
AIエージェントは、LPの構成案からコピー・デザイン・実装までを自律的に進められる段階に入っています。
ただし、訴求設計と法令チェックを人が握らないまま公開すると、修正の手戻りと表示上のリスクを抱えます。反対に工程の分担を先に決めておけば、制作予算を増やさずに広告クリエイティブの検証本数を増やせるでしょう。
本記事では、AIエージェントでLPを制作する6ステップと、工程のカバー範囲で選ぶおすすめツール8選を中心に解説します。
読み終える頃には、どの工程をAIに任せてどこを自分が判断するかが決まり、1本目のLPを社内で作り始められる状態になります。
目次
AIエージェントがLP制作で自動化できる範囲
AIエージェントがLP制作で自動化できる範囲は、以下の3点で整理できます。
- AIエージェントが担える5工程
- 人が判断すべき3工程
- 従来のLP制作フローとの違い
範囲を決めずに着手すると、AIの出力を修正する作業に工数を溶かします。
AIエージェントが担える5工程
AIエージェントに任せられるのは、情報を集めて構造化する工程です。
- 競合LPと市場のリサーチ
- 訴求要素の洗い出しと構成案の作成
- セクションごとのコピーの初稿生成
- デザインとコードの実装
- 公開後の数値をもとにした改善案の生成
ENECHANGEの技術ブログでは、AIエージェントの活用で速くなった作業として「大量データの整理・分析、パターン抽出、構造化された出力」を挙げています。競合LPの比較表をCSV形式で自動生成し、そのままチームに共有できたと報告されています。
出典:WebディレクターがAIエージェントで競合調査〜LP構成検討を効率化した話(ENECHANGE Developer Blog)
情報収集と初稿づくりから手を離せるため、担当者は訴求をどう決めるかに時間を使えます。
人が判断すべき3工程
一方で、以下の3工程は人が判断する必要があります。
- 誰に何を訴求するかの決定
- AIが集めた情報のうち、自社が使うものの選別
- 公開前の法令チェックと最終品質の確認
前掲のENECHANGEの記事でも、膨大な情報から必要なものを選別する判断が必要だった点と、キャッチコピーのような感情に響く表現の生成に苦労した点が課題として挙げられています。最終的な仕上げは人が直接作業した方が効率的で、AIだけでは完結できなかったと結論づけられています。
この3工程を自分の担当として残しておけば、AIの出力品質に振り回されずに公開日を守れます。
従来のLP制作フローとの違い
従来のLP制作との違いは、各工程の担い手とリードタイムに表れます。
| 工程 | 従来のLP制作 | AIエージェント活用 |
|---|---|---|
| 競合調査 | ディレクターが手作業で収集 | AIがURLから構成要素を抽出 |
| 構成案 | 調査後にディレクターが作成 | AIが複数案を生成し人が選別 |
| コピー | ライターへ依頼 | AIが初稿を出し人が書き換え |
| デザインと実装 | デザイナーとエンジニアへ依頼 | AIがコードまで出力 |
| リードタイム | 数週間 | 数日 |
| 検証回数 | 制作費に縛られる | 案を量産して増やせる |
担い手とリードタイムの比較
前掲のENECHANGEの事例では、制作会社に依頼すると1ヶ月程度かかっていた工程が1週間未満で完了しています。自社プロダクト情報の整理も、従来の半日以上から30分に短縮されました。
発注を前提とした進め方から社内で回す進め方に切り替えられるため、広告の出稿計画に制作スケジュールを合わせやすくなります。
AIエージェントでLPを制作する6ステップ
AIエージェントでLPを制作する手順は、以下の6ステップです。
- 要件と訴求軸を言語化する
- 競合LPと想定読者をリサーチする
- 構成案とワイヤーフレームを生成する
- コピーとファーストビューを生成する
- デザインとコードに実装する
- 計測を設定して公開する
順番を飛ばすと、後半の工程で構成からやり直すことになります。
【ステップ1】要件と訴求軸を言語化する
最初に決めるのは、誰に何を約束するLPなのかです。
AIエージェントは前提が曖昧なままでも出力するため、条件を渡さないと業界の平均値のようなLPが出てきます。以下の項目を1枚のドキュメントにまとめておきます。
- 商品名と価格、提供形態
- 想定読者の職種と検討段階
- 競合と比較される具体的なポイント
- CVの定義(資料請求・問い合わせ・購入のいずれか)
- 流入元(検索広告・SNS広告・メールなど)
