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こんにちは、株式会社メンヘラテクノロジーのらんらんです。AINOWでもライターをしています。
私はいつも彼氏が浮気をしないか不安で仕方なく、病むことが多々あります。いまのところ実際に浮気をされたことはないのですが、私と付き合う前には浮気経験がないこともないらしく…付き合い始めて3年半近く経つ現在もその不安が拭いきれません。
とはいえ、少なくとも3年半は浮気をしていない(たぶん)ということも事実。現在は浮気をしないタイプの男に変遷を遂げている可能性もあります。
つまり、彼氏はもう「浮気をする男ではない」と確信することができれば、私は病むことなく、超ウルトラ幸せハッピーるんるんな生活を送ることができるようになるのでは…? というとこから思いついたのが今回の企画。
「彼氏=浮気する男ではない」と確信するためには、まず、浮気する男の特徴を知る必要があります。そこで、NTTコミュニケーションズさんの協力のもと、合コン形式の実験を行い、その会話内容から浮気する男の特徴を分析してみることになりました。
実験の流れ
今回の実験は以下のように進めました。また、分析にはNTTコミュニケーションズの「COTOHA API」を使用しました。COTOHA APIについての説明は実験の手順のあとに。
1. 実験参加者として、3年以内に浮気経験がある男性4名・過去に一度も浮気経験がない男性4名・女性4名を募る。(浮気の基準は、いろいろあるが、今回は「自分自身が浮気をしたという意識がある行為」とした。)
2. 女性4名にはどのような基準で分けられた男性グループかは伏せ、それぞれ1時間程度ずつ合コン形式で会話をしてもらい、音声を録音する。
3. 男性2グループとの会話終了後、女性4名から各グループの印象をヒアリングする。
4. 録音した音声をCOTOHA APIの「ストリーミング音声認識」を使って書き起こす。録音データを確認しながら、書き起こしたテキストを手直しする。
5. 書き起こしたテキストをCOTOHA APIの「キーワード抽出」「文タイプ判定」を使い、分析する。
6. 分析結果と女性からのヒアリング内容を照らし合わせながら、浮気する男の特徴を考える。
COTOHA APIとは?
実験の手順の4〜6で使用している「COTOHA API」について簡単に説明します。
COTOHA APIはNTTコミュニケーションズが2018年6月から提供している簡単に自然言語処理が行えるAPIサービスです。2019年5月現在では、以下の11種類のAPIを使用することができます。
- 構文解析
- 固有表現抽出
- 照応解析
- キーワード抽出
- 類似度算出
- 文タイプ判定
- ユーザ属性推定
- 言い淀み除去
- 音声認識誤り検知
- 感情分析
- 音声認識
現在はDevelopers向けとEnterprise向けのアカウントが提供されていて、Developers向けであれば1APIごとにコール数に上限(1000コール/1日)があり、音声認識は使用できませんが、無料で利用することができます。
今回は「音声認識」「キーワード抽出」「文タイプ判定」のAPIをPythonで使用しました。
録音をNTTコミュニケーションズさんに市販の指向性ピンマイクで行ってもらった結果、データ量がすごい(計16時間分)ことになったので、音声認識については、NTTコミュニケーションズさんにお願いしましたが、
GitHubに実装例が公開されているので、参考にしてください。
キーワード抽出と文タイプ判定については、下記の記事を参考に実装しました。
詳しいAPIの仕様等については、公式のリファレンスに記載してあるので、参照してください。
実験結果
文タイプ判定の結果
まずは、文タイプ判定の結果から見ていきます。文タイプ判定では、文の法タイプ(叙述/疑問/命令)と14種類の発話行為タイプ(情報提供・情報獲得・同意・フィードバック/相槌・理解確認・指示・受領・挨拶・約束・謝罪・言い直し・感謝・時間埋め・挨拶(別れ))を判定することができます。
浮気する男グループと浮気しない男グループそれぞれの結果は以下のようになりました。(全体の発言の5%未満の発話行為タイプはその他に含めました。)
浮気する男グループは、情報提供53%、情報獲得20%、同意15%、フィードバック/相槌6%、その他6%という結果になりました。一方、浮気しない男グループは、情報提供56%、情報獲得16%、同意15%、フィードバック/相槌6%、その他7%でした。
基本的にはほぼ同じような割合となったのですが、情報提供(情報を与えるタイプ発言)は浮気する男<浮気しない男となっているのに対し、情報獲得(情報を求めるタイプの発言)は浮気する男>浮気しない男となっています。
