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2021.12.06

DXロードマップの作り方 – 実用的なフレームワークから実例も紹介

最終更新日:

DXに取り組むうえで、成功するためのポイントは何か想像できない方もいらっしゃると思います。そもそも何から始めればよいかわからない方も多いでしょう。

DXに取り組む際、最初にやるべきことはロードマップの作成です。ロードマップの作成とは、簡単に言うと、会社の現状を分析した上で明確なビジョンを把握し、見通しを立てることです。

今回は、ロードマップの作成法やその際に役立つフレームワークについてご紹介します。

【この記事でわかること】 ※クリックすると見出しにジャンプします

DXロードマップって何?

まず、DXロードマップとは何なのかを紹介します。

DXロードマップとは、DXを推進するときの道筋です。ロードマップを作成することで、どのようにDXを進めていくのかをより具体的に、明確にできます。

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

▶DXとIoT・ICT・RPAの違いとは?|活用事例やDX推進のポイントまで解説>>

ロードマップを作成する重要性

DXを進めていく上で最も大切なことは、少しずつひとつひとつの変革を確実に実現していくことです。

そして、そのために重要なのが、DXの戦略やロードマップをしっかり作ることです。戦略やロードマップがないままでは最終的な目標が見えず、途中で頓挫したり、ツールを導入することに満足して終わってしまうこともあるでしょう。

ロードマップを作成することで、優先して取り組むべき事項が見えて順序立てて取り組めます。

最初は本当に必要なのか疑問に思うこともあるかもしれませんが、最終的な目標を達成させるためには、ロードマップを作成して小さな目標を少しずつ達成させていくことがもっとも近道だと言えるでしょう。

▶DX戦略の基本|意味から必要な理由・戦略の立て方・企業事例を紹介>>

ロードマップが目指すもの

ロードマップの重要性はわかったものの、ロードマップを作成することで、最終的に何を目指していけばいいのかがわからないという人もいるでしょう。

そこで、ここではDXの目的を紹介します。

DXの第一の目的は、企業・ビジネスが競争上の優位性を確立することです。つまり、競争力を上げることで他社や他のビジネス分野よりも優位に立つためにDXを進めるということです。

▶︎DXの目的を知ろう《初心者必読》|IT化との違いから推進ステップまで解説>>

経済産業省のDX推奨ガイドライン

DXの進め方がよくわからないという人に向けて、経済産業省が作成したデジタルガバナンス・コードというものがあります。

デジタルガバナンス・コードは、2018年12月に発表された「DX推進ガイドライン」を改定したものです。DXを推進するにあたって経営者が押さえるべき事項を明確にしています。

▼ガイドラインはこちら

ロードマップ作成3ステップ

ロードマップの作成方法を3ステップに分けて紹介します。こちらを参考に、ロードマップを作成してみてください。

  1. 初めに行うこと|DXに対する知識獲得 、業務のデジタル化
  2. 短期的に行うこと|DX取り組み体制の整備、企業の現状把握、DX取り組みの目標設定
  3. 長期的に行うこと|DX人材の育成・確保、取り組みの見直し、改革

①初めに行うこと

ロードマップを作成し、DXに取り組む前に行うべきことが2つあります。

1.DXに対する知識獲得

DXに取り組むうえで欠かせないのは、DXに対する知識や理解です。正しい知識や理解がないと、DX取り組みにおける戦略的な目的を策定できません。DXを最大限活用するためにも、会社全体でDXに対する理解を深めましょう。

他の企業の取り組み事例等から、DXに対するイメージが湧くこともあるでしょう。後ほど国内企業における成功事例を紹介しますので、参考にしてください。

2.業務のデジタル化

アナログで行っている業務の中で、デジタル化できそうなものはありませんか?業務を自動化したり、書類やデータのデジタル化を積極的に行ってください。

②短期的に行うこと

DXに対する知識を獲得し、業務をある程度デジタル化できたら以下の3つのことに取り組みましょう。

1.DX取り組み体制の整備

まずはDXに取り組むための体制を整える必要があります。DXに取り組む場合、一つの部署のみで取り組むことはなかなか難しいでしょう。他の部署と情報を共有し、会社全体で取り組んでください。

2.企業の現状把握

また、企業の現状を把握することもかなり重要です。現在の労働環境や業務効率などを把握し、課題を洗い出してください。

3.DX取り組みの目標設定

企業の課題を把握できたら、その課題を解決するためにはどのような事項に優先順位を置くべきか検討してください。明確な目標と戦略を立てたうえでDXに取り組むと、より効果を実感できるでしょう。

③長期的に行うこと

DXをより活用するために、以下のことに取り組んでみてください。

1.DX人材の育成・確保

DXを推進するためには、「DXに関する十分な知識があり、企業の目標に合った戦略を策定できる」人材が必要です。

企業においてDX人材が不足している場合には、DXソリューションを導入してみるのもよいでしょう。DXソリューションとは、DXを活用して企業の課題を解決することです。

