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2023.01.13

DX・UX・CX・UIの違いとは?|それぞれの概要やUX成功事例を紹介

UXとは「サービスを通じて得られるユーザー体験」を指し、DXとも強い関連があります。しかし「2つの違いがよく分からない」と思う方もいらっしゃると思います。

こちらの記事では、UX・DXのそれぞれの意味や、CXやUIとの違いを詳しく解説します。

【この記事から分かること】

DXとは

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、日本語ではデジタルによる変容を意味する言葉です。DXの定義は多数存在しますが、経済産業省は以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

要約するとDXとは「環境変化に柔軟に対処できるようデジタル技術の利活用を前提とした組織や経営の変革を行い、市場で優位性を保つことを指します。

デジタル技術の進歩や市場のグローバル化が進む昨今、DX推進は企業の生存・成長に欠かせない要因の一つです。

政府も企業のDX推進を積極的に推奨しており、DX支援制度や認定制度などの施策を多く打ち出しています。

引用:経済産業省 DXリテラシー標準 ver.1.0>>

▼DXについて詳しく知りたい方はこちら

UX・UI・CXとは

近年、UX・UI・CXという言葉を耳にする機会も多いと思います。これらは全てユーザーの満足度や売上の向上に繋がる重要な要素であり、DXとも深い関連があります。

しかし「UX・UI・CXの違いが分からない」「DXと具体的にどのような関係にあるのか」など、疑問に思う方もいらっしゃると思います。

こちらの章ではUX・UI・CXのそれぞれについて詳しく解説します。

UXとは

UXとはユーザーエクスペリエンスの略で、「ある製品・サービスを利用した際に、ユーザーが得た体験や印象」を指します。

例えば携帯ショップでスマートフォンに触れた際「デザインが良いだけでなく、軽量で使いやすいと思った」「様々なアプリがインストールされていて、便利だった」など、実際に製品を利用した際ユーザーが得る感想や実体験がUXです。

UXは顧客満足度や売上と密接に関連するため、継続的なUXの向上は企業にとって欠かせません。またUXはUIとも強い関連があります。

UIとは

UIとはユーザーインターフェイスの略で、「ユーザーがWebサイトやアプリケーションを利用する際に触れる接点」を指す言葉です。

例えばWebサイトにおけるUIとは、文字のフォントや大きさ、レイアウトなどのデザインから、メニューや送信ボタンの操作性などを指します。

またスマートフォンにおけるUIにはディスプレイやキーボード、マウスのデザインや操作性が含まれます。

UI=デザインと勘違いする方も多くいらっしゃいますが、UIとはデザインなどの目にするものだけでなく、マウスやボタンの操作性などユーザーが操作するもの全てを含みます。

またユーザーが質の高い体験(良いUX)をするためには、質の良いデザインや機能(良いUI)が欠かせないため、UXとUIは一緒に使われることが多々あります。

CXとは

CXとはカスタマーエクスペリエンスの略で、意味は「顧客が体験した全て」を指します。ちなみにユーザーとは製品・サービスの利用者を指し、顧客はそれらの購入者という意味です。

例えば携帯ショップを例に挙げると、「CMを見て商品に興味を持った」「店員の説明が簡潔だった」「商品の使い心地が良かった」「注文した商品がすぐに届いた」「サポートセンターの対応が良かった」など、製品に関するあらゆる顧客体験がCXに含まれます。

つまりCXとは商品購入前から購入後までに顧客が体験したあらゆる出来事を指す言葉です。特定の製品・サービスを利用した経験を指すUXよりも、該当する体験が多岐にわたります。

そのためCXの向上はサービス・製品だけでなく、組織や運営の改善にも繋がり、顧客の他社乗り換え防止やリピーターの増加などのメリットがあります。

UXとDXの関連性

DXとは「デジタル技術を活用した組織や経営の改革を行い、競争上の優位性を保つこと」を指します。そして、UXとは「ユーザーが製品やサービスを通じて得る体験や印象」を指す言葉です。

両者は一見別物に見えますが、DXとUXには強い相関があります。

例えばDX推進の過程でITツールの導入や業務フローの改善により業務効率化が進むことで、「顧客ニーズの分析」や「製品・サービス開発」などUX向上にかけられる時間が多くなります。
またグローバル化などの影響により多様化したニーズを分析するには、ITツールの活用が必須です。

一方、UXの向上はDX推進にも役立ちます。なぜならUX向上により顧客満足度が増加するため、DX推進の目的である「競争上の優位を保つこと」を実現できるからです。

このようにDXとUXは強い相関関係にあり、それら2つを念頭に置いた施策が企業の成長・生存に繋がります。

DXによりUXが向上した事例3選

これまでDXとUXの概要や関連性について解説しました。しかし「具体的にどのように関連するか想像がつかない」「具体例が欲しい」という方もいらっしゃると思います。

こちらの章では、DX推進によりUXが向上した事例を3つご紹介します。紹介する事例は以下の3つです。

それぞれ詳しく解説します。

Tinder

Tinderとは、米国上場企業のMatch Groupが提供するオンラインマッチングサービスを指します。世界190ヶ国で約1070万人の有料会員がおり、日本国内でも有名なマッチングアプリの一つです。

TinderがUXを向上させた施策には「アプリの操作性」と「演出」の2つが挙げられます。

Tinderでは容姿やプロフィールを基に、「好みor好みでないか?」をスワイプにより決められるため、誰でも気軽に利用できます。こちらの「操作性の簡易さ」が、Tinderが数あるマッチングサービスの中でも高い人気を誇る理由の一つです。

