パターン・成功のポイントを解説しました。

まずは自社の業務のうち、定型的で工数がかかっている業務を洗い出し、紹介した事例と照らし合わせながら応用できそうな業務を絞り込んでみてください。

一方で、どのAIエージェントを選び、どの範囲から導入すべきかという判断は、事例を読むだけでは決めきれない部分も残ります。自社に合った選定基準や導入の進め方を整理したい場合は、専門家に相談しながら検討を進めることをお勧めします。

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