この結果から、浮気しない男は話し手に回ることが多く、浮気する男は聞き手に回ることが多かったのかも…?という推測ができます。(ちなみに、合コン形式の会話開始後、私は別室で待機していたので、話の内容や雰囲気はわかりません。)
続いて、女性グループの発話行為タイプは以下のような結果となっています。
浮気する男グループとの会話では、情報提供53%、同意18%、情報獲得15%、フィードバック/相槌7%、その他7%という結果になりました。一方、浮気しない男グループとの会話では、情報提供53%、情報獲得21%、同意13%、フィードバック/相槌5%、その他8%でした。
浮気する男グループとの会話では同意タイプの発言が情報獲得タイプの発言より多くなっているのに対し、浮気しない男グループとの会話では情報獲得タイプの発言が同意タイプの発言よりも多い結果になっています。
この結果を先ほどの男性グループとの結果と照らし合わせると、浮気しない男グループが積極的に話し手に回っていたというよりも、会話に消極的だった可能性のほうが高い気がしてきました。それゆえに、女性の情報獲得タイプの発言が増え、結果的に浮気しない男グループの情報提供タイプの発言が増えたのかもしれません。
キーワード抽出の結果
続いて、キーワード抽出の結果を見ていこうと思います。キーワード抽出では、テキストに含まれる特徴的なキーワードを抽出し、その特徴的スコアを算出することができます。
それぞれ特徴スコアが高いキーワードを20個ずつランキングにしました。
まず、浮気する男グループは特徴スコアが高いキーワードの上位20個に参加者の女性の名前が入っているところが特徴的だと思いました。会話の中で名前を呼ばれると、自分に意識を向けてくれていることが分かり、話しやすい気がします。
先ほどの文タイプ判定の結果を踏まえても、浮気する男グループは聞き上手な人が多いのではないかと思います。
一方で、浮気しない男グループで最も特徴スコアが高いキーワードが「僕」でした。あくまで特徴スコアからの推測でしかありませんが、合コンのような場で、自分の話ばかりの人がいたら「この人は私に興味ないんだ〜」と感じてしまうこともあるかもしれません。
以上の分析結果から、浮気する男グループは浮気しない男グループよりも聞き上手な人が多いのではないかという結論に至りました。
実験参加女性からのヒアリング結果
ここまでは、あくまで会話内容の分析結果のみからの推測だったので、実際に合コン形式の会話終了後に実験参加女性からヒアリング結果を踏まえながら考察していきたいと思います。
女性たちに聞いた内容は以下の2つ。
- 8人の中で最も印象が良かった人は誰ですか?
- 男性グループはある基準で分けられた2グループだが、どんな基準だと思いますか?
それぞれの回答は以下の通りでした。
Q 8人の中で最も印象が良かった人は誰ですか?
Q 男性グループはある基準で分けられた2グループなのですが、どんな基準だと思いますか?
2つ目の質問の回答にもあるように、浮気する男グループは場の雰囲気を盛り上げられるようなコミュニケーション能力が高い傾向にあるようです。
実験前は浮気する男グループは「女慣れしすぎている」とか「遊んでそう」とか…あまり印象がよくないのではないかと思っていました。しかし、実際に実験をしてみると、全体的に浮気する男グループのほうが印象が良いという予想に反する結果となりました。
まとめ
以上、今回の実験では浮気する男グループは聞き上手でコミュ力が高いという特徴がありそうだという結果になりました。
…聞き上手でコミュ力が高いとかただのモテる男では?
「浮気をするという状況=同時に2人以上の女性から好意的な感情を寄せられている状況」であることを考えると、浮気する男に成り得る最低限の条件として、ある程度以上女性からモテる人であることは確かです。そう考えると、今回の実験で出てきた浮気する男の特徴はわりと納得のいく結果だなと思いました。
もちろん、今回の実験ではサンプル数がとても少ないため、「多くの浮気する男に共通する特徴である!」などとは全くもって言えません。しかし、私の彼氏は浮気をするタイプではないという確信を得るために、今後も浮気をする男の特徴を探る研究は引き続き行なっていけたらなと思います。
また、今回分析に使用したCOTOHA APIを使えば、このような自然言語処理による分析を簡単に行うことができます。彼氏の浮気が心配な人や今後浮気をしないタイプの人と付き合いたいと思っている人がいたら、ぜひ周りの浮気する/浮気しない男性の会話やテキストメッセージなどを分析して、浮気する男の特徴調査に協力してください!
(参考ページ)