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AI、データ分析におけるツールの可能性が高まっています。Googleをはじめとしたテックジャイアントから、小さなスタートアップまで、AI、データサイエンスを効率的にすべく、さまざまなツールが提供されています。
今回は、データ分析のツール化の潮流をつかむべく、データ分析ツール「nehan」を提供する株式会社nehanの中原誠代表取締役に「これまでのデータ分析を変えたい」という指針や、「データサイエンティストのあるべき姿」をお伺いします。
▼前回の記事はこちらから
データサイエンティストに求められる能力
ツールについて、触れる前にデータサイエンティストに求められる能力について伺いました。
マスクド・アナライズ
中原氏
1つ目はデータをさばくエンジニアリングのスキル、2つ目が統計解析などアカデミックな知識、3つ目が企画力のデータをビジネスに活かせる能力があります。
それぞれに課題があります。例えば、エンジニアリングは汚いデータを整備しなければならず、ひたすらSQLを書くばかりでデータサイエンティストの仕事なのか疑問に感じる場面すらあります。
アカデミックな領域においても、専門家など一部の人だけが技術を理解するだけでは、実業務に反映されず閉じてしまいます。
だからこそデータや技術をビジネスにおける課題解決手段にまで落とし込んで、データ分析に価値があると証明しなければいけません。以前話題になりましたが、「囲碁でAIが人間に勝った」だけではダメなんです。
「こんなデータがあれば、新しい視点で分析できる」という感覚や、勘が鋭い人でも自分でデータを準備して分析するまではできません。エンジニアに依頼しても、時間も負担かかりますから。
データサイエンティストに不要な仕事をなくす
AIやデータ分析などの分野へツールを導入するとなると「データサイエンティストの仕事がなくなるのではないか?」という意見も散見されます。
ツールの活用が進む未来にはデータサイエンティストは不要になるのでしょうか?
マスクド・アナライズ
中原氏
まずはデータを準備する作業をもっと楽にしたいですね。データクレンジングでSQLばかりを書かざるを得ない人が、もっと本質的なデータサイエンティストの仕事ができるようにステップを進めるべきです。
データサイエンティストの仕事をなくすという考えではなく、不要な仕事をなくして新たな業務に取り組むべきという考えです。
例えば、業務で保有しているデータと新しいアルゴリズムを組み合わせて、「今まで知らなかった新しい分析が出来る」という発見をしてほしいです。
データサイエンティストの仕事は変わる
Webの領域では、WordPressなどのCMS(Content Management System)が生まれたり、さまざまなブログのプラットフォームができることで、コーディングスキルがなくても自分のWebページを簡単に持てるようになりました。
しかし、Webデザイナーの仕事はなくなったわけではなく、プラットフォームでは作ることができない、複雑なWebサイトデザインに注力できるように進化しています。
同様にAIやデータサイエンス領域においても、今後、どのようにツールが整備され、どのように仕事内容が変わっていくのでしょうか。
マスクド・アナライズ
中原氏
一番上の頂点が、わかりやすいAI導入やデータ分析結果の部分です。例えばメルカリさんが紹介するようなもので、頂点なのでニッチな事例でもあります。
対してピラミッドの頂点の下にある、Excelで分析したりSQLを書いたりレポート作成などの業務は98%を占めると言えるぐらい多いです。例えば人事担当者が社内アンケートを集計するだけで1日が終わるという現実もあります。分析業務に限らずデータを扱う業務は複雑化しすぎており、それらを全部含めてデータをうまく処理してもらうためにnehanを活用いただきたいですね。
こういった障壁を全て取り払って、本当に必要なデータを見ながら「ここはこうするべきだ」「こんなことをやってみよう」とディスカッションできるようにしたいです。
nehanを活用してSQLばかりを書く仕事から卒業!
ツールが普及することで、データサイエンティストの仕事が変化し、よりデータサイエンスが課題解決のツールとして確立していくでしょう。
マスクド・アナライズ
中原氏
例えばnehanで作ったレコメンドエンジンを自社サービスに組み込んだり、MA(マーケティング・オートメーション)やCRM(顧客管理)システムに組み込んで、「データ分析で検証しました」で終わらせないものを提供したいです。
また、システムへの組み込みではエンジニアのスキルが必要ですし、精度の向上にはアカデミックな面も求められます。
今後は弊社も人を増やして体制を強化しながら、3~4年後に完成形を目指すイメージですね。我々はデータ分析のコンサルティングも手掛けており、ツールの使い方だけでなく、「こうすれば分析で新しい知見が得られます」とアドバイスしたいです。
中原氏からお話を伺う中で、nehanによってデータ分析がより身近なものになると感じました。
ご本人の現場での苦労や経験を踏まえながら、データを活用して業務に貢献するというコンセプトが伝わってきました。
データ分析に馴染みがない人にもわかりやすく、データサイエンティストには働きやすい環境を提供する製品として、将来のバージョンアップを含めて期待しています。