こんにちは、AINOW編集部です。
読者のみなさんの中には、「ディープラーニングの専用PCはどのようなものを使えばよいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
ディープラーニングを勉強・運用する上で使うPCは重要な要素になり得ます。
しかし、どのようにPCを選べば良いのか、どのPCを使うべきか分からない方もいるでしょう。
そこで今回はディープラーニング用PCについて、必要なパーツやおすすめのPCなど詳しく紹介していきます。
それでは、さっそく見ていきましょう。
目次
機械学習とは
機械学習とは、AIを開発する上で非常に重要な一つであり、数値の予測や画像の識別・分類をするときに有効な手法です。
機械学習の手法の一つに「ニューラルネットワーク」というものがあります。ニューラルネットワークは、人間の脳の構造から着想を得た手法であり、ニューロンの働きを模したものです。
ニューラルネットワークの一部には、多層パーセプトロンやディープラーニングなどがあります。
▼機械学習について詳しく知りたい方はこちら
ディープラーニングとは
前項で出てきたニューラルネットワークの能力を高めるために発展させたのが、ディープラーニングです。
ディープラーニングは、ニューラルネットワークを多層構造にしたもので、現在のAI開発の主流となっています。
機械学習とディープラーニングの違いは、機械学習はデータから法則をコンピューター自身で学ぶ点です。ディープラーニングは、機械学習で指定することが必須である特徴量をコンピュータ自身が学びます。
つまり、簡単にまとめると特徴量を人間が指定するのが機械学習で、特徴量も学ぶのがディープラーニングです。
現在ディープラーニングは、画像認識・音声処理・自然言語処理・異常探知など、世の中のさまざまな場面で活用されています。
ここからは、実際にディープラーニングを行う際にどのようなPCを使えばよいのか見ていきましょう。
▼ディープラーニング(深層学習)について詳しく知りたい方はこちら
ディープラーニング用PCに必要なパーツ
ディープラーニング用PCに必要なパーツは、以下の5つです。
それぞれ解説していきます。
OS
OSとは「Operating system」の略で、コンピュータのオペレーション(操作・運用・運転)を司るシステムソフトウェアを指します。PCでいえば、PCのデバイス本体とソフトウェアを繋ぎ、デバイスとソフトウェアを制御するシステムのことです。
主なPCのOSとして、MicrosoftのWindows、Appleのmac OS、オープンソースのLinuxが挙げられます。
AI開発では、機能を拡張しやすいWindowsやサーバでも使われるLinuxが推奨されます。Windowsだと機能の観点からproシリーズの方がよいでしょう
CPU
CPUは「Central Processing Unit」の略で、コンピュータにおける中心的な処理装置(いわばコンピュータの頭脳)です。CPUは処理が汎用的であり、さまざまなことに対応できます。
ディープラーニング用PCを選ぶ際は、IntelのCPUでいう「core i5」から上位のモデルを選ぶと良いでしょう。
GPU
GPUは「Graphics Processing Unit」の略で、3Dグラフィックスなどの画面表示や画像処理に特化した演算装置です。
GPUは、単純計算に長けており、並列処理することが得意であるため、AI開発では非常に重要なパーツとなります。
GPUの処理速度は、CPUの処理速度と比べて数倍〜100倍以上速く、ディープラーニングを行う場合GPUは必須です。
メモリ
メモリとは、PCの作業内容を一時的に保存しておくものです。一時的ですから、現在行っている内容をすぐに取り出せるようにするため、アクセスが速い点が特徴です。
ディープラーニング用のPCをを選ぶ際は、メモリは16GB以上のものを選択すると良いでしょう。
ストレージ
ストレージは、データを長期間保存しておくもので「補助記憶装置」ともいいます。ハードディスクやSSDと呼ばれるものは、このストレージの1つです。
ストレージは、通常のPCで搭載されるもので問題ないですが、512GB以上あると、容量の大きなデータにも対応できるため安心です。
ディープラーニング用PCと普通のPCの違い
ディープラーニング用PCと普通のPCの違いとして「パーツごとのスペックの違い」「OSにLinuxを使う」「GPUが必須」という3点が挙げられます。