前提を1枚に書き出しておけば、以降のすべての工程で同じ資料を渡すだけで済み、指示のたびに条件を書き直す手間がなくなります。
【ステップ2】競合LPと想定読者をリサーチする
次に、競合LPのURLを渡して構成要素を分析させます。
広告で成果を出しているLPには、業界ごとに定番の訴求順序があります。型を把握しないまま作ると、必要な要素が抜けたまま公開してしまいます。
競合LPを5本から10本ほど渡し、ファーストビューの訴求・社会的証明の使い方・CTAの位置と文言・FAQの論点を表形式で出力させます。ここで出た要素をすべて盛り込むのではなく、自社が勝てる差分を人が選びます。
比較表が手元に残るため、社内レビューで「なぜこの訴求を選んだのか」を根拠つきで説明できます。
【ステップ3】構成案とワイヤーフレームを生成する
訴求軸と競合の比較表を渡し、セクション単位の構成案を生成させます。
指示するときは、セクション名だけでなく各セクションの役割まで書かせます。ファーストビュー・課題提起・解決策・機能と実績・料金・FAQ・CTAといった並びに対して、どの順序で読ませるかを明示させる形です。
ここでは構成案を2〜3パターン出させるのがコツです。1案だけでは、その順序が最適かどうかを判断できません。
順序の選択肢を並べて比べられるため、感覚ではなく理由で構成を決められます。
【ステップ4】コピーとファーストビューを生成する
構成が固まってから、セクションごとにコピーを生成させます。
LP全体のコピーを一度に書かせると、どのセクションも同じ調子の文章になり、訴求の強弱が消えます。セクションを区切って指示すると、役割に沿った表現が出てきます。
とくにファーストビューのキャッチコピーは、10案ほど出させて人が選び、書き換える使い方が現実的です。前掲のENECHANGEの事例でも、感情に響く表現の生成はAIが苦手な領域として挙げられています。
ゼロから書く作業が選ぶ作業に変わるため、コピーの質を落とさずに制作時間を圧縮できます。
【ステップ5】デザインとコードに実装する
実装は、ツールの出力形式によって進め方が変わります。
- ノーコード型(Readdy・Framer・Unbounce)はツール内で公開まで完結する
- コード型(Claude Code・v0・Lovable)は既存サイトへ組み込む前提で使う
どちらの場合も、配色・フォント・角丸や余白のルールをファイルで渡すことが精度を左右します。ブランドガイドラインを渡さずに生成すると、既存サイトと見た目が揃わず作り直しになります。
自社の見た目に合ったLPが最初から出てくるため、デザイン修正の往復が減り、レビューが1回で終わります。
【ステップ6】計測を設定して公開する
公開前に、計測の設定と動作確認を終わらせます。
- CVイベントの設定と発火テスト
- フォーム送信と自動返信メールの動作確認
- スマートフォン表示のレイアウト崩れの確認
- 表示速度と画像の容量
AIが生成したLPは見た目が整っていても、フォームの送信先や計測タグが未設定のままのことが少なくありません。公開前チェックの詳細は後述します。
計測が入っていれば、公開直後から改善に使えるデータが溜まり、次のテスト案をAIに考えさせられます。
LP制作に使えるAIエージェントのおすすめ8選
LP制作に使えるAIエージェントは、以下の8つです。
- Genspark(ジェンスパーク)
- Readdy(レディ)
- Manus(マヌス)
- Claude Code(クロードコード)
- Lovable(ラバブル)
- v0(ブイゼロ)
- Framer(フレーマー)
- Unbounce(アンバウンス)
同じ「LPが作れるツール」でもカバーする工程が異なるため、自社の体制に合うものを選ぶ必要があります。
| ツール | タイプ | 得意な工程 | 出力形式 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| Genspark | 自律実行型 | リサーチ〜ページ生成 | Webページ | 1本目を最短で形にする |
| Readdy | サイト生成型 | デザイン〜公開 | Webサイト | 非エンジニアが編集まで担う |
| Manus | 自律実行型 | 調査〜Web資産構築 | サイト・資料 | LP以外の販促物もまとめて作る |
| Claude Code | コード実行型 | 実装〜改善 | コード | 既存サイトへ組み込む |
| Lovable | アプリ生成型 | 実装〜公開 | アプリ・サイト | フォームや会員機能を含む |
| v0 | UI生成型 | デザイン〜実装 | Reactコード | 開発チームと分業する |