また、Tinderアプリにはマッチングした際ポップアップ表示される演出機能も搭載されています。そのためユーザーはマッチングによる嬉しさと興奮を直接的に体験できます。

このようにTinderはデジタル技術活用を背景としたUX向上により、3億4000万回以上ダウンロードされる人気アプリケーションとして成長し、非ゲームアプリの中では世界最高収益を上げています。

参照:Tinder公式ホームページ>>

note

noteとは、note株式会社が提供する、クリエイターが発信する文章・画像・音声・動画などのコンテンツをユーザーが見て聞いて楽しめるプラットフォームです。noteがUXを向上させた施策には「レコメンド機能」と「投げ銭機能」の2つが挙げられます。

まず記事のレコメンド機能とは、投稿した記事や閲覧した記事に近い記事がおすすめ表示される仕組みを指します。こちらの機能により、より多くのユーザーに読んでもらう機会が増え、フォロワーが増えやすくなる効果を生みました。

また投げ銭機能とは、一定の金額を選択して送金することでお気に入りのクリエイターをサポートできる機能です。

この機能により、ユーザー側は応援したいと思う人に応援の気持ちを伝えられ、クリエイター側は応援がnote継続のモチベーションになるというメリットがあります。

他にも数多くの機能が導入されていますが、上述のデジタル技術を活用した施策でUXを向上させたことで、月間アクティブユーザー数は6300万人を超え、多くの人々に支持されるプラットフォームへと成長しました。

参照:note公式ホームページ>>

りそなグループアプリ

りそなグループアプリとは、株式会社りそなホールディングスが提供する金融系アプリです。「銀行を持ち歩く」をコンセプトに、UI/UXを重視して開発されました。

りそなグループアプリの活用により振込・振替をはじめとする基本的な機能に加え、ムダな出費や貯金についてアドバイスするAIコンシェルジュ機能が搭載されているなど、銀行と同レベルのサービスをスマホ上で受けられます。

その利便性の高さから2022年現在では500万ダウンロードを突破しており、政府主体のDX認定制度である「DX銘柄2020」にも選定されました。

▼参照
・経済産業省 DX銘柄2020>>
・りそなグループアプリ公式ホームページ>>

▶関連記事:DX成功事例15選|日本と海外の事例からみた3つの成功ポイントを解説!>>

DX推進のために必要な3つのマインドセットとは

DX推進のために必要なマインドセットは以下の3つです。

それぞれ詳しく解説します。

継続力

DX推進にはITツールの導入や業務フローの見直しだけでなく、既存システムの刷新や組織経営の見直しなど、会社の根幹からの変革も含まれるため、実現までに数年単位の年月がかかる可能性が十分あります。

そのためDX推進は各企業で遅々として進まず、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2020年に行った調査によると、約9割の企業がDXに未着手・もしくは散発的な実施に留まっているとの結果が出ています。

しかしDXの目的は「環境変化への柔軟な対応」であり、DXを継続的に推進できなかった企業が市場で優位性を保つことは不可能です。

DX推進は企業の生存・成長に必須であることを念頭に、継続的に進めていく必要があります。

▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら>>

課題を発見する力

DX推進において最も重要な過程の一つに「課題発見」が挙げられます。

AIやIoTなど、デジタル技術を活用した製品は多く存在するため、自社の課題に最適なツールを導入しなければ無用の長物となってしまいます。

また、ITツールが効果を発揮するまで長い年月を要する場合があり、「どのような課題が解決できるのか」を明確にしなければ、社内での不満の広がりや無駄な出費に繋がります。

そのためデジタル技術の導入により、どのような課題を解決できるのか、どのような状態を目指すのかを明確にしたうえで、社内で共通認識を持つことが重要です。

周囲を巻き込む力

DX推進には、DXを先導するプロデューサーやシステムの構築やマネジメントを担当するエンジニア、製品・サービス向上を手掛けるUX・UIデザイナーなど、あらゆる職種の人々が一丸となって進める必要があります。

またDXレポート2によると、テレワークやITインフラの変更など、DX推進に成功した企業は一様に「経営トップのコミットメントがあった」としています。予算分配や社内で意見が対立した際の仲裁などは、経営層でなければ難しいためです。

このようにDX推進には、部署や職種の垣根を超えた幅広い人材を巻き込むマインドが必須であり、DX推進を先導するリーダーに最も求められます。

もし社内でDXを推進できる人材がいない場合、外部サービスの利用や社内での研修・教育なども念頭に入れる必要があります。

参照:DXレポート2 中間取りまとめ>>

▶関連記事:DX支援とは|国の補助金制度からおすすめの支援サービスまで徹底解説>>

DX推進はUX向上に繋がる

こちらの記事では、UX・UI・CXのそれぞれの概要や、DXとUXの関係性、UX成功事例について解説しました。

DX推進により、多様化したニーズの把握や分析が可能になり、UX向上に繋げられるのと同時に、UX向上によりDX推進の目的である「競争上の優位を保つこと」を達成できます。

DXとUXは強い相関関係があり、どちらも企業の成長・生存において欠かせない要因です。そのためそれぞれを念頭に置いた施策や改革を打ち出すことが、市場における優位性に繋がります。

ぜひこちらの記事を参考にDX推進とUX向上を目指してみてはいかがでしょうか。

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