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AIのことはよく聞くけど、人間の能力とAIの能力はどのように違うのかがよくわからないという方も多いと思います。
そこで今回はAIと比べて人間にしかできないことをわかりやすく紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
目次
AIには困難で人間にしかできないこと
今回はAIにできることをいくつかの分類に分けて紹介します。紹介するのは以下の4つのポイントです。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
①常識的な判断をすること
人間にしかできないことの1つ目は、常識を含んだ判断です。常識とは「普段は口にすることのない日常的な知識」を指します。
次のようなシナリオを考えてみましょう。
ある男性がレストランに行き、ステーキを注文し、彼は多額のチップを残して店を出ました。このシナリオで男性が食べたものは何かと聞かれれば、人間は迷わず「ステーキ」と答えます。
一方でAIは、このような問題について正確な答えを与えることはできません。なぜなら、問題文には「男性がステーキを食べた」とは直接書かれていないからです。
人間がこの事実を直感的に把握できるのは、世の中の仕組みに関する基本的な背景知識を幅広く持っているからです。
②絶えず学び、その場で適応すること
人間にしかできないことの2つ目は絶えず学び、その場で適応することです。
人間は、継続的な情報をスムーズに取り込み、自分の行動を適応させます。一方、AIの学習はこのような仕方での学びではありません。
AIの開発プロセスは、「学習させる段階」と「判断させる」の2つの異なるフェーズに分かれています。
「学習させる段階」では、画像認識をさせる場合、はじめに大量の画像データにタグ付けをして学習させる必要があります。その学習が終わり、学習したモデルが完成すると、「判別できる段階」になりタグ付けをしていない画像でも判別できるようになります。
▼ディープラーニングの仕組みについて詳しく知りたい方はこちら
③原因と結果を理解すること
人間にしかできないことの3つ目は原因と結果を理解することです。
一方、AIはデータのパターンや関連性を識別することには優れていますが、パターンの背景にある因果関係のメカニズムを理解することはできません。
ニューヨーク大学のBrenden Lake教授は、「私たちの頭脳は因果関係モデルを構築し、そのモデルを使って任意の質問に答えていますが、最高のAIシステムはこうした能力を模倣するにはほど遠い状態です」と述べています。
参照:https://www.wired.com/story/ai-smart-cant-grasp-cause-effect/
因果関係を推論することは人間の知能に不可欠な要素ですが、現在のAIには隠された因果関係の推定ができません。
④倫理的な判断をすること
人間にしかできないことの4つ目は、倫理的な判断をすることです。
人間は判断を下すときにより倫理的であろうとする一般的な傾向がありますが、AIは倫理という価値観を人間のような仕方で理解することはできません。したがって、AIの判断に倫理を反映させることは困難です。
マイクロソフトがNLP技術のデモンストレーションとして開発したAIチャットボット「Tay」を例に挙げて説明しましょう。
▼自然言語処理(NLP)について詳しく知りたい方はこちら
Tayはインターネットトロールの攻撃の影響を受け、さまざまな攻撃的なメッセージをツイートしました。たとえば、「ヒトラーは正しかった」、「フェミニストは嫌いだ、みんな死んで地獄で焼かれるべきだ」などです。
今日の多くのAIシステムと同様に、Tayにはこれらの人種差別や性差別の発言の倫理的な意味を評価する能力はありませんでした。
AIの方が人間より得意なこと
次に、AIにできることを2つに分類して紹介します。紹介するのは以下の2つのポイントです。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
①画像を認識すること
AIの画像認識の精度は人間よりもはるかに高いです。画像認識の技術は主に医療診断で活用されています。
バーミンガム大学病院の研究によると、AIシステムによる結果の提供は、病気の状態を正しく検出した割合が87%(医療専門家:86%)、異常なしを正しく出した割合が93%(医療専門家:91%)でした。
AIの画像認識の技術は、医療診断以外の領域においても生かされています。その詳細については以下の記事を参照してください。
②音声を認識し、書き取ること
AIは人間よりも上手に音声を書き起こせます。
マイクロソフトの研究者たちは、AIを使った自動音声認識システムを調整し、人間と同等かそれ以上の性能を発揮することに成功しました。
米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)が実施したテストでは、このAIシステムのエラー率は5.9%で、マイクロソフトが雇った人間のテープ起こし担当者と同じでした。
AIの音声転写の技術は、これ以外にもさまざまな領域において生かされています。その詳細については以下の記事を参照してください。
▶音声認識技術について詳しく知りたい方はこちら>>
▶AIにできることについて詳しく知りたい方はこちら>>
AIにできる仕事・できない仕事
次に、AIにできる仕事とできない仕事をそれぞれ紹介します。いくつかの具体例を挙げて、それらの共通する特徴を説明します。
AIにできる仕事10選
AIにできる仕事には、同じ作業の繰り返しをする、単純作業で成り立つという共通点があります。
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AIにできない仕事10選
AIにできない仕事には、コミュニケーション能力、クリエイティブ性が求められる、データ解析できない感覚的なことや臨機応変さを求められる、抽象的な知識や理解が伴うという共通点があります。
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AI時代の今後に向けて私たちができること
これまで紹介したように、特定の職種がなくなってしまうことが危惧されてます。
このようなAIの急激な発展に対して、いたずらに不安を抱くのは得策ではありません。大切なのはAIについて正しく理解することです。
AIについての理解を深める方法の1つとして、AI関連の資格取得が挙げられます。
まとめ
AIの技術が進歩するなか、人間にしかできないことの理解が深まったでしょうか。
AIが人類の知能を超えてしまうシンギュラリティの到来が予想される2045年に向け、AIについて正しく理解し、人間としての存在価値を考えることはより大切になってきます。
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