| Framer | サイト制作型 | デザイン〜公開 | Webサイト | デザインの作り込みを重視する |
| Unbounce | LP専用ビルダー | 公開〜最適化 | LP | 公開後のCVR改善を回す |
2026年9月時点の各公式サイトの情報にもとづきます。料金プランは変更されることがあるため、最新の金額は公式サイトで確認してください。
Gensparkは構成からデザインまで一気に生成できる
Gensparkは、指示を渡すと複数の作業を自律的に進めるAIエージェントです。
商品情報と参考にしたいLPのURLを渡すと、リサーチから構成・コピー・ページ生成までを続けて実行します。1回の指示でLPの形になるため、AIエージェントの自走を体感しやすいツールです。
一方で、細かいデザイン調整やブランドルールの反映は苦手です。まずは社内提案用のたたき台を用意する用途に向いています。
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提案の前に実物を見せられるので、企画書だけで議論する段階を飛ばせます。
Readdyは生成後の編集画面が直感的に使える
Readdyは、コードを書かずにWebサイトを構築・運用できるAIサイトビルダーです。
公式サイトによると、文章での指示に加えて、スクリーンショットやFigmaのフレーム、参考サイトのURLからページを生成できます。生成後は要素をクリックして視覚的に編集でき、レスポンシブ対応も自動で行われます。
LP向けのテンプレートも用意されており、生成から公開までを1つの画面で完結できます。無料でサイトを生成できる一方、独自ドメインの接続には有料プランが必要です。
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編集をマーケティング担当者が担えるため、文言修正のたびに制作会社へ依頼する必要がなくなります。
ManusはLPを含むWeb資産をまとめて構築できる
Manusは、Webサイト構築やスライド作成、デザイン制作などを1つの画面から実行できるAIエージェントです。
LPだけでなく、営業資料やホワイトペーパーまで同じ前提情報から作れる点が特徴です。キャンペーン単位で複数の販促物を用意する場合、訴求のずれが起きにくくなります。
反面、LP専用ツールではないため、CVR最適化の機能は備えていません。制作物の起点を1つにまとめたい企業に向いています。
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LPと営業資料の内容が揃うため、商談で説明した内容とLPの記載が食い違う事故を防げます。
Claude Codeは既存のブランドガイドラインを反映できる
Claude Codeは、Anthropic社が提供するターミナル上で動作するコーディング用のAIエージェントです。
既存サイトのソースコードやデザインルールのファイルを読み込ませたうえで実装させられるため、今のサイトと同じ見た目でLPを追加できるのが強みです。外部ツールとの連携で、デザインデータを参照させる運用もできます。
ただし、コードを扱う前提のツールであり、エンジニアが関与しない体制では扱いづらいでしょう。
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既存サイトの構造を崩さずにLPを増やせるため、ブランド管理の観点で社内の承認を得やすくなります。
Lovableはフォーム付きLPをアプリごと生成できる
Lovableは、チャットでの対話からWebサイトとWebアプリを構築するサービスです。
公式サイトでは技術的な知識がなくても構築できると説明されており、入力フォームやログイン機能を含むLPを作れます。診断コンテンツや見積もりシミュレーターをLPに載せる場合に向いています。
料金はクレジット制で、無料プランでも一定量の生成を試せます。機能を持つLPを作るほどクレジットの消費が増えるため、用途を絞って使う方が費用を抑えられます。
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フォーム開発を外注せずに済むため、リード獲得の仕組みごとLPを検証できます。
v0はコンポーネント単位でデザインを詰められる
v0は、プロンプトから実際に動くコードを生成するVercel社のAIエージェントです。
公式サイトでは、ワイヤーフレームやモックアップから精度の高いUIを生成でき、ランディングページやダッシュボードを作れると説明されています。セクション単位で作り直せるため、ファーストビューだけを差し替える改善に使いやすいです。
