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2023.12.22

AIが生成したコンテンツを自分のサイトで公開して学んだこと

最終更新日:

カナダ在住のSEOエキスパートであり、ウェブサイトSelf Made Millennialsを運営するビクトリア・クリチェンコ(Victoria Kurichenko)氏が2023年10月末にMediumで公開した記事『AIが生成したコンテンツを自分のサイトで公開して学んだこと』では、AI生成記事の掲載による影響がSEO的観点から解説されています。
クリチェンコ氏は自身が運営するウェブサイトに実験的にAI生成記事を掲載したところ、以下のようなことを確認しました。

ウェブサイトにAI生成記事を掲載してわかったこと
  • AI生成記事であっても、Google検索で上位に表示される。ただし、上位になるには記事のテーマを吟味する必要がある(テーマの吟味方法は記事本文を参照)。
  • AI生成記事には「個性がない」などのネガティブな特徴がある。それゆえ、こうした記事を放置していると検索ランキングが下降する。
  • Googleの検索アルゴリズムは、更新のないAI生成記事の検索ランキングを低下させる傾向がある。

以上をふまえたうえで、今後インターネットはAI生成コンテンツで溢れかえる、とクリチェンコ氏は予想しています。そして、正しい使い方を知っていれば、AIはウェブ記事制作とウェブサイト運営の役に立つ、とも同氏は述べています。

なお、以下の記事本文はクリチェンコ氏に直接コンタクトをとり、翻訳許可を頂いたうえで翻訳したものです。また、翻訳記事の内容は同氏の見解であり、特定の国や地域ならびに組織や団体を代表するものではなく、翻訳者およびAINOW編集部の主義主張を表明したものでもありません。
以下の翻訳記事を作成するにあたっては、日本語の文章として読み易くするために、意訳やコンテクストを明確にするための補足を行っています。

画像はCanvaで作成。記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。おすすめの商品を購入された場合、少額の手数料を頂くことがあります。

そうするとペナルティを受ける危険性がある

しばらく私のことをフォローしてくれている人なら、私が2021年からウェブサイトを運営していることを知っているだろう。

当時、私は明確な目的もなくウェブサイトを立ち上げた。パフォーマンスの高いウェブサイトでお金を稼ぐことは可能だと知っていた。というのも、私の顧客がそうしているのを知っていたからだ。しかし、どのようにマネタイズすればいいのか全く分からなかった。

そんなわけで、オンラインマーケティングを実験するための環境として私のウェブサイトを残しておいた。

2021年以降、多くのことが変わった。

私はSEOのスペシャリストとしてのフルタイムの仕事を辞め、起業家に転向した。

起業がフルタイムの仕事より楽だとか、良いとか言うつもりはない。ただ違うだけだ。最近は以前よりもっと働いている。しかし、私は自分が取り組んでいるプロジェクトが好きだし、自分の自由を手放すつもりはない。

私はいくつかの電子書籍を作り、『Googleのトップページにヒットするブログ記事の書き方』というSEOライティングガイドを200部以上販売した。

私はEメールリストを立ち上げ、収益化してきた。現在、私は1,700人の購読者を持つニュースレターを運営している。このレターへの参加は大歓迎だ。

他のプロジェクトを管理しながら、私のウェブサイトを0から6,000以上のオーガニック・トラフィックに成長させた。

読者やメール購読者から、仕事をスピードアップし、ウェブサイトを成長させるためにAIを積極的に使っているのかとよく聞かれる。短く答えればイエスで、コンテンツ作成にAIを使っている。

しかし、SEOの専門家として、私はAIが生成したコンテンツがもたらしうる悪影響についても認識している。

私は実験として、自分のウェブサイトで複数のAI生成記事を公開したことがある。さらに、私のクライアントの1社であるB2B代理店が、彼らのウェブサイトで積極的にそれを行っているのを見たきた。

この記事では、AIが生成したコンテンツがSEOに与える影響を長期的に測定した結果、私が学んだことを共有しようと思う。

もしあなたが、ウェブサイトのコンテンツ作成にAIツールを積極的に利用しているなら、この記事はあなたにとって非常に役立つだろう。AIが生成したコンテンツを公開することで何が期待できるのか、そして、それがウェブサイトの成長に悪影響を及ぼす可能性があるのかどうかを学べるだろう。

ランクインできる

ChatGPTが大流行したとき、私は検索ランキングを上げるために使えるかどうか疑問に思った。

基本的にChatGPTとその代用品は、安価なコンテンツライターの手頃な代用品となっている。以前は、ライバルを凌駕するコンテンツを作成するためにコンテンツライターを雇う必要があった。現在では、ChatGPTの助けを借りれば数分で記事作成ができる。

さらに、AIが作成したコンテンツは検索ランキング上位に入れるのだ!

