HOME/ AINOW編集部 /正確な予測で無駄を削減!AI予測の活用事例まとめ
2019.10.08

正確な予測で無駄を削減!AI予測の活用事例まとめ

最終更新日:

AIによって未来を予測する技術は、ここ数年で急激に普及しました。あらゆる業界やジャンルにAI予測の技術が広がり、私たちの身の回りのサービスの中にもAI予測を活用したものはたくさんあります。

AI予測によってコストや手間を最適化することで、私たちの社会はより効率的に、より便利になっています。この記事では、AI予測の技術やその活用事例について詳しく解説していきます。

 AI予測とは

AI予測とは、アルゴリズムによって特定の結果がどれほどの確率で発生するか、あるいはどのような値となって発生するのかを分析することです。

従来の統計的手法に比べて、AIによる予測は極めて高い精度を実現しつつあり、未来予測のように扱われることがあります。

AI予測の仕組み

AI予測とは、アルゴリズムによって特定の結果がどれほどの確率で発生するか、あるいはどのような値となって発生するのかを分析することです。従来の統計的手法に比べて、AIによる予測は極めて高い精度を実現しつつあります。

そのため、AI予測はまるで未来予測のように扱われることがあります。なぜそこまで高い精度を保つことができるのか、その答えはビッグデータの存在です。

AI予測にはビッグデータが重要

ビッグデータとは、従来のデータ管理システムでは扱うことが困難なほど、複雑で巨大なデータの集まりのことです。現在では社会全体にインターネットのインフラが整備され、誰もが自由にネット空間にアクセスすることができます。そのため、日々膨大な情報がネット上に増えていくのです。

総務省の調査によると、2020年上半期の固定ブロードバンド系サービス(光回線など)の契約者の総ダウンロードトラヒックは一日あたり約205PB2GB)、総アップロードトラヒックは一日あたり約25PBとされています。もはや想像すらできない量の情報が日々ネット上でやりとりされていることがわかります。

▼ビッグデータについて詳しくはこちら

こうしたビッグデータは、AI技術、その中でも特にディープラーニングの登場によって活用されるようになり、規模・精度・品質といったあらゆる観点で従来の予測技術を大きく上回るAI予測を実現しています。

需要予測や売上予測はニーズが大きい

こうしたAIによる予測技術は、特に需要予測や売上予測の分野で注目されています。なぜなら、需要予測や売上予測はあらゆるサービスに応用可能であり、また従来は個人の勘や経験に頼りながら「根拠」を欠いた状態で行われていたからです。

AI予測のメリット

AI予測のメリットには以下のようなものがあります。

これから詳しく解説していきます。

無駄を削減できる

AI予測を導入すれば、さまざまな無駄を削減できるようになります。例えば需要予測では、予測された売上に対して適切な仕入れをできるようになり、倉庫などで余計な在庫を抱えることが無くなります。

また、AIの予測は飲食業において、食品ロスの削減に活用可能です。食品ロスを削減できると無駄なコストが減るため、飲食店は収益を最適化できます。また、資源や環境に配慮したサービス運営にも繋がるでしょう。