出力はReactのコードが基本となるため、公開までは開発チームと分担する前提になります。
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デザイン案をコードの形で渡せるため、エンジニアへの依頼が「実装してほしい」から「組み込んでほしい」に変わります。
Framerはデザイナーの手を残した仕上げができる
Framerは、キャンバス上で設計から公開までを行うWebサイト制作ツールです。
公式サイトによると、キャンバス上で動作するデザインエージェントに加え、CMSの更新やコードの記述を担うエージェントを備えています。生成と修正がその場で見える形で進むため、AIの出力をデザイナーが引き取って仕上げられるのが特徴です。
ホスティングとSEO設定、A/Bテストの機能も組み込まれており、公開後の運用まで同じ環境で行えます。
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デザインの品質を落とさずに制作速度を上げられるため、ブランドサイトと同じ水準のLPを量産できます。
Unbounceは公開後のCVR最適化まで担える
Unbounceは、LP制作とCVR最適化を専門に扱うプラットフォームです。
ドラッグ操作でのページ作成とA/Bテスト機能に加え、訪問者を成果の出やすいページへ自動で振り分ける「Smart Traffic」を備えています。公式サイトでは、ClaudeやChatGPTといったAIアシスタントからページの作成やA/Bテストの実行を操作できる機能も案内されています。
公開後の改善を前提とした設計で、14日間の無料トライアルが用意されています。広告費を継続的に投下する商材に向いています。
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制作と改善を同じツールで回せるため、テスト結果が次のLP制作にそのまま活きます。
AIエージェントにLP制作を指示するプロンプトの型
LP制作でAIエージェントに渡すプロンプトは、以下の4つの型に分けられます。
- 構成案の訴求順序を決めさせる指示
- コピーのベネフィット表現を出させる指示
- デザインのトンマナを固定する指示
- 数値をもとに改善案を出させる指示
工程ごとに指示を分けると、修正のやり直しが1工程だけで済みます。
【構成案】訴求順序を決めさせる指示
構成案では、役割と前提と出力形式の3点を必ず指定します。
前提を書かずに「LPの構成を作って」と指示すると、どの業界にも当てはまる一般的な並びが返ってきます。以下のように条件を渡します。
#役割 あなたはBtoB向けLPの構成設計者です。 #前提 商品:勤怠管理SaaS(月額制) 想定読者:従業員100〜300名企業の人事労務担当 CV:資料請求 流入元:検索広告 #依頼 以下の競合LPの構成を分析し、当社LPのセクション構成を2パターン提案してください。 競合URL:(5〜10本を列挙) #出力形式 セクション名/役割/盛り込む要素/想定される離脱理由 を表で出力
離脱理由まで書かせると、構成の弱点が事前にわかり、公開前に補強できます。
【コピー】ベネフィット表現を出させる指示
コピーの指示では、禁止する表現を明記します。
条件を付けないと、最上級表現や根拠のない断定が混ざり、後述する景品表示法の確認で書き直しになります。
#依頼 ファーストビューのキャッチコピーを10案出してください。 #条件 ・30文字以内 ・機能の説明ではなく、読者の状態の変化を書く ・「No.1」「最高」などの最上級表現は使わない ・効果を断定する表現は使わない ・社内の専門用語は使わない #出力形式 案ごとに、狙っている感情を1行で添える
狙っている感情を併記させると、選ぶ基準が明確になり、社内レビューでの好みの議論を避けられます。
【デザイン】トンマナを固定する指示
デザインの指示では、ブランドルールを数値で渡します。
「落ち着いた雰囲気で」といった形容だけでは、生成ごとに見た目が変わります。カラーコードや余白の数値を指定すると、出力が安定します。
#ブランドルール メインカラー:#1A4B8C アクセントカラー:#F2A93B フォント:Noto Sans JP 角丸:8px セクション間の余白:80px(スマートフォンは48px) #依頼 添付の構成案を、上記ルールでHTMLとCSSに実装してください。 #条件 ・画像はプレースホルダーで配置する ・スマートフォン幅の表示を優先する ・CTAボタンは各セクションの末尾に配置する
