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2021.11.18

DX成功事例15選|日本と海外の事例からみた3つの成功ポイントを解説!

最終更新日:

近年は、コロナウイルス感染拡大や少子高齢化による人手不足の影響で、世界中の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進させる取り組みに注力しています。

一方、日本では経済産業省の「DXレポート」がきっかけとなり、企業へのDX推進に対する重要性が警鐘されました。マクロ視点から見ると、「日本企業はデジタル競争の敗者となってしまうのではないか」という危機感を感じますね。

これからの日本企業はDX推進をはじめとして、さまざまなデジタル化の課題に取り組なければなりません。

とはいえ、「どのようにDX推進していけばよいのかわからない」といった方も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事では実際に「DX推進の成功事例」を日本と海外に分けて紹介していきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

スウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が、2004年に提唱したDX(デジタルトランスフォーメーション)の概念は以下のとおりです。

人間の生活に何らかの影響を与え、進化し続けるテクノロジーであり、その結果、人々の生活が良い方向に変化する

日本経済産業省は、2018年に発行した「DX推進ガイドライン」にて以下の定義をまとめています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

エリック氏による定義は、私たちの生活全般に及ぶ広義なものです。一方で、経済産業省による定義はビジネス視点に限定したものになっています。

現在話題になっているDXの多くは、経済産業省が定義するようなビジネス視点のDXが主です。

企業は、いち早く外部環境・内部環境の変化を捉え、デジタルの力を使って経営戦略に導くことによって、新しい価値を創出することが重要になっています。

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

DXを成功させる3つのポイント

DXを成功させる3つのポイントは以下の3つです。

  1. 社内の意識改革
  2. DXは小さく始める
  3. 円滑な情報共有

それぞれ解説していきます。

1. 社内の意識改革

新型コロナウイルスの影響もあり、DX(デジタル トランスフォーメーション)の必要性について理解している経営者も多いはずです。

しかし、DX推進について経営側に課題感がない場合もあります。その場合は、ボトムアップでDXを推進しましょう。ボトムアップでは、各現場からの改善要望を元に提案してくことになります。

現場の状況を把握し、ビジョンを共有することが重要になるため、部門をまたいで組織横断チームを編成すると良いでしょう。

組織を横断したチームを作ることで、規模の大きいプロジェクトでも進捗が鈍化しにくくなります。

▶組織にてDXを推進する6ステップを紹介|失敗・成功事例など解説!>>

2. DXは小さく始める

多くの場合、DXを始めようとして最初にぶつかる障害は「社員全体の理解不足」でしょう。新しいことを始めようとすると、「DXってなに?」「DX推進してどうなるの」という否定的な意見を受けます。

周囲の人と熱量に差があることは仕方のないことですが、自分がどれだけ熱量をもっていても、周囲の理解がなければ組織単位での推進は不可能です。

そのため、「なぜDXを推進するのか」「DXを推進するとどうなるのか」などの共通認識を作って、組織全体で一つの目標に向かうことが大切になります。

その第1段階として、まずは自分に近い同僚などから小さくDXを進めていきましょう。自分→周囲→組織といったように段階を追って進めていくことがおすすめです。

▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら>>

3. 円滑な情報共有

DXは組織が一体となって推進していく必要があります。そのためには「必要な情報をすぐに入手できる」ように、環境を整備しましょう。

具体的な整備方法としては、「情報共有ツール」の利用がおすすめです。ツールを使用することで、業務の効率化やコミュニケーションコストの削減、ナレッジやノウハウの共有などのメリットが得られるでしょう。

また、ITの知識がなくても、ツールを簡単に使いこなすことができれば、DXの推進に大きく近づきます。

▶DXの失敗パターンから学ぶ!DXを成功させるポイント3つを紹介!>>

【日本】DX施策の成功事例10選

多くの日本企業がDX推進に取り組んでいるなか、ビジネス変革のプロセスを適切に進められている企業はごく僅かです。

ここからは、DX推進で一定の成果を得た事例を紹介していきます。今回紹介する日本のDX成功事例は以下の10事例です。

  1. 【日本郵便】ドローンでの荷物輸送
  2. 【NEC】待ち時間予測システムの提供
  3. 【メルカリ】個人間での売買システム
  4. 【ソフトバンク】コールセンターの業務効率化
  5. 【三井住友銀行】顧客の声を自動分析
  6. 【JTB】外国人向けのアプリ開発
  7. 【ファミリーマート】無人決済システムの実用化
  8. 【大塚製薬】カルテ管理のデータベース化
  9. 【RIZAP】データ分析による最短での上達
  10. 【鹿児島銀行】キャッシュレス決済の導入