データに基づいた決定が下せる

AIによる予測は適切なアルゴリズムに沿って行われるのでヒューマンエラーが介在しません。

AIが集めた気象情報やビッグデータなどに沿って予測をし、データに基づいた意思決定ができます。

業務を効率化できる

AIによる予測に基づいて業務を進めることができれば、業務はより効率的に行えます。

さらに、これまで予測に携わっていた従業員の仕事が軽減されて他の業務に時間を割けるようになります。

また、従来は経験者の勘などに依存していた予測がAIによって行われることで、予測の技術もスムーズかつ正確に継承できます。

AI予測のデメリット

AI予測のデメリットには以下のようなものがあります。

  • データの用意が困難
  • 導入の際に手間がかかる

これから詳しく解説していきます。

データの用意が困難

AIが予測をするためには大量のデータが必要になります。そのデータをAIが学習することでAIが正確な予測ができるようになります。

正確な予測をするためには、量だけでなく質も良いデータを用意することが重要になります。

そのようなデータを用意するためには多くの時間と費用がかかります。このことがAI予測の大きな課題となっています。

導入の際に手間がかかる

AI予測を導入する際には現状のデータフォーマットの変更などの手間がかかります。

まず、AIが学習しやすいようにこれまでのデータを編集する必要があります。

さらにこれから使用するデータフォーマットもAIと連携させなければいけません。

AI予測の活用事例10選!分野ごとに分けて解説

それではAI予測を活用した事例を10個紹介します。

  1. コロナウイルスの分野
  2. 需要予測の分野
  3. 金融の分野
  4. 医療の分野
  5. 行政の分野

以上の5つの分野に分けて紹介していきます。

1.コロナウイルスの分野

感染者数の予測

Googleが2020年11月に公開した「COVID-19感染予測」は、日本における新型コロナウィルス感染症の陽性者数や死亡者数を予測するサービスです。

このコロナウイルスの感染者数の予測を基に、行政が市民へ呼びかけて感染者数の減少に努めています。

Googleは、日々更新される新型コロナウィルス感染症の陽性者数や死亡者数のデータをAIに学習させることで、将来28日間における感染状況の予測を行っています。予測は都道府県ごとにも行われており、そのデータセットも公開されています。

患者の容態を予測

新型コロナウイルスは重症化すると酸素投与や人工呼吸器の取り付けなどの処置が必要になります。

軽症から急激に重症化した場合、処置が間に合わずに死に至ってしまうケースも散見されています。

その対策としてFacebookは2021年1月に、新型コロナウィルス感染症の患者への治療に活用できるAIモデルを開発したと発表しました。

新型コロナウィルス感染症に罹患した患者の胸部X線写真をAIモデルが分析することで、容体が悪化するかどうかの予測を支援します。

また、鍾南山院士のチームとテンセントAI Labは2020年7月に、新型コロナウイルス患者が重篤化する確率を予測するAIを発表しました。

入院している患者の生体情報を基にAIが患者の容体を予測します。

2.需要予測の分野

小売業での需要予測

株式会社あきんどが運営している回転ずしチェーン店「スシロー」では、過去4週間の客数やネタごとの注文量などのデータをAIが分析して、レーンに「どのネタを」「いつ」「どのくらい流すのか」を調整しています。

例えば都心の店舗では会社員にマグロが好まれていて、郊外の店舗ではファミリー層に巻物が好まれているなど、店舗ごとの傾向を掴んで需要と供給を最適化しています。これによって食品廃棄量は限りなく低く抑えられています。

▼スシローのAI活用について詳しくはこちら

医薬品の需要予測

アサイクル株式会社の開発している「ASKAN」というシステムは、AIによって医薬品の需要予測を行っています。ASKANは、薬局や病院ごとの過去の患者のデータや季節・地域性といった様々なデータを勘案して、適切な医薬品の発注量を算出します。

このシステムを利用した場合、1日の発注時間は10分に短縮され、人件費も95%カットできます。一方で欠品回数は非常に少なく1日につき0.5件ほどしか欠品は起こりません。

薬局や病院では、医薬品の在庫管理や発注業務が大きな負担になっていることが指摘されています。ASKANのような医薬品の需要予測AIの普及によって、流通コストの削減や、業務の簡略化、医薬品の欠品を大幅に改善することが期待されています。