ルールをファイルとして保存しておけば、2本目以降のLPでも同じ指示を貼るだけで見た目が揃います。
【改善】数値をもとに修正案を出させる指示
改善の指示では、実測データを添えて仮説と検証案を出させます。
データを渡さずに「CVRを上げる案を出して」と指示すると、一般的な改善のセオリーが並ぶだけで終わります。
#データ セクション別のスクロール到達率:(実測値を貼る) CTAのクリック率:(実測値を貼る) フォームの項目別離脱率:(実測値を貼る) #依頼 数値から離脱要因の仮説を3つ挙げ、仮説ごとに検証案を出してください。 #出力形式 仮説/根拠となった数値/変更する箇所/変更内容/判定に使う指標
判定に使う指標まで書かせるため、テストの結果が出たときに次の判断で迷いません。
AIエージェントで作ったLPを公開する前のチェック項目
AIエージェントで作ったLPは、公開前に以下の4項目を確認します。
- 訴求ロジックの一貫性
- 景品表示法と薬機法に触れる表現
- 生成画像とフォントの権利
- 表示速度とSEOの基本設定
見た目が整っているLPほど確認が甘くなり、公開後の指摘につながります。
訴求ロジックの一貫性
最初に確認するのは、ファーストビューの約束とCTAの内容が繋がっているかです。
AIはセクション単位で自然な文章を書くため、全体を通すと主張がずれることがあります。「業務時間を削減できる」と書きながら、途中から機能の網羅性を訴えるLPになっているケースが典型です。
チェックの方法として、各セクションの見出しだけを並べて読むやり方が有効です。見出しだけで話が繋がらない箇所が、読者が離脱する箇所になります。
主張が1本に通っていれば、広告のクリエイティブとLPの言葉を揃えやすくなり、流入後の離脱を抑えられます。
景品表示法と薬機法に触れる表現
次に確認するのは、生成されたコピーが法令に触れていないかです。
景品表示法では、商品やサービスを実際より優れていると見せる表示や、取引条件を有利に見せる表示が規制されています。AIは訴求を強めるよう指示すると誇張表現を出しやすく、「No.1」「必ず成果が出る」といった断定が混ざります。
参考:景品表示法(消費者庁)
健康食品や化粧品、医療サービスを扱う場合は、薬機法や医療広告に関する基準の確認も必要です。表現の可否は業種ごとに異なるため、社内の法務担当と確認する工程を公開前に必ず挟みます。
チェック工程を手順に組み込めば、担当者個人の判断で公開して指摘を受ける事態を避けられます。
生成画像とフォントの権利
AIが生成した画像を広告に使う場合は、権利関係の確認が必要です。
文化庁は「AIと著作権について」のページで考え方を公開し、立場ごとに望ましい取り組みを示した「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を公表しています。生成物が既存の著作物に類似する場合には、著作権侵害となる可能性が整理されています。
参考:AIと著作権について(文化庁)
あわせて、使用するツールの利用規約で生成物の商用利用が認められているかを確認します。フォントについても、Webでの使用が許諾されたライセンスかを確認する必要があります。
権利の確認を済ませておけば、広告審査で差し戻されるリスクを下げられます。
表示速度とSEOの基本設定
最後に確認するのは、技術面の設定です。
AIが生成したLPは、画像が圧縮されていなかったり、タイトルタグが仮の文言のまま残っていたりします。以下の項目を公開前に確認します。
- タイトルタグとメタディスクリプションの内容
- OGP画像とSNSでの表示
- 画像の容量とスマートフォンでの表示速度
- 検索結果に出したくないページのnoindex設定
とくに広告のリンク先で表示が遅いLPは、クリック単価を上げる要因になります。
設定を整えておけば、同じ広告費でも到達するユーザー数が増え、テストの精度も上がります。
AIエージェントでLPのCVRを改善する運用サイクル
公開後のCVR改善は、以下の4つを回して進めます。
- 計測設計と改善指標の定義
- 改善仮説の生成
- A/Bテストの実行
- 学習結果の蓄積
制作を速くしても改善が止まれば、LPの本数が増えただけで成果は変わりません。
計測設計と改善指標の定義
改善の起点は、CVRを分解して見られる状態を作ることです。
CVRだけを見ていると、原因がファーストビューにあるのかフォームにあるのか判断できません。セクション別のスクロール到達率、CTAのクリック率、フォームの項目別離脱率まで取得しておきます。