▼関連記事はこちら
DX人材とはー6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットを解説>>
DXソリューションを提供している企業5社まとめ|特徴や事例も紹介>>

2.取り組みの見直し、改革

DXにある程度取り組んだら、その取り組みを振り返る必要があります。自社にとって本当に必要な取り組みを行えているのか、成果は出ているのかなどを振り返ってください。より良いDX運用のためには、定期的な見直しと改善が不可欠です。

▶︎《完全版》DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントも合わせて紹介>>

ロードマップ作成時に役立つフレームワーク3選

ロードマップ作成時に役立つ、企業の課題や特徴を分析するためのフレームワークを3つ紹介します。

  1. 3C分析
  2. SWOT分析
  3. PEST分析

①3C分析

3C分析の「3C」とは、Customer(顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)を指します。3C分析を用いることで、顧客の心理や行動に対する「自社の戦略」と「他社の戦略」を比較できます。

この分析を通して自社の強みと課題点を把握できるため、今後どのように事業に取り組むべきかを判断できます。

参照:https://promote.list-finder.jp/article/marke_all/3c-analysis/#:~:text=3C

②SWOT分析

SWOT分析とは、企業の内部環境と外部環境における「プラスな面」と「マイナスな面」を分析することです。「SWOT」とは、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)を指します。

この4つの観点から分析すると、自社の伸ばすべき点や改善すべき点を把握できます。

参照:SWOT分析とは?分析の手順と注意点を解説 | セールスフォース・ドットコム (salesforce.com)

③PEST分析

PEST分析とは、Politics(政治)・Economics(経済)・Society(社会)・Technology(技術)という4つの外部環境を分析するフレームワークです。自社の事業に影響を与えている外部環境を分析することで、時代に合わせた戦略を策定できます。

参照:マーケティング環境を分析する!「PEST分析」を解説! (foresight.jp)

DX取り組み成功のコツ

DXに取り組むうえで、特に注意すべき点を紹介します。

①現状の把握

ロードマップ作成時にもやっておくべき事項ですが、現状の把握は常に行ってください。不要な取り組みはなるべく行わず、効率よくDXに取り組む必要があります。

②明確な目標を立てる

「自社が抱えている課題は何か」「そのためには何を行うべきか」を頭に入れたうえで目標を立てましょう。自社が抱える課題を解決するためにも、長期的な目線で目標を立ててください。

③定期的な取り組み見直し

ある程度取り組みを進めたら、取り組みプロセスを見直しましょう。定期的にプロセスを見直し、不要な取り組みを省くことでコストを抑えられます。また、本当に必要な事項だけに取り組むことで、DX推進における効率も上がります。

DXロードマップ事例

DXのロードマップを作成した事例を紹介します。DX推進の参考にしてみてください。

  • 製造業
  • 自治体

それぞれ解説します。

▼関連記事はこちら
【30事例を紹介!】デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例大全>>
DX推進企業の取り組みとは?|DXの概要から成功事例まで徹底解説>>

①製造業

製造業では、経済産業省がスマートファクトリーを考案し、製造業でのDXを推進しています。

「スマートファクトリー」とは一般的に、コンピューターと工場のさまざまな機械とを接続し、データを活用することで、コストダウンを図りつつ生産性や品質の向上を目指す工場のことです。

このスマートファクトリーを目指すためのロードマップとして、以下の7つのステップが考えられています。

  1. 品質の向上
  2. コストの削減
  3. 生産性の向上
  4. 製品化・量産化の期間短縮
  5. 人材不足・育成の対応
  6. 新たな付加価値の提供
  7. リスク管理の強化

▼ロードマップはこちら

▶製造業DXとは – 課題や成功の秘訣を解説、成功事例5選も紹介>>

②自治体

自治体でもDXに成功した事例がいくつかあります。ここでは埼玉県と神戸市の事例を紹介します。

埼玉県

埼玉県では、DXで目指す将来像である「DXビジョン」と、そのビジョン実現に向けた直近3年間の工程である「ロードマップ」を策定しました。

今後はロードマップに従って、DX実現に向けた取組を実行し、社会全体の変革を加速していくことが予想されています。

▼ロードマップはこちら

神戸市

神戸市は、「行財政改革方針2025」に掲げた重点項目を踏まえ、引き続き全市を上げて働き方改革(業務改革)を進めていくため、今後5年間でめざす姿と取り組むべき具体的施策について「働き方改革(業務改革)ロードマップ2.0」として策定しました。

▼ロードマップはこちら

まとめ

今回は、DX取り組みおけるロードマップ作成方法や、活用できるフレームワークをご紹介しました。DXに取り組むにあたってやるべきことは、現状の把握と明確な目標の設定です。

今回ご紹介したロードマップ作成方法や、企業の成功事例を参考に、DX取り組みにおける戦略を策定してみてください。DXのロードマップを作成して目標達成や課題解決のために本当に必要なことに取り組み、業務の効率化を目指しましょう。

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