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「DX化とIT化の違いを知りたい」と思っている方は多いのではないでしょうか?
DX化とIT化の違いを理解できれば、
・DX化とIT化の優先順位をつけた上で、効率的にDX化を推進できる ・ステークホルダー(顧客や社員、株主など)と会話できるようになる ・社内のDX人材育成の際に知識を提供できる |
といったメリットがあります。
そこで今回は、DX化とIT化の違いを初心者の方でもわかりやすいように解説します!
またDXとIT化の違いだけでなく、メリットやDX推進のポイントなど、より実務に役立つ情報も解説します!
目次
DX化とIT化の違い
結論、DX化とIT化の違いは「デジタル化を『手段』と捉えるか、『目的』と捉えるか」にあります。
具体的には、
DX化:デジタル化を「手段」として、製品・サービス・ビジネスモデルの変革を進めるもの
IT化:業務効率化を「目的」として、デジタル化を進めるもの |
と言えます。
つまり、IT化はDX化を実現する際の手段の一つなのです。
このように、DX化とIT化は一見すると同じに見えますが、実は全く意味が異なります。
より理解度を深めるため、DX化とIT化についてそれぞれ簡単に紹介します。
DX化とは
DX化とは、テクノロジーを活用して業務プロセス、プロダクト・サービスや事業・経営を変革することです。
言い換えると、情報やデジタル化を「手段」として、製品・サービス・ビジネスモデルの変革を進めるものとなります。
▼DXとは何か知らない方、DXについて詳しく知りたい方はこちら
IT化とは
IT化とは、テクノロジーを活用した業務の効率化のことです。
言い換えると、業務効率化などを「目的」として、情報やデジタル化を進めることを指します。
DX化とIT化のメリット
ここからは、
について解説していきます。
DX化とIT化に共通するメリット:生産性・業務効率の向上
DX化とIT化のメリットで代表的なものは、生産性・業務効率の向上です。
ここで具体例を2つ挙げます。
例1:RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用により、事務作業の自動化を実現 例2:MA(マーケティング・オートメーション)を活用し、顧客へのメール配信や顧客の優先度を順位化することで、効率的なマーケティング活動を実現 |
このように、DX化とIT化は生産性・業務効率のアップにつながります。
【DX化】2つのメリット
DX化のメリットは2つあります。
「新たなビジネスの創造」と「既存システムを使い続けるリスクの回避」です。
それぞれ解説していきます。
1.新たなビジネスの創造
DX化は、新たなビジネスの創造につながります。
ここで具体例を2つ挙げます。
例1:曜日や時間帯などの条件に応じて、観戦チケット価格を変動させるダイナミックプライシング →ダイナミックプライシングでは、膨大なビックデータを活用して消費者のニーズに合わせた最適な価格を提供するため、利益の最大化につながる例2:患者が服薬するタイミングなどのデータを収集し、センサーで処方薬の飲み忘れを防ぐ(大塚製薬) →病状の悪化を防ぐことで、医療費・介護費といった社会保障費の削減につながる |
このように、DX化は既存業務の効率化だけでなく、新たなビジネスの創造という大きな可能性を秘めているのです。
2.既存システムを使い続けるリスクの回避
既存システムの継続使用には2つのリスクがありますが、DX化により回避できます。
※2つのリスク ①サイバー攻撃やインターネット上に存在するウイルスの脅威にさらされるリスク ②既存システムの運用保守にコストがかかりすぎるため、IT人材の採用などに投資できないリスク |
上記2つのリスクを解決するためには、老朽化や破損した既存システムを新しいシステムや同等の機能をもつ別のシステムに変更することが挙げられます。
このように、DX化により長年の機能変更などで複雑化した既存システムを刷新することで、リスクを回避できます。
▶DXを導入するメリットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています>>
【IT化】2つのメリット
IT化のメリットは2つあります。
「情報管理・共有の利便性向上」と「DX化の推進につながる」です。
それぞれ解説していきます。
1.情報管理・共有の利便性アップ
ITツールの導入により、情報の管理や共有が非常に簡単になります。
書類などを紙で管理している場合は、分類に手間がかかったり、必要な資料を見つけるのに苦労したりと不便なことが多いでしょう。
しかし、アナログな情報の電子化により、「いつでも、どこでも簡単に」書類を確認・管理・共有できます。
また、データはクラウド上に保管されるため、紙での保管のように場所も取りません。
さらに、今までは職場にいないと確認できなかった情報に自宅などからアクセスできるため、テレワークにも対応できます。
2.DX化の推進につながる
先の「DX化とIT化の違い」で述べたように、IT化はDX化の手段です。
つまり、IT化なしではDX化を実現できません。
ここで注意していただきたいのは、IT化の目的が「業務効率化」であるように、必ずしも「DX化の推進」が目的にはならない点です。
そのため、「なぜ社内でIT化するのか」を明確にすることが重要です。
▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら
DX化を推進する3つの重要なポイント
DXを推進するうえで重要な3つのポイントは以下の3つです。
それぞれ解説していきます。
1.DX化を推進するIT人材の育成
「DX化を推進するIT人材が不足している」ことが日本のDX改革を妨げる原因の1つとなっているため、早急にIT人材を育成する必要があります。
ただ、DXを推進するためには、
・基礎的なIT知識 ・データの重要性の理解 ・UI・UX志向 |
などさまざまなスキルが必要であるため、社内に適任者がいない場合もあるでしょう。
その場合は中途採用をしたり、社内の人材にITスキルの研修を実施することで未来のIT人材を育成したりといった取り組みが必要です。
▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
▶DX人材の育成方法や育成のポイントを詳しく知りたい方はこちら>>
2.ITシステムの構築
DXを推進するためには、各部署でバラバラなITシステムを社内全体で統一することが重要です。
なぜなら、各部署で異なるITシステムを利用していると部署間のデータ連携がうまくいかず、データのビジネスへの活用ができないためです。
具体的にどうやってITシステムを構築するかですが、以下3つの選択肢が想定されます。
・「外部のベンダーにシステム開発を発注する」 ・「既存の外部システムを新しく活用する」 ・「自社でシステムを開発し運営する」 |
どの選択肢であっても、外注費用やシステム利用費など、ITシステムの構築には多額のコストがかかることは留意しておきましょう。
3.社内の組織改革
DXの推進には現場(各部署)の協力はもちろん、経営トップのコミットメントも必須です。
なぜなら、DX成功のためには、経営トップが「DXでどのような価値を生み出し、どのようにビジネスを変革するのか」を明確にすることが重要であるためです。
経済産業省の「DX推進ガイドライン」でも経営トップのコミットメントの重要性が指摘されています。
▶DX推進ガイドラインとは?こちらの記事では、DX担当者必読の要点3つをわかりやすく解説しています>>
IT化を推進する2つの重要なポイント
IT化を推進するうえで重要なポイントが、「データの電子化」と「クラウドサービスの活用」の2つです。
それぞれ解説します。
1.データの電子化
現在、新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの普及とともに、データの電子化が急務となっています。
データの電子化により、職場にいないと確認できなかった情報に自宅などからアクセスできるようになるからです。
2020年3月に発表されたアドビ株式会社の「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査」によると、テレワークの課題として最も多かったのは「会社にある紙の書類をすぐに確認できない(約40%)となっています。
上記の調査結果からもわかるように、クラウドサービスなどを活用してデータを電子化することがIT化の推進において重要です。
2.クラウドサービスの活用
クラウドサービスの活用もIT化において重要なポイントになります。
チャットツールなどのクラウドサービスの活用により、紙で情報共有する際の手作業をカットし、業務の効率化を実現できるからです。
クラウドの活用の具体例としては、以下の2つが挙げられます。
・社内外のやり取りをチャットツールなどで一括管理 ・会計システムの導入により、発注や請求書をデータで管理 |
IT化により業務効率化を目指す際は、クラウドサービスの導入をおすすめします。
【DX化推進】3つのステップ
DX化を推進するには、以下の3ステップが重要になります。
それぞれ簡単に解説します。
ステップ1:目指す姿を明確にする
ステップ1では、理想の自社の姿を明らかにしましょう。
なぜなら、自社の目指すべき方向を明確にし、社内で共有することで、DXに向けて従業員が同じ方向を目指せるためです。
その結果、DXが途中で頓挫してしまった…というよくある失敗例を未然に防げます。
▶DXの失敗パターンから学ぶ!DXを成功させるポイント3つを紹介した記事はこちら>>
ステップ2:現状を分析し、自社の強みを探す
ステップ2で重要なのは、自社の現状を分析し、強みを探すことです。
なぜなら、DXとはデジタル技術とデータを活用した競争優位性の確立を指しますが、言い換えると、デジタル技術とデータで自社の強みを拡大することが重要であるためです。
具体的には、ビジネスモデル、製品やサービス、業務、組織、プロセス、企業風土などの項目で自社の現状を分析しましょう。
ステップ3:目指す姿と現状のギャップを埋める戦略を立てる
ステップ3で重要なのは、DXをデジタイゼーション・デジタライゼーションに分類して考え
ることです。
※デジタイゼーション:アナログなデータをデジタル化すること ※デジタライゼーション:デジタル技術を活用して変革を起こすこと |
目指す姿と現状を明確にした上で、どのような流れでアナログなデータをデジタル化し、そこにどのような技術をかけ合わせていくのか検討することが、DX戦略の軸です。
▶【事例つき】DX戦略|ビジネスを成功に導くDX推進法・ロードマップについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
DX化とAI、IoTとの違い
AIもIoTも、DX化を支えるテクノロジーを指しますが、それぞれ全く別の意味があります。
それぞれに「どのような違いがあるのか」見ていきましょう。
DX化とAIの違い
先で、DX化とはテクノロジーを活用して業務プロセス、プロダクト・サービスや事業・経営を変革することと述べました。
そしてAIは、DX化を実現する際に活用するデジタル技術、つまり「道具」を指します。
ちなみにAIの役割は、従来の技術では扱いきれない膨大なデータを処理し、データをビジネスに有効活用する手助けをすることとなります。
▶DXとAIの関係性についてはこちらの記事で詳しく解説しています>>
DX化とIoTの違い
IoTは、Internet of Thingsの略称で、「モノのインターネット化」のことです。
例えば、エアコンの遠隔操作、話しかけるだけで楽曲が再生されるスマートスピーカーが挙げられます。
つまり、IoTにより新たなサービスや既存のサービス向上につながるため、DX化を実現する1つの手段といえます。
▶【関連記事】ゼロからわかる「AI・IoT」そのつながりの実態はこちら>>
まとめ
今回は、DX化とIT化の違いやそれぞれのメリット、DX推進のポイントなどを解説しました。
DX化を進める第一歩として、IT化を進めていきましょう!
▶DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントはこちらで詳しく解説しています>>
◇AINOWインターン生
◇Twitterでも発信しています。
◇AINOWでインターンをしながら、自分のブログも書いてライティングの勉強をしています。