私のウェブサイトで行った数々の実験にもとづけば、そのことを確認できる。

以上のMedium記事は、GoogleのAIチャットボットであるBardの助けを借りて書いた私のソフトウェアレビューの1つである(※訳註1)。

(※訳註1)この記事の著者であるクリチェンコ氏が2023年7月24日に公開したMedium記事『ChatGPT記事 vs. Bard生成記事 – どちらがより良いパフォーマンスを発揮するか』では、ChatGPTとBardを使ってウェブ記事を制作して公開した顛末が解説されている。これらのAIを使って記事を制作した結果、記事のテーマについてAIが出力したテキストに人間が加筆するのがSEO的に最も効果的なことが判明した。

Ahrefs(※訳註2)によると、この記事はオーガニック検索結果の6位にランクインしている。この記事からまだアフィリエイト報酬を得ていないにもかかわらず、私のリンクから複数のサインアップが見られる。これは、ユーザがツールを使う前にそのツールについて知りたがっており、(SEOコンテンツ最適化ツールである)Robinizeに関する私のレビューが役に立っていることを意味する。

(※訳註2)Ahrefs(エイチレフス)とはSEO分析ツールであり、自社サイトおよび競合サイトのバックリンク分析や検索エンジンの上位表示コンテンツ、想定流入キーワードなどを分析できる。

私のウェブサイトにおけるAI生成コンテンツのパフォーマンスを表したグラフ

しかし、以下のことにも気づいた。

  • AIが生成した記事のパフォーマンスはしばしば弱い。
  • 競合性の低いキーワードをターゲットにしなければ、トップ10にランクインできない。

競合性の低いキーワードとは、以下のようなものを指す。

  1. キーワードの難易度が30以下である((SEO分析ツールの)SemrushまたはAhrefsにもとづく)
  2. トップ10にドメインオーソリティ(※訳註3)が低いウェブサイトがある(AhrefsまたはSemrushによるとDR<30)
(※訳註3)ドメインオーソリティとは、任意のウェブサイトに関する検索エンジンの評価値。この値が高ければ、検索上位に表示されやすい。SEOサービス提供企業Mozのツール「Link Explorer」で調べられる。

キーワードリサーチやランクインしやすいキーワードを発見する方法についてもっと知りたい場合は、『Googleのフロントページでヒットさせる方法』に関する私の電子書籍をチェックしよう。

個性に欠ける

AIが作成した記事を何十本も書いたり読んだりした経験から、私はそうしたコンテンツがAIによって作成されたものであるかどうかを自信を持って言い当てられるようになった。

AI生成コンテンツが人間の文章と違うのは、次のような点だ。

  • 個性がない
  • 受動態が頻繁に使われる
  • 一般的な文章が多い
  • ストーリーがない
  • 個人的な経験がない
  • 独自の洞察がない
  • 専門知識がない
(※訳註4)AI生成コンテンツの文体に関する特徴については、AINOW翻訳記事『こんなフレーズを見れば、AI生成コンテンツだと一目でわかる』も参照のこと。

Googleボットのような検索エンジンのボットは、不運なことにこれらの特異性に気づいてしまう。

というのも、読者はあなたがAIで生成したコンテンツを読んだ後、自分の時間が無駄になったかどうかすぐに気づくからだ。あなたのコンテンツが気に入らなかったり、浅はかだと感じたりすれば、彼らは去っていくだろう。次に何が起こりうるか。

Googleはこのようなオンラインユーザの行動に気づき、オーガニック検索結果であなたのウェブページを格下げする可能性が高い。こうした格下げは、コンテンツが古かったり、宣伝色が強すぎたりする場合にも起こりうる。だから私は、ランキングを維持するために定期的にウェブサイトのコンテンツを更新している。このやり方は常に効果がある。詳しくは以下の記事を参照のこと。

以下のスクリーンショットは、(ニュースレター成長プラットフォームである)Beehiivに関する私のレビューの70%を更新した後のインプレッションとトラフィックの変化を表している。

Beehiivのレビュー記事の7割以上を更新した後、インプレッションはどう変わったかを表したグラフ

長期的な解決策にはならない

ウェブサイトを成長させるために、コンテンツ制作をすべてAIに頼ってもいいのかと聞かれれば、私はノーと答える!