それぞれ解説していきます。

①【日本郵便】ドローンでの荷物輸送

日本郵便は、輸送にコストがかかる地域を優先的にドローンを用いた荷物輸送を開始しました。

その背景には、「ネット通販の拡大による物流量の増加を受け、従来の輸送方法で発生している人手不足問題を解決したい」という運送業界の課題がありました。

DX推進の成果


▼配達員の負担軽減

ドローンに搭載されている自立飛行機能は、陸路の配送や倉庫への帰化などを自動化できるため配達員の負担軽減に繋がります。

日本郵便は、山間部や離島など、輸送にコストと手間のかかる場所から優先的な導入を進めていく方針を示しています。

また、現状では法律の規制などにより完全自動配送が行える場所は限られていますが、法改定が行われると物流業界の人手不足も改善される見込みです。

▼配達時間の短縮

山、海、川、湖など陸路では輸送が難しい地域でも、ドローンを活用して空路で輸送すれば直線距離で移動できるため迅速な配送が可能になります。

2020年3月に実施した配送試行では、陸路で20分近くかかってたところをドローンでの配送の場合は10分程度で完了したという結果が出ています。

②【NEC】待ち時間予測システムの提供

NECは、羽田空港国際線旅客ターミナルに保安検査場を分析・可視化する「待ち時間予測システム」を提供しました(同システムは、2019年10月に本格稼働を開始)。

監視カメラなどの映像から、混雑状況を検知する「群衆行動解析技術」や人の動きを捉える3Dステレオ視覚センサーを活用してます。

DX推進の成果


▼業務の自動化、省力化による革新的な生産性の向上

上記のシステムを導入したことで旅客の利便性向上だけでなく、結果として2ヶ所ある検査場の利用率の平準化や、航空機運行の定時性向上にも繋がりました。

将来的には、同システムにおける人工知能の予測精度を向上させ、数時間後の待ち時間といった情報提供を目指しています。

③【メルカリ】個人間での売買システム

メルカリは個人間での売買システムを可能としたサービスです。個人で不要になったものを販売し、必要とする人が商品を購入する仕組みはオンライン上にフリーマーケットを構築しました。

また、2019年からはメルペイというスマホ決済サービスも開始させるなど、サービスの枠を拡大しています。

DX推進の成果


▼個人間取引のハードル低下

従来のネットオークションでは、PCから取引をすることが一般的でしたが、スマホで完結する売買システムが導入されたことで個人間の取引のハードルが低くなりました。

また、インターネット上だけでの取引で完結する上に「場所にとらわれず利用できる」「支払いや発送、受け取り」など、利便性が高いことも普及した要因に挙げらます。

④【ソフトバンク】コールセンターの業務効率化

ソフトバンクは、コールセンターの携帯を落としたときに届く「落とし物通知依頼書」の処理をDXすることで業務効率化を実現しました。

書類の大量読み取りや確認業務の簡易化、文字認識精度の高さなどが重宝され、今では転記業務に欠かせないシステムになりました。

DX推進の成果


▼人員削減

以前は、1日200件ほど届く依頼書を10人体制で当日中に入力完了させることを目標にしていたが、DX推進後は1人で作業を完結させることを実現しました。

また、人が作業しなくなったことでミスの減少、身体的疲労や精神的疲労の軽減による他業務への注力、など導入した効果は随所で見られます。

⑤【三井住友銀行】顧客の声を自動分析

三井住友銀行は、NECが提供したビッグデータ分析技術を活用して「お客様の声」を自動分析できるシステムを導入しました。また、グループ化された内容の集計や時系列変化の把握も可能になりました。

DX推進の成果


▼顧客向けサービスの品質改善

従来は、人が行っていた内容の要約や見出し作成などの分類を自動で行うことが可能になりました。

そのため、顧客対応の迅速化やお客様の声の変化を反映した新サービスの創出など、さまざまな用途で成果が確認されています。

⑥【JTB】外国人向けのアプリ開発

JTBは、ナビタイムジャパンと日本マイクロソフトとの協同で外国人向けアプリ(JAPAN Trip Navigator)を開発、2018年2月から提供を開始しました。

