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近年、DXを推進する企業が増えています。
DXを実現するためには、紙などのアナログデータをデジタル形式に変換するプロセス、いわゆる「デジタイゼーション」が欠かせません。
▼ DX(デジタルトランスフォーメーション)について詳しくはこちら
▼ AI OCRの」基礎知識についてはコチラでも解説しています。
AI-OCRとは? AIとOCRの関係から目的別ソフト紹介まで>>
今回はその際に活用される「AI OCR」について解説します。この記事を読み、是非AI OCRツール導入の参考にしてください。
AI OCRとは
AI OCRとは、「人工知能(AI)の技術を活用して文字読み取りの精度を高めた光学文字認識(OCR)」のことです。
請求書や発注書などの紙媒体の情報をOCRによって文字をテキストのデータへと置き換え、画像やPDFなどのデジタルデータに変換します。
テキストデータを抜き出す処理にAIを活用することで、より正確な文字の読み取りが可能になりました。
▼AIについて詳しく知りたい方はこちら
OCRとは
OCRとは「Optical Character Recoginition」の略で、「光学文字認識」のことを指します。
OCRは、画像データから文字を読み取り、その文字をテキストデータへ変換できます。
テキストデータに変換することで、検索や編集が簡単にできるようになるだけでなく、業務のペーパーレス化に繋がります。
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AI OCRの3つの強み
AI OCRには、次の3つの強みがあります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1.文字認識率が高い
従来のOCRは、決まった単語や文脈を考慮して文字を認識できませんでした。
例えば、「ロジック」を読み取る際に、カタカナの「ロ」ではなく漢字の「口」と間違えて認識してしまうのです。
AI OCRの場合、「後ろに『ジック』があり、これまでに学習したデータではロジックという言葉がよく使われていることから、カタカナの『ロ』だろう」というように、単語や文脈の関連性を見つけ出すことが可能になりました。
したがって、AI OCRは、従来よりもはるかに高い精度で文字を読み取ることが可能です。
▼自然言語処理について詳しく知りたい方はこちら
2.非定型の文書の読み取りにも対応している
従来のOCRは、非定型のフォーマットを読み取る場合、どこが文字列にあたるのかを指定する必要があります。
例えば、領収書など異なるフォーマットに記載された文字を読み取る際には、事前に手作業で文字列を指定する作業をしなければなりません。
一方、AI OCRは自動で文字列を判別できます。AIが表や項目を認識しすることで、非定型のフォーマットも認識可能になりました。
3.読み取り精度が高い
ディープラーニングにより、使用回数を重ねるごとに読み取りの精度が改善されることもAI OCRの強みです。
繰り返し使われる業界用語や特徴的な書き方をAIが学習を重ねていくことで、使っていくうちに読み取りの精度が向上します。
▼ディープラーニング(深層学習)について詳しく知りたい方はこちら
AI OCR導入の3つのメリット
AI OCRを導入することで、次の3つのメリットが生まれます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1.データ入力業務の自動化が進む
AI OCRを導入することで、手入力の作業が要らなくなります。
また、従来のOCRに比べ、AI OCRは読み取り精度が高いため、確認作業を減らすことができます。
データ入力業務のような単純業務は、AIが得意とする分野です。AI OCRの導入により、企業は人件費の削減やよりクリエイティブな業務に人員を割くことができます。
2.人的ミスが減る
データ入力を手作業で行う場合、人的ミスが起きる可能性もあります。
重要な文書を扱う業務では、誤字、脱字、数字の桁間違いなど、少しのミスであっても大きな問題に発展することもあるでしょう。
100%の精度が保証されている訳ではないですが、手作業に比べ、AI OCRを導入することでミスを減らすことに繋がります。
3.過去の資料の保存が進む
AI OCRを導入することで、過去の資料の保存が進みます。
過去の資料は紙媒体で保存されていることが多いです。AI OCRを使って、資料をデジタルデータに変換し保存することで、多くの事例に活用されることでしょう。
今は必要でなくても、過去のデータを含めた統計をとる、過去の事例を調べる、など将来的にさまざまな業務が考えられます。大切なデータは、紙が劣化する前にAI OCRを使ってデジタルデータ化することがおすすめです。
▶︎ AIによるメリット・デメリットは?人工知能の問題点と解決策も紹介>>
