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2021.11.05

DX認定事業者になるには?|4つの認定レベルやメリット、申請方法について解説!

最終更新日:

DX認定事業者のアイキャッチ

労働力不足が懸念される日本では、あらゆる産業分野でデジタルによる変革が重要視されています。そこで注目を集めているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

2020年に、政府がDXに取り組む企業を後押しするための施策として開始したのが、「DX認定制度」です。そこで今回は、DX認定制度の概要や認定レベル、DX認定事業者になるメリットについて解説します!

▼DXについて詳しくはこちら

DX認定事業者とは?

DX認定事業者とは、「DX認定制度を取得した企業」を指します。

DX認定制度とは?

DX認定制度とは、2020年に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改訂する法律」に基づく認定制度です。

国が策定した、企業経営における戦略的なシステム利用の在り方を示す指針に基づき、優良な取組を行う事業者を認定します。

※企業経営における戦略的なシステム利用の在り方を示す指針:経済産業省による情報処理システムの運用及び管理に関する指針

DX認定制度事務局を担う情報処理推進機構(IPA)が、認定審査事務を行い、最終決定は経済産業省が行います。

DX認定制度の概要

制度の対象 全ての事業者(公益法人を含めた法人と個人事業者)
申請期間 通年可能
※申請受理後、認定結果の通知までの期間は約60営業日
有効期間 2年間
※更新する場合は、2年を経過の60日前までに認定更新申請書を提出

参照:情報処理推進機構(IPA)公式ホームページ

デジタル・ガバナンスコードとDX認定

デジタル・ガバナンスコードとは、

企業が、経営において、デジタル技術による社会変化への対応を捉え、ステークホルダーとの対話を基盤として、行動していくにあたっての原則のこと。※ステークホルダー:企業経営における事業経営者

引用:DX認定制度申請要項(経済産業省情報技術利用促進課独立行政法人情報処理推進機構)

つまり、企業がDXを推進して価値を高めるために実践すべきことだと言えます。

DX認定制度の申請書にある項目は、デジタル・ガバナンスコード 「(1)基本的事項」部分の項目と対応しています。申請書に記入するのは以下の6項目です。

デジタル・ガバナンスコードの項目 DX認定制度の申請書の項目
経営ビジョン・ビジネスモデル
  • 企業経営の方向性, 情報処理技術活用の方向性の決定
戦略
  • 企業経営, 情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定
組織づくり・人材・企業文化に関する方策
  • 戦略を効果的に進めるための体制の提示
ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
  • 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示
成果と重要な成果指標
  • 戦略の達成状況に係る指標の決定
ガバナンスシステム
  • 実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信
  • 実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握
  • サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定及び実施

参照:DX認定制度申請要項(経済産業省情報技術利用促進課独立行政法人情報処理推進機構)

▶【事例つき】DX戦略|ビジネスを成功に導くDX推進法・ロードマップについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

DX認定制度が創設された背景

DX認定制度とは、政府がDXに取り組む企業を後押しするための施策であり、日本企業のDX促進が目的です。

2018年9月7日に経済産業省が発表した「DXレポート」で、「2025年の崖」という言葉を用いて、日本企業のITシステム基盤に対する警鐘が鳴らされ、日本はDXが進まないことが原因で、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性が明らかになりました。

これをきっかけに、政府を中心にDXの推進に力を入れるようになります。しかし、2019年にIPAが行った「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」によると、社内でDXという用語を使っている企業は僅か3分の1程度でした。

このような、「DXという言葉が注目を集める一方で、DXの推進に取り組めていない企業が多い」現状を改善するために、創設されたのがDX認定制度です。

参照:デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査(情報処理推進機構)

▶「2025年の崖」の概要や企業単位の改善策は、こちらの記事で詳しく解説しています>>

▶【DX人材】 6つの業種、4つのスキル、3つのマインドセットについてはこちらの記事で詳しく解説しています>>

DX認定制度の4つの認定レベル

DX認定のレベルは以下の4つに区分されています。

  1. DX-Ready以前
  2. DX-Ready(DX認定事業者)
  3. DX-Emerging企業
  4. DX-Excellent企業

DX認定制度で認定されるレベルは、「DX-Ready」に当たります。DX-Emerging企業とDX-Excellent企業は、DX認定事業者の中から選定された企業です。

DX認定制度申請要項によると、DX-Readyの状態は、以下の状態のことを指します。

経営者が、デジタル技術を用いたデータ活用によって自社をどのように変革させるかを明確にし、実現に向けた戦略をつくるとともに、企業全体として、必要となる組織や人材を明らかにした上で、ITシステムの整備に向けた方策を示し、さらには戦略推進状況を管理する準備ができている状態

引用:DX認定制度申請要項(経済産業省情報技術利用促進課独立行政法人情報処理推進機構)

