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2020.02.03

ディープラーニングと機械学習の違いは? – AIにおける位置付けも解説!

最終更新日:

ディープラーニング という言葉をよく目にするようになりました。

社会的にAIの発展が注目されるようになり、現在3度目のブームを迎えているAIですが特に注目されている技術がディープラーニング です。

しかし、ディープラーニングは従来の技術とは何が違い、どのように活用できるのでしょうか。今回は、従来技術と比較した際のディープラーニング の特徴について説明していきます。

機械学習とディープラーニングの違い

機械学習とは

機械学習とは、機械が膨大なデータを学習することで、自らそのルールを学習し、高度な予測や判断を可能にする技術です。

学習方法としては大量のデータを学習して自動的にその特徴を取得する教師あり学習、データをさまざまな次元で分類などをする教師なし学習、自ら試行錯誤を繰り返して正解を得る強化学習があります。

AIにおける機械学習の位置付け

機械学習はAIの一分野

機械学習はAIの要素技術の1つです。

AIは人間のように考えて判断したり行動できる知能を持った機械の総称ですが、それを実現する1つの手段として機械学習があります。

AIについてはこちら▼

作成:AINOW編集部

ディープラーニングとは

ディープラーニング とは、大量のデータを学習し共通する特徴量を自動で抽出することで状況に応じた柔軟な判断が可能になる機械学習技術の1つです。

従来の機械学習に比べて高精度に分析できるのが特徴です。

ディープラーニング は人の脳細胞がモデル

作成:AINOW編集部

ディープラーニング は人間の脳細胞(ニューロン)がモデルになっています。

まず構造として、入力層・隠れ層・出力層がそれぞれノードによって構成され、各層のノードはエッジという糸で繋がれています。情報は入力層から入りエッジを伝って隠れ層を経由し出力層から出力されます。

また、ノードにはそれぞれ重みの値が設定されており、通過する情報にその値を掛けて次のノードに受け渡します。

ディープラーニング ではその重みの値は最も正確な答えを出せる数値に最適化されます。

ディープラーニングについてはこちら▼

AIにおけるディープラーニング の位置付け

ディープラーニングは機械学習の一分野

ディープラーニング は機械学習の中でも教師あり学習の一部です。

機械学習の中で、ニューラルネットワークの技術を使ったものがディープラーニング と呼ばれます。

ディープラーニングが機械学習よりも優れている点

特徴量を自動で抽出できる

ディープラーニング は従来技術と違い、特徴量を自動で抽出できるのが特徴です。その精度も高いため、人間の目では気づかなかったような特徴量までディープラーニング で探し出すことができます。

従来技術では人が特徴量をAIに教えていた

従来技術ではデータを学習させる際に、注目するべき特徴量は人間が指示していました。

例えば、猫と犬の画像を見わけるAIを作る際には耳や顔の形に注目するように予め人間が設定していました。

しかし、耳の形と顔の形も一律に決めることはできません。場合によっては特徴量を大量に設定しなければならないこともあり人力だけでは限界がありました。

しかし、ディープラーニング では特徴量の自動抽出が可能なため精度が圧倒的に向上しています。

機械学習にできることと活用事例

①回帰

回帰は、機械学習における教師あり学習の一種で、「売上高」や「成長率」といった連続的な数値を扱うための学習手法です。

例えば、過去の顧客データから新規顧客が何回来店するかを予測するのに利用することができるなど、過去のデータから今後の数値を予測することができます。

売上・需要予測|DeNA

DeNAは、タクシー配車アプリ「MOV」に、AIでタクシーの需給を予測し、利用者が多そうな場所へのルートをドライバーに提案する機能を導入しています。

②分類

分類とは、分析対象のデータがどのようなカテゴリー、クラス、種類に属するかを判断する手法で、機械学習における「教師あり学習」の1つです。

分類は、「犬」「猫」といったラベルや、「購入する」「購入しない」といったカテゴリに関する情報を分類・予測する学習方法として利用されています。

スパム・不正検知| NEC

NECは、不公正取引の審査を支援するクラウドサービス「AI取引審査支援サービス」の提供を開始しました。同サービスは、SBI証券に採用されました。

③次元削減

機械学習においても、むやみに特徴量が多すぎると、いわゆる「次元の呪い」が発生し、精度が悪くなることがあります。次元削減とは、データの次元数(特徴の数)を減らすための手法です。

データの可視化|トライアル

トライアルは、来店者の購買行動を分析し、販促につなげるため、子会社のリテールAIが独自開発したAIカメラ1500台を福岡県新宮町の店舗に設置しました。将来的には年商60億円から100億円への拡大を目指しています。

④クラスタリング

クラスタリングは分類を拡張したもので、類似したデータの集まりを機能やカテゴリ別に収集する代表的な教師なし学習法です。

テキストマイニングツール|日テレ、ドコモ

日テレやドコモでは、今後AIを活用したニュース記事の自動要約システムを開発し、現場スタッフによる性能評価を実施する予定です。

⑤レコメンデーション

レコメンデーションとは、文字通り「推薦」という意味です。

Web上では、関連するさまざまな行動データや属性データが蓄積されています。これらのデータは、会員情報のようにお客様が直接入力される場合もあれば、閲覧情報や購入商品情報のように行動追跡される場合もあります。

商品レコメンド|Netflix

レコメンドのアルゴリズムには、映画のジャンル、カテゴリーや、検索キーワード、作品の評価、視聴時間の長さなどデータが使われていると言われています。

この複雑な会員の行動データを入力し、機械学習によってパーソナライズし、それぞれの視聴者に最適な形で提供するのが、Netflixの基本的なアルゴリズムです。

Netflixの基本アルゴリズムには、性別や年齢などの情報は含まれていません。Netflixに登録すると、まず「ファーストステップ」として、好きな映画をいくつか聞き、ユーザーの好みを収集します。この情報はパーソナライズのために利用されますが、実際には直近のデータの方が重要です。

⑥異常検知

異常検知とは、データ分析において、機械の故障や異常値を検知・推測するための技術です。データマイニングなどの手法を用いて、データセット内の他のデータと整合性のない観測値や予想されるパターンを特定することを指します。

異常検知では、機械学習を用いて、正常な状態では発生しない外れ値を見つけることができます。

異常・故障検知|NTTドコモ、Automagi

NTTドコモ、Automagiは、ドライバーの居眠りを検知するシステムを開発しました。

居眠りを検知すると、スマートフォンからブザー音でドライバーに警告を発します。このシステムは、専用端末を必要とせず、スマホに専用アプリケーションをインストールするだけで利用できます。

ディープラーニングにできることと活用事例

画像認識

画像認識とは、ディープラーニング で大量の画像データを学習することで未知の画像でもそれが何の画像なのかを判断できる技術です。

その活用はWeb上の画像だけでなく、カメラなどリアルの世界でもあらゆる部分で活躍しています。

【活用事例】ディープラーニング で病気を検知!富士フイルムの画像診断

引用:https://www.innervision.co.jp/sp/report/rsna/2019/products/fujifilm_ai02

富士フイルムは画像認識で患部を自動で検知する医療システムを開発しています。

従来、体内の疾患の発見は医者の目による部分が多かったのですが、人の目ではどうしても見落としや誤認がありました。

しかし、AIの画像認識を生かすことで、人間以上の精度で患部を発見できるようになります。

医療へのAI活用についてはこちら▼

音声認識

音声認識とは音声データをAIが分析し、音声としての特徴量を抽出する技術です。

例えば、GoogleHomeやiPhoneに搭載されているSiriなどには人間の音声を聞き取り、さらにテキストAIで意味を理解する音声認識技術が活用されています。

【活用事例】話声をAIが自動で文字起こし!Smart 書記

引用:https://smartshoki.jp/index

人の話し声を聞いて文字化する文字起こしの作業はどうしても時間と労力を使います。

しかし、Smart書記を使えば、聞き取った音声をそのまま文字化してくれるため文字起こしの手間を省くことができます。

ビジネスでは議事録の作成など活用できる部分が多いのではないでしょうか。

音声認識についてはこちら▼

自然言語処理

自然言語処理は私たちが日頃コミュニケーションツールとして使っている自然言語をそのまま機械で理解する技術です。コンピュータは従来プログラミング言語しか理解できませんでしたが、AIで自然言語のパターンや意味を学習させることで、人間と不自然のないコミュニケーションが可能になります。

【活用事例】 Gmail の自動返信機能

引用:https://www.google.co.jp/mail/help/intl/ja/about.html?vm=r

Gmailには自然言語処理を生かした自動返信機能が搭載されています。

受け取ったメールの内容をAIが理解し、それに応じた簡単な返信文をいくつか自動生成してくれます。

自分で初めから返信内容を考える必要がなくなりますので、メール業務の効率化に繋がります。

自然言語処理についてはこちら▼

予測

AIによる予測はデータに基づいて未来に実現しうる数値や結果を予想する技術です。

飲食店の需要予測や交通機関の混雑予測などの分野では、すでにAI需要予測が活用され、人の勘と経験に頼った予測よりも効果的な仕入れや施策などが可能になっています。

【活用事例】回転寿司チェーン店「スシロー」の需要予測

回転寿司チェーン店「スシロー」はAI需要予測で1分後と15分後の売上を予測しています。

全ての店舗から収集した売上状況のビッグデータを蓄積し、店舗の混雑具合や客の着席時間なども考慮することで高い精度を実現しています。

AIを活用することでビッグデータをよりリアルタイムに分析できるようになり、食品ロスの削減やマーケティングや商品企画にも応用されています。

AI予測に関してはこちら▼

ディープラーニングを採用した開発が適しているケース

ディープラーニングは、人間には判断できない複雑な解析が可能です。

そのためには、膨大な学習データが必要で、計算処理に耐えられるハードウェアが必要です。

大量のデータを用意できるのであれば、AIモデルの構築も視野に入れることができます。

ディープラーニングの利点として、コンピュータが人に代わって特徴を抽出することを挙げましたが、その反面、ディープラーニングには、アルゴリズムがなぜそのような出力をしたのか説明できない「ブラックボックス問題」がつきまといます。

例えば、医療におけるAI活用のような命に関わる業務の場合、なぜそのAIがそのような診断や判断をしたのかを説明できることが重要です。

こうした観点から、ディープラーニングを使うべきか否かを判断する必要があります。

まとめ

ディープラーニング は機械学習の一部の技術を指します。

従来の機械学習がさらに自律的に学習できるようになったディープラーニング はあらゆる領域で活用されています。

そして、将来も今まで以上にディープラーニング が活用されるようになり、生活の利便性も向上していくのではないでしょうか。

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