AI OCRを選ぶ5つのポイント
AI OCRツールを選ぶうえで、次の5つのポイントがあります。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
①利用目的に合っているか
まず、重要なのは「利用目的に合っているか」です。
それぞれのAI OCRサービスには、印字されている文字の読み取りが得意、手書きの文字の読み取りが得意といったように、それぞれ特徴があります。
帳簿や伝票などの印字されている文字の処理が目的の場合、活字読み取りに強いAI OCRを選ぶことがおすすめです。
また、アンケート用紙や問診表など、手書きの文字の処理が目的の場合、手書き文字の読み取りに強いAI OCRを導入してみましょう。
②UIが優れているか
次に、「UIが優れているか」が挙げられます。
デジタル化された文字を確認したり、データ入力の進捗状況を管理するためには、UIが優れていることが大前提です。
UIは実際に使ってみないと、自分にとっての良し悪しがわかりづらいです。トライアルなどを活用して、使い心地を確認してみましょう。
③対応する言語が幅広いか
また、拠点が海外にある企業や海外の企業とやりとりをする企業にとって、「対応する言語が幅広いか」は大切な観点です。
AI OCRを選ぶ際には、対応する言語、そして別料金を支払う必要があるのかどうかも、合わせて確認しておきましょう。
④対応するドキュメントが多いか
対応言語に加え、「対応するドキュメントが多いか」も重要な観点です。
各サービスによって対応しているファイル形式は異なります。導入を検討している場合は、ドキュメントの読み込み及び出力の対応形式をよく確認しておきましょう。
⑤RPAとの連携ができるか
最後に、「RPAとの連携ができるか」が挙げられます。
RPAとは、“Robotic Process Automation の略称で、今まで人が担っていた業務を自動化するシステム“のことを指します。
AI OCRのできることは、文字を読み込んでテキストデータ化することです。各業務を自動化する「RPA」のアイデアと組み合わせることで、業務の効率化が促進されます。
AI OCRを使って文字をデータ化したのち、社内システムへ保存、帳票の作成、資料の作成など広く活用できます。
RPAに限らず、会計システムや仕入管理システムといったような外部システムとの連携ができるかを確認していくことも社内改革に繋がります。
導入を検討する際には、AI OCRがRPAを含む外部システムと連携できるのかをよく確認しておきましょう。
おすすめAI OCR 5選
ここからは、おすすめのAI OCR ツールを紹介します。今回紹介するのは以下の5つです。
CLOVA OCR|LINE株式会社
利用目的 | 定型、特定帳票、非定型ごとのプラン有 |
対応言語 | 日本語、英語、韓国語、繁体字(台湾語) |
対応外部システム | LINE eKYC、クラウドアプリケーション、API連携 |
導入事例 | 累計470社(2021年10月時点) |
DX suite|AI inside 株式会社
利用目的 | 手書きや印字、定型、非定型 |
対応言語 | 日本語、英語、中国語、タイ語、ベトナム語 |
対応外部システム | APIにてRPAやほかアプリケーションと連携 |
導入事例 | 市場シェアNo.1
※株式会社ミック経済研究所2020年2月発刊 |
tegaki|株式会社Cogent Labs
利用目的 | 手書きに特化(識字率99.2%) |
対応言語 | オプションで日本語以外も対応 |
特徴 |
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対応外部システム | 60をこえるサービスと連携 |
導入事例 | C&Cビジネスサービス株式会社、アサヒ生命保険相互会社等 |
AnyForm OCR|株式会社ハンモック
利用目的 | 活字、手書き英数字、手書き日本語 |
特徴 | OCR帳票の設計や変更はノンプログラミング。3種類の方法より帳票にあった設計が可能です。 |
対応外部システム | OCR,RPAとの連携可能 |
導入事例 | 株式会社イグアス、おたふくソース株式会社等 |
AIよみと~る|NTT東日本
利用目的 | 手書きにも対応
(識字率96.71%) |
特徴 | 簡単なマウスの操作で設定が可能 |
対応外部システム | RPAと連携可能 |
導入事例 | 株式会社ジェイエーアメニティーハウス、株式会社東日本板橋花き、辻・本郷 税理士法人等 |
まとめ
今回は、AI OCRについて詳しく解説しました。いかがだったでしょうか。
AI OCRは新たなツールが次々と登場し、対応する外部システムが増えてきています。
また、AI OCRの導入を検討している方は、今回紹介した5つのポイントを参考にしてみると良いでしょう。
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