AIに渡せるデータの粒度が、改善案の質を決めます。計測が粗いままでは、AIも一般論しか出せません。
数値で原因を切り分けられるようになれば、改善に使う工数を成果に直結する箇所へ集中させられます。
改善仮説の生成
仮説づくりは、AIエージェントに任せやすい工程です。
実測値を渡し、離脱要因の仮説と検証案を複数出させます。人が考えると自分の得意な打ち手に偏りますが、AIは見落としていた切り口を含めて案を並べます。
出てきた案は、想定される効果の大きさと実装の手間で並べ替え、上から順にテストします。すべてを実行しようとすると、テストが渋滞します。
案の在庫を切らさずに済むため、次に何を試すかで会議が止まらなくなります。
A/Bテストの実行
テストは、1回に1要素だけ変えて実行します。
複数箇所を同時に変えると、どの変更が効いたのか判断できません。AIエージェントを使うと制作が速くなるため、変更を詰め込みすぎる失敗が起きやすくなります。
判定に必要なCV数を先に決めておき、その水準に達する前に打ち切らない運用にします。UnbounceやFramerのようにA/Bテスト機能を備えたツールなら、同じ環境でテストまで完結できます。
1要素ずつ検証していけば、勝ちパターンが自社の資産として残ります。
学習結果の蓄積
テスト結果は、AIに渡せる形で残します。
勝ったパターンと負けたパターンを、変更内容と数値の組み合わせで1つのファイルに記録します。次の制作でそのファイルを渡せば、自社の勝ちパターンを前提にした構成案が出てきます。
記録がないと、担当者が変わるたびに同じテストを繰り返します。ステップ1で作った要件のドキュメントと同じ場所に置いておくと運用が続きます。
知見が個人ではなくチームに溜まるため、担当者の異動があってもLPの成果を維持できます。
AIエージェントをLP制作に活用した企業事例
AIエージェントをLP制作に活用した事例は、以下の3社です。
- ENECHANGEがLP構成の検討期間を1週間未満に短縮した事例
- サイバーエージェントがLPのA/Bテストを自動化した事例
- 電通デジタルがLPの改善案生成を10分に短縮した事例
自社に近い体制の事例を見ておくと、どこまで内製できるかの見通しが立ちます。
ENECHANGEがLP構成の検討期間を1週間未満に短縮した事例
エネルギー領域のENECHANGEでは、WebディレクターがAIエージェントを使い、競合調査からLP構成の検討までを効率化しました。
同社の技術ブログによると、自社プロダクト情報の整理にGeminiを使い、従来は半日以上かかっていた作業を30分に短縮しています。競合分析とLP構成の検討にはCursorを使い、比較表の生成からNotionへの出力までを同じツールで進めました。
制作会社に依頼すると1ヶ月程度かかる工程が1週間未満で完了した一方、内訳はAIを動かした2〜3人日と、出力の軌道修正に4日程度という構成でした。
出典:WebディレクターがAIエージェントで競合調査〜LP構成検討を効率化した話(ENECHANGE Developer Blog)
軌道修正に時間を要する前提で計画を組めば、社内に約束する納期を守れます。
サイバーエージェントがLPのA/Bテストを自動化した事例
サイバーエージェントは、AIで効果の出せるLPを予測・制作する「極予測LP」を2021年6月から提供しています。
2024年2月27日の発表では、複数のコンテンツを予約設定すると1つずつA/Bテストが実行され、判定が完了するたびに次のテストが自動で始まる「自動検証機能」を実装しました。従来は次の検証開始まで1営業日程度かかっていた作業が、自動で即時に実行されるようになっています。
同発表では、直近となる2024年1月の平均CVR改善率が155%と公表されています。導入アカウント数は2023年9月4日の発表時点で200件を突破しました。
出典:極予測LP、広告効果の高いランディングページに自動で収束する「自動検証機能」を実装(サイバーエージェント)
出典:「極予測LP」、導入数200アカウントを突破(サイバーエージェント)
テストの待ち時間を削れば、同じ広告期間でも検証できるパターン数が増えます。
電通デジタルがLPの改善案生成を10分に短縮した事例
電通デジタルは、LPの分析から改善案の作成までを担う「∞AI LP」を2025年9月16日にアップデートしました。
同社の発表によると、改善案とコードの自動生成機能に加えて画像の自動生成機能を実装し、OpenAI社のGPT-5を搭載しています。従来は数日を要していた自社と競合のLPの比較分析から複数の改善案作成までの工程を、わずか10分にまで短縮したと説明されています。
