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2022.07.01

株式会社タスキと電通大坂本研究室が共同研究の成果を人工知能学会にて発表|街の雰囲気を予測するモデルを構築

最終更新日:

株式会社タスキと国立大学法人電気通信大学 情報理工学研究科の坂本研究室は、2022年度 人工知能学会全国大会にて「オノマトペを用いた街の雰囲気のスコア化と統計情報からの回帰予測」のテーマで研究発表をしました。

オノマトペ(onomatopoeia)・・・さまざまな状態や動きなどを音で表現した言葉のこと。犬の鳴き声「わんわん」や感情を表現する「ドキドキ」など、自然界にある音や声、実際には聞こえないが感覚的な表現としてのオノマトぺが存在する。

定性的な情報を定量化することを可能に|研究背景

不動産デベロッパーが、街中の建物を企画する際に作成するマーケティングレポートでは、街の特性や雰囲気に関する定性的な情報が担当者の主観的な評価に偏る傾向があります。

主観的評価は、その人の好みや経験によって左右されるため誤った情報を共有する場合があるためです。本研究では、ファクトに基づいたマーケティングレポートの作成に向けて、不動産情報に関する定性的な情報を定量化する「オノマトペを用いた街の雰囲気のスコア化」が実施されました。

街の雰囲気を予測するモデルを構築|研究概要

本研究では以下の活動が実施されました。

  • 街の雰囲気を定量化するためのアンケート調査
  • 調査結果をもとに街の雰囲気の尺度に用いるパラメータとして、76個のオノマトペを抽出
  • 抽出したオノマトペを、坂本研究室が保有する特許技術により43種類の形容詞尺度で数値化し、Ward法によるクラスタ分析で各クラスタから10個のオノマトペを抽出
  • 都内40駅をランダムに選定し、5段階のSD法(Semantic Differential Method)による主観評価でスコア化を実施
  • 統計量を入力として、街の雰囲気を予測する回帰モデルをサポートベクター回帰を用いて構築

入力として利用される統計量は政府統計や東京都統計部が公表する人口や世帯に関する162種類の街の統計量が利用されています。

構築されたモデルを用いて学習した結果、街の雰囲気を決定する上で影響度の高いオノマトぺと低いオノマトペがあることが判明しました。

Ward法・・・クラスター分析手法の一つ「階層的クラスタリング」のアルゴリズムの一つ。それぞれのデータの平方和を求め、平方和が小さいものからクラスタを作成する手法
サポートベクター回帰(SVR)・・・回帰分析手法の一つ。サポートベクターマシン(SVM)を回帰分析に応用し、分析結果で出てくる値の差異をなるべく小さくする条件を制約条件とともに書き出したものが目的関数になる。

▼サポートベクターマシンについて詳しく知りたい方はこちら

街の雰囲気をスコア化|今後の展望

今後は、学習データの追加や予測に有効な特徴量の分析、および予測精度の低いオノマトペにおけるさらなる分析と改善が行われ、街の雰囲気をスコア化するシステムの開発が行われる予定です。

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