加えて、ディープラーニング用PCは、ワークステーションの一種で、通常のPCと比べ性能が高いのが特徴です。
また、本格的にディープラーニングの開発を行う人の中には、自分で必要なパーツを揃えて組み立てたPCを使う人もいます。
以下では、補足として「通常のPC」「自作PC」「ワークステーション・ディープラーニング用PC」について簡単に紹介します。
通常のPC
通常売っているPCでも、GPUが搭載されていれば、ディープラーニングを行うことができます。
はじめてディープラーニングを勉強する方や、試しにディープラーニングに触れてみる方は、通常のPCでもよいでしょう。
自作PC
本格的なAI開発を行うとしたら、自作PCを活用するとよいでしょう。また、パーツをある程度選べるBTO PCもおすすめです。
BTO・・・「Build To Order」の略称で、受注生産のことです。市販の完成品パソコンと比べて、プロセッサー、メモリー、ハードディスク、マウス、ストレージなどを自由にカスタマイズできます。
ワークステーション・ディープラーニング用PC
ワークステーションは、CADなど業務で個人が使う場合に活用します。難しい方は、通常のPCの性能が良いバージョンだと覚えておくとよいでしょう。
*CAD・・・自動車や建築、服飾の設計支援ソフトのことです。
補足:サーバ
以上の3つの他にもサーバで開発する方法があります。サーバは、たくさんの利用者が利用します。個人で利用する場合は、上記の3つから選んでみるとよいでしょう。
ディープラーニング用のPCは自作するべき?
先程、「本格的にディープラーニングの開発を行う人の中には、自作PCを使う人もいる」と述べました。
以下では、ディープラーニング用のPCは自作するべきなのか迷っている方向けに、自作PCを使用するメリットと注意点を紹介していきます。
自作PCを使用するメリット
自作PCを使用するメリットは、ディープラーニング・機械学習に特化させたスペックにできることです。
自作PCは、通常店舗で販売されているものよりもハイスペックになるように組めるため、サーバが使えない場合などにおすすめです。
自作する際の注意点
ディープラーニング用PCを自作する際の注意点として、「販売会社からの保障や修理依頼ができないこと」が挙げられます。
自分でPCを組むので当たり前ですが、基本的に何かトラブルが起こった場合は、自分で調べて対処するか、ある程度のお金を支払ってPC修理を依頼しなければなりません。
そのため、PCや機械にあまり詳しくない方は、PCを自作する際注意が必要です。
おすすめディープラーニング用PC3選
ここからは、おすすめのディープラーニング用PCをご紹介します。今回紹介するPCは以下の3つです。
- DEEP-17FG102-i7K-VOXVI
- THIRDWAVE Pro WORKSTATION X4612 標準モデル
- HP ZBook Studio 15.6inch G8 Mobile Workstation 新スタンダードモデル
①DEEP-17FG102-i7K-VOXVI
1つ目のおすすめPCは、「DEEP-17FG102-i7K-VOXVI」です。
OS | Ubuntu 18.04 LTS |
CPU | Core i7-9700K インテル Z370 |
メモリ | DDR4-2400 S.O.DIMM (PC4-19200) 16GB(8GB×2) |
ストレージ① | 250GB NVMe対応 M.2 SSD |
ストレージ② | 1TB Serial-ATA HDD |
ドライブ | 光学ドライブ非搭載 |
GPU | GeForce RTX 2080 8GB GDDR6 |
ディスプレイ | 17.3型(非光沢カラー液晶) フルHD(1920×1080ドット) |
価格 | 32,3980円~(2022/02/08現在) |
デスクトップ同様の8GBの高速GDDR6メモリとGPU性能を引き出すGPU Boost4.0に対応しており、開発現場で作成したコードをモバイル環境でも遜色ない速度で実行可能です。
このPCはノートPCですがデスクトップPCと遜色ない性能を誇ります。サンプルコードの作成やデモ、プレゼンなどAI開発の最前線で活用できる一台です。
さらに同PCには、ax株式会社のデモソフト「ailia AI showcase」が付属しているため、物体検出・画像分類・特徴抽出・骨格抽出・個人識別など学習済みモデルを使ったさまざまなAI機能を手軽に試せます。