制作リードタイムは約40%削減され、金融・不動産・通信・保険などの業界に導入してCVRを108%から163%改善した実績が示されています。
出典:「∞AI LP」をアップデート デザイン・コーディングをAIで自動化(電通デジタル)
分析と改善案の作成が短時間で終われば、広告の運用担当者は打ち手の選択に時間を使えます。
AIエージェントのLP制作で起こりやすい失敗
AIエージェントでのLP制作では、以下の4つの失敗が起こりやすいです。
- 全工程をAIに任せて手戻りが増える
- 参考LPを模倣して訴求が浅くなる
- ブランドガイドラインから外れる
- 公開後の改善が止まる
先に失敗のパターンを知っておけば、1本目から余計な工数をかけずに進められます。
全工程をAIに任せて手戻りが増える
最も多い失敗は、訴求の決定までAIに任せてしまうことです。
前提を渡さずに生成すると、どの商材にも使える一般的なLPが出てきます。そこから修正を始めると、構成・コピー・デザインのすべてを直すことになり、ゼロから作るより時間がかかります。
前掲のENECHANGEの事例でも、AIを動かした時間より軌道修正の時間の方が長くなっています。誰に何を訴求するかは人が決め、AIには実装と量産を任せる分担にします。
分担を先に固定しておけば、修正が特定の工程に収まり、公開日を後ろにずらす必要がなくなります。
参考LPを模倣して訴求が浅くなる
競合LPのURLを渡すだけで作らせると、訴求が競合の写しになります。
AIは渡された参考物の構成を再現するため、自社の強みが入らないままLPが完成します。結果として、読者にとって選ぶ理由のないLPができあがります。
競合分析の出力は、あくまで型の把握に使います。そのうえで、自社だけが言える実績や導入社数、サポート体制を人が足します。デザインの模倣は権利上の問題にもつながるため、構成の参考にとどめます。
差分を自分で足す前提で使えば、制作速度を上げながら競合と戦えるLPになります。
ブランドガイドラインから外れる
生成物の見た目が既存サイトと揃わず、公開直前に差し戻される失敗もあります。
AIは指定がなければ、学習した一般的なデザインで出力します。配色やフォント、ロゴの使い方が社内規定と異なると、広報部門の確認で止まります。
対策として、ブランドルールをファイル化して毎回渡す運用にします。Claude Codeのように既存のコードやデザインデータを参照できるツールなら、今のサイトの実装をそのまま踏襲させられます。
見た目の確認で差し戻されなくなるため、公開までの承認フローが短くなります。
公開後の改善が止まる
制作の速さだけを目的にすると、公開後に改善が回らなくなります。
LPの本数が増えても、計測が入っていなければどのLPが機能しているか判断できません。改善の材料がないため、次の制作でも同じ構成を繰り返します。
公開時点で計測とテストの担当者を決めておき、テスト結果を記録するファイルを用意します。前掲のサイバーエージェントの事例のように、テストの実行と判定を自動化する仕組みを持つツールを使う選択肢もあります。
改善が続く体制にしておけば、LPの成果が制作本数ではなく数値の伸びで語れるようになります。
AIエージェント活用のLP制作を内製に切り替える判断基準
内製と外注のどちらを選ぶかは、以下の3つの観点で判断します。
- 内製が向くケース
- 外注が向くケース
- 両者を併用する体制
すべてを内製に切り替えると、品質を担保できずに差し戻しが増えます。
内製が向くケース
内製が向くのは、同じ商材で検証を繰り返す場合です。
広告のクリエイティブごとにLPを分けたい場合や、訴求を変えたパターンを月に何本も試したい場合、外注では制作費と納期が制約になります。訴求の差分だけを変えるLPであれば、AIエージェントで量産できます。
社内に商材の知識が溜まっている点も内製の利点です。前提情報を最も詳しく書けるのは事業担当者であり、その情報が生成の精度を決めます。
検証の回数を制作費から切り離せるため、勝ちパターンを見つける速度が上がります。
外注が向くケース
外注が向くのは、ブランドの中核となるLPを作る場合です。
企業として長く使う商材のLPや、大型のキャンペーンで露出量が多いLPでは、コピーとデザインの完成度が成果を左右します。撮影を伴うビジュアルや、独自のインタラクションを含む表現は、AIの出力では届きません。
規制の厳しい業種も外注が無難です。法令表現の判断が必要なLPは、実績のある制作会社と進めた方が確認の抜けが減ります。
重要なLPをプロに任せることで、社内のリソースを検証用のLPに集中させられます。