JAPAN Trip Navigatorは、100通り以上のモデルプランからスポット数、所要時間、観光スポットの効率的な巡り方といった情報を提供してくれるサービスです。

DX推進の成果


▼インバウンド戦略

アプリから得られる訪日外国旅行者の行動データや嗜好データを分析することで、インバウンド戦略に取り組む企業をサポートに注力できるようになりました。

また、画像認識機能では、SNS上にアップロードされた画像の情報を取り込むことも可能になっており、ユーザーの旅行に欠かせないアプリとして重宝されています。

⑦【ファミリーマート】無人決済システムの実用化

ファミリーマートは、2021年の3月末から無人決済システムを実用化した店舗をオープンしました。

通常のセルフレジは利用客自身がバーコードを読み取って商品登録を行うのに対し、この無人決済システムは入店から商品のピックアップまでを天井のカメラと棚のセンサーにより自動で行います。

DX推進の成果


▼万引きの抑制

過去にオープンした無人店舗の実績では、通常の店舗と比較して万引きや未成年飲酒などの発生率が低い傾向が見られます。センサーカメラの大量設置が、抑止力の大きな要因の一つになったようです。

▼人件費削減

無人決済システムの導入により、従来では最低2名を必要としていたところを、最低1名での営業が可能になりました。それにより、コストの中でも大きな「人件費」を削減することに成功しています。

⑧【大塚製薬】カルテ管理のデータベース化

大塚製薬は、日本IBMと合弁会社「大塚デジタルヘルス」を設立し、データ分析のソリューション「MENTAT」の販売を進めています。

※「MENTAT」は精神科をターゲットに、IBMの人工知能Watsonの技術を取り入れている電子分析ソリューションのこと

DX推進の成果


▼患者に適した治療計画

「MENTAT」を導入することで、大量のテキスト情報を言語処理でき、医療関係者が患者の症状を抽出することが可能になりました。

具体的には、電子カルテのデータを言語解析することで、症状の変化パターンや入退院を繰り返す患者の傾向を定量的に把握するなど、医療方針の立案や病院の経営などに役立てられています。

⑨【RIZAP】データ分析による最短での上達

「結果にコミットする」で一躍有名になったRIZAPは、ゴルフのトレーニングにテクノロジーを導入した事業を展開しました。

具体的には、ゴルフクラブに指して使う軽量の小型センサーで、顧客のスイングの加速度、角速度といったデータを収集しています。

DX推進の成果


▼改善部分の可視化

顧客の目標に応じて、改善部分を可視化できるため、最善のレッスンプランを提供できるようになりました。

また、スイングデータやスコアなど膨大な情報を、ビッグデータとして蓄積することで、顧客の最短最速での上達にコミットしています。

⑩【鹿児島銀行】キャッシュレス決済の導入

キャッシュレス決済の普及を活用して地域振興を目指す鹿児島銀行は、完全キャッシュレス商業施設「よかど鹿児島」をオープンさせました。

キャッシュレス決済が浸透していない地方都市に最新テクノロジーを駆使した商業施設が登場したことで注目を集めています。

また、施設のオープンに合わせて独自のキャッシュレス決済アプリ「Payどん」も開発し、着実に地域商流のDXが進められています。

DX推進の成果


▼高齢者層のキャッシュレス

Payどんは、今までキャッシュレス決済を利用したことがない高齢者層の方が、キャッシュレスの利便性を実感するきっかけをつくりました。

施設内での「Payどん」利用率は25%を占めており、他社の決済アプリと比べて、導入の敷居を低くできたのが普及の要因として考えられます。

【海外】DX施策の成功事例5選

近年では、世界中の企業がDX推進による、新たなビジネスモデルやサービスを開発しています。「Netflix」や「Microsoft」などのサービスは数年前の常識を覆したサービスですが、今や多くの人が当たり前に使っている時代になりました。

ここでは、上記で挙げたような海外のDX施策を取り上げていきます。今回紹介する海外のDX施策成功事例は以下の5つです。

  1. 【Netflix】革命的なビデオ配信サービス
  2. 【Spotify】ストリームングシステムの定着
  3. 【Microsoft】クラウドネットワークスへの移行
  4. 【Airbnb】民泊を仲介するプラットフォーム
  5. 【Uber】タクシー配車アプリ