AIが作成したコンテンツを公開することで、ウェブサイトが一貫して成長している良い例を私は見たことがない。

それに、Googleのお役立ちコンテンツアップデートをご存知だろうか(※訳註5)。

(※訳註5)クリチェンコ氏が2023年9月に自身が運営するブログで公開した記事『おっと、グーグルがまたやってくれた😱。』は、2023年8月と9月に実施されたGoogle検索アルゴリズムのアップデートについて論じている。
このアップデートによって、ウェブサイト内にある役に立たないコンテンツを削除することで、ウェブサイトの検索ランキングが上がる可能性が生じた。こうしたアップデートは、ランキング操作を目的とした役に立たないAI生成コンテンツの格下げを意図していると考えられる。

Googleは、ランキング操作目的で公開された粗悪なコンテンツに対抗するため、すでに2つのアップデートをリリースしている。

アップデートがないまま時間が経過すると、AIが生成したコンテンツはどうなるかを紹介しよう。私は、AIが生成したツールを使って「スタートアップのためのSEO」の記事を書いたが、実験の正確性を期すため、この記事を更新したことはない。

AI生成記事と比較するために公開している私のウェブサイトにおける人間が書いた記事は、何年もランキングが落ちていない。

AIが作成した記事のパフォーマンスが時間とともにどのように変化するかを表したグラフ

あなたは自己責任でAI生成コンテンツを公開できるし、以下の戦略に従ってウェブサイトをGoogleの要件に合わせることもできる。

  • ニッチにこだわろう。そうすれば、Googleは最終的にあなたのウェブサイトをあなたの好むニッチに関連付けるだろう。
  • コンテンツで専門知識を共有しよう。
  • ウェブサイトにあなたが誰であるか、そして専門分野の概要を示す著者経歴を確実に掲載しよう。
  • ウェブサイトをE-E-A-T(専門性、経験、権威、信頼)に合わせよう(※訳註6)。
(※訳註6)E-E-A-Tコンテンツ品質ガイドラインとはGoogleがウェブサイトを評価する際のガイドラインで、評価観点である「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trust(信頼)」の頭文字をとっており、「ダブルイーエーティー」と呼ばれる。

私は、ウェブサイトの成長のためにAIツールを安全に使用する方法を共有する記事を発表している。

(※訳註7)クリチェンコ氏が2023年5月26日に公開したMedium記事『私のウェブサイトに高ランクの記事を書くために使用した5つのChatGPTプロンプト』では、SEOに役立つChatGPTの5つの使い方が解説されている。同氏はChatGPTを記事執筆の補助ツールと位置づけたうえで、以下のようなことを実行した。

記事執筆補助ツールとしてのChatGPTの5つの活用法
  • 単語の定義の確認
  • タイトル案の列挙
  • FAQリストの作成
  • FAQリストに対するschema.orgマークアップの実装
  • 任意のデータに対するソースの提示

結論として

AIが好きかどうかは問題ではない。どうあがいても、AIは私たちのそばにいるようになるだろう。

私たちにできる最善のことは、生活を向上させるためにAIを効果的に活用する方法を学ぶことだ。

私はAIが生成するコンテンツが嫌いだが、インターネットがまもなくAIが生成するコンテンツで溢れかえることは認める(※訳註8)。

(※訳註8)インターネットがAI生成コンテンツで溢れかえった結果、AIモデル開発においてモデル崩壊が生じる可能性が高まっている。この危機についてはAINOW翻訳記事『AI企業は人間が作ったデータを使い果たした。彼らは今、AIを使ってより多くのものを作ろうとしている』を参照のこと。

コンテンツ制作者は私たち読者のことよりも、自分たちのエンゲージメント統計の方を気にしている。それが事実なのだ。

だからこそ現在、役に立つ情報を見つけるのは難しい。役立つ情報の発信は、もはやコンテンツ制作者の最終目標ではない。

私が固く信じているのは、ニッチに焦点を当ててコンテンツに付加価値をつけることが、たとえAIが生成したコンテンツを使ったとしても、オーガニック検索結果でウェブサイトを成長させることに役立つということだ。なぜこんな風に断言できるのか。私は過去数年間、そうした施策を効果的に行ってきたからだ。

AIは、使い方さえ知っていれば、あなたの味方になってくれる。

この記事で、賢い使い方を学んでほしい。

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原文
『I’ve Published AI-generated Content On My Site — Here’s What I Learned』

著者
ビクトリア・クリチェンコ(Victoria Kurichenko)
SEOエキスパート、Self Made Millennials創業者

翻訳
吉本幸記(フリーライター、JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #1、生成AIパスポート、JDLA Generative AI Test 2023 #2取得)

編集
おざけん

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