両者を併用する体制
現実的な選択は、役割で分ける併用体制です。
ブランドの基準となるLPを制作会社に依頼し、そのデザインルールをAIエージェントに渡して検証用のLPを社内で量産する形が回しやすいです。基準となるLPがあるため、生成物の品質のばらつきを抑えられます。
この体制では、制作会社への発注内容が「量産」から「基準づくり」へ変わります。デザインルールと実装のテンプレートを納品物に含める契約にしておきます。
外注費を抑えながら品質の下限を守れるため、社内でAI活用の実績を示しやすくなります。
AIエージェントのLP制作に関するよくある質問
AIエージェントのLP制作に関する質問は以下の4つです。
- 無料で使えるAIエージェントはあるか
- LP制作の費用はどこまで下がるか
- AIエージェントで作ったLPはSEOで評価されるか
- 社内の商品情報や顧客データを入力してよいか
質問に対する回答を確認して、ツール選定と社内での進め方の参考にしてみてください。
無料で使えるAIエージェントはあるか
試すだけであれば、無料の範囲でLPの生成まで確認できます。
ReaddyやLovableは無料での生成に対応しており、Unbounceは14日間の無料トライアルを用意しています。ただし、独自ドメインでの公開や本番運用には有料プランが必要になるケースが一般的です。
無料プランの範囲は変更されることがあるため、検討時には各公式サイトで最新の条件を確認してください。まずは無料枠で1本作り、社内で見せてから有料プランを申請する進め方が通しやすいでしょう。
LP制作の費用はどこまで下がるか
削減幅は、どの工程を内製に移すかで決まります。
電通デジタルの「∞AI LP」では、制作リードタイムを約40%削減した実績が公表されています。工程の一部をAIに移した場合でも、こうしたリードタイムの短縮が費用の削減につながります。
出典:「∞AI LP」をアップデート デザイン・コーディングをAIで自動化(電通デジタル)
自社での削減幅を見積もるなら、1本目を内製して工数を実測するのが確実です。生成にかかった時間と修正にかかった時間を分けて記録し、外注費と比較します。
AIエージェントで作ったLPはSEOで評価されるか
AIで作ったこと自体が評価を下げる要因にはなりません。
ただし、広告からの流入を前提としたLPは、検索流入を狙うページとは設計が異なります。検索経由の獲得も狙う場合は、タイトルタグやメタディスクリプション、見出し構造、表示速度の設定を人が整える必要があります。
同じ内容のLPを複数作って公開する場合は、検索結果に出す1本を決めて残りはnoindexにするなど、重複の扱いを決めておきます。
社内の商品情報や顧客データを入力してよいか
入力の可否は、使うツールの契約形態と社内規程で判断します。
ツールによって、入力データを学習に使うかどうかの扱いが異なります。法人向けプランでは学習に使わない設定を選べる場合があるため、利用規約とプランの条件を確認してください。
LP制作では、顧客の個人情報を渡す必要はほとんどありません。公開予定の商品情報と、社外に出しても問題のない実績データに絞って渡す運用にすれば、確認の負担も軽くなります。
出典・参考リンク
- WebディレクターがAIエージェントで競合調査〜LP構成検討を効率化した話(ENECHANGE Developer Blog)
- 極予測LP、広告効果の高いランディングページに自動で収束する「自動検証機能」を実装(サイバーエージェント)
- 「極予測LP」、導入数200アカウントを突破(サイバーエージェント)
- 「∞AI LP」をアップデート デザイン・コーディングをAIで自動化(電通デジタル)
- 景品表示法(消費者庁)
- AIと著作権について(文化庁)
AIエージェントはLP制作の速度と検証本数を変える
AIエージェントを使えば、リサーチから構成・コピー・実装までを数日で進められます。訴求の決定と情報の選別、公開前の法令チェックを人が担い、それ以外をAIに任せる分担が前提です。
まずは要件を1枚のドキュメントにまとめ、無料枠のあるツールで1本目を作ってみてください。生成にかかった時間と修正にかかった時間を記録すれば、そのまま社内提案の材料になります。
1本目が形になると、次に出てくる課題は誰がこの運用を続けるかです。制作が速くなるほど、テストの設計と結果の判断を担う人材の不足が表面化します。
AIエージェントを個人の工夫で終わらせず、チームで回す体制に変えていくことが、LPの成果を継続的に伸ばす条件になります。



