また、AI開発を容易にするGPU Cloud プラットフォーム「NGC (NVIDIA GPU Cloud)」に対応しており、複雑な設定無しで最新の開発環境が使えます。
ディープラーニング用フレームワークをダウンロードするだけで、複雑な環境設定や整合性を気にすることなく利用できるため、これからディープラーニングを始める方には最適のノートPCです。
フレームワーク・・・アプリケーションを開発するとき、その土台となるソフトウェアのことです。
②THIRDWAVE Pro WORKSTATION X4612 標準モデル
2つ目のおすすめPCは、「THIRDWAVE Pro WORKSTATION X4612 標準モデル」です。
OS | なし |
CPU | Intel Xeon Silver 4210R (定格2.40GHz/TB時3.20GHz/13.75MB/10Core/20Thread) x2基 |
メモリ | 32GB (DDR4-3200 ECC RDIMM/16GB×2) |
ストレージ | ディスクなし(2.5″リアベイ1) |
GPU | NVIDIA T600 4GB (MiniDisplayPort x4) ×1枚 【お取り寄せ】 |
価格 | 価格は72,8860円~(2022/02/08現在) |
THIRDWAVE Pro WORKSTATION X4612 標準モデルは、拡張性と強力なパフォーマンスを実現したハイエンドモデルです。※OSがありませんので、ご自身で選ぶことになります。
NVIDIA® Quadro®、NVIDIA® GeForce® シリーズのウルトラハイエンド・グラフィックスカードが最大2枚搭載できます。
また、デスクサイドでの使用を想定し、商用100V 電源での運用が可能となっているほか、高解像度のビデオ・オーディオ編集、ディープラーニング、CAE/CAD、3Dアニメーションなど、あらゆる用途で活用可能です。
③HP ZBook Studio 15.6inch G8 Mobile Workstation 新スタンダードモデル
3つ目のおすすめPCは「HP ZBook Studio 15.6inch G8 Mobile Workstation 新スタンダードモデル」です。
OS | Windows 10 Pro (日本語)(Windows 11 Proからのダウングレード) |
CPU | インテル® Core™ i7-11800Hプロセッサー(最大周波数 4.6GHz、コア数 8/ スレッド16、キャッシュ 24MB) |
メモリ | 16GB DDR4-3200(オンボード) |
ストレージ | 512GB M.2 SSD (PCIe, NVMe, SED OPAL2, TLC) |
GPU | インテル® UHDグラフィックス およびNVIDIA T1200 (4 GB GDDR6) |
ディスプレイ | 15.6インチワイドフルHD 液晶ディスプレイ (非光沢パネル、最大解像度1920×1080、最大輝度 400cd/m²、最大1677万色、IPS方式、LEDバックライト、周辺光センサー) |
価格 | 価格は35,2000円~(2022/02/08現在) |
同PCに搭載されている次世代のインテル®Core™ i9 vPro®プロセッサーは、複雑なマルチスレッドアプリケーションを処理するために設計されており、マルチタスク処理が容易になっています。
HP ZBook Studio 15.6inch G8 Mobile Workstation 新スタンダードモデルは、キーボードからスクリーンなどのあらゆる面で パフォーマンスワークフローのために設計されたノートPCです。
また、最大でNVIDIA RTX™ A5000またはGeForce RTX™ 3080 GPUを搭載可能です。そのため、重たいファイルでも、シームレスにレンダリング、デザイン、マルチタスクを行うことができます。
また同PCは、NVIDIA RTX™ プロフェッショナルグラフィックスで、何百万ものデータセットの行を照会し、リアルタイムで分析できるため、データサイエンティストやビジネスインテリジェンスの専門家に最適のPCです。
まとめ
いかがでしたか?
今回、ディープラーニングとは何かからディープラーニング用PCと通常のPCの違いといったことまで説明しました。
PCは、さまざまなパーツがあり、難しいと思いますが、ぜひ知識を習得していただきたいと思います。