それぞれ解説していきます。

①【Netflix】革命的なビデオ配信サービス

今や世界中で約2億人の登録者数を誇るビデオ配信サービスのNetflix。従来成功したDVD配送型のビジネスモデルを放棄して、ビデオ配信という新たなビジネスモデルを採用しました。

DX推進の成果


▼サブスクリプションの確立

Netflixは、顧客維持率の向上や顧客ライフタイムバリューの安定を目的として、サブスクリプションを展開しました。

レンタル事業に欠かせない延滞料金という旨味を捨て、購入するより安いというレンタルビデオ本来の価値提供をすることで、ユーザーの満足度と継続率の獲得に成功しました。

②【Spotify】ストリームングシステムの定着

スウェーデン発のSpotifyは、楽曲数は4000万曲以上、会員数は1億アカウント以上を誇る世界最大級の音楽配信サービスです。スマホ1つで、何万曲もの音楽を簡単に聞くことができる仕組みは、音楽業界の当たり前を変えました。

ユーザーの視聴履歴データを活用することで、好みに合わせたおすすめの曲を表示して、新しい音楽に合うきっかけも提供しています。

DX推進の成果


▼新たな音楽の楽しみ方を創出

以前は、CDの購入やレンタルによって音楽をダウンロードをすることが当たり前でした。そこに、Spotifyが月額定額制の音楽サービスとして参入したことで、音楽の聞き方に大きな改革を起こしました。

また、お気に入りの曲やプレイリストを家族や友人にシェアできることから、音楽を「所有するもの」から「共有するもの」という価値観の変化に貢献しました。

③【Microsoft】クラウドネットワークスへの移行

 

OSの中でも利用者が最も多いWindowsやOfficeシリーズで知られるMicrosoftは、主力サービスをクラウドネットワークサービスに移行するという戦略の変更を行いました。

DX推進の成果


▼利便性の向上

着手前は、PC以外にもタブレットを選択する人、Officeと同様に使えるサービスの登場などにより競合他社との競争が激化していました。

そこでMicrosoftは、それまで売り切りで販売していたOffice365をクラウドサービスとして提供することで、利便性を飛躍的に向上させました。

また、月額で販売することにより、買い切りだと購入しづらかった層にもアピールできるようになりました。

④【Airbnb】民泊を仲介するプラットフォーム

Airbnb(エアビーアンドビー)は、「自宅の空き部屋を活用し、宿泊サービスを提供する」インターネット上にあるプラットフォームです。Airbnbは、世界192カ国以上、3万都市以上で民泊を提供しています。

従来は、電話での宿泊施設予約が主流とされましたが、Airbnbではプラットフォーム上のやり取りで予約を完結させるためにデジタル技術が導入されています。

DX推進の成果


▼潜在ニーズを満たすシステム

「自分の部屋を貸し出してお金を稼ぐ方法があればいいのに」というホスト側の潜在ニーズと、「安く旅する方法をオンラインで探す人が増える」というゲスト側の洗剤ニースがありました。

このように、Airbnbは時代が必要としている「市場の大きな波」をビジネスとして構築したのです。

⑤【Uber】タクシー配車アプリ

日本ではUberといえば「Uber eats」のイメージが浸透していますが、Uberの事業の根幹となっているのは自動車配車サービスです。

一般的なタクシーの配車サービスとは異なり、Uberで廃車されるのはタクシーではなくUberに登録している個人の自動車という点です。

DX推進の成果


▼サービスの品質安定

Uberは利用者がドライバーの評価をするシステムなので、運転マナーなどが悪いドライバーは排除できる仕組みになっています。また、ドライバー側も利用者を評価できるため、利用者側も節度のある態度になりサービスの品質が一定に保たれます。

また、料金はUberアプリを通じて決済されるため、ぼったくりなどの金銭トラブルも起きにくい仕組みになっています。

▶DXの成功事例はこちらの記事で30個まとめて詳しく解説しています>>

 まとめ

ここまで、DX推進の成功事例を紹介してきましたが、それらはDX化を行う際の重要な検討材料となるでしょう。

しかし、成功事例の裏側には数多くの失敗事例が潜んでいます。成功事例と同じ施策を自社に導入しても成功する保証はありません。

成功事例に頼りすぎず、「DX推進の参考にする」くらいに考えると有効です。

▶DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントはこちらで詳しく解説しています>>

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