3.金融の分野

 株価予測

AIを利用した株価の予測も近年は盛んに行われています。

例えば、マネックス証券は、株価を予測する「AI銘柄ナビ」というサービスを提供しています。

AIが過去の株価などのデータから、1か月後の株価が上昇するか下落するかを銘柄ごとに予測します。

AIによる株価の予測を利用することで初心者であっても投資に関わりやすくなります。また、ユーザーにあった投資プランを提案してくれるなどの利点もあります。

▼AIの株価予測について詳しくはこちら

AIによる信用調査

近年、「クレジット・スコアリング・モデル」に機械学習アルゴリズムを採用することが広まりつつあります。クレジット・スコアリング・モデルとは、個人や企業の情報から信用リスクをスコア化する仕組みのことで、銀行の貸付審査などで利用されています。

クレジット・スコアリング・モデルを活用することで、融資申し込みの手順の簡略化や不正のリスクの低減が可能です。また、ニュースやSNSの情報をAIが解析することで、取引先のリスク要因に与える影響調査を自動化することもできます。

4.医療の分野

生活習慣病のリスク予測

 

東芝は、AI予測で将来の健康状態を可視化し、生活習慣の改善を手助けする「疾病リスク予測AIサービス」を開発しました。

疾病リスク予測AIサービスでは、1年分の健康診断データをもとに6年先までの6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)のリスクを予測できます。

予測結果は数値で具体的に表されるため、ユーザーの生活習慣改善に向けた行動変容につながります。さらに、AIによって抽出された改善候補の生活習慣を、健康指導医によって実際の保健指導に生かすことも可能です。

 心疾患の再発リスクの予測

心疾患は慢性化しやすい疾患です。アメリカ・マサチューセッツ州の医療団体・Partners HealthCareによると、退院した心疾患患者の再入院リスクを予測するAIを活用すると、従来の2倍以上、再入院を防げます。

12000人ほどの電子カルテのデータや医療ガイドラインをAIが学習することで、30日後の再入院のリスクを予測します。

その予測に応じて適切な改善プログラムを実施することで再入院を減らせます。

5.行政の分野

自然災害の予測

 

令和2年7月豪雨では、SNSをAIが解析することで浸水想定図を作成し、災害対策に活用したことが話題となりました。

国土地理院が活用したAIリアルタイム危機管理情報サービス『Spectee Pro(株式会社Specte)』は、TwitterやFacebookの投稿をもとに緊急情報や被害情報をリアルタイムで把握し、災害の対応に繋げるサービスです。Spectee Proは、AIが情報の重要度やデマを判別することで、正確な情報を迅速に共有できるようになっています。

世論の予測

TwitterやFacebookといったソーシャルメディアに存在する書き込みをAIが解析することで、世論や選挙の結果を把握しようという試みがあります。

カナダのAdvanced Symbolics Inc.が開発したAI「Polly Pollster」は、2020年の大統領選でバイデン氏の勝利を98%と予測しました。また、BPU Holdingsが開発している分析ツール「ZimGo Polling」は、SNSを分析することで選挙の際の世間の感情をAIが予測するといい、「従来の世論調査の精度を大きく超えるだろう」という報道もあります。

まとめ

今回は、AI予測について事例を中心に紹介しました。いかがだったでしょうか?

AI予測をビジネスやサービスなどに活用することは、収益を向上させること以上に多くのメリットをもたらします。特にAI予測によって感染症や重大な疾患を予測する技術は、今回の新型コロナウィルスの感染拡大の影響でさらに注目を集めていくでしょう。

無料メールマガジン登録

週1回、注目のAIニュースやイベント情報を
編集部がピックアップしてお届けしています。

こちらの規約にご同意のうえチェックしてください。

規約に同意する

あなたにおすすめの記事

生成AIで“ウラから”イノベーションを|学生起業家が描く、AIを活用した未来

特許技術×AIでFAQを次のステージへ|Helpfeel

GPUの革新からAI時代の主役へ|NVIDIA

あなたにおすすめの記事

生成AIで“ウラから”イノベーションを|学生起業家が描く、AIを活用した未来

特許技術×AIでFAQを次のステージへ|Helpfeel

GPUの革新からAI時代の主役へ|NVIDIA