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中小企業でDXに取り組む際には、どのような注意が必要なのでしょうか。
また、中小企業におけるDX取り組みのメリットはどのようなものでしょうか。今回は、実際にDXに取り組んだ中小企業の事例もご紹介します。中小企業のDX成功事例を参考に、ぜひDXに取り組んでみてください。
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目次
中小企業がDXに取り組むべき理由
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、データやテクノロジーを活用して企業をより良くすることを指します。簡単に言うと、DXに取り組むことで業務を削減できたり、人件費などのコストを削減できたりするのです。
よって、DXに取り組むことで労働環境を整備できます。そして、業務の効率化を実現できれば、企業全体の利益も上がるでしょう。これらの理由から、DXに取り組む企業が増えています。
▶︎《初心者必読》DXの目的についてこちらの記事で解説しています>>
中小企業がDXに取り組む4つのメリット
それでは、中小企業がDXに取り組むことでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、4つのメリットをご紹介します。
それぞれ解説します。
①業務の効率化
まず、DXに取り組むことで業務を効率化できます。テクノロジーの活用により、人間の手によって行う業務を削減できます。その分の人材やコストを他の業務に充てれば、業務を効率よく行えます。
②テレワーク促進による働きやすさの向上
今までやり取りしていた書類などをデジタル化することで、PC1台で業務をできます。よって、出社の回数を減らしたり勤務時間帯を自由に選べるようになったり、働きやすさが向上するのです。
働きやすさを向上させれば、従業員の満足度も向上するでしょう。DXに取り組むことで、より良い勤務体制を構築できます。
③人材不足の解消
DXに取り組み、テレワークを推進することで全国各地から人材を募集できます。今まで勤務地の都合上確保できなかった人材を確保できるため、人材不足解消につながります。
DXに取り組むことで、企業の成長にもつながるのではないでしょうか。
④顧客満足度の向上
DXの取り組みにより、より詳しい顧客データを大量に収集できます。収集したデータを基にマーケティング戦略を練ることで、顧客に必要とされている製品の開発が可能です。
顧客がまさに求めているような製品を打ち出せれば、顧客一人ひとりの満足度が向上します。データをうまく活用することで、より多くの顧客を引き付ける機会が生まれるでしょう。
▶︎DX推進の3つのメリットについてこちらの記事で解説しています>>
中小企業におけるDX取り組み方法
それでは、どのようにDXに取り組むべきか4つのステップをご紹介します。
①DX取り組みにおける目標設定
まず、「なぜDXに取り組むのか」という点を整理する必要があります。ただDXに取り組むのではなく、目的を明確にしたうえで計画的に取り組みましょう。
②現状の可視化
目標を明確にしたら、現時点での企業の状態を把握しましょう。既存のシステムを見直し、改善すべき点を明確する必要があります。現状と目標を明確にすることで、優先して取り組むべき事項が見えてくるでしょう。
③業務のデジタル化
現時点でアナログで行われている業務をデジタル化しましょう。デジタル化を推進することで、一つひとつの業務に割く時間を削減できます。また、紙媒体の使用を減らせば、コストを削減できます。
④取り組みの評価・見直し
DXに取り組み始めたら、定期的に取り組みを評価しましょう。より良いDX運用のためには、現状の把握と適切な改善が不可欠です。
▶DXの取り組みステップについてはこちらの記事でも解説しています>>
中小企業におけるDX取り組み成功事例3選
それでは、DXに取り組み成功した中小企業の事例をご紹介します。今回紹介する事例は以下の3つです。
①株式会社ヒサノ
株式会社ヒサノは、「働くことを幸せにつなげる」をモットーにDXに取り組んでいます。具体的には、デジタル技術を活用して「人、車、倉庫、データ」を駆使し、より良い物流を実現しています。
また、「業務のデジタル化によって得られるデータを分析することにより、協力会社との連携や社内業務プロセスの改善、ドライバーの能力向上、社員の働き方改革を推進」しています。
株式会社ヒサノが重点を置いて取り組んでいる事項と、3年後の目標値は以下の通りです。具体的な目標を決めたうえで取り組むことこそが、DX成功のカギと言えるでしょう。
②株式会社スマートキャンプ
株式会社スマートキャンプは、一人ひとりの生産力を向上させるための取り組みを行っています。特に、「DXに取り組むためのIT人材がいない」と訴える中小企業を支えるサービスを複数提供しています。
具体的には、勤怠管理システムやチャットボット、経費精算システムなどを提供しています。中小企業の目線で考案されたシステムも多く、定期的にDXに関するセミナーも実施しています。
③株式会社TATAMISER
株式会社TATAMISERは、多くの畳販売業者が苦戦を強いられる中、海外での売上を大幅に伸ばしています。株式会社TATAMISERでは、顧客からの注文をより効率的に処理するためのアプリ開発に取り組んでいます。
アプリ上では、畳を敷く部屋の面積を入力することで畳のサイズを計算でき、レイアウトや見積書作成における対応時間を削減できます。また、翻訳会社に委託したテンプレートをもとに、お客様に送信するメールの内容を自動的に英語に変換できるシステムも備えています。
このようにアプリを開発し、より良く改変したことで効率よく業務を遂行できています。
参考:Claris「伝統産業でもDX〜日本の畳文化を海外へ」
▶︎DXの成功事例はこちらの記事で30個まとめて詳しく解説しています>>
中小企業が直面しがちな課題4選
中小企業がDXに取り組む際、どのような課題に直面する可能性があるのでしょうか。ここでは以下の4つの課題について解説します。
①予算の問題
まず考えられるのが、予算の問題です。あまり規模が大きくない中小企業において、短期間で莫大な資金を投入することにはリスクが伴います。限られた予算の中でDXに取り組むには、必要な取り組みだけ行う必要があります。
②人材不足
次に考えられるのが、人材不足です。「ITに対応できる人材を確保できない」という企業も多いでしょう。社会全体で見てもITに対応できる人材は多くないため、DXに取り組みたいと考えても、すぐには人材を確保できないことも事実です。
③デジタル化の遅れ
また、ほとんどの業務をデジタル化できていない企業も多いでしょう。長い間アナログで行われている業務をデジタル化するには、時間も労力もかかってしまいます。
④デジタル化に対する理解不足
さらに、企業上層部からデジタル化に対する理解を得られない可能性もあります。新しいシステムを構築するには、会社全体が協力して動く必要があります。
課題に直面した際の解決策
それでは、どのように先ほど紹介した4つのの課題に対応していくべきなのでしょうか。
①予算の問題
限られた予算の中でDXに取り組むためには、低予算で使用できるDXサービスを導入するという手段があります。
例えば、株式会社シンカの「カイクラ」は、顧客との会話をテキスト化したり、顧客の情報を社員内で共有したりするためのサービスです。比較的低予算で使用でき、顧客管理の効率化を図れます。
②人材不足
ITに対応できる人材が不足している場合は、小さいことからデジタル化していくだけでも、十分な効果を狙えます。たとえば、ホームページにチャットボットを導入したり、資料をなるべくデータでやり取りしたりすることが挙げられます。
③デジタル化の遅れ
まだデジタル化できていない部分に関しては、早急に対応する必要があります。紙媒体でやり取りしている資料はなるべくデータ化し、ITツールをより積極的に使用するようにしましょう。
④デジタル化に対する理解不足
企業がDXに取り組む際には、会社全体の意識改革が求められます。そのため、一つの部署だけが取り組むのではなく、他部署とも連携してデータを共有しましょう。
また、新システムの導入には上層部の理解も不可欠です。DXの導入をプレゼンする際には、会社の現状とDXに取り組む目的を具体的に提示しましょう。
DX取り組みに対する補助金
予算不足や人材不足から、DX導入を断念する企業も少なくありません。しかし、国や地域がそのような課題を解決するべく、幾つかの補助金制度を用意しています。
今回は、「IT導入補助金2021」と「中小企業デジタル化応援隊事業」の2つを紹介します。
①IT導入補助金2021
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の業務効率化をサポートするための補助金です。自社の目的に合わせたITツールの導入を支援するための制度です。
補助金の対象
中小企業・小規模事業者
業種ごとに資本金や従業員の数に条件が設けられています。
補助金額の区分
通常枠(A・B類型)
低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)
ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換に向けて、対面での
接触削減に取り組んでいる企業
参考:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2021」
②中小企業デジタル化応援隊事業
中小企業デジタル化応援隊事業は、中小企業等のデジタル化をサポートすべく、IT専門家の紹介費用を一部支援しています。
補助金の対象
中小企業・小規模事業者
補助金額
IT専門家に対して支払う謝礼のうち、最大3,500円/時間(税込)を補助
▶DX導入に役立つ補助金はこちらの記事でもご紹介しています>>
まとめ
今回は、中小企業におけるDX取り組み方法や成功事例、課題を紹介しました。「DXに取り組みたいけれど、コストや人材の面で不安がある」という企業も、補助金を活用したり、小さなことから取り組んだりしてみてください。
自社に合ったDXを活用し、企業の大きな発展につなげましょう。