5,000本超の会話データを4年もかけて分析!プレゼンや営業トークをカラオケみたいに採点できる『Upsighter(アップ・サイター)』とは?

本日はコミュニケーションを数値で”見える化”するサービス「UpSighter(アップ・サイター)」について、コグニティ株式会社 (英語表記:COGNITEE Inc.)の代表取締役・河野さんにお話を伺いました。
”見える化”の仕組み、具体的に何が出来るのか…詳しく教えて頂きました!

コミュニケーションを”数値で”表す

中川
まずはじめに、アップ・サイターはどんなサービスなのですか?
河野さん
コミュニケーションを数値で表すことで”見える化”するサービスです。

たとえば、営業トークですね。エース社員とそうではない社員のトークをそれぞれ数字で表して、比較できるようにします。

どの項目がエースと異なるのかが値で分かるので、課題を明確にすることができるのです。

 

↓こちらはスティーブ・ジョブズのプレゼンを数値化し、別のスピーチと比較したもの。
↓こちらはスティーブ・ジョブズのプレゼンを数値化し、別のスピーチと比較したもの。

↓スピーチ展開の傾向も、このようなグラフで見ることができます。

 

ジョブズのスピーチは「別の話題への広がり」がほとんどなく、「事実情報」や「深堀した説明の値」も低い点が特徴的で、”思い”が入った「根拠としての理由」にスポットを当ててプレゼン展開していることが分かります。
河野さん曰く、『TEDトークとジョブズのトークは似ている』のだそう。思い入れが強いことを訴えることで、洗脳のような効果があるようです。

このパターンのプレゼンは、理系お医者さんやエンジニアなど、理系タイプの聞き手には通じないところが欠点なのだとか。
ということは、私たちも取り上げる話題を減らして思い入れを主張するパートを多く盛り込んだ構成に挑めば、ジョブズのようなプレゼンができる…かもしれませんね。

現在、携帯ショップの店員さんや塾講師など様々なシーンのコミュニケーションでアップ・サイターが活かされているのだそうです。
他にも人事面談や会社説明会など…あらゆるコミュニケーションのシーンの数値化が可能であるとのこと。

IoTにも取り組まれており、小型のデバイスを身に着けて頷きや緊張感などの「空気感を測る」プランもあるのだとか。

 

↓めちゃくちゃ小さくて軽いです!!

 

音声認識…ではない!コグニティが積み上げたクリーンデータの強み

 

中川
会話が数字で”見える”ことで、後輩指導が楽&的確にできたり、優秀なトーク例を配布できたり…活用の展望が広がりますね。どのような仕組みで音声解析をされているのでしょうか?
河野さん
アップサイターの主力技術は音声認識ではありません。ここが他のAIサービスとは大きく異なる点です。
なんと。。てっきりものすごい音声認識技術が働いているのだと思っていました。
河野さんは「音声認識について自社で突き詰める考えはありません」とキッパリ。
河野さん
センシング技術や、ニューラル、ディープラーニングなどアルゴリズム部分は関与しないと決めているんです。

センシング技術は精度を上げるためにお金がかかる大企業向けの技術であり、検出・判別のためのアルゴリズム部分は今後論文でオープンになっていくと踏んでいます。

中川
なるほど、アルゴリズムが要ではないとは驚きました。それでは、コグニティのAI領域における強みはどのような点なのでしょうか?
河野さん
私達の強みはAIの技術フェーズのなかでも”モデリング”と”データベース”にあると考えています。

ひとつの情報の中にどんな種類がいくつあって、その情報の関係性は…そういったブロックごとのコミュニケーションのルールを形成し、ルールに基づいて膨大なデータを生成しています。

中川
会話でいうと、キーワードと量ではなく文章のパラグラフ構成に着目されているということですね。言語解析では単語ベースの情報に焦点を当てた技術が多く取り上げられているように感じますが、それらとの違いは何でしょうか?
河野さん
一番の強みは、固有名詞に左右されず会話の構成を判別できることです。ビットの積み重ねの考え方ではないので、こまかい部分を曖昧にしたまま会話全体の動向を読むことができます。
中川
あいまいな会話を理解できるなんて、人みたいですね…!
河野さん
会話情報の関係性を明らかにするだけでなく、会話内容への理由付けや本来話題にするべき情報の補足提案までできますよ!

↓図にするとこんなイメージ

 

固有名詞に左右されずに意味のまとまりを作りし、それぞれの関係構成を表現。
さらに補足情報まで提示できるという…まるで現代文の先生です。
人間の”知恵”や”知識”のパターン化を目的としたモデリング作成をされているアップ・サイター、その汎用性の高さに驚かされました。

 

情報工場で人間が生産 5,000本以上のコミュニケーションデータ

中川
しかし、これほどのデータベースはどうやって作っているのでしょう?
河野さん
人間です。
中川
え、手作業ですか?
河野さん
はい。様々なシーンごとの文章やスピーチ、文献、ブログ…そういった複数言語のデータを人が仕分けします。

価値あるデータは、クリーンであるべきと考えます。
ノイズデータを作らないためには、まだまだ人のちからが必要です。

 

ルールに基づいて人が手作業でデータを作る、その先にアルゴリズムのフェーズに至る、と河野さん。
現時点で5,000本以上のシーン毎コミュニケーションデータを分析、データベース化されているのだとか。

 

中川
人力だとは驚きました。具体的には、どのような作業を進めているのですか?
河野さん
個人の判断が影響しないように、分業しています。”話題が変わった”を判断して会話を分割するだけの人、段落ごとの意味付けをするだけの人、となりの段落とどういう関係なのかカテゴライズする人…というように、細かく役割を分けています。
中川
ひええ。工場生産方式ですね。しかし、それぞれのスキル差はやはりあるのでは?
河野さん
そこは最小限抑えられるように工夫しています。

工場生産方式も、工程の単純化によるミスの削減という意図を含みます。

着任前には適正検査を行って適切なパートに作業者を配属したり、それぞれの役割ごとのマニュアルやドリルによる学習を実施しています。

 

↓作業レクチャーの様子。
テキストを開きながら、みなさんタブレット端末でもくもくと作業をこなされています。

 

中川
教育体制もばっちりなのですね。このような手作業によるデータ生成においては、AIは活用されていないのでしょうか?
河野さん
人間が”分ける”。この作業を学習データにして、AIも活用しています。どんなときに作業者が迷ったか、などの人の判断データを蓄積し、人間の意思決定データを集めているのです。

これでデータを作り続けているところに、我々のアドバンテージがあると考えています。

 

多くの企業では、大学生のバイトに辞書作らせてはいおしまい…という展開が多いのではないでしょうか。
このような場合、分野ごとに辞書の作り直しが発生し、かつ汎用性も低くなってしまいがちです。
コグニティでは、役割を細かく分業してマニュアル化・ドリル作成等の教育体制を整えることで、汎用性が高く安定したデータ作成を実現されていました。

 

河野さん
データを貯めること、辞書を作ることが重視されていなかったころは、私達のこの取り組みはなかなか理解してもらえませんでした。

『AIじゃないじゃん』と言われることもありました。最近、やっと認められてきたと思っています。

アナログなデータをどうクリーンなデータにするか、アルゴリズムに当てられるように加工するか。
多くの人が置き去りにしてきた課題と、数年にわたり粘り強く向き合ってきたコグニティ。
どうやら、最初からアップ・サイターのような「コミュニケーションを見える化するサービス」を作ろうとしていたわけではないようです。
アップ・サイター誕生に至るまでのお話を、河野さんに伺いました。

 

オートファシリテーションサービスの挫折から渡米経験 アップ・サイターが誕生するまで

河野さん
当初はオートファシリテーションできるAIを作りたかったのです。会議での会話の偏り、抜け漏れなどのアラートをしてくれるような。
中川
会議ってファシリテーションが回っていないととても非効率的ですよね、需要がありそうですが…なぜ辞めてしまったのでしょうか?
河野さん
ファシリテーションサービスの一番の壁は、会議というシーンが『ひとりではない』ことでした。

システム導入のハードルが高すぎて、売れなかったんです。

中川
たしかに…人が多く関わるほど、フローを変更することは難しくなりますね
河野さん
そこで個人にターゲットを変更して、セルフブレインストーミングを支援するAIを考えました。

ですが、これは日本でまったく売れなかったんです。

商品が売れない頃は、社員の心も離れがちに。社内メンバーからはその頃のことを、『暗黒期』と例えられています。笑

中川
その『暗黒期』の最中も、データ生成を取り組み続けていたのですか?
河野さん
はい、ここには絶対に価値があると信じていました。コグニティのテーマは”思考バイアス”を取り除くことです。

検索エンジンは膨大な情報をランキング形式で我々に提供してくれますが、それだけでは納得できる意思決定ができないはず。

情報の偏りを解決する、これが次の時代で勝てる要素になるはずだと思いました。

 

そこで、コミュニケーションのデータをため続ければコミュニケーションの傾向がわかる・そこから作れるソフトウェアがあるはず…とずっと信じて取り組み続けたとのこと。
契機を求めて、一昨年はアメリカのアクセラレーターに飛び込んだのだそうです。

 

河野さん
アメリカのアクセラレーターでは、顧客ニーズに合った商品の作り方やヒアリングの仕方を叩き込まれました。

やりたいことよりも”求めてくれるサービスをやるのが一番だ”と考えられるようになり、やっと営業トークの需要が見えたんです。

 

そうして、アップ・サイターが商品化されました。
現在は製薬メーカーや省庁などとの契約が主立っており、コンサルへのOEM提供等もされているのだそうです。
資金調達が進み、拡大時期を迎えたコグニティの目標は『2021年上場』。
今年は特に海外展開を見据えているのだとか。
オフィスは人がまばらで、在宅勤務の働き方が浸透しているようでした。

取材の際にお話を伺った人事の方も普段は海外で、今回たまたま一時帰国されていたとのこと!
信念を持って突き進む河野さんやコグニティのみなさんと一緒に働きたい方は、こちらの求人をぜひチェックしてみてくださいね。

 

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