つまり、「DX-Ready」は「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」のレベルに値します。

DX認定事業者になる4つのメリット

DX認定事業者になる4つのメリットは以下のとおりです。

  1. 企業として信用性が高まる
  2. DXに関する施策の応募資格が得られる
  3. 税制・金融による支援が受けられる
  4. DX推進における自社の課題が明確になる

それぞれ解説していきます。

①企業として信用性が高まる

DX認定事業者になると、情報処理推進機構(IPA)公式ホームページにある認定事業者一覧に社名が掲載されます。

サイト掲載により、企業としての信用性が高まり、取引先や顧客へのアピールポイントとなります。また、DXへの取り組みが認知されれば、企業のブランド力向上にも繋がるでしょう。

②DXに関する施策の応募資格が得られる

「DX注目企業」や「DX銘柄」に選ばれるには、DX認定の取得が条件となっています。

DX注目企業 DXの裾野を広げていく観点で、DX銘柄に選定されていない企業の中から、総合的評価が高かった企業、注目されるべき取組を実施している企業
DX銘柄  DXを推進するための仕組みを社内で構築し、優れたデジタル活用によって企業価値の向上を実現できている企業
*東京証券取引所への上場が条件

「DX注目企業」や「DX銘柄」に選出されれば、さらに企業価値が高まるでしょう。

▶DX注目企業2021やDX銘柄2021についてはこちらで詳しく解説しています>>

③税制・金融による支援が受けられる

DX認定の取得は、「DX投資促進税制」の要件にもなっています。DXに必要なデジタル技術の投資の税額控除や特別償却の措置を受けられる制度で、投資の負担軽減が図れます。

また、DX認定を受けた中小企業者は、DXに関する設備投資について、基準よりも低い利率で融資を受けられます。

▶DX投資促進税制とは|対象企業や要件・申請方法をわかりやすく解説>>

④DX推進における自社の課題が明確になる

DX認定の申請に向けた準備により、自社のDX推進状況が把握できます。申請書の設問が細かく設定されているため、自社の課題も明らかになるでしょう。

▶関連記事|DX導入のメリットとは?参考にしたい事例や導入ステップを解説!>>

▶DX推進とは?|指標や課題・企業事例をガイドラインに沿って解説した記事はこちら>>

DX認定事業者になるには?

DX認定制度の申請4ステップ

DX認定制度の申請手順は以下の通りです。

  1. DX認定制度申請要項(申請のガイダンス)を確認
  2. IPAのホームページから「認定申請書」「申請チェックシート」をダウンロード
  3. 申請書の記入:「認定申請書」等の設問に回答
  4. DX推進ポータルにアクセスし、申請
    →必要に応じて補足資料の提出

認定結果は、メールにて通知されます。申請受理後、認定結果の通知までの期間は約60営業日です。

経済産業省による申請の8ポイント

DX認定制度申請要項(申請のガイダンス)に申請書/チェックシートにおける各項目の不備の例が記載されています。申請書に記入する前に確認しましょう。

①企業経営の方向性及び情報処理技術活用の方向性について

・意思決定機関の決定に基づく説明であることが確認できる内容か

②企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)について

 ・戦略としての具体性・データ活用を組み込んだものが確認できる内容か
・①と内容が区別されているか

③戦略を効果的に進めるための体制の提示について

 ・戦略を示す公表媒体からの抜粋となっているか
・公表の体制・組織と戦略の関係性は明らかになっているか
・公表媒体が機関承認を得ていることが確認できるか

④最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策について

 ・戦略を示す公表媒体からの抜粋となっているか
・取り組み内容と戦略の関係性は明らかになっているか

⑤戦略の達成状況に係る指標について

 ・戦略との関連性が説明できる指標が設定されているか

⑥実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進等を図るために必要な情報発信について

 ・経営者の発信であることが確認できるか
・戦略の推進状況が発信できているか

⑦実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握に関して

・経営者の主導が確認できるか
・独自での課題把握の場合に、把握のためのプロセスの説明のみでなく、結果が分かる資料が添付されているか

⑧サイバーセキュリティに関する方策の明確な策定及び実施

 ・監査の観点のみでなく、実施内容が把握できるか
・監査の実施について、チェックシートの「確認事項」に則した事項があるか

参照:DX認定制度申請要項(経済産業省情報技術利用促進課独立行政法人情報処理推進機構)

申請の注意点

認定申請書の記入前に、記入する項目内容を整理しましょう。また、補足資料が必要な場合は準備が必要です。

DX認定ロゴマーク

DX認定事業者は「自社がDXに積極的に取り組んでいること」をアピールするためのロゴマークが利用可能になります。

まとめ

このように、DX認定事業者になると、DXへの積極的な取り組みが対外的にアピールできます。これにより、企業の信頼性・ブランド力の向上が期待できるでしょう。

自社の経営ビジョンや運用体制を見直し、DX認定取得を目指してみてはどうでしょうか?

▶DXの進め方|参考にしたい3つの成功事例や推進のポイントはこちらで詳